
今日は「坂本睦子」の日。
彼女は作家ではなく、銀座の文壇バーの女給である。
写真を探したが、なかなか見つからない。
たぶん、この人だろう、と思われるものを掲げた。(違ってたらスミマセン)

坂本睦子(さかもとむつこ) 1914(大正3)-1958(昭和33)~1915年生まれの説もある
坂口安吾ディジタル・ミュージアムに、彼女の年譜があるので以下に略記。
(年譜には殆どの年数に「頃」とついているがここでは省略する)
1914 愛媛県松山市の生まれ
幼児の時に両親と生き別れ静岡県三島市の祖母に育てられる
小学校卒業後に上京、継母のもとから嘉悦女子商業へ通う
1930 日比谷の文芸春秋社地下の「レインボーグリル」に給仕係として勤務
勤務初日に有名作家に処女を奪われる(直木三十五だという)
1931 青山二郎の義弟が経営する銀座のバー「ウィンザー」の女給になる

青山二郎 1901(明治34)-1979(昭和54) 美術評論家・装丁家
~睦子の保護者的存在だった~
1932 17歳 店に来た坂口安吾と愛人関係になる
この時、睦子に惹かれていた中原中也に安吾は喧嘩を吹っ掛けられ、
その後、二人は親友になったことも記されている
この頃に安吾は矢田津世子と知り合う

矢田津世子
1933 睦子は安吾とは会わなくなり、中原中也からプロポーズされる
津世子に愛人がいる噂で落ち込んでいる安吾を慰めに会いに行く
その後、睦子は菊池寛に庇護され、小林秀雄に求婚されたりした後、
1938 河上徹太郎の愛人となる

河上徹太郎
1945 戦後、銀座の文壇バー「ブーケ」の女給となる
1950 バー「プーサン」の女給となる 大岡昇平の愛人となる

大岡昇平(女性は本妻)
1957 大岡と別れる
1958 新宿区のアパート自室で睡眠薬自殺。享年44歳。
大岡は睦子をモデルとして「花影」を1年間連載した。
今更、何だよ、身勝手な男だ!
睦子と親交のあった白洲正子が書いている。
<睦子には肉体の部分が少ない。楽しそうに遊んでいても、
いつも一抹の淋しさが漂い、終始、放心的な表情をしていた・・・>と。
彼女の笑顔の裏には、生まれながらの孤独感、寂寥感が隠されていた。
それでも安吾を慰めにいくところなどに、彼女の優しさも感ずる。
「二十七歳」では、十七歳の彼女を安吾流に思いやりながら接している。
次々と愛人を取り換えて生きてゆく。
そんな睦子でも、つい憐憫の情を抱くのは私だけではない気がする。
それでは、明日またお会いしましょう。
[Rosey]