民事再生法適用を二十一日に申請した章栄不動産(広島市中区)は、福山市のJR福山駅南口の東桜町(旧福山繊維ビル)再開発計画に参加している。中核市の玄関づくりを担う一大プロジェクトは、資金繰りを含め試練に直面することになった。
章栄不動産の関係者によると、民事再生法申請は二十一日朝、金融機関との話し合いで決まったという。東桜町再開発計画に関して同社は「事前に連絡もできずに申し訳ない。再生計画は今後まとめるが、うちが東桜町の事業に参加することは現実的には難しい」との見通しを示した。
予定地では、章栄が分譲する「ローズタワー」と呼ばれるマンションの基礎工事が進んでいる。事業主の福山駅前開発によると、章栄からの支払いは現段階で滞りはないが、二十億円を超すとみられる残債分の確保が完成予定の二〇一一年までに必要になる。
「本当なのか」。駅前開発の寺田政則社長は破綻(はたん)のニュースに絶句。「急いで情報を集めなければ」と、事務所に詰めかける役員たちと協議に入った。
羽田皓市長は「詳しい事情が分からない段階ではコメントできない」と驚いた表情。福山商工会議所の石井耕二専務理事は「景気低迷でマンション業界も厳しいだけに心配はしていた」と述べた。
福山駅前では、アーバンコーポレイション(広島市中区)の破綻で伏見町地区の再開発計画も足踏み状態。準備組合の村上召一副理事長は「先行する東桜町が弾みを、と期待していたのに」。平和建設(福山市)の岡田吉弘社長は「厳しい波が備後にも来た感じ。福山で一番大きなプロジェクトを消してしまう衝撃と打撃は大きい。まちづくりを一から考え直すべきかもしれない」と話した。
【写真説明】民事再生法を申請した章栄不動産がマンション分譲を受け持っていた福山市の東桜町再開発計画予定地(2008年10月2日)
~中国新聞より