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Astro Dragon's blog

天体写真を撮影しています。

α7Sについてあれこれ

2014-07-08 | 機材

α7Sを購入して3週間近くが経ちました。天体(星野)撮影に何度か使用してみての雑感、課題等をつらつらと。

 

・S/N比について

これまで何例か撮影してみて、 少なくとも従来の民生デジカメ天体撮影における標準(常識?)はすでに覆してしまったのでないかと思います。K点越えです。厳密には検証出来ていませんが、同ISO、同露光時間あたりのS/N比は格段に向上しているのではないでしょうか。

 

・露光時間について

α7Sが、高ISO耐性・低ノイズな"超"速写カメラという事は分かりました。その気になれば一晩で数十対象(ある程度のクオリティを保った)の撮影も不可能ではないと思いますが、個人的にはこのセンサーで従来と同程度の露光時間をかけたら一体どんな品質の作例が出来るんだろう、という事に興味があります。

たとえば、それなりに淡い対象に向けて、ISO6,400・2分で2、3時間分スタックするとか。初回撮影以後はこれを試したくて遠征しているのですが天候に恵まれていません…。梅雨、明けてくれないかなぁ…。

 

・周辺減光について

FSQ-85EDおよび、ε-130Dで撮影しましたが、両方とも周辺(特に四隅)での光量の落ち込みが激しいと思いました。設定・対象によっては、ぱっと見、ケラレのようにすら見えます。他の機種は試した事がないのですが、フルサイズでは皆こうなのでしょうか?

ただし、フラットフレームを適正に撮影してフラット除算してやる事により、周辺の星、光量は復活します(FSQの場合。εはフラット撮影出来ていないので未検証ですが、メーカー的に"フルサイズ非対応"のFSQ-85EDが大丈夫なので、"フルサイズ対応"のε-130Dはおそらく問題ないでしょう)。つまり、ケラれてはなかったようです。フラット処理は必須ですね。

 

・微小な恒星の色付きについて

CameraRawで現像すると、微小な星に緑やピンクなどのカラフルな色が付きます。ただ、このα7Sもベイヤーワンショットカラーのカメラである以上、いずれにしても微小恒星の偽色から完全に逃れる事は出来ないと思います。

まだ発売されたばかりのカメラなので、今後各ソフトウェアとも現像ロジックのチューニングが行われるかもしれませんが、微小恒星の色付きがどうしても気になる方はもう少し様子をみた方がいいかもしれません。

 

・カメラのリモート操作について

現状、純正・サードパーティ含めて、バルブ撮影対応のタイマー付きリモコンがありません(多分)。

調べてみた限りでは、純正のPCリモートコントローラーソフト「Remote Camera Control」がインターバル撮影可能ですが、残念ながらバルブ撮影は出来ません。SONYさんには対応を切にお願いしたいです…。

そこで次善策として、プリセットの30秒露出とインターバル(35秒~40秒あたり)を組み合わせて、ISO:6,400~12,800で30秒露出x多枚数(200~300枚とか)のオートマティック撮影を試してみようと思っています。手持ちレリーズで2時間シャッターを切り続けるのは罰ゲーム過ぎますので 笑

※HUQさんより、サードパーティ製のタイマーリモコンが存在するとの情報を頂きました。ありがとうございます!詳しくはコメント欄をご参照ください。

 

・ピント合わせについて

これも現状では、Canonデジカメにおける、「EOS Utility」や「Backyard EOS」のような、リモートでライブビュー可能なソフトウェアがないので(SONYさん、切に…)、リアルタイムでピント確認するには、カメラの背面液晶や電子ビューファインダーを見るしかありません。

先日の坊主遠征では、バーティノフマスクを付けて、背面ライブビューを拡大(最大8.3倍)してのピント合わせでした。一等星を使ってなんとか合わせられましたが、より正確、簡単に合わせるにはやはりPCやタブレットへのライブビュー転送が欲しいです。SONYさん、、、(略)

 

・改造について

出来るかどうかは別にして、僕は今のところIRフィルタ改造も冷却改造もするつもりはありません。赤い星雲はこれだけ出れば僕的には充分ですし、以前検証したように、少なくとも気温25℃時のダークノイズならば個人的には問題ありません。それ以上の気温下では未検証ですが、暑い場所で撮影する機会はほとんどなさそうなので…。もともと普段撮り用に買ったカメラなので昼間も手軽にたくさん使いたいですしね。

 


そんなこんなで今の所感としては、センサー性能は恐ろしく高い、ただし取り回し環境が整備されていないのでその辺り苦労しそう、というのが正直なところです。ただ、オペレーションのハンディを凌駕する程の魅力がこのα7Sには宿っていると思います。SONYさーーん!(絶叫)

 

 

ISO:12,800, 40秒, 1枚、撮って出し。富士山富士宮口五合目にて(2014/6/25)。 

 


カメラアダプタと富士山

2014-07-06 | 機材

スケアリングがダメダメだった、間に合わせの2,000円マウントアダプタから、"良いもの"に変更しました。

 

 

"RAYQUAL(宮本製作所)"という日本製のマウントアダプタです。プロのカメラマンも使っているとの事で、品質が高いのでしょう。近江商人さんに教えていただきました。残念ながらCanonマウント-α7S用がラインナップになかったので、Nikon用のものと、タカハシのカメラマウント(Nikon用)を準備しました。

 
で、テストも兼ねてまた富士山富士宮口五合目に赴きました。もうすぐマイカー規制で通行止めになるので、見納めです。夜遅くに到着してみると、登山客の車で駐車場はほぼ一杯でしたが、なんとか止める事が出来ました。 
 

