杏の独り言

教わったこと、見たこと、聞いたこと、感じた事、考えたこと、やったこと、イロイロ。
オバチャンの独り言です。

洗い張り

2006年01月20日 | 和装
 子どもの頃、家には『張り板』が有った。

 幅、40センチ位、長さ2メートルぐらいだっただろうか。

 季節の変わり目になると、母はこの板を使って、洗い張りをしていた。

 着物や布団を解き、洗濯をして、台所で布海苔を煮溶かし、この、布海苔に布を浸し、布目を通して、張り板にぴったりと張り付ける。

 乾いたら剥がして、また縫い直す。

 この張り板は他にも色々な思い出がある。

 冬、白菜を漬ける時、半分に切って洗った白菜をこの上で乾かしていた事。
 斜めにして、滑り台遊び、2枚並べて置き、真ん中に、2つ折の将棋盤を立ててネット代わりにしてピンポン遊び。

 今では、張り板のある家なんて殆ど無いし、手に入れることも難しいと思うけれど、張り板って、あってもいいな、なんて思う。

 洗い張りには、この『張り板』だけでなく、『伸子針』(しんしばり)というものもある。
 竹ひごの両端に針を付けた物と言えば、分るだろうか。
 こちらは、染色をする時にも使うので、今でも結構手に入るようだ。

 板張りと伸子針では、伸子針のほうが布は傷まないということだが、これで洗い張りをするには、解いた着物を継ぎ合わせて1枚の反物状にする必要がある事と、布の両端をどこかに結びつけ、地面と平行に干す為、広い場所が必要な事で、街中の一般家庭で使うには使いにくかったのだろう。

 洗い張りの技術、昔は当たり前に誰でもやっていたことなのに、今では、特別な人だけが身につけるものになってしまった。

 こんなふうに、昔は常識だったものが、今では専門家のものになってしまったり、逆に昔は専門家のものだったものが、一般常識になってしまったものって、沢山有るのかもしれないなあ。

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