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フライフィッシングの話

河川、湖沼、管理釣場などの国内釣行記、海外釣行記、タックル、フライなど、フライフィッシングにまつわる話と美しい写真。

銘竿アルバム07〜ウィンストン R .L. Winston JWF 8.1/2ft. 5wt.

2025-04-23 16:16:16 | タックル
御三家というのは、元々徳川御三家(尾張、紀伊、水戸)を指す言葉だが、後に歌手の橋幸夫、舟木一夫、西郷輝彦らが御三家と呼ばれるようになり、さらに、野口五郎、郷ひろみ、西城秀樹といった新御三家まで現れた。御三家は英語圏だとビッグスリー、ビッグスリーと言えば、米国ではGM、フォード、クライスラーだが、実はフライロッドにもビッグスリーがある。米国のロッドメーカー、スコット、セージ、ウィンストンのことだ。他にも英国のハーディ社や、最も歴史の長いオービスといったメーカーもあるが、ロッドメーカーというより、どちらかと言えばタックルメーカーのイメージが強いので当てはまらないだろう。当ブログでは、すでにスコットとセージは紹介済みなので、今回はウィンストンを取り上げてみようと思う。

ビッグスリーの中でも一際プレミアム感の強いウィンストンだが、昔は数ある老舗ロッドメーカーの一つに過ぎなかった。とは言え、当時のウィンストンには銘竿と呼ばれるものが数多く、特にIM6(WT)時代のものは、今でも高い人気を誇っている。中でも1989年に60周年記念モデルとして発売されたTMF(トム・モーガン・ファイバリット)の人気は高く、一部には信者のような人たちも居るほどだ。一方、同じフェイバリットモデルのJWF(ジョアン・ウルフ・フェイバリット)は、扱いやすさを重視しているためか、地味な立ち位置だが、なかなかどうしてこちらの方も素晴らしいロッドである。

TMFは8フィート4番2ピースの繊細なスプリングクリーク用トラウトロッドであるのに対し、JWFは8.1/2フィート5番3ピースというトラウトロッドとしては最もオーソドックスなスペックだ。故に何の特徴も無いロッドのように思えるが、実際に振ってみると、しなやかな粘りのあるプログレッシヴテーパーのミディアムアクションで、ラインはAFTMA規格の140グレインを使用した場合、近距離から中距離のだいたい20ヤードくらいまでは、非常に気持ち良くラインが伸びていく。また、深いウィンストングリーンを纏った外観も美しく、初期モデルでは、ダウンロックのゼブラウッドが採用されていたが、後期モデルはアップロックのボックスエルダーに変更されている。

実のところ、このロッドの思い出はほとんど無い。というのも、美しすぎてあまり使う気になれなかったからだ。それでも、複数回管理釣場へ持ち出し、その素晴らしいアクションを堪能した事はあるが、今では他の数あるロッドと共に眠ったままとなっている。


バット部には、ジョアン・ウルフ・フェイバリットの文字と毛鉤のロゴが入っている。



後期モデルのため、リールシートはボックスエルダーメープルにニッケルシルバーのアップロックスクリュー仕様。ウッドスペーサーも当初は白っぽかったのだが、年月の経過で色が濃くなり落ち着いてきた。



ブランクはWTシリーズと同じだが、小ぶりなフルウェルグリップには親指を支える凹みが付けられていて、握力の弱い女性でも握りやすくなっている。




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銘竿アルバム06〜セージ SAGE 4711LL Graphite II

2025-04-15 17:00:00 | タックル
これは、あくまでも個人の見解だが、セージの古いロッドには銘竿がけっこう多いと思う。特に、グラファイトIIからグラファイトIIIに移行した時代のものはアクションが中庸で、中でも低番手のLLシリーズを始めとするミディアムアクションのロッド群は、しなやかで軽く、それでいてバット部がしっかりしているため、大きな魚を掛けても頼りなさを感じさせない。これはセージのロッド全てに共通するものだ。

この4711LLというロッドも、セージらしいアクションだが、LLシリーズ前期のグラファイトII素材のため、シャキッとした中にもウィンストンWT(IM6)のようなしなやかさがある。とは言え、ショートからミドルレンジでのキャスタビリティと、20ヤードを超えるロングディスタンス性能を兼ね備えているところは、さすがセージと言えよう。