天気はあまり期待していなかったのですが、到着後しばらくは雲海が出来ていて上空は快晴でした。しかし月没後は徐々にうす雲が…。

 

富士山の雲海。この日は、はるか彼方が少し明るかったですが、標高2,400mの雲海はやはり最強です。(写真は全て、SONY α7S+Zeiss Sonnar T* FE F1.8 ZA 55mmで撮影)

 

結局うす雲が完全に晴れる事はありませんでした…。スケアリングはなんとかチェック出来ましたが良好だと思います。坊主で帰るのも口惜しいので、カメラレンズで何枚か撮影。

 

雲海が晴れ、下界の街明かりが少しずつあらわに。高感度センサーなので光害も強調されてはいるのですが、こうなると南天の撮影はちょっと厳しくなります。

 

北天。すでに登山を始めている方々がいらっしゃいます。凄い。

 

はくちょう座(一部)、ISO:51,200, f6.3, 5秒。

 

この日の昼頃、とある筋から僕の天体写真が天文雑誌に載っているとの怪情報が…。発売日だという事も投稿していた事も完全に忘れておりました。あわてて本屋に行って確認してみると本当でした。嬉しいものですね。ちゃんと買って帰りましたよ 笑

投稿は3月にデジカメ作例を二誌(→玉砕)、5月に冷却CCDの作例(掲載されたもの含む)を1点ずつ二誌に送っていたのですが、まさかこんなに早く掲載されるとは思っていませんでした。これで安心していつでも引退できます 笑

毎月応募できる程のパワーもポテンシャルもありませんので、自分なりにいい感じのものが出来た時だけ送ってみようと思っています。

 

 


α7SとFSQ-85ED

2014-06-24 | 機材

SONY α7S、Carl ZeissからBabyQに換装。出撃準備完了。

 

 

安価なマウントアダプタですが、すんなり付きました。スケアリングとか多少心配ですが、とりあえずは撮ってみましょう。晴れてくれー。

ちなみに今日も飲み会でした。


α7S vs EOS 6D ダークノイズ対決 ~ISO:1,600編~

2014-06-24 | 機材

さっきまで会社の連中と飲んでました。今週はほとんど飲み会続きです。というのはさておき、SONYのレリーズが来ましたので、現在星野写真でよく使われているISO1,600、露出8分でダークを撮りました。今回もTukaimaさんのご協力をあおぎました。

現像方法等は前記事と同じです。気温は25℃前後ですが、温度計で厳密に計ったわけではなく大体の温度(エアコン設定温度)である事をご了承ください。

では行きます。

 

α7S ISO:1,600 8分

 

EOS 6D ISO:1,600 8分

 

α7S、ほとんど真っ黒です。拡大しないとノイズの存在が分からないようなレベル。冷却の必要全くないんじゃないかなぁ?もちろんそんなオプションはないですが。というわけでこちらも新カメラの勝ちでいいと思います。せっかくの新機種、そう来ないと面白くないですよね。技術の進歩を感じますね。

さて、ユーザの方には申し訳ないですが、参考までにKiss X5の同条件ダークファイルも載せます。僕も持っているカメラですので許してくださいねw

 

EOS Kiss X5 ISO:1,600 8分

 

あまり突っ込んだコメントは差し控えさせていただきますが、去年の夏場、このカラフルなノイズに苦しまされた事を思い出しました。その時、あぁ来年の夏は冷やすしかないな…、と思ったのでした…。

何度も書いておりますように、α7Sは普段撮り用に買ったカメラですが(実際ばんばん使ってますが最高のカメラです)、さすがにここまで低ノイズだと、どんな天体写真が撮れるんだろうとあれこれ考えてしまいます。バルブ撮影時は12bit保存、というのが実際のダイナミックレンジの具合にどう影響するのかとか。

週末晴れて欲しいですねぇ。


α7S vs EOS 6D ダークノイズ対決 ~高ISO編~

2014-06-22 | 機材

フタの裏の写真ばかりでいささか絵的に地味なので、タイトルを煽り気味にしてみました 笑

前回撮ったα7Sのダークノイズが良好な感じでしたので、6D嫁ぎ先のTukaimaさんにご協力を得て、α7Sと6Dとのダークノイズ比較を行いました。α7Sも6Dも無改造のノーマル仕様です。

ISO・露出時間は前回と同じく、「ISO6,400 2分」「ISO12,800 1分」の二種類です。ISO1,600 8分などの長時間比較は指が疲れるので、SONYのレリーズ待ちです…。室温は25℃前後。

RAWファイルをPhotoshop CC(CameraRAW)で開き、そのままWeb用保存しています。(PNG-24、ニアレストネイバー、横1,200px)

 

では行きます。まず、ISO6,400比較。

α7S ISO:6,400 2分

 

つづいて、EOS 6D ISO:6,400 2分

 

 

次の比較、行きましょう。ISO12,800。

α7S ISO:12,800 1分

 

EOS 6D ISO:12,800 1分 

高ISO感度での比較は、α7Sの勝ちと言ってしまっていいですね。

6Dの名誉のために付け加えると、この6Dもかなりの低ノイズです。おまけでKiss X5(無改造)の画像を貼っておきますので比べてみてください。今度はKissの名誉が毀損されそうですが^^;;; さすがはフルサイズの貫禄という事で…。

EOS Kiss X5 ISO:6,400 2分

 

レリーズが来たら、ISO1,600 8分あたりで比較してみたいですね。それよりも夜空の撮影をしたいですけど。