火炎樹

映画、アニメ、コミックを鑑賞します。少しは本も読みたいな。

一方的な殺戮が生む心の病を描いた戦争映画『ドローン・オブ・ウォー』

2020年01月14日 | 映画

一風変わったテーストのあった「ガタカ」を監督したアンドリュー・ニコルが、ここでも主演男優のイーサン・ホークを使って作って監督した現代的な戦争映画。ドローンによる攻撃を扱った映画としては「アイ・イン・ザ・スカイ」も忘れ難いが、このロサンゼルス郊外の空軍基地に通う元空軍パイロットの鬱屈もわたしたちの心をうつ。自分の身に危険のない場所からの攻撃は、動物行動学的にみても精神を病ませるものだろう。

 

 

 

『ドローン・オブ・ウォー』

ドローン・オブ・ウォー(原題: Good Kill)は、2014年にアメリカ合衆国で製作された戦争ドラマ映画。第71回ヴェネツィア国際映画祭に出品された後、2014年のトロント国際映画祭でも上映された。
 
あらすじ
ラスベガス近郊のアメリカ空軍基地に置かれた空調の効いたコンテナの中では、トミー・イーガン少佐が遥か一万キロ彼方のアフガニスタン上空を飛ぶMQ-9 リーパー無人攻撃機を操縦し、モニターに映るタリバン兵をヘルファイアミサイルで音も無く吹き飛ばしていた。戦闘機パイロットだったトミーは命の危険は無いが戦っている実感が伴わない任務や基地と自宅を日帰りで往復する日常に拭い切れない違和感を抱いていたが、彼の操縦の腕を買っている上司のジョンズ中佐の意向もあって異動願いは中々受理されず、新たに配属された女性操縦士スアレスのCIAが主導する対アルカイダ極秘作戦への異議の言葉も加わって、次第に彼は精神的に追い詰められていくようになる...
 
キャスト
 
トーマス・"トミー"・イーガン少佐 - イーサン・ホーク(咲野俊介)
モリー・イーガン - ジャニュアリー・ジョーンズ(加藤有生子)
ヴェラ・スアレス上等空兵 - ゾーイ・クラヴィッツ(種市桃子)
ジョセフ・ジマー - ジェイク・アベル(中村章吾)
ジャック・ジョンズ中佐 - ブルース・グリーンウッド(広瀬彰勇)
エド・クリスティ大尉 - ディラン・ケニン(北村謙次)
ラングレー(声) - ピーター・コヨーテ

クローネンバーグ監督による歴史もの「危険なメソッド」

2020年01月13日 | 映画

クローネンバーグ監督によるユングとフロイトの協力と対立の関係を描く物語。中心となるのはザビーナ・シュピールラインという女性だ。統合失調症の患者としてユングから治療をうけ、治癒してユングと恋仲になる。のちにフロイトのもとに赴き、晩年のフロイトの死の衝動の理論に影響を与えるようになる人物だ。ザビーネ・リッヒェベッヒャーの『ザビーナ・シュピールラインの悲劇 ― ユングとフロイト、スターリンとヒトラーのはざまで』という岩波書店の本で詳しく紹介されている。ユングに患者とのセックスをけしかけるオットー・グロスという人物は、フロイトの初期の弟子で、後にアナキストになり、アスコナ・コミュニティに参加している人物だ。歴史的な経緯をかなり正確にたどっているが、ユングとフロイトの関係は複雑で、かなり端折ってしまっている。そこは残念だが、精神を病んだザビーナをキーラ・ナイトレイが熱演しているので★★★★。

 

 

危険なメソッド

解説
「ヴィデオドローム」「ザ・フライ」の鬼才デビッド・クローネンバーグが、「ヒストリー・オブ・バイオレンス」「イースタン・プロミス」に続き、ビゴ・モーテンセンとコンビを組んだ歴史心理ドラマ。若き心理学者カール・ユングは、恩師である精神分析学者ジークムント・フロイトとともにひとりのロシア人女性患者の研究を進めていくが、やがて彼女の存在がユングとフロイトの関係に変化をもたらす。主演はキーラ・ナイトレイ。モーテンセンがフロイトを演じ、「イングロリアス・バスターズ」のマイケル・ファスベンダーがユングに扮する。