ところで、4番ラインで7フィート11インチと言えば、オービスのセブンイレブンが有名だが、このセージ版セブンイレブンも、負けず劣らずなかなかの銘竿だ。当時は、渓流のドライフライはもちろん、忍野や湯川といったチョークストリームで数シーズンヘビロテで活躍したものだが、389LLと490LLを入手してからは、残念ながら全く出番がなくなってしまった。とは言え、セージロッド特有のシャキッとしたブレのないアクションは、改めて手にしてみると、ノスタルジックな雰囲気も相まって、すぐにでも川へ持ち出したくなるような輝きと魅力を放っていた。


当時のLLシリーズは、廉価版のため高級パーツは使われてないが、仕上げはとても丁寧で、米国製ロッド特有の味わい深さがある。



ブランクカラーは、グラファイトIII時代に採用されたバーガンディではなく、セージ伝統の濃いブラウンだ。ラッピングは肉薄で綺麗だがガイドはやや小さめ。フックキーパーはリング式である。




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銘竿アルバム05〜デーモン Damon Chateaugay 8.5ft 4wt

2025-04-03 12:00:00 | タックル
デーモンロッド社は、かつてニューヨーク州にあった小規模ロッドメーカーで、一時期個人で輸入していたのだが、あまりに利益が薄いため止めてしまった。その後、輸入を再開しようと思ったら、ウェブサイトも削除されていたので、どうやら廃業してしまったらしい。

アメリカ国内でも、ほとんど無名と言って良いメーカーではあるが、小規模メーカーならではの味わいのある造りと、アクションの良さも相まって、自分が所有している中では、とても愛着のあるロッドのひとつとなっている。当時は、IM6でブルーのブランクを使用した2ピースのコバルト、マルチピースのウェストブランチ、高番手のロイヤルがスタンダードモデルのラインナップで、小渓流向きのコールドブルックと、このシャトーゲイ、そして高番手のソルトンサーモンが、高弾性グラファイトを使用した4ピース仕様のフラッグシップモデルだった。

このシャトーゲイシリーズは、デーモンロッドの中でも特に個性的で、細くしなやかなティップ部と、太い強靭なバットセクションを持つ、一般的なフライロッドとは一線を画すヘビーテーパーデザインが採用されている。実際に振ってみると、なかなかパワーのあるミディアムアクションで、キャスタビリティが良く、そのうえ釣り味も最高とあって、とりわけ忍野では、数シーズンこのロッドばかりを使っていたほどだ。

ちなみに、シャトーゲイというのは、カナダのセントローレンス川の支流が国境を超えて、アメリカのニューヨーク州まで流れている川の名称で、デーモンロッド社のホームリバーでもあった。




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銘竿アルバム04〜レナード H.L. Leonard Golden Shadow 805

2025-03-18 15:00:00 | タックル
このロッドは、以前勤めていた会社がレナードとダイヤモンドバックの輸入元だったため、在庫の中から一番アクションの良いのを選んで購入したものだ。

当時、事務所で同じスペックのロッドを並べて、一本ずつ素振りしてみたところ、個体差があまりにも大きいことに驚愕、モターっとしているものもあれば、パリッとしているものもあり、どれにしようか迷った挙句、一番シャキッとしていて軽いものを選んだのだが、今思えば正解だったように思う。

レナードのグラファイトロッドは、元々ダイヤモンドバック製ブランクを使用していて、最初のモデルはレナード・ダイヤモンドバックというコラボモデルのような名称だった。その後、ブランクデザインを見直し、レナードのバンブーアクションにより近づけたものが、このゴールデンシャドウである。

ブランクカラーは前モデルの黒鉛色から赤茶色に変更され、アクションはダイヤモンドバックと比べると、デリケートでしなやか、ブランク自体も細くて軽いものが使われている。久しぶりに素振りしてみたら、かつて、小田原のフライショップ「ストリームサイド」へ伺った際に、チャーリーさんが「ゴールデンシャドウはダイヤモンドバックとは全くの別物で、非常に繊細なロッドなんです。」と熱く語っていたのを思い出した。

仕上げの美しさはもちろんの事、繊細でありながら粘り強さと軽快さを併せ持ったアクションは、今使ってもまったく古さを感じさせない銘竿中の銘竿である。




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銘竿アルバム03〜ハーディ Hardy Swift 904

2025-02-25 10:00:10 | タックル
例えあまり知られていないロッドであっても、それを気に入りずっと愛用している人が居るのなら、それがその人にとっての銘竿と言えよう。今回はそんなロッドを紹介したいと思う。

スウィフトと聞いて、スズキのコンパクトカー、あるいは歌手のテイラー・スウィフトをを思い浮かべる人も多いことだろう。英国ハーディ社のロッドとしては、比較的最近のものではあるが、このスウィフトという名の由来はよく知らない。英語辞書で調べたら「迅速な」あるいは「素早い」という意味のようだ。

