Vばら 

ある少女漫画を元に、エッセーと創作を書きました。原作者様および出版社とは一切関係はありません。

シャルロットが、最期に行き着いた場所

2016-12-17 22:03:27 | つぶやき

 シャルロットは、どちらかというと嫌われキャラ。いつもオスカルのそばにいられるロザリーに嫉妬していたが、母であるポリニャック伯夫人から結婚を強制されると、自分の将来を悲観して命を絶つ。

↓  現在オーストラリアの首都キャンベラでは、「ベルサイユ展」を開催中。展示品の1つに、1695年に描かれた絵画がある。描いたのはÉtienne Allegrain、タイトルはView of Versailles from the Orangerie(オランジェリーから見たヴェルサイユ宮殿の眺め)。オランジェリーとは、オレンジなどの柑橘類の樹木が越冬できるよう保護した場所で、温室の原型。この絵を見た時、「ベルばら」の一場面を思い出した。

↓  シャルロットの姿が見当たらなくなり、ロザリー・オスカル・ポリニャック伯夫人らは必死で探す。ある女性が言う。「ああシャルロットさまならさっき庭園のほうへ…」

↓  シャルロットが死に場所を求め、階段を上って行く。この階段はオランジェリーではないだろうか?

↓  オランジェリーの階段。シャルロットはここを上がって行った。上りきったところで、「今度生まれてくるときは、もう貴族でないところにするわ。」と呟き、そのまま下へ。この階段、一見緩やかに見えるけれど、相当高いところまで上がっていくのだろう。

 

 

 ↓  オスカルが必死で現場に向かうが、左手が思うように動かずシャルロット救出に間に合わなかった。

 「ベルばら」を執筆するに当たり、一度も現地を訪れたことのない池田先生が、今のようにネットがない時代、限られた資料をもとにオランジェリーの階段を描いたと思うと、改めて先生の探究心、手を抜かないリサーチに頭が下がる。今なら先生はどんなオランジェリーを描くだろう?私はフランスに行く予定はないけれど、もしも…もしもいつか行くことができたなら、ヴェルサイユ宮殿見学をする時、オランジェリーの階段を上ってシャルロットが最期に目にした風景を見てみたい。

 読んでくださり、どうもありがとうございます。



6 コメント

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Unknown (オスカー)
2016-12-18 09:02:49
こんにちは。シャルロットは本当に可哀想な娘さんでしたね。母親から愛されたという実感もなかったでしょうし・・・オスカル様もロザリーもやりきれない思いでいっぱいだったと思います。
話はかわりますが、以前フィシューについての記事がありましたよね。今ミロの「乳房の神話学」という本を読んで入るのですが、大きな胸を強する女性の多さに教会などが困っている様子などが書いてありました。

1692年には、胸を隠すファッションが龍谷した。といって、まったく隠してしまうのではなく、「スティンケルク」という薄手の肩掛(フィシューですね)をかけるだけだったのだが、それはその年の夏、ベルギーのスティンケルクで、取るものも取りあえず戦闘に加わり勝利を収めたフランスの将校連中が、ぞんざいにネクタイをしめたままで戦ったことに由来する、いわば戦勝記念のファッションであった。(P80)

こちらでフィシューのことを読んでいたので、そんな経緯があったのかと・・・いろんな資料をまとめた本なので、面白い面と飽きてしまう面もあったのですが、フランスの話題には、うんうん、そうだったのか!と楽しく読めます(笑)

いつもありがとうございます(*^^*)
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輪廻? (豊葦原の国民)
2016-12-18 18:58:49
こんにちは。シャルロットは可哀想でしたね。
最近、この場面を読むと キリスト教徒も「生まれ変わる」という考え方をするんだろうか?と思います。
アントワネットがフェルゼンに「今度は普通の貴族の娘として生まれたい。きっとあなたの妻にして下さいね」のような事を言っている場面もありました。余談ですが仲良しの平民の夫婦になろう、ではなくやはり「貴族の娘」と言っているのがお育ちだなと(笑)。
アンドレは毒ワインを前に、生まれ変わったら貴族になりたいとは思わず、愛するオスカルは天の園へ行き、自分は地獄へ行くと思っています。
原作者が日本人なので、どちらの考え方も違和感なく出てきたのでしょうね。

私は教養がなく、この時代の文芸や書簡などで、「生まれ変わる」という表現があるものをパッと思いつきません。
ご存じでしたら、教えていただけるとうれしいです。
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オスカーさま (りら)
2016-12-18 21:06:38
 コメントをありがとうございます。

 オスカーさま、面白い本を読んでいらっしゃる!教会にしてみれば、女性たちが男性たちを堕落させる元凶になってほしくないわけで…。しかし女性たちはそれを知ってか知らずか知能犯なのか、胸を強調したスタイルで男性たちにアピールしながら闊歩する。教会と女性たちとの仁義なき戦いでしょうか?

