クローネンバーグ監督によるユングとフロイトの協力と対立の関係を描く物語。中心となるのはザビーナ・シュピールラインという女性だ。統合失調症の患者としてユングから治療をうけ、治癒してユングと恋仲になる。のちにフロイトのもとに赴き、晩年のフロイトの死の衝動の理論に影響を与えるようになる人物だ。ザビーネ・リッヒェベッヒャーの『ザビーナ・シュピールラインの悲劇 ― ユングとフロイト、スターリンとヒトラーのはざまで』という岩波書店の本で詳しく紹介されている。ユングに患者とのセックスをけしかけるオットー・グロスという人物は、フロイトの初期の弟子で、後にアナキストになり、アスコナ・コミュニティに参加している人物だ。歴史的な経緯をかなり正確にたどっているが、ユングとフロイトの関係は複雑で、かなり端折ってしまっている。そこは残念だが、精神を病んだザビーナをキーラ・ナイトレイが熱演しているので★★★★。
危険なメソッド
解説
「ヴィデオドローム」「ザ・フライ」の鬼才デビッド・クローネンバーグが、「ヒストリー・オブ・バイオレンス」「イースタン・プロミス」に続き、ビゴ・モーテンセンとコンビを組んだ歴史心理ドラマ。若き心理学者カール・ユングは、恩師である精神分析学者ジークムント・フロイトとともにひとりのロシア人女性患者の研究を進めていくが、やがて彼女の存在がユングとフロイトの関係に変化をもたらす。主演はキーラ・ナイトレイ。モーテンセンがフロイトを演じ、「イングロリアス・バスターズ」のマイケル・ファスベンダーがユングに扮する。
2011年製作/99分/PG12/イギリス・ドイツ・カナダ・スイス合作
原題:A Dangerous Method
配給:ブロードメディア・スタジオ
スタッフ・キャスト
監督
デビッド・クローネンバーグ
製作
ジェレミー・トーマス
脚本
クリストファー・ハンプトン
原作
ジョン・カー クリストファー・ハンプトン
キーラ・ナイトレイ サビーナ・シュピールライン
ビゴ・モーテンセン ジークムント・フロイト
マイケル・ファスベンダー カール・グスタフ・ユング
バンサン・カッセル オットー・グロス
サラ・ガドン エマ・ユング
アンドレ・ヘンニック
アルンドゥト・シュベリング=ゾーンレイ
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