なるほど、その名の通りシャキッとした芯のあるアクションで、ティップの返りも速く、例えば、忍野のS字などで、対岸に繁る柳下のライズをピンポイントで狙い撃ちするには最適なロッドである。実は、同じシリーズの5番も所有しているのだが、印象はこの4番とほとんど変わらなかった。フレックスはちょうどセージのSLTのティップ部を若干しなやかにしたような感じで、非常に扱いやすく癖のない優れたアクションである。

改めて見てみると、細部までとても丁寧に作られていて、仕上げも美しい。特徴としては、バーガンディ色のブランクに同色のカーボンシートフィラー、ブロンズ色のリールシート金具と同色のワインディングチェックといったところだろうか。継数は伝統の3ピースだ。ちなみにハーディ社のロッドは、この頃から洗練されたモダンデザインとなり、横向きに大きく「HARDY」のロゴがプリントされるようになった。




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銘竿アルバム02〜セージ SAGE GFL686

2025-02-10 12:35:00 | タックル
セージ社のロッドで真っ先に思い浮かぶのは、何と言っても1983年に発売されたRP(リザーブパワー)シリーズだろう。何しろ、グラファイトIIテクノロジーという新素材を採用した次世代アクションは、キャスタビリティとディスタンス性能に長け、そればかりか驚異的な軽さをも兼ね備えていた。確か、高番手のマルチピースパックロッド(4ピース)なんかも、RPシリーズが最初だったのではないだろうか?

この革新的なRPシリーズが登場して以来、主要なフライロッドメーカーの多くが、追従するように次々とハイモデュラス化されたファストアクションモデルを発売。ところが、その後もセージ社は快進撃を続けるのだ。他社に先駆け、最新のグラファイトIIIテクノロジーを引っ提げ登場したRPLシリーズは、至近距離から遠投までこなす現代フライロッドのお手本とも言うべきアクションとなった。

そんなセージロッドの原点がこのGFLシリーズだ。飴色のブランクに濃茶色のスレッドと薄茶色の飾り巻きが施された外観は、その後のRPシリーズを経て、RPLシリーズまで受け継がれた。言わばセージロッドのトレードマークである。滑らかなベンディングカーブを描くミディアム〜ミディアムファストアクションのブランクは、バット部がやや細めだが、25ヤードを超える遠投も難なくこなすパワーを秘めていた。



セージのロッドも最初の頃はフェンウィックのようなアメリカらしい無骨なデザインだった。この6番ロッドは、当時千駄ヶ谷にあったウォルトンで購入、今見ると長めのハーフウェルグリップにローズウッドのフィラーとアルミ製ダウンロックスクリューという独特な組み合わせが面白い。




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銘竿アルバム01〜スコット Scott G904/4

2025-02-02 15:00:00 | タックル
黒鉛色のアンサンドフィニッシュブランクに赤いスレッドという組み合わせは、僕の知る限り、確かスコットGシリーズとオービスのウエスタンシリーズの二つだけだったと思う。どちらもグリップの先端が特徴的で、スコットはコルクフィニッシュ、オービスの方は低番手がスレッドラッピング仕様だった。

スコットGシリーズは、ティップがとてもしなやかで、そのかわりバットはかなり強靭に作られている。素材はローモデュラスのグラファイト製で、素振りしてみるとグラスロッドのようにモッタリしていて、今となってはやや頼り無さを感じるほどだ。この辺は好みの分かれるところであろう。

とりわけこのG904/4は、アメリカのテクニカルな川で神経質なマス達を攻略するために開発されたもので、後にオービスがウェスタンシリーズで同スペックの2ピースロッドを発売しているが、それまではライトラインのロングロッドとして唯一無二の存在だった。僕自身も忍野村のスプリングクリークに何度か持ち出したことがあるが、当時はセージやダイヤモンドバックのようなアクションに慣れていたせいか、ロッドを振り切った際に起こるティップのバイブレーションに難儀して、以来ほとんど使わなくなってしまった。


改めて見てみると、細部までとても丁寧に作られていて、仕上げも美しい。



スコット伝統のコルクフィニッシュも、仕上げの美しさを際立たせている。



日本を代表するテクニカルストリーム忍野にて。




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ハーディマーキスとキャップ&リング

2025-01-22 09:01:30 | タックル
昨年春のことだが、グラスロッドを使おうとしたら、フィットするリールが無くて困ったことがある。原因はキャップ&リングのリールシートだった。最近のリールはフット部分が肉厚で、リング側の方にうまく固定出来ないのだ。

