エンタメモンスターのひとりごと

エンタメ好きが綴る感想ブログです。

『50/50』がん患者の葛藤、支える側の気持ち

2015-10-05 19:00:00 | 洋画
主人公の男性アダムが
癌の中でもとりわけ稀な癌を患い、
親友のカイルやセラピストのキャサリン、
家族に支えられて病気に立ち向かう
ストーリー。


この映画を観る度に
顔中が涙だらけになる。

それは可哀想という涙ではなく、
葛藤する当事者や支える側の心情を
痛いほど感じるからだと思う。


今家族が二人、癌を患っている。

癌と聞かされた日の家族の表情や
大切な人を失うかもしれない恐怖など
当事者を支える立場の気持ちは経験済み。

でも一番辛いのは当事者で、
そこはなってみないと気持ちは分からない。
寄り添うことしかできないのが
もどかしいけど、
実際それしかしてあげられない。


この映画は癌を患った主人公の
変化する気持ちが丁寧に描かれている
と思うので、胸に迫るものがある。

脚本を担当したウィル・レイサー
という方が、実際に癌を克服した
過去を持っているということで
その経験がより説得力を持つ
シナリオに繋がったのだと感じた。


病気を描く映画やドラマは
悲しみを全面に押し出す作品が多くて
嫌煙されがちなところが
あるんじゃないかなと思うけど、
この映画は病気にフォーカスを
当てて描いているだけでなく
普通の青年の日常や親友のバカ話などが
随所に散りばめられているので、
比較的入りやすいストーリーになっている。


やっぱり親友のカイルの存在は
アダムにとって大きいと思った。

女性とすることだけを四六時中
考えているような人間だけど、
親友の為なら一肌脱いでくれるような
凄くいい奴!ちょっと荒っぽいけど(笑)
羨ましいな。

カイルというキャラクターが
この物語に息抜きを与えていると思う。


そして恋愛も同時進行に描かれている。
もし付き合っている人が病気になったら、
支えられるのかな?
葛藤する彼女の気持ちに共感する方も
多いかもしれない。


セラピストの女性キャサリンは
最初教科書通りに患者に接している
感じだったけど、
アダムと出会うことで少しずつ
患者との向き合い方を模索していく
様子が良かった。


アダムの母と父はあまり頻繁には
登場しないけれど、大事な場面には
必ず登場するからより物語を引き締める
役割を担っていると思う。

アダムの父はアルツハイマーを患っていて、
母は働きながらいつも父の看病をしている。

母として息子に何かしてあげたいけど、
息子は父のこともあるし
迷惑かけたくないと思って母の気持ちを
受け入れなかった。

ここの母と息子の微妙なすれ違いが
とてもよく分かるので、また涙が。


当事者側と支える側の描き方が
本当に素晴らしく表現されている
映画だと思う。