人間を生かしめ、すべてのものを存在せしめているものは因果の法則です。因果の法則がそのまま神であり、仏です。だから、神も仏も特定の国家や民族に味方をしたり、特定の宗教・信仰を持つ人びとをえこひいきすることなどありません。
哲学も思想も宗教もものの見方・考え方です。それは文化や文明、人種や民族、時代や地域によって違います。だから、どれをとっても絶対的な真理ではありません。ほんらい、真理には違いが存在しません。真理とはいつでも、どこでも、だれにでも当てはまるものです。
善か悪か、正か邪か、そうした判断は究極のところ、その人の好きか嫌いかにかかわっています。ものごとの好き、嫌いがその人のカルマの現れです。
すべてが原因と結果という自然法則にしたがっているのですから、あなたには天候を変えることができないのと同じように、他人を変えることはできません。自分も変えることができません。いっそうのこと、他人のことも自分のことも、なるようになる、という自然法則にまかせてみる。ストレスや心配や思い煩いが薄くなるでしょう。
物体・物質である人間の体も波動にすぎません。生身の人間も陽炎(かげろう)とおなじく実体がないのです。つまり、人間はみんな幽霊といえば幽霊なのです。動物も鳥も魚も昆虫も幽霊です。
人生であなたが一生懸命はたらいて手に入れたものは最後に失うことになります。地位や名誉や財産や健康もすべて失います。だから、あなたは”失うために得ている”にすぎません。”死ぬために生きている”のです。人間は「死んでも失わないもの」を自らの力で探し、自分で納得して生きるべきです。
自分の老化や病気など、体に起こる現象も、喜怒哀楽など、心に起こる現象もすべて自然現象です。自然現象に一喜一憂することがなくなれば、いつも平安のうちに生きることができます。
善いことも、悪いことも、自分が他人にしたことは、かならず他人からされるのです。「やったら、やられる」の法則です。地上のどこに逃げてもその法則からは逃れられません。だから、自分の心やことばや行いが他人を苦しめないよう細心の注意が必要です。
世の中のすべての現象は変化します。変化とは不安定を意味します。変化するものを変化しないと思い込み、不安定なものを安定なものと錯覚するものの見方・考え方が悩み、苦しみの原因です。