 オスカルが生涯にただ一度だけ着たオダリスク風のドレスは、胸元が全く見えない、当時としては珍しいスタイルだったのではないでしょうか?オスカルがあまりに女性性を強調したドレスを着ては、ファンが嫌悪感を抱くと思い、敢えてあのようなデザインにしたのではないかと思いますし、それで正解だった気がします。
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豊葦原の国民さま (りら)
2016-12-18 21:18:47
 コメントをありがとうございます。

>キリスト教徒も「生まれ変わる」という考え方をするんだろうか?と思います。

 わぁ、考えてもみませんでした。どうなんでしょう?「生まれ変わる」のはアジア圏、仏教独自の考えなのでしょうか?(楊貴妃と玄宗皇帝は「生まれ変わったら、二人で比翼の鳥、連理の枝になりたい。」と言っていたような気がします。)

>余談ですが仲良しの平民の夫婦になろう、ではなくやはり「貴族の娘」と言っているのがお育ちだなと(笑)。

 あぁ、確かに言われてみればそうですね。アントワネットは、根っから王権神授説が体に浸みこんでいる人なのだなと常々思います。

 豊葦原さま、すみません。「生まれ変わる」に関して、今すぐ思い浮かぶものが出てきません。ごめんなさい。「生まれ変わる」という発想は、仏教独自のものなのか、他の宗教でもあるのか考えてみたいです。答にならず本当にすみません。
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はじめまして♪ (Cecil)
2016-12-19 13:02:15

いつもブログを読ませていただいています! ベルばらとは2年前に25年ぶりに再会し、私も1年半前からベルばらのブログを書いています。

実はりらさんと同じ日に、同じシャルロットの自殺のシーンのブログを書いてて、りらさんのブログにアップされている原作のシーンをちょうどじっくり読んでいるところでしたので、びっくりして思わずコメントしてしまいました(^^;

宮廷の大階段の写真掲載ありがとうございました。あのシーンを具体的に想像することができました。あの階段、かなりの高さだったのですね。それをダッシュで登り切ったオスカル、さすが軍人、体力あります。

シャルロット、不憫でした。まだ11歳でしたっけ。子どもが自ら命をたつとは、重いテーマでした。

これからもブログ読ましていただきます(^^♪
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Cecilさま (りら)
2016-12-19 22:50:31
 初めまして。コメントをありがとうございます。

>私も1年半前からベルばらのブログを書いています。

 先ほど、Cecilさまのブログにお邪魔させていただきました。原作をとても丁寧に読み込んでいらっしゃる!キャラたちのちょっとした心の動きも見逃さない。Cecilさまがお書きになった文章をよみながら、「そうそう、そうなのよ。」と同感する箇所がたくさんあります。

 カナダ在住とのこと。今年はオタワで「ルブラン夫人展」が開催されましたが、ご覧になられましたか?新作エピソード類は、電子書籍でご覧になっていらシャルのでしょうか?

 池田先生が渡仏経験がないまま、オランジェリーの階段を描いたことに、とても感動しました。シャルロットは生きる望みを失い、生きる屍状態でこの階段を上って行ったのではないかと想像します。

>シャルロット、不憫でした。まだ11歳でしたっけ。子どもが自ら命をたつとは、重いテーマでした

 池田先生の作品って、少女漫画ではあるけれど、当時の社会や世相に対する先生の怒りや魂の叫びを盛り込んでいる気がします。可愛い少女がわずか11歳で、親の決めた相手と結婚しなければならない理不尽さは、見方によっては「虐待」に映ります。

 「ベルばら」ブログを運営する同志として、どうかこれからもよろしくお願いいたします。私もCecilさまのブログにお邪魔させていただきます。

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