尖閣:領土問題に転嫁

サブタイが長くなりそうなので、とりあえずタイトルを縮めます。今日、意見がまとまったのか、捜狐に新しい記事が発表されました。例によって翻訳は端折っていますのでご勘弁を。


日本の釣魚島を使った軍拡

日本の釣魚島を使った軍拡今回日本政府が突然釣魚島を政府の管理下に置いたのは、東シナ海の油田問題と関係がある。これより前に、日本のメディアが「釣魚島は中国が開発中の鉱区から数十キロであり、釣魚島へのコントロールを強めることで、東シナ海での国境画定で優位に立てる」と報道した。

(中略)

釣魚島を日本の領土として国境線を引くと、日本は7万から20万平方キロの海域を得ることになる。日本は表面上は中国との「政冷経熱」の関係改善を行っているが、一方では李登輝訪日許可に見られるように、中国を挑発している。これは日本外交の二面性であり、第二次世界大戦のアメリカに対する姿勢もそうだった。

(中略)

この事件は日本の中国の発展の速さに対する焦りであり、対中政策が協調から対抗に変わった事を示している。日本は中国を「軍事経済大国」と見ており、これが日本へプレッシャーと脅威を与えた。発展の速度も余地も中国に比べて劣り、焦りをもたらしている。



タイトルからレッテル貼りですね。どうしてもそこに繋げたいのかと。なるほど、尖閣国有化が東シナ海における国境画定の第一歩というのはあるかもしれません。しかし会談を拒否しているのは中国の都合なのに、両国の衝突を防ぐために「首脳の相互訪問復活が必要」と言われても説得力がありません。日本の最近の行動が突出して見えるのは、中国の日本に対する全くの油断でしょう。日本の世論や、政治家の顔ぶれの変化についていけてないと思われます。

挑発しているのはどちらか、いまだに分かっていないようです。中国の「軍事的脅威」は現実問題ですし、対抗措置を採るのは当然です。アジアの軍事バランスを一人でぶっ壊してます。ここに日中間の認識の違いがあるのではないでしょうか。中国はどう見ても軍事大国なのですが、中国自身はそうは思っておらず、「むしろ日本が右翼化している」という考えですから、むやみに日本が焦ってるようにしか見えないでしょう。そういう身勝手で浅い物の見方から出来ないから、今日本に切り崩されているのですが、まだ気付かないんでしょうか。

http://news.sohu.com/20050217/n224318856.shtml
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台湾は釣魚島を売り渡し、日本と対中連合

9日に国有化宣言が出てから、台湾はずっと反応が鈍い。まるで日本の行為を肯定しているかのようだ。以前から保釣運動に参加している台湾市長の馬英九などが激しく抗議しているのに対し、台湾当局の反応は、「主権は台湾にある」としながら三者の平和的解決することが唯一の方法とし、「日本政府の管理となったことで話しやすくなった」と表明している。

事実上、台湾当局の釣魚島に対する姿勢は後退している。「台湾独立派」の釣魚島を売るかのような発言にも関心を払っていない。特に李登輝の「漁業権のみで領土権は存在しない」発言に対し、当局は「言論の自由」であると尊重し、陳水扁は台湾内外の圧力を受けてやっと「個人のものではなく我々の一部である」との声明を出した。


なぜ台湾がこんなに弱腰か?日本とFTAを結び、アメリカをも巻き込んで独立を進めようとしているからだ、と結論付けてます。これも当たっています。台湾には一時領土問題を棚上げにしても、日米との関係を強化しなければ生きていけません。それはそうですが、昨日は「龍的伝人」(中華民族)と台湾を持ち上げて、共闘を呼びかけておきながら、今日はさっそくその「龍的伝人」が日本やアメリカに付くことをなじっていますが、アメリカの「脅威」に焦っているのは明らかに中国です。

http://news.sohu.com/20050217/n224319718.shtml
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沖ノ鳥島を占領:「島」を利用して海を囲う

日本政府は今年4月から沖ノ鳥島付近で、漁業活動を開始すると宣言した。また政府は否定しているが、守備人員を派遣して領有権を強めようとしているとも伝えられている。沖ノ鳥島の管轄である東京都都知事の石原慎太郎は「中国に物を言わせない」として、水温差を利用した発電所の建設を政府に提案し、小泉首相も賛意を表した。当初東京都は、漁業活動には船をチャーターすると表明していたが、のちに石原は建造すると発言している。