2011年製作/99分/PG12/イギリス・ドイツ・カナダ・スイス合作
原題:A Dangerous Method
配給:ブロードメディア・スタジオ

スタッフ・キャスト
監督
デビッド・クローネンバーグ
製作
ジェレミー・トーマス
脚本
クリストファー・ハンプトン
原作
ジョン・カー クリストファー・ハンプトン

キーラ・ナイトレイ サビーナ・シュピールライン
ビゴ・モーテンセン ジークムント・フロイト
マイケル・ファスベンダー カール・グスタフ・ユング
バンサン・カッセル オットー・グロス
サラ・ガドン エマ・ユング
アンドレ・ヘンニック 
アルンドゥト・シュベリング=ゾーンレイ 


気分の悪くなるほどグロテスクな変身もののSF映画「ザ・フライ」

2020年01月11日 | 映画

気分の悪くなるほどグロいクローネンバーグ監督の「ザ・フライ」。科学的にははちゃめちやだが、変身のプロセスがしつこく追跡されていて、見るのをやめたくなるほどだ。蠅男も、自分の子供が堕されると知るまでは理性的で、昆虫の世界には妥協のようなものがないために政治というものが存在しない、だから自分は昆虫の政治家になりたいと言っていたのだが。久々にみたグロテストなSF映画で、クローネンバーグ監督の力技に驚き直した。

 ザ・フライ


解説
科学者のセスは記者のベロニカに開発中の物質転送装置を公開する。生物の転送実験で失敗が続くが、やがてセスは自らの体を転送することに成功。しかもその後、彼の体には驚異的な活力が備わる。セスは、転送装置に一匹のハエが紛れ込んでいたこと、そしてそれが転送後にセスの体と遺伝子レベルで融合したことを知る。彼の肉体はみるみる変化し、ついには惨たらしい姿に……! 58年作「蝿男の恐怖」をリメイク。おぞましくも悲痛なドラマが展開する。

1986年製作/96分/アメリカ

スタッフ・キャスト
監督
デビッド・クローネンバーグ
製作
スチュアート・コーンフェルド
原作
ジョルジュ・ランジュラン
脚本
チャールズ・エドワード・ポーグ デビッド・クローネンバーグ
音楽
ハワード・ショア
ジェフ・ゴールドブラムジェフ・ゴールドブラム
ジーナ・デイビスジーナ・デイビス
ジョン・ゲッツジョン・ゲッツ


最後までつきあって損をした「メッセンジャー」

2020年01月10日 | 映画

セットの安直さや安さが激しく攻撃されている作品だが、低予算で作るのも一つの知恵だし、そこに問題があるわけではない。それよりもこの作品が何を語ろうとしているのかが、うまく伝わらないことだろう。妻とのやりとり、上司や国防長官とのやりとり、ハッキングする中国とハッキングされたマザー・システムへの疑念などは、物語を構成する軸ではあるが、それを連ねただけで映画ができてしまっている。観客はだらだらとつづくそうした逸話にひたすら付き合わされる。そして最後の「驚愕のつ結末」? おいおい。最後までつきあって損をした気分になる。

 

メッセンジャー(2017年製作の映画)
Magellan
製作国:アメリカオーストラリア / 上映時間:103分


あらすじ
太陽系から3つの謎の信号。その発信源の調査と回収をNASAから命じられ、たった一人太陽系の涯てを目指す男。10年にもおよぶそのミッションの先に待ち受けるものとは!?驚愕の結末が待ち受けるエンカウントSFスリラー!
監督ロブ・ヨーク
脚本スコット・ベアードロブ・ヨーク
出演者
ブランドン・レイ・オリーヴ
K・ダナー・ジェラルド
ホイットニー・パーマー
マシュー・マーサー
ニコラ・ポースナー
D・L・ウォーカー


