Vばら 

ある少女漫画を元に、エッセーと創作を書きました。原作者様および出版社とは一切関係はありません。

7月13日 アンドレの死 (つぶやき)

2014-07-13 20:37:54 | つぶやき
 引き続き13日のことを考えます。

 アンドレは撃たれた直後、オスカルに肩を借りながら戦闘現場を離れますが、その際「指揮を続けろ 隊長がなぜ 戦闘現場を離れる」と息も絶え絶えに訴えます。自分のことはさておき、最後までオスカルのことを想う。今オスカルがすべきことは自分の介抱ではなく、隊長としての務めを果たすこと。俺のことなど構うなと言っています。最後まで冷静なアンドレ。指揮を続けられないのは、自分が女だからとオスカルは言います。本来なら従卒が撃たれたからと言って、隊長が現場を離れるなんてありえない。でもオスカルが最優先すべきことはアンドレを救うこと。自分の代わりはユラン伍長に託して。そんなオスカルを咎める人は誰もいない。

「いつからだーっ なぜ言わなかった なぜついてきた!?」とオスカルはアンドレに喰ってかかりますが、もう手遅れです。どこも怪我をしていない元気なオスカルを見て、アンドレは安心してニヤッと口元に笑みを浮かべます。「どうだ。あの日の誓いどおり、俺はお前を最後まで守り抜いたぞ。」と言わんばかりに。

 アンドレ、最期まで冷静でした。彼は出動前夜から死ぬまでが、人生で一番幸せだったかもしれない。

 アンドレが亡くなりオスカルが慟哭する姿を見て、アランは二人が結ばれていたことを悟ったのでは?幼なじみの死を悲しむには激しすぎる。二人は切っても切れない固い絆で繋がっていた。そしてそこに自分が入る余地はないと察したはず。オスカルはアンドレが目が不自由なことはわかっていたけれど、あんなにも見えていなかったとは気づけなかった。なのにパリに連れてきてしまった。それも悔しかったでしょう。13日の夜は自分を責め続けたのでは?そばで黙って聞いているアラン。武官だって、感情で行動する時もあるのだ…とポツリと漏らしたかもしれません。それが新作エピソード・アラン編に繋がったでしょうか?

 改めて池田先生の筋立ての巧さに感服します。
出動前日、侍女の言葉からオスカルの吐血に気づくアンドレ。彼女の咳はただならぬことを悟る。そして戦闘中に咳が出て、心配して駆け寄ろうとして狙撃される。何て上手い運びなんだろう。他にもいくらでもアンドレの落命方法はあったはず。目が不自由だから何とでも場面を作れます。けれどやはりオスカルに絡ませて、命を落とさせる。そのためちゃんと伏線を張っておく。見事です。

 13日の夜、アンドレの亡骸に寄り添い、オスカルは一晩中泣いていた。そばでアランはただじっと彼女を見守っていた。それしかできない。今オスカルを1人にしたら、どうなるかわからない。アンドレ亡き後、オスカル隊長を守るのは自分しかいないと感じていたでしょうか?


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