石原はインタビューで「経済活動に従事すれば、日本の領土である明確な証拠となる。中国がもう一度原潜を浮上させたら、戦争も辞さない。」と表明した。

(中略)
石原は発電所の建設以降に、実際に居住可能かの研究を政府内部で始めていると明かした。既に数人が本籍を沖ノ鳥島に移している。

(中略)

沖ノ鳥島付近の海域は漁業資源が豊富なほか、海底にはコバルト、マンガンなどの天然資源が眠り、日本政府は2009年までに大陸棚の測量を再度行い、大陸棚を350海里に拡大する予定だ。これにより、本土と沖ノ鳥島のEEZを拡大し、沖ノ鳥島をこれに組み込むことで、日本は海洋領土を広げようとしている。


http://news.sohu.com/20050217/n224319719.shtml
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「右翼石原の過激な妄言録」でも集めたつもりなんでしょうが、領海侵犯している中国が石原の「戦争」という言葉尻だけを捉えて、批判する資格ありますかね。戦争を誘発しているのは紛れも無く中国で、石原発言は本来首相が言うべきなだけで、当然のこと。彼らからすれば領海でも何でもないという主張ですから、海洋法の引用も自国の主張に合致する「人が居住できず経済活動できない岩はEEZを設定できない」と都合のいい箇所だけを引用。スプラトリー諸島に人は居住できませんが。

記事ではジョン・ファンダイクという教授の「沖ノ鳥島―せいぜいキングサイズのベッドくらいの大きさしかない、二つの浸蝕された突起から構成される―は、独自の経済的生活を維持することのできない居住不可能な岩、という記述に間違いなく当てはまる。従ってそれは、200海里排他的経済水域を生み出す資格を与えられない」という主張を引用しています。同じもその根拠になる「無人で経済活動」という点は、発電所と漁礁の建設で解消されるでしょう。16日に発表されたウォールストリートジャーナルの記事も彼の主張と根拠が同じでした。

いつもより電波が弱いです。それでも日本の国防意識の高まりに軍国主義を匂わせたり、台湾独立を日本が煽っていると言ってみたり、いつも通りといえばいつも通り。でも肝心の中国がどう出るかについては、言及が無かったように思います。

今のところ公式発表は9日の孔泉「違法で無効」発言のみ。この記事は人民日報でも転載されましたが、相変わらず扱いが悪いですね。中共はまだまだどう対処するか決定していないのか、まだ目に触れさせたくない模様。どんどん日本に後れを取っています。次々と先手を打っていく日本、頼もしいです。

http://tw.people.com.cn/GB/14811/14869/3183593.html

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補足(2005-02-18 13:09)昨日扱った「領土問題に転嫁」で「龍的伝人」=中華民族と書きましたが。青年報に掲載された原文を訳したつもりで訳していませんでした。分かりにくいと思いますので、当該部分を訳します。


日本はアジアの盟主となるため、中国の台頭を望んでいない。中国復興の大目標である台湾統一を邪魔している。防衛大綱で中国と北朝鮮を日本の脅威と明記し、六カ国協議が再開されるタイミングで経済制裁を持ち出し、中日会談から間をおかず李登輝へビザを発給したり、目的のために多くの準備を重ねてきた。

3月の全人代で「反分裂法」が審議されるが、日本はその前に一連の行動を起こした。これは中国が安保発動によるアメリカの介入を警戒し、東シナ海の状況を緊張させないという予測によるものだが、これで台湾統一への問題がまた増えた。

日本の今回の行動は、両岸(中台)が有事に"抗日"でどれほど団結できるかを、試しているとも言える。憂慮すべきは台湾外交部が「三者による平和的会談」による問題解決を持ち出したことだ。「三者会談」は「二つの中国」を認めることと同じで、日本の罠に自らかかるようなものだ。我々は「龍的伝人」(中華民族)であり、領土問題には団結し一体となって当たるべきである。既に日本は中国統一という偉大な事業に介入している。これからも日本は「必要な時期」に更に厳しい手段を繰り出すだろう。


「龍的伝人」、つまり龍の子孫と言うわけですが、前回でも書いたように、この国は都合がいい時だけ同胞意識を持ち出しますね。確か中国は多民族国家を標榜していたと思いますが。この論評のタイトルは「日本の狙いは台湾」、統一の危機を煽ることで、台湾問題に話題をシフトさせようとしてます。尖閣の話はどこへ行ったのでしょうか。

詳しい事はhttp://blog.goo.ne.jp/aquarellisute/e/bcffbaa3a44b2e6b89b299ebae1f9487「尖閣:中国、デモを縮小報道(2月16日)」をご覧下さい。
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