壮大な失敗作『大いなる陰謀』

2020年01月08日 | 映画

この映画はたがいに結びついた五つの失敗を描くことで成立している。アフガニスタン侵攻の行き詰まりを打開しようとする軍の冒険的な計画は失敗する。それを推進しようとする上院議員も、マスメディアを説得しようとして失敗する。記者はこの計画の無謀さを知りながら、スクープの魅力に抗しきれず、失敗する。大学の教授は学生たちの自覚的な行動を促しながら、かつては学生が軍隊に志願するという形で行動したことで失敗し、今回は学生に自覚的な行動をとらせることができないという意味で失敗する。学生たちは教授に促されて自覚的な行動をとるために軍に志願して、軍の冒険的な作戦で命を落とすことになる。これらの失敗を描きながら、放り出すように観客に提示するだけで、その意味を掘り下げることができなかったこの作品もまた大きな失敗作だろう。

 

 

 

大いなる陰謀
Lions for Lambs

『大いなる陰謀』(おおいなるいんぼう、原題: Lions for Lambs)は、2007年のアメリカ映画。ロバート・レッドフォード監督・製作・主演。トム・クルーズとポーラ・ワグナーが経営に就いて以来最初のユナイテッド・アーティスツ作品。

あらすじ
大統領への野望を抱くアーヴィング上院議員は、対テロ戦争で名を売りたいと考えジャーナリストのロスに最新の作戦をリークする。同じ頃、大学教授マレーの二人の教え子は軍に志願しアフガニスタンでアーヴィングの仕掛けた作戦に従事しようとしていた。


監督    ロバート・レッドフォード
脚本    マシュー・マイケル・カーナハン
製作    ロバート・レッドフォード
マシュー・マイケル・カーナハン
アンドリュー・ハウプトマン
トレイシー・ファルコ
製作総指揮    ダニエル・ルピ
出演者    ロバート・レッドフォード
メリル・ストリープ
トム・クルーズ
音楽    マーク・アイシャム
撮影    フィリップ・ルースロ
編集    ジョー・ハッシング
製作会社    ユナイテッド・アーティスツ
上映時間    92分
言語    英語


エンディングのうっちゃりはさすがバートンの「猿の惑星」

2020年01月07日 | 映画

バートン作品をつづけてみようとしてみたティム・バートン版の「猿の惑星」。タイトルは同じだが、これまでのシリーズとは内容はまったく別で、バートンはリメークとは考えていないと語っている。それでも設定が同じなので、雰囲気はかなり似てくる。ところどころハチャメチャだが、バートンなので確信犯。エンディングのうっちゃりは、さすがバートン。ヘレナ・ボナム=カーターの猿はさっぱり見当がつかなかった。エステラ・ウォーレンの最低助演女優賞は納得かも(笑)。


 

PLANET OF THE APES/猿の惑星

監督    ティム・バートン
脚本    ウィリアム・ブロイルス・ジュニア
ローレンス・コナー
マーク・ローゼンタール
製作    リチャード・D・ザナック
製作総指揮    ラルフ・ウィンター
出演者    マーク・ウォールバーグ
ティム・ロス
ヘレナ・ボナム=カーター
音楽    ダニー・エルフマン
撮影    フィリップ・ルースロ
編集    クリス・レベンゾン

『PLANET OF THE APES/猿の惑星』(プラネット・オブ・ジ・エイプス さるのわくせい、原題:Planet of the Apes)は、2001年のアメリカ映画であり『猿の惑星』のリ・イマジネーション作品である。ティム・バートン監督、マーク・ウォールバーグ主演作品。


概要
本作は、1968年の映画『猿の惑星』を「リ・イマジネーション」(再創造)して蘇らせた作品である。一般的にはリメイクと言われることも多いがこれは誤りとされ、監督はリメイクではなくリ・イマジネーションとしており、猿が人間を支配しているという基本設定以外は、まったく異なるストーリーになっている]。

