arata-tokyo-jp's blog(Henry Nagata)

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水晶パワーって本当に効くのかな?

2005年05月02日 12時54分55秒 | エッセイ
世の中には色々な広告がありますけれども、見ていると楽しくなったり、ある時には滑稽さを感じる事もよくあります。
今日は、そんな広告について考えてみたいと思います。
ネットでこんな広告を見つけました。

水晶パワー 幸運を呼ぶ貴石!
水晶の物理的特性
水晶のプレートに電気を通すと、一定の周波数で振動が発生します。
この特性は、PIEZOELECTRICITY(圧電気現象)と呼ばれ、クォーツ時計や無線電波の周波数を一定に保つために利用されています。

水晶の持つこの波動エネルギーが、身につける人の身体や心に深く作用し、内在する潜在能力を引き出し活性化させるとして、著名人や超一流スポーツ選手が着用しています。
潜在能力の活性化により、自身が本来持っている能力が効率よく発揮され、体調が整ったり成功に近ずくと考えられています。

ということです。
商売人というのは、上手いものです。
まず水晶パワーが「科学的」に認められている「事実」だという事を取りあげて、
そして、そのパワーが当然「人間にも作用する」ものとし、
「開運」、「健康」さらには「潜在能力開発」にまでパワーを発揮すると言います。
そして最後には、各界の有名人も利用しているという事実をあげる。
これで決まり!

でもこれって、「水晶を身に着けていれば、何の努力をしなくても楽に幸運がやって来ます」と言っているようにも見えるのですが・・・

この広告の中で「事実」と言える事は・・・水晶にはパワーがあって、時計などにも使われているという事実と、有名人も着用している、という事の2点だけ。
これを「開運」、「健康」、「潜在能力開発」にまで関連付けて、夢を膨らませてしまうところが、広告の面白いところです。

でも、もしこのパワーを信じるとすれば、一つだけ気になる事があります。
そのパワーが人間にとって良く作用するのか、悪く作用するのか、という事です。
というのは、水晶には「右巻き」と「左巻き」とがあって、そのどちらかは人間にとってあまり良くないと聞いていたからです。

詳しいことは分からないのですが、水晶のように全く同じ物質で出来ていながら、鏡一枚を間に挟んだかのような構造を持つもの同士を、「鏡像体」と呼んでいるそうです。
ネットで調べてみました。

有名な抗生物質であるペニシリンは、一方の鏡像体だけが強い抗菌活性を示し、もう一方は全くこういった作用がないという事です。

人工甘味料のアスパルテームという物も、一方は砂糖の200倍という強い甘味を示すのに対し、一方は苦味があるそうです。

サリドマイド事件も、実はこの鏡像体の作用の差に原因があったという事です。
サリドマイドは、一方には鎮静作用があるのに対し、もう一方には催奇性(四肢の矮小化を引き起こす)があったのです。
このことに気づかず両者の混合物を市販してしまったのが、後になって大きな悲劇を呼ぶことになった、という事のようです。

もし水晶パワーを信じる人であれば、右巻きか左巻きかを一応調べてから買った方が良いのではないか、と思った次第です。


つい先日もこんな広告を見つけました。

TVで話題騒然!
現代人は酸素不足?ダイエットには酸素!
酸素ダイエットで燃える体に!
燃えない体は実は酸素不足が原因かも!

脂肪を燃焼するには酸素が不可欠です!
だから、車社会、運動不足で慢性酸素不足となっている現代人は、どんなダイエットにチャレンジしても効果が出ないのは当たり前。
痩せられない原因は酸素不足にあります。
酸素をいっぱい体内に取り込んで燃える体に!

という事だそうです。
これも「運動もせずに、水だけで楽に痩せられます」という意味にも取れます。
商売人というのは、よく「あの手この手」を考え出すものだと感心してしまいます。


以前、広告代理店で半年ほどディレクターのアシスタントとして働いた事があるのですが、その時に言われた事で印象に残った言葉があります。
簡単に言うと、
「広告というのは、消費者に嘘を言って騙してはいけない・・・しかし消費者が勝手に想像を膨らませて錯覚を起こしたのであれば問題はない」
ということです。

広告というのは、まず科学的な事実を挙げます。
これは、たった一つの事実だけでも良いのです。
そして、その後は消費者が勝手に想像を膨らませて、錯覚を起こすような事を沢山提示します。
この部分は「効用の可能性」ですから、事実ではなくても構わない訳ですから、沢山の情報を付け加える事が出来ます。
最後は、あの有名人も使っています・・・
まあ、どれもこれも大体こんな感じだと思います。
もう一つ付け加えるとすれば、「さあ、今がチャンス!」・・・でしょうか。


以前テレビで「深海ザメのエキス」のCMを見た事がありますけれども、これも見ていると本当に「万病に効く」というような錯覚が起きてしまうのです。
しばらく見ている内に、ふと我に返ったのですが、もしふと我に返らなければ、そのまま注文して取り寄せていたかも知れません。
次のような広告も見つけました。

