今日という日を幸せに過ごすか、不幸せに過ごすのか。それは自分自身以外のだれも決定することができない、という真実をどれほど深く人は理解しているのでしょうか。この学びを心得ないかぎり、人生の変わりようがありません。
人間はエゴ意識という殻の中で生きています。いわば卵の殻の中のヒヨコです。ヒヨコは真っ暗で何も見えません。ブッダやキリストなど悟りを実現した人々の言葉を聞くことはその殻を親は外から、ヒナは内からつつくのと同じで、波長が合ったとき、殻が割れて、エゴ意識を打ち破ることができるのです。
あの世界一高いエベレスト山も小さな砂粒の集まりです。人の一生も毎日毎日の小さな出来事の積み重ねです。他人から見れば取るに足らないようなことであっても、自分のため、人のためになることを丁寧に真心込めて行えば、あなたの人生は無限に高められ、豊かなものとなるのです。
他人があなたを振り回すのではありません。相手に対するあなた自身の見方・考え方があなたを振り回すのです。相手に要求したり、相手を変えようと思わなければ、振り回されることはありません。
あなたの目の前の“やらなければならないこと”を先延ばしにしている一方で、将来のことを心配したり、過去のことを悔やんでいるから、気分が重くなるのです。さっさと、“やらなければならないこと”に手をつけるのです。一つ、一つ片付けるたびに晴れやかな気分が生まれてきます。「人生の充実感」を大げさに考えなくてもすぐに味わうことができるのです。
過去の良き思い出は執着の対象です。また、過去の悪い思い出は怒りの対象です。どちらにしても、過去の思い出に浸るのは時間の浪費です。過去はすべて水に流して、今、手元のこと、足元のことにベストを尽くすべきです。
親は子を育て、教師は生徒に教える。労働者は働き、学生は勉強する。人間にはその時、その時に果たすべき“当然の義務”があります。その当たり前の義務を一生懸命果たすことでいくらでも充実した人生を歩むことができるのです。逆に、その義務をおろそかにすれば、その報いは自分が受けねばなりません。
「絶対に儲かりますよ」とか、「絶対に幸せになれます」などと言う、儲け話や占いには要注意です。この世に“絶対のもの”などありません。“当たるも八卦、当たらぬも八卦”で、「儲かるかもしれません」あるいは「幸せになれるかもしれません」という儲け話や占いのほうが害はありません。
これからやろうとしている行為の結果が自分自身に対してどのような気分や心持をもたらすか。それをちょっと立ち止まって考えてみる。そんな心の余裕がもてたら、もっともっと無駄のない充実した人生を生きることができるでしょう。
人間のあらゆる営みの原動力は「生きたい」という衝動です。その衝動は高じて、「自分の思い通りに生きたい」という欲望となります。でも、現実は自分の思い通りになるものはほとんどありません。だから、その欲望を減じないかぎり、人間の苦しみが尽きることはありません。