第22回ゴールデンラズベリー賞において、最低リメイク賞・最低助演男優賞(チャールトン・ヘストン)・最低助演女優賞(エステラ・ウォーレン)を受賞した。

あらすじ
西暦2029年の近未来。深宇宙と呼ばれる、土星周回軌道付近の宇宙空間にて調査活動中であった、米空軍・宇宙探索基地オベロン号には乗組員のほか、遺伝子操作により高い知能を得た類人猿が実験動物として乗せられていた。

まもなく、近隣の宇宙空間に奇妙な磁気嵐が発見され、チンパンジーのペリクリーズによる操縦で探査ポッドが調査に向かうが、ポッドはたちまち磁気嵐に飲み込まれ、やがて交信も途絶えてしまう。行方不明のペリグリースを救うべく、宇宙飛行士のレオもポッドで母船を飛び出して後を追うが、やはり磁気嵐に吸い込まれ、とある未知の惑星に不時着する。そこは逃げ惑う原始的な人間たちが、高い知能を持つ猿に支配される世界であった。

その後、猿の軍隊に捕らえられたレオは、猿の将軍・セードに危険人物として睨まれるが、人間に好意的なチンパンジー・アリの助けを得て、数人の仲間と共に街から逃走する。そして、沼地に水没していたポッドから回収した通信端末を用い、オベロン号もこの惑星に到着済みであることを知ったレオは、地球帰還のために「禁断の地域」へ足を踏み入れるが、そこにあったのは数千年前に不時着して遺跡と化したオベロン号の残骸であった。

レオがオベロン号に残されていた航海日誌からすべてを知って絶望する一方、これまで猿に抵抗する術をまったく持たなかった人間たちはレオの噂を聞きつけて集まってくる。そして、人間の抹殺を目論むセード率いる猿の大軍も、すぐ間近に迫っていた。

 


メル・ギブソンが監督した戦争映画「ハクソー・リッジ」

2020年01月06日 | 映画

メル・ギブソンが監督した戦争映画「ハクソー・リッジ」。信仰によって一度も武器を手に取らなかった衛生兵の物語。激戦の舞台は沖縄の浦添城址の断崖「前田高地」。このほど「ゆいレール」が延伸して、アクセスしやすくなった。中央司令部であった首里城を守るため、激戦地となったところである。日本が舞台の戦争映画は日本人としては複雑な感情に襲われるものである。内容としては、「アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞など6部門でノミネートされ、編集賞と録音賞の2部門を受賞」するほどのものかどうかは疑問である。この戦闘で沖縄の民間人も多数死亡している。それでいて日本で公開する際には、戦場でのバトル映画として宣伝されたらしい。沖縄では戦闘の場所を案内するページとガイドツアーを開いて、戦争の惨禍を訴えているらしい。最後の切腹場面などもわざとらしい。

ハクソー・リッジ
劇場公開日 2017年6月24日

解説
メル・ギブソンが「アポカリプト」以来10年ぶりにメガホンをとり、第2次世界大戦の沖縄戦で75人の命を救った米軍衛生兵デズモンド・ドスの実話を映画化した戦争ドラマ。人を殺してはならないという宗教的信念を持つデズモンドは、軍隊でもその意志を貫こうとして上官や同僚たちから疎まれ、ついには軍法会議にかけられることに。妻や父に助けられ、武器を持たずに戦場へ行くことを許可された彼は、激戦地・沖縄の断崖絶壁(ハクソー・リッジ)での戦闘に衛生兵として参加。敵兵たちの捨て身の攻撃に味方は一時撤退を余儀なくされるが、負傷した仲間たちが取り残されるのを見たデズモンドは、たったひとりで戦場に留まり、敵味方の分け隔てなく治療を施していく。「沈黙 サイレンス」「アメイジング・スパイダーマン」のアンドリュー・ガーフィールドが主演を務め、「アバター」のサム・ワーシントン、「X-ミッション」のルーク・ブレイシーらが共演。第89回アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞など6部門でノミネートされ、編集賞と録音賞の2部門を受賞した。

