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涙があふれる。おかあさん卒業式

2023-08-14 14:29:49 | 日記

人生のセレモニー、その深い意味を知ることとなった。

 

以前、お葬儀の関係のオリジナル栞を作成するライターをやっていた私。

親しい人との別れは、皆寂しいものだ。

そして、振り返りつつその人となりを言葉に紡ぐことが、残された方々の心を癒すことにも繋がるのだ。

私はたくさんのお別れを見て、すぐそばでその声を聴いていたのだが、

もちろん仕事であるので、あまり感情を動かされていてはできない。

第三者の立場からの客観性と主観性のバランスを保って、一つの文章をまとめ上げるのが大切だ。

人間の奥深い感情を、汲み取ることを自然と身に着けたのかもしれない。

 

そして、私の話はお葬式ではなく、

「おかあさん卒業式」

からの巣症候群になって、壊れかけていく自分をどうしたらいいものかと途方に暮れていた。

丁度、夏休み期間で実家に帰ってきていて、昨日の夜一緒に回転寿司を食べに行った。

なんだか食欲もない私の一方で、息子は良く食べた!!

彼はとっても元気だ。

なぜに私だけがこんなになっているのか?

そして、ピン!!ときた。

息子は3月上旬にすべての受験が終わり、次の日に物件を探しに一緒に行った。

なんだか、すべてが嘘のようにことが進み、準備に追われてカレンダーが4月に替わってすぐに出ていったのだ。

私には心の準備もなにも出来ていなかったのだ。

息子は受験する時点で、イメージ化していたのかもしれない。

だが、私は自分の本心を伝えることができなかった。

「寂しい、離れたくない」

という思い。

最後まで、自分の心に蓋をして、見送ってしまったのが、潜在意識の一部に入り込んだのかもしれない。

そう!そして、息子に「お母さんの卒業式やって!」

と提案した。

誕生した日から赤ちゃん時代、幼児期を経て小学生、中学生ごろまでのたくさんある写真アルバムを

一緒に見ながら、その人生の歴史を息子と母は振り返った。

そして、A4のただの紙ではあるが、

「おかあさん卒業証書」とやらを書いたのだ。

○○のお母さんとして、命のすべてぐらいに捧げ、この上ない愛情で育て上げた功績を称え卒業を証明します。

と自分で書き上げ。

最後に「今までお母さんありがとう」と記した。

そして、息子自身の名前と日付を入れてもらった。

卒業式に流れる音楽を聴きながら、

一通り写真をみて、最後は三歳のときのバースデーブックを一緒に開いた。

「世界で一番大好きな○○、強くて優しい子に育ってね」と16年前に私が記した文字が浮かび上がる。

私は最初から号泣していたが、

息子もその言葉に号泣した。

そして、手作り感満載の卒業証書を息子が声に出して読んだ、

私が厳かに受け取った。

今まで自分の一部のように思っていて、分離不安がつらかったこと。

これからは、もう互いに大人としてそれぞれの人生を歩む時期が来たこと。

私は自分の人生と息子の人生とを重ね合わせながら生きてきたが、もうそれが良い意味で終わったことなどを話した。

そう、お母さんからの卒業式というセレモニーだった。

息子はもう自立していると言っていた。そもそも、私がそんな思いとは知らなかったのだろう。

やっと、一つの人生のステージを終えることができた気がした。

人生のセレモニーは、ただの儀式ではない、人間の感情的な側面を癒すのだ。

私はふだんは、けっこう合理的思考で息子もそうだけれど、

人間とはそうした面ばかりではないということ、感情の生き物であることも話した。

これからは、人生のセレモニーを一つひとつ、大事にしていきたい。