加計(かけ)学園理事長と安倍晋三首相の面会を記した愛媛県の文書に、財務省が「廃棄した」と説明してきた森友学園との1千ページ近い交渉記録。28日午前に開かれた参院予算委員会の集中審議で、野党側は新たな資料を元に質問を展開したが、首相は従来の見解を繰り返した。議場で怒号が飛び交うこともあった。
愛媛県が国会に提出した文書には、加計学園からの報告として、2015年2月25日に加計孝太郎理事長が首相と面会し、獣医学部の計画について説明したという内容が記されている。
首相は面会について「(記者団の取材に基づく)『首相動静』にない」などとして否定。立憲民主党の福山哲郎氏は官房副長官を務めた経験から「首相動静になくても、面会することは可能」と追及したが、首相は主張を変えなかった。福山氏から、加計理事長との電話について問われると「3年前に友人と電話で話したかどうかは正確に答えられない」と述べた。
学園は今月26日、「実際にはなかった面会を県に伝えていた」とするファクスを出した。事実ならば、学園側の誤った主張を元に獣医学部計画が進んだことになる。共産党の小池晃氏に「実際になかった面談を引き合いに出し、県と市に誤った情報を与えた。総理はなんで怒らないのか」と問われ、首相は「怒るとか怒らないでなく、県の文書だからコメントする立場にない」と答えた。
面会を否定する首相に、小池氏が「反証を示して」と求めると、首相は「大切なのはプロセスに問題があったかどうか」。小池氏が「全くすり替えて、まともに答えようとしない」と指摘する場面もあった。
野党が面会の事実を追及する理由は、首相が「学園による獣医学部計画を知ったのは17年1月」と述べているためだ。福山氏は、それ以前の時期に首相が認識していたことをうかがわせる、官邸幹部らの発言が記された複数の文書を示し、「みんな残っている文書だ。全く反証になっていない」と言うと、首相は「委員がつくられたストーリーなんだろう」と答弁。議場は騒然となり、審議は一時中断した。
朝日新聞社
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