2016年製作/139分/PG12/アメリカ・オーストラリア合作
原題:Hacksaw Ridge
配給:キノフィルムズ

オフィシャルサイト
スタッフ・キャスト
監督
メル・ギブソン
製作
デビッド・パーマット ビル・メカニック ブライアン・オリバー ウィリアム・D・ジョンソン ブルース・デイビ ポール・カリー テリー・ベネディクト
製作総指揮
デビッド・グレートハウス スチュアート・フォード タイラー・トンプソン エリック・グリーンフェルド リック・ニシータ レン・ブラバトニック クリストファー・ウッドロウ マイケル・バシック バディ・パトリック スザンヌ・ウォーレン レニー・コーンバーグ マーク・C・マニュエル テッド・オニール
脚本
ロバート・シェンカン アンドリュー・ナイト
撮影
サイモン・ダガン
美術
バリー・ロビンソン
衣装
リジー・ガーディナー
編集
ジョン・ギルバート
音楽
ルパート・グレッグソン=ウィリアムズ
視覚効果監修
クリス・ゴッドフリー
アンドリュー・ガーフィールドデズモンド・ドスアンドリュー・ガーフィールド
サム・ワーシントングローバー大尉サム・ワーシントン
ルーク・ブレイシースミティ・ブレイシールーク・ブレイシー
テリーサ・パーマードロシー・シュッテテリーサ・パーマー
ヒューゴ・ウィービングトム・ドスヒューゴ・ウィービング
レイチェル・グリフィスバーサ・ドスレイチェル・グリフィス
ビンス・ボーンハウエル軍曹ビンス・ボーン


ティム・バートンが首なし騎士の伝説を描いた映画「スリーピー・ホロウ」

2020年01月05日 | 映画

18世紀末のニューヨーク近郊での首切り殺人事件を描いた「スリーピー・ホロウ」。監督のティム・バートンはかねがねアメリカに伝説的な昔話がないことに不満を感じていて、わずかにワシントン・アーヴィングの短編に登場する首なし騎士の物語を手掛かりにゴシックホラーを作りたかったという。画像の処理に頼るのではなく、小さなセットにさまざまな工夫を自然の凝らして自然の配色を作り上げたという。普通のカラーのニューヨークから離れてセピア色のスリーピー・ホロウの村に入ると突然に雰囲気が一変する。アメリカには昔話はないかもしれないが、魔女狩りのピューリタンの悪夢は、すぐによみがえってくるのだ。物語そのものは結局はラブロマンスだが、不思議な印象を残す作品である。ジョニー・デップという俳優は配役で雰囲気を変えるのがうまく、なかなか顔を覚えられない。

 

スリーピー・ホロウ

|1999年|アメリカ

鬼才ティム・バートンが伝説「首なし騎士」をJ・デップ、C・リッチを迎えて映画化
見どころ
首なし騎士による連続殺人事件に挑む捜査官の姿を描く。ゴシックホラーらしく不気味な雰囲気ながらも、ユーモアセンスあふれる美術や映像は見事にバートン色。

ストーリー
1799年、NY郊外の村で人間の首を切り落とす猟奇的な連続殺人事件が発生した。調査に訪れた市警捜査官のイガボットは、南北戦争で殺され、自分の首を求めてさまよう幽霊騎士の伝説を聞かされる…。

キャスト・スタッフ
出演
(イカボッド・クレーン)
ジョニー・デップ
(カトリーナ・ヴァン・タッセル)
クリスティナ・リッチ
(ヴァン・タッセル夫人)
ミランダ・リチャードソン
(バルタス・ヴァン・タッセル)
マイケル・ガンボン
(ブロム・ヴァン・ブラント)
キャスパー・ヴァン・ディーン
(トーマス・ランカスター医師)
イアン・マクディアミッド
(ジェームズ・ハーデンブルック書記)
マイケル・ガフ
(ニューヨーク市長)
クリストファー・リー
(スティーンウィック牧師)
ジェフリー・ジョーンズ
(ヤング・マスバス)
マーク・ピッカリング
監督
ティム・バートン
原作
ワシントン・アーヴィング
音楽
ダニー・エルフマン
脚本
アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー
製作
スコット・ルーディン
アダム・シュローダー