サメの肝油は日本からフィリピン沖に連なる日本海溝の水深1000mを越す深海に生息する深海ザメのエキスのことです。
代替医療の分野ではガン細胞が成長するのに必要な新生血管の発生を阻止する働きなどが注目され話題となっています。

深海ザメの肝臓は身体に比べて大きく、とくに良質のスクワレンが採れるアイザメは体重の4分の1が肝臓なのです。
そして、肝臓の4分の1が肝油で、その肝油の9割がスクワレンです。
毎日の美容と健康維持にお役立てください。

ということです。


今から30年ほど前には、「リノール酸」ブームがありました。
マーガリンやサラダ油などで知られていますけれども、可笑しな事にうっかりすると「リノール酸を沢山摂ると痩せるのではないか」と勘違いしてしまうのです。
「体内の脂肪を燃焼し易くする商品」と言えば、最近ではお茶とかアミノ酸とか酸素水とか沢山出回っていますけれども、その当時は全く新しい考え方だったからです。
それまでは、「痩せる為には何らかの努力をしなければならない」と思われていたからです。

しばらく経つと、「リノール酸が入っているとは言っても、マーガリンやサラダ油はカロリーが高い訳ですから、痩せる事はありませんよ」と言う人がTVに登場して来る訳です。
こんな広告もあります。

百獣の王ライオン!あの引き締まった体、素早い動き、そして何者も寄せつけないパワー。
シマウマ一頭をも食べてしまうライオンはとても食欲旺盛です。
では、なぜライオンは肉食をして寝転んでばかりいるにもかかわらずスッキリした体形なのでしょう?
それは、体内でアミノ酸を合成しているからなのです。
巷にあふれるアミノ酸サプリメント。
その多くは、アミノ酸をただ多く含有するというイメージ重視の物が多いのが現状ですが、ただ多く含有すればいいわけではありません・・・

という事のようです。
「寝転んでばかりいるライオンが、沢山の肉を食べても太らないのは、アミノ酸のせいである」・・・と決め付け、
「だから当然人間も同じように、肉を沢山食べて寝転んでばかりいても、アミノ酸を沢山摂っていれば太りませんよ」・・・と思わせようとするところが広告の面白いところです。

また数年前には「アルカリ・イオン浄水器」のブームがあって、予約してから3ヶ月も経たないと手に入らないくらいの人気でしたが、このブームの時には私もつい乗せられて5万円くらいの物を買ってしましました。
使い始めの頃は、確かに効いているような気がしましたけれども、最近では本当に効いているのかどうか良くは分からなくなって来ています。
「アルカリ・イオン水は糖尿病に効く」という事で評判でしたけれども、中には「万病に効く」というような誇大広告もあったようです。


さて、大体の雰囲気はもうお分かりになったと思いますので、このくらいにして置おきましょう。
広告というのは、人々に夢を与えて、実に楽しいものだと思います。
しかし夢を膨らませ過ぎたばかりに、それを事実と勘違いして失敗する事も多いのではないでしょうか。

女性週刊誌の広告で目に付くのは「美容」や「痩身」に関するものでしょうか。
男性の雑誌では「金儲け広告」、「精力絶倫になります広告」、ちょっとお上品な雑誌でも「健康」「若返り」に関する物は多いと思います。
若い人の雑誌なら「超能力が身につきます広告」、「異性にモテます広告」などでしょうか。

「健康」や「異性に好かれたい」という気持ちは誰にでもあって弱みを握られているようなものですから、そういう類の広告は山ほどあるでしょう。
ただ、これらの広告は高額を支払ったり、器具を使ったり薬品を飲んだり、場合によっては手術をしたりするような事にもなりますから、注意しなければならない事だと思う訳です。
若い頃には、これらの広告を信じ過ぎて、勘違いをしてしまう事があるものです。

例えば・・・
痩せている女性は男性に好かれます。
胸が大きくなれば、男性にモテます。
精力絶倫になれば、女性に好かれます。
背が高くなったり、男性の○○○が大きくなれば、女性にモテます。(あ、失礼 (;^_^A )

これらの事は、結婚をするような時期が来れば「可笑しな事だ」と分かっては来るのですが、若い頃には惑わされてしまうのです。
商売をする側の立場から考えれてみれば、高額を支払わせる為には「これらの事は事実なのだ」と思い込ませなければならない訳です。
これは商売上、ある程度は仕方のない事かも知れませんから、こちら側で十分に気を付けなければならないと思います。

私がこれらの「怪しげな広告」から目を覚ます事が出来たきっかけは、ある一冊の本を読んだ時からです。
意外な事かも知れませんが、それは「カーマ・スートラ」というインドの古典で、ちょっと宗教的ではありますが、男女の快楽や性教育のような内容の本なのです。
その中に次のような言葉がありました。

男性の身体には大・中・小があり、女性にも同じように大・中・小がある。
相性としては、
「大と大」、「中と中」、「小と小」の組み合わせは大吉。
「男性の大と女性の中」、「男性の中と女性の小」は中吉。
「男性の中と女性の大」、「男性の小と女性の中」は凶。
「男性の大と女性の小」、「男性の小と女性の大」は大凶。

