Vばら 

ある少女漫画を元に、エッセーと創作を書きました。原作者様および出版社とは一切関係はありません。

新作エピソード ロザリー編 (6)

2018-02-12 22:53:35 | つぶやき

 池田先生の2月9日付のブログの記事を読み、「あぁ、やっぱりそうだったのね。」と思ったことが1つ。

↓  フランソワの同僚であるファビアン・ノーベル。どこか「オル窓」のレオニードを思わせる顔立ち。第3話から登場。「ノーベル」という名字そしてスウェーデン人であることから、ノーベル賞創設者のアルフレッド・ノーベル(1833年10月21日 - 1896年12月10日)と何らかの関係があるのかな?と思ったのだがこれといった決め手がなく、単に架空の人物だと思っていた。

 ファビアンについて2月9日付、池田先生ご自身のブログ記事から引用させていただくと以下のとおり。

 ロザリー編では「ファビアン・ノーベル」という青年を登場させましたが、あのノーベル賞のノーベルにゆかりの人物だということには、ほとんど誰も気が付かなかったみたい。

 ファビアンはアルフレッドのご先祖さまということになりそう。

 フェルゼンが亡くなったのち、フランソワはベルナドット王家のオスカル1世の教育係を務める。池田先生は先のブログでオスカル1世の名前が、漫画のオスカルの名の由来であると明言している。そしてベルナドット王家は現代まで続いている。

↓  現在のスウェーデン国王カール16世グスタフ。次期女王となるヴィクトリア、娘のエステル王女。スウェーデンは性別に関係なく、第一子が王位を継承する。

↓  エステル王女には弟がいて、名はオスカル。来月2日が来ると満2歳になる。

↓  今回のエピソードで革命後のジェローデルについて、衝撃の事実が明らかになった。そこで昨年刊行された「池田理代子 デビュー50周年記念展」のオフィシャルブックをもう一度読み返してみた。

 池田先生へのロングインタビューの記事に、次の一節があった。

「エピソード編でジェローデルの話を描いた時にラストは「行方は杳として知れぬままである・・・」と結んだんですけど、私、どうしても歳とったジェローデルというのが想像つかなくって。」

 フェルゼンは実在した人物だから、あまり大きくデフォルメしたり、史実と違うことは描けないけれど、ジェローデルは架空の人物ゆえ、作者の筆次第でどのようにも描くことができる。

↓  このオフィシャルブックには、池田先生と萩尾先生の対談が掲載されている。この中で萩尾先生は「『ベルサイユのばら』と『ポーの一族』は同じ年に、シリーズが始まっている。」と語り、池田先生は「実は『ポーの一族』に触発されて、「わたしも描きたい。」と似たような話を描こうとしたことがあるんです。吸血鬼、バンパネラが出てくる話でね。でもネームを入れている最中に『ダメだ。私には萩尾さんのような才能がないわ。』とあきらめちゃった。タイトルまで決まっていたんだけど。」と返している。もしかしたらこの対談をしている時、池田先生に何か閃くものがあり、今回のコラボについて萩尾先生に快諾していただいたのでは?ならばいつか萩尾先生が「ポーの一族」の新作を描くとき、ジェローデルが登場するだろうか?

 池田先生はブログで「ロザリー編」を死に物狂いで描いたと語っている。長編だったので感無量だとも。そして3月発売のマーガレットコミックスに向けて、少しだけど描き足しをするとか。いったいどんな内容を追記するのだろう?「ロザリー編」をもって、「ベルばら 新作エピソード」はひとまず終了かな?46年前、マーガレット編集部から「オスカルの死後は、10回で連載を終えるように。」と命じられ、泣く泣く作品を完結させた先生も、今回ロザリー編を執筆したことで、あの当時描き切れなかったことをようやく執筆することができ、相当満足されているのではないだろうか。もしまた新作エピを描いてくださるとしたら、ル・ルーのその後を知りたい。賢い彼女のこと、亡命先で高等教育を受け、自立した女性になったのではないかと思う。

 読んでくださり、本当にありがとうございます。



6 コメント

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Unknown (オスカー)
2018-02-13 11:46:39
こんにちは。
そうだったのか~と少しずつ謎が解けていくというか、作品に対しての理解が深まったような気がしました。いろいろな記事をアップしていただき、本当に感謝します。『ベルばら』という作品がまた一段と大切なものになりました。
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オスカーさま (りら)
2018-02-14 11:14:36
 コメントをありがとうございます。

 ジェローデルがああなることは、「ロザリー編」を描く前から池田先生は決めていたのかもしれませんね。でもただ1人、年を取らず永遠の命を得て生き続けるのも、なかなかつらいのでは?と思ったりもします。彼は孤高の人ですね。