フィルムノワールになじみのミソジニーのテーマの映画「蜘蛛女」

2020年01月04日 | 映画

蜘蛛女というテーマはフィルムノワールになじみのミソジニーのテーマだが、現代でもまだ需要はあるらしい。女の言いなりになる男が悪いとしかいいようがないのだが。本人にもその自覚はある。それでもあくまでも女が悪いという建前は崩れてない。その建前が崩れないうちは、待っていても昔の妻がやってくることはないだろう。「蜘蛛女」の強さだけが印象に残る映画だった。

 

蜘蛛女

究極の悪女が男を破滅へ導く…。90年代フィルムノワールの隠れた名作

見どころ
型破りな暴力描写と乾いた映像美、ブラックなユーモア漂う空気感からカルト的人気を誇る作品。映画史に残る悪女を怪演したレナ・オリンが強烈な印象を残す。

ストーリー
N.Y.の刑事・ジャックは、FBIが保護する裏切り者の情報をマフィアに流して報酬を得ていた。ロシア人の殺し屋・モナもまたジャックのカモになるはずだったが、彼女がFBIの手を逃れたことから、ジャックはマフィアからモナを消すよう脅迫されてしまう。

キャスト・スタッフ
出演
ゲイリー・オールドマン
レナ・オリン
アナベラ・シオラ
ジュリエット・ルイス
ロイ・シャイダー
マイケル・ウィンコット
ウィル・パットン
ジェームズ・クロムウェル
ラリー・ジョシュア
監督
ピーター・メダック
音楽
マーク・アイシャム
脚本
ヒラリー・ヘンキン
製作
ヒラリー・ヘンキン
ポール・ウェブスター


巧みな演出で力強く引っ張られるメル・ギブソンの「ハムレット」

2020年01月03日 | 映画

メル・ギブソンが意外に好演している「ハムレット」。物語は誰もが知っているが、ゼフィレッリ監督の巧みな演出で、最後までぐいぐいと引っ張られる。セリフ回しもしっかりとしていて、嫌みがない。シェイクスピア、まだまだ面白いと思わせる作品だ。ほかの作品もみてみよう。オフィーリア役のヘレナ・ボナム=カーターは期待をもたせるが、いまひとつか。意外な配役の母親役のグレン・クローズに注目した。

 

 

ハムレット

|1990年|アメリカ

シェイクスピア戯曲を映画化。メル・ギブソンがハムレットに新たな命を吹き込む

見どころ
何度も映画となった「ハムレット」だが、本作は「ロミオとジュリエット」も映画化した名匠ゼフィレッリによる1990年版。メル・ギブソンが活力あるハムレット像で魅せる。

ストーリー
中世デンマーク。王子ハムレットの前に急死した父王の亡霊が現れ、王位を継いだ叔父クローディアス、そして彼と再婚した母ガートルードが共謀して自分を毒殺したのだと告げる。復讐を誓ったハムレットは以来、狂人を装うが、その姿に恋人オフィーリアは…。


キャスト・スタッフ
出演
メル・ギブソン
グレン・クローズ
アラン・ベイツ
ポール・スコフィールド
イアン・ホルム
ヘレナ・ボナム=カーター
スティーヴン・ディレイン
ナサニエル・パーカー
ショーン・マーレイ[男優]
マイケル・マロニー
監督
フランコ・ゼフィレッリ
原作
ウィリアム・シェイクスピア
音楽
エンニオ・モリコーネ
脚本
クリストファー・デヴォア
フランコ・ゼフィレッリ
製作
ディソン・ラベル