まあ、分かり易い言葉に直しましたけれども、大体こんな内容だったと思います。
私はこれを読んだ時に、本当に目からウロコが落ちたような気がしたものです。
30年も前の事になりますけれども、その頃には「性学者」や「セックス・カウンセラー」として有名な人が何人か出て来ましたけれども、その人たちの出版した本の内容といったら、避妊法の種類や性病の種類、また興味本位なヌード写真を沢山載せて「四十八手」のような事ばかりが目に付くようなものでした。
私はそれらの本を読んでも、「性教育」という面では、ほとんど何の役にも立たなかったように思っています。

最近では若年層のエイズ問題もあって、中学や高校でも性教育を積極的にやろうという所が増えているようですが、やはり勘違いをしているところもあるようです。
ばかげた事に高校生に学校でコンドームを配ったり、性の技法を教える所まであって国会でも問題になりました。
極端な話、例えば高校生に「四十八手」を教えたとして一体何になると言うのでしょう。
「愛」とか「幸せ」というものを教えられない教師が、性病の種類やコンドームの取り付け方を教えたとして、一体何になると言うのでしょう。

性教育というのは、「男性と女性が幸せになる為に」・・・教えなければならない事だと思います。
性病を予防しただけで幸せになるのでしょうか?
コンドームの付け方を知って幸せになるのでしょうか?
四十八手を知って幸せになるのでしょうか?
ばかげた事は早く止めて頂きたいと思います。

さて、この「カーマ・スートラ」の一節は、私に色々な事を教えてくれたような気がします。
一番考えさせられた事は、「人との相性」と「幸せ」についてです。
どんな体型に生まれても、どんな困った性格であっても「相性さえ合っている人を見つければ、幸せになれます」・・・という事なのです。
子供にでも理解出来るような、非常に分かり易い言葉(真理)です。

ですから、太っていても良い訳です。
身体が小さくても良い訳です。
綺麗な顔でなくても良い訳です。
私にとって、この発見は非常に大きなものでした。


今回は広告のお話ですから、この辺でまとめてみたいと思います。
そのような訳ですから、痩せる必要はない訳です。
胸を大きくする必要もない訳です。

ここで大切な事は「目的」という事を考えなければならないという事です。
痩せるのは何の為なのか?
綺麗になるのは何の為なのか?
お金を儲けるのは何の為なのか?
超能力は何の為なのか?

これらは全て「幸せになる為に」・・・という事が目的でなければならないと思います。
しかし世の中には、この大切な「目的」を見失って、苦しんでいる人たちが多いように見受けられます。
「死んでも良いから、綺麗になりたい」などという冗談もあるくらいです。
例え超能力という「ある種の力」を身につけたとしても、才能や良識がなければ幸せには繋がらない事は明らかな事です。
賭け事の為に財産を失ってしまう人もいると思いますが、お金の使い方にも「センスの良し悪し」があるように思います。
才能や良識がなければ、例え沢山の財産が何らかの理由で転がり込んで来たとしても、何の役にも立たないばかりか、その人の人生までも狂わせてしまうような事もあるのではないでしょうか。

実際に誰も彼もがお金持ちになったり、超能力を身に着けてしまったら、却って困る事も出て来る筈なのです。
危険な人物に沢山のお金が回って来たら、世の中が非常に危険な事になりますし、超能力でも同じ事なのです。
私なども、もし大金が転がり込んで来ても、大金を扱うだけの才能が全くありませんから、「宝の持ち腐れ」になってしまう事でしょう。


広告というのは、消費者にとって「役に立つ情報」であって欲しいものだと思います。
世の中には良識のあるセンスの良い広告も多くありますけれども、以上見て来たような怪しげな広告では、「大切な事実」を隠して商売をしているようにも見受けられます。
例えば・・・

世の中には、太った女性が好きだと言う男性がいる事
大きな胸の女性には興味のない男性がいる事
二枚目の男性は好きではないという女性がいる事
精力絶倫の男性では困るという女性がいる事
大きな○○○の男性では困ると言う女性が沢山いる事

子供の頃には綺麗な顔であっても、20歳を過ぎれば普通以下の容姿になってしまう女性がいる事
若い頃の顔立ちはそれほど良くなくても、中年以降になって非常に魅力的な顔になる男性がいる事
中学生までは背が低くて悩んでいたのに、高校生になってから急に背が伸びてしまう男性がいる事
その他にも沢山の事実がある訳ですけれども、若い頃にはこれらの事実が全く見えて来ないのです。
ですから、怪しげな広告に惑わされてしまう訳です。

さてそんな訳で、どんな買い物ではあっても、買った当初は皆楽しいものではありますが、しかし長い目で見て、それが本当に「幸せに繋がるものなのかどうか」を考えてみる必要があるように思う訳です。
も一つ付け加えますと・・・
「沢山の人たちに好かれて、楽しい生活を送りたい」・・・という気持ちは分かるのですが、
それよりも、
「ごく少数の人に愛されて、幸せになりたい」・・・という気持ちをもっと大切にして欲しい、と思った次第です。

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