そこで、久しぶりにハーディマーキスを引っ張り出しセットしてみたら、何の抵抗も無くピタリと収まった。やはり、クラシカルなキャップ&リングには、クラシックリールが良く似合う。そう思いながら、いざフィールドに持ち出してみたら、音の無いリールに慣れてしまったせいか、ラインを引っ張り出す際のギーギーという音に恐縮してしまった。一方、魚を掛けた後のギーギーは気持ちは良いが、今度はドラグが壊れやしないかと心配になる。

結局のところ、グラファイトロッドにラージアーバーリールの組み合わせが、扱い易くて快適なのだが、快適が最善というわけでなく、やはり、道具は使っていて気持ちの良いものが一番だと思う。


シルバーマーキス#6をセットしてみたところ、バランス的にもちょうど良い感じだった。



ひと回り大きなマーキス#6ディスクは、見た目で若干大きいと感じるものの、重量バランスはとても良い。



ハーディリールと鱒・・・、兎にも角にも絵になる光景である。




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ハーディマーキスシリーズ。

2025-01-13 12:12:12 | タックル
数あるフライリールの中で最も種類が多いのは、おそらく英国ハーディ社のマーキスシリーズであろう。何しろ、最小の2/3から最大の10、さらにサーモンシリーズを加えると、実にオリジナル製品だけで11種類ものラインナップがあるのだ。これ以外にも、サイエンティフィックアングラーの初代システムシリーズや限定版、改良版など、そのすべてを把握しようとすれば、現代のインターネットを駆使したとしても、かなりの労力と時間が必要となるはずだ。

そんなマーキスシリーズだが、ロングセラーとなったのには理由がある。まず、何と言ってもその完成された美しいデザイン、そして軽量かつシンプルな機構、それに加え、手頃な価格に抑えられていたのも魅力的だった。型番がそのまま指定番手になっているところも、解りやすくて良かったと思う。これはサイエンティフィックアングラーのシステムシリーズからコンセプトをそのまま流用しているからで、非常にシステマチックでリーズナブルな商品構成だったのだ。残念なのはラインキャパシティの少なさくらいで、例えばダブルテーパーを入れるとバッキングラインが20メートルくらいしか入らなかった。とは言え、当時のフライリールは、ハーディ製品がお手本となっていたため、マーキスシリーズと同じ直径のものが多く、サイズ感が把握しやすかったのだ。私自身も他社製リールを購入する際には、よく参考にしたものである。

まさに世界標準となったマーキスシリーズだが、実はこの優れたリールにも盲点があった。それは後発となるマーキスディスクシリーズである。写真をみてもらえば判ると思うが、通常のマーキス6が直径83mmなのに対し、マーキスディスクは同じ6でもサイズが87mmとひとまわり大きくなっている。これはあくまでも推測だが、唯一の欠点だったキャパシティを増やそうと、ここでサイズの練り直しを図ったのかも知れない。ただ、このような仕様変更は、その時は良くても後に混乱を生じさせる。特にオークションや通販などで購入する際は、注意したほうが良いかも知れない。


シルバーフェイスの3台、左奥からマーキス6ディスク、マーキス6、マーキス5。




本体側から見ると違いは一目瞭然だ。左奥からブラック塗装のマーキスディスク、限定のシルバーマーキス、ガンメタ塗装のブロスオリジナル。




通常、マーキスのスプールリムはポリッシュ仕上げだが、ディスクシリーズはスプール全体がシルバー塗装となり、質感はあまり良くない。





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お気に入りのロッド~その1、デーモン コールドブルック 7.5ft. #4 4pc.

2013-11-19 12:25:52 | タックル
お気に入りのロッドと言っても、実際フィールドへ持ち出したのは一度きり。理由は、7.5フィートで4番というバンブーロッドのようなスペックが、なかなか使ってみようという気にならなかったからだ。

このロッドは8年ほど前、ニューヨーク州にあったデーモンというロッドメーカーに特注、もともとは小川でブルックトラウトを釣るロッドとして製作されたもので、グリップ先端をスレッドで巻いてもらい、全体的にやや短めのオービス風に仕上げてもらった。

フックキーパーはドライフライ仕様のオリジナル。リールシートはメープルのバールウッドにアルミ製金具の組み合わせ。アクションはやや張りのあるミディアム〜ミディアムファーストのドライフライアクションだ。

何といっても、この仕上げの美しさは、所有感を充分に満たせてくれるものである。