陪審ものにしては最後までハラハラさせる「ニューオーリンズ・トライアル」

2020年01月02日 | 映画

 陪審ものにしては最後までハラハラさせる「ニューオーリンズ・トライアル」。ダスティン・ホフマンとジーン・ハックマンという名優をそろえている。アメリカの陪審制度は日本の裁判官制度とはかなり異なるところがあるので、みていると面白い。司法制度にもお国柄がよくあらわれる。これほどまでに陪審員への干渉が激しいのであれば、陪審員になるのも「命がけ」になる。過去もすべて暴かれるわけだし。もともとは素朴な民主主義的な理念から始まった制度だが、考えられる弱点をついてゆけばこうなるのも避けられない。善意で生まれた制度のもつ運命のようなものを感じさせる。レイチェル・ワイズはとてもキュート。

 

 ニューオーリンズ・トライアル
人気作家、ジョン・グリシャムの「陪審評決」を映画化した法廷サスペンス。銃社会を題材に、弁護士や陪審コンサルタント、陪審員たちが法廷の裏側で繰り広げる戦いを描く。

ニューオーリンズの証券会社で銃乱射事件が発生し、犯人は11人を殺害後に自殺した。2年後、遺族がベテラン弁護士ローアと組み、銃器メーカーを提訴。一方、メーカー側は敏腕陪審コンサルタントのフィッチを雇う。

作品データ
原題    Runaway Jury
製作年    2003年
製作国    アメリカ
配給    東宝東和
上映時間    128分

スタッフ
監督    ゲイリー・フレダー
製作    ゲイリー・フレダー 、 アーノン・ミルチャン 、 クリストファー・マンキーウィツ
製作総指揮    ジェフリー・ダウナー
原作    ジョン・グリシャム
脚本    ブライアン・コペルマン 、 デイヴィッド・レヴィーン 、 リック・クリーヴランド 、 マシュー・チャップマン
撮影    ロバート・エルスウィット
衣装デザイン    アビゲイル・マレイ
音楽    クリストファー・ヤング
美術    ネルソン・コーツ
編集    ウィリアム・スタインカンプ

キャスト
Nicholas Easter    ジョン・キューザック
Rankin Fitch    ジーン・ハックマン
Wendell Rohr    ダスティン・ホフマン
Marlee    レイチェル・ワイズ
Durwood Cable    ブルース・デイヴィソン
Judge Harkin    ブルース・マッギル
Lawrence Green    ジェレミー・ピーヴン
Doyle    ニック・サーシー
Henry Jankle    スタンリー・アンダーソン
Frank Herrera    クリフ・カーティス


伝統的なパターンをなぞって、人間を破滅させる技術の怖さをぼかした「ターミネーター2」

2020年01月01日 | 映画

都合で長らくアップできませんでした。新年で心機一転して、前回の作品の第二シリーズから再開することにします。

 
 
ターミネーター・シリーズの第二作。この作品の特徴は、ターミネーターの悪意ある機械としての特徴が抑えられて、主人公の大事な仲間となるところだ。悪意のある機械は新型のT-1000型ターミネーターに代表され、少し旧型のシュワルツェネッガーのターミネーターは伝統的なアメリカ映画のパターンに従って、主人公の相棒になる。人間社会の風習を知らない旧型は主人公を助けると同時に、人間社会での風習を教えられる。自動車の盗み方から、言葉の使い方ひとつまで習うのだ。このアンバランスが面白い。機械と人工知能が人間を滅ぼすかというのは、アクチュアルなテーマだが、こうした切り口で監督はこのテーマをうまくぼかしてしまう。良し悪しではある。
 
 
 
 
スカイネットはジョン・コナーを殺すためにT-1000型ターミネーターを送り込んだ。人類存亡の最後の希望を守るべく、未来から別のターミネーターが少年を守るために送り込まれた。

ジャンル    アクション, サスペンス, SF
監督    ジェームズ・キャメロン
主演    アーノルド・シュワルツェネッガー, リンダ・ハミルトン, ロバート・パトリック