 これでひとまずエピソード編は、完結したように感じます。でもまたいつか新たなお話を発表するかもしれませんね。
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りら様 (ロクサーヌ)
2018-03-05 22:40:58
 ひとまず区切りがついたようですね。でも、愛しい人の面影を胸に19世紀の街を彷徨うジェローデルを見たい気もします。彼は紫の薔薇が似合うと思います。
 一方、美貌のフェルゼン、欧州最後の騎士の感があるその人の無残な終焉。史実とはいえ徹底的に焙り出されると、胸がえぐられそうになりました。
 正直、エピソード編は「あー、痛い」と思うところもあるのですが、新作が発表されると痛い目に遭うのを覚悟で本屋さんに飛び込んでしまいます。やはり私にとってNO.1なのだと改めて感じます。
 これからも素敵な二次創作が生まれたり、商品化されたりしながら読み継がれていくことでしょう。それほど骨太の作品なのですね。
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ロクサーヌさま (りら)
2018-03-06 22:10:24
 コメントをありがとうございます。

>彼は紫の薔薇が似合うと思います。

 新作エピソードのカラーイラストでは、よく紫の宮廷着を身につけていましたね。バンパネラのジェローデル。周囲は年老いてやがてこの世を去って行くのに、いつまでも1人で不老不死のまま時を旅するのは、どんな想いがするでしょうか?

>史実とはいえ徹底的に焙り出されると、胸がえぐられそうになりました。

 46年前なら、あれほどリアルな描写はしなかったようにも思います。やはり池田先生はきれい事だけで済まそうとしないなあと今回感じました。

>正直、エピソード編は「あー、痛い」と思うところもあるのですが

 新作エピも、最近のブレゲの時計や今回のロザリー編は良かったですね。先生ご自身も今回はかなり気合いを入れて描かれたように思います。「ベルばら」はこれからも多くの人に読んでいただきたい作品です。日本が世界に誇れる漫画と言えるのではないでしょうか?
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りら様ご無沙汰しております (marine)
2018-04-10 22:57:15
少し古い話題ですみませんが、遅ればせながら14巻をやっと購入し、読み終えましたので、こちらにコメントさせていただきます。

今年は娘が高校受験でしたが、無事第1希望に合格し、喜びするも、すぐに準備だのなんだのとバタバタしておりましたが、こちらには度々お邪魔して記事は読ませていただいておりました😊。今は入学式を済ませ、やっとふつうの生活が始まりつつあります。

そして、ロザリー編。なんという壮大なお話だったのでしょう!フェルゼンの最期のおどろおどろしい姿などの絵の事はさておき、多少駆け抜けた感じもありますが、お話自体は、歴史と先生の創作とがとても上手く絡み合い、まさに大河ロマンと呼ぶに相応しかったです。
そして巻末に書かれた先生の言葉には、体力の衰えを感じるとは言いつつも古希を過ぎたとは思えない、創作に対する熱い思いを知る事が出来ましたし、今回のエピソードは、安心して??読むことができました。
最後のシーンは、少し胸にきました。
貴族の娘として生を受けながらパリの下町から始まり、オスカルに出会い、自分の出自を知り、ベルナールと恋に落ち、革命に翻弄されながらも命をつなぎ人生を生き抜き全うする。
オスカルの言葉を借りるなら、人間としてこれ以上の喜びがあるだろうか?と言えるような、満足してきっと天に召されたのだろうなぁと思える最期でした。

長々とまた書いてしまいすみませんでした。
またりら様の記事を楽しみにしております。
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marineさま (りら)
2018-04-11 22:16:36
 お久しぶりです。お元気そうでほっとしました。コメントをありがとうございます。

>無事第1希望に合格し

 お嬢さまが第1希望の高校に合格できたこと、本当におめでとうございます。新しい環境で、ぐったり疲れて帰宅する日々でしょうか?15歳…これからが人生の華の時期ですね。

>お話自体は、歴史と先生の創作とがとても上手く絡み合い、まさに大河ロマンと呼ぶに相応しかったです

 上から目線の物言いになりますが、ようやく本当に新作エピが面白いと感じられた「ロザリー編」でした。往年の池田先生の勢いが戻ってきた気がしました。マーガレット連載中の第1回から、スピード感とミステリータッチのある展開が続き、最後まで飽きることなく読ませていただきました。

>体力の衰えを感じるとは言いつつも

 ここ数年、先生が仰る言葉は、年を重ねることの哀しみが多く、こちらまで切なくなってしまいます。先生にはこれからも「ベルばら」に関わらず、創作を続けていただきたいです。

 親しい人々を見送る立場に何度も立たされたロザリーは、生き残ったが故の哀しみや苦しみを背負う人生になりましたが、逃げることなく自分の運命に立ち向かい、まさに悔いなき人生を終えたと思います。ロザリーの人生も波瀾万丈ですね。ベルナールとロザリーの想いは、フランソワにバトンタッチされ、彼が新時代を見届けることになる。

 「ロザリー編」を描き終え、池田先生は46年前に十分描き切れなかった内容を今回完結させることができ、満足感を得られたご様子。欲を言えば、あの美しくて華麗な画風で勢いがあった時代に、フランス革命後のフェルゼンとロザリーを描いていたら、どんなふうだったろうと思ってしまいますが、今さら言ってみても仕方のないこと。これで「ベルばら」は本当に終わったのかもしれないと思うと、寂しくもあります。

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