いつのころからか
地下街が静かになった
石畳が売りの地下街ゆえに
キャリヤケースを持ち運ばれると
ゴロゴロごろごろとけたたましい音が
鳴り響いていた
そして気がつけば
どこの裏道を通っても
こんなところの店にまで
と仰天した行列がなくなった
行列を整列させようと並べられたポールが
ぽつねんと並んではいる
今年の金木犀はおそかった
櫻の葉が黄ばみ始めた
昔はデパートの北海道展は
秋の到来を告げる風物詩だったが
年数回もおこなわれるようになると
季節感も薄れる
でもやはり秋口の北海道展には必ずでむいて新豆を求める
マルセイバターサンドにはまっていた昔が懐かしい
もう無理なんだわ
町内の杏並木が伐採されてから
銀杏を拾う人たちが見られなくなって久しい
天神ど真ん中に残っているイチョウの木の下を
はいつくばる年寄りをみかけると
なにやらホッとしたりする
銀杏をガス火で炒っていたのも昔のこと
今やレンジでチンだ
プライヤーの使い方を覚えたのは
銀杏食べたさゆえだ
もう10月が終わってしまうではないか