欲望抜きの欲動が具現化された裸の姿が美しい「ターミネーター」

2019年03月02日 | 映画
ターミネーター


ターミネーター・シリーズの第一作。
「12モンキーズ」と同じように、この種の物語は豊饒なスピンオフを作りだす力を備えている。
物語を芽吹かせる「枝」を豊富にそなえているからだ。
最後にシュワちゃんの外皮をうしなった純粋なマシンが美しい。
ジジェクであれば、「ターミネーターとは、欲望抜きの欲動が具現化されたものなのだ」(「斜めから見る」)というだろうが、殺すという意志だけが、いかなる欲望のおまけもなしで純粋に表現されるときに
見る者の心をうつところがある。


監督 ジェームズ・キャメロン
脚本 ジェームズ・キャメロン
ゲイル・アン・ハード
製作 ゲイル・アン・ハード
製作総指揮 ジョン・デイリー
デレク・ギブソン
出演者 アーノルド・シュワルツェネッガー
マイケル・ビーン
リンダ・ハミルトン
音楽 ブラッド・フィーデル
撮影 アダム・グリーンバーグ
編集 マーク・ゴールドブラット

あらゆる思い込みを粉々に打ち砕く「マーズ・アタック!」

2019年03月01日 | 映画
マーズ・アタック!


最初は驚いたものだ。なんといっても、火星人がめちゃくちゃなのだ。
論理も礼儀もなにもなしに、地球人をだまくらかし、殺しまくる。
ジャック・ニコルソンを初めてとする主人公はみんな死んでしまう。
それでいて、ウェスタンを聞くと全滅してしまう。
「火星人の弱点は、1951年のウェスタンソング「インディアン・ラブ・コール」の周波数というものだった。放送や拡声器で流される歌を聞き、火星人は次々と頭を破裂させていった。逃走を図る火星人たちが乗った最後の宇宙船も、爆発の末に四散した」というわけだ。
しかし高度な文明をもつ生物は平和を好むはずだとか
礼儀正しく迎えれば、平和的なコンタクトができるはずだとかいった
あらゆる思い込みをあざ笑うような火星人のはちゃめちゃぶりは
「インディペンデンス・デイ」のようなひどいファースト・コンタクト物語をコテンパンに破壊してしまう。
なんとも心地よいのだ。
ティム・バートン、恐るべし。



監督 ティム・バートン
脚本 ジョナサン・ジェムズ
製作 ティム・バートン
ラリー・J・フランコ
出演者 ジャック・ニコルソン
グレン・クローズ
アネット・ベニング
ピアース・ブロスナン
音楽 ダニー・エルフマン
撮影 ピーター・サシツキー
編集 クリス・レベンゾン
製作会社 ティム・バートン・プロダクションズ
配給 ワーナー・ブラザース

人類の滅亡の必然性を描き出す「猿の惑星: 聖戦記」

2019年02月27日 | 映画

猿の惑星: 聖戦記


新シリーズの最終編。近くにいた生き残りの人類は軍隊を含めて全滅し、
地球は猿たちの住処として残される。
ここまで見続けてくると、呪わしい人類よりも倫理的な猿たちに感情移入してしまう。
人類は自業自得で滅ぶべくとして滅んだのである。

人間の少女が一人残されたのはどうなるか、気になるところだ。
監督の意向では、この少女が原作の「猿の惑星」で人間の同行者となるノヴァの子供時代だとされている。
ほぼ十年後に、原作の宇宙船がここを訪れることになるというわけだ。
少し無理があるが。
その場合には、猿たちにこき使われる人間たちは別のところで発見されたということになるだろう。




監督 マット・リーヴス
脚本 マーク・ボンバック
マット・リーヴス
原作 キャラクター創造
リック・ジャッファ
アマンダ・シルヴァー
原作小説
ピエール・ブール
『猿の惑星』
製作 ピーター・チャーニン
ディラン・クラーク
リック・ジャッファ&アマンダ・シルヴァー
製作総指揮 メアリー・マクラグレン
ジェンノ・トッピング
マーク・ボンバック
出演者 アンディ・サーキス
ウディ・ハレルソン
スティーヴ・ザーン
音楽 マイケル・ジアッチーノ
撮影 マイケル・セレシン
編集 ウィリアム・ホイ
スタン・サルファス
製作会社 TSGエンターテイメント
チャーニン・エンターテイメント