goo blog サービス終了のお知らせ 

火炎樹

映画、アニメ、コミックを鑑賞します。少しは本も読みたいな。

楽しめるドラマ、「イノセント 愛という字」

2018年10月30日 | ドラマ
向田邦子 イノセント 愛という字
監督 森淳一
主演 原田美枝子, 村上淳, 麻生祐未



====あらすじ====
息子が大学進学に伴い一人暮らしを始め、夫との2人暮らしとなった主婦の夕子は、倦怠感に満ちた刺激のない日々を過ごしていた。ある日、カフェで寛いでいた夕子はテーブルの上の携帯電話を持ち去られてしまう。相手を見失ってしまうが、持ち主だという新木から電話が入り、取り違えた電話を届けに指示された場所へ行くと、新木は病院で検査を受けている最中だった。翌日、携帯電話のお礼にとコンサートに招かれた夕子は、新木がデザイナーであることを知り、未知の職業に興味を持っていく。新木と次第に親しくなっていく夕子の日々は少しずつ彩りを取り戻していくが、新木の妻から検査結果次第で新木の今後を決めようと提案される。
====

向田邦子の小説とはこれまであまり接点がなかったが、ドラマとして十分の楽しめるできだと思う。
原田美枝子は今や大女優の貫禄で、安心してみていることができる。
少し夫との生活に飽きてきた中年の主婦の演技が、まるで地ではないかと思わせるほど、すばらしい。
大人なんだから、仕事場ではなく、ホテルにいきなよ、と思ったりするが、
過不足のない楽しめる作品だろう。
四編で構成されるこのシリーズは、それぞれの女優の長所をうまく出すことに成功していると思う。

お勧め度 ★★★★★★★☆☆☆



圧倒的な迫力の映画「告白」

2018年10月30日 | 映画
告白

監督 中島哲也
主演 松たか子, 岡田将生, 木村佳乃

====内容紹介====
本屋大賞に輝く湊かなえのベストセラー小説を、独創的な映像感覚と確かな演出力を持つ中島哲也監督(『嫌われ松子の一生』『パコと魔法の絵本』)が映画化した、2010年を代表する大ヒット作品。「生徒に娘を殺された」という女教師の告白からはじまり、殺人事件に関わった登場人物たちの独白形式で構成される物語は、虚実入り混じり、驚愕・戦慄・唖然の連続。そのショッキングすぎる内容から賛否両論、話題騒然となった衝撃作。
====

お勧め度 ★★★★★★★★☆☆

湊かなえの『告白』を原作にかなり忠実に映画化したもの。原作はなんどか読みかけたが、この作者の文体が合わないのか、そのたびに投げ出していた。こうして実際の人間たちの関係が映像として描き出されると、すさまじい迫力である。松たか子の力演とも力の抜けた演技ともみえるものには賛否両論だろうが、小説を読み終えなかったことを悔やませるほどの迫力である。

主人公の教師が少年たちに語る恐ろしい言葉が、実際に行われ、起きたことなのか、それとも最後の一言「なんちゃってね」が象徴しているように、ただの物語なのか、最後になっても明らかにならないところが、巧みである。まだ見ていない方は、ぜひご覧になることをお勧めする。小説を読んでいない人こそ、ぜひ。


弓道部とは渋いアニメ、「ツルネ」

2018年10月29日 | アニメ
ツルネ ―風舞高校弓道部―
原作:「ツルネ ―風舞高校弓道部―」綾野ことこ(KAエスマ文庫/京都アニメーション)
原作イラスト:森本ちなつ
監督:山村卓也

====内容紹介====
「弦音」=ツルネ 矢を放ったときに鳴る弦の音。 射手にとって美しい弦音を響かせることは喜びであり、その美しい音は人の心をとらえて離さない。 同一人物が、同じ道具を使ったとしても同じ弦音を発することはできず、まさに一期一会。 一射一射が、一生に一度の<出会い>と<別れ>である。 鳴宮湊にとって、弦音が全ての<出会い>の始まりとなった……。 果てのない弓の道を歩み始めるのは、若葉のように瑞々しい高校1年生の少年たち。 彼らは弓道を通して一生に一度、かけがえのない経験をし、<仲間>を手に入れていく。 木漏れ日のような、きらめく青春“弓道”アニメーション、開幕!
====

お勧め度 ★★★★★★☆☆☆☆
スタートが遅くなった今季のアニメの新作の一つ。
弓道のアニメとはなかなか渋いなぁ。しかも男子だし。
過去のトラウマでうまく弓が引けない人物を物語の軸にして展開させるらしい。
少しワンパターンだが、ともかくこれからの展開を楽しみとすることにしよう。

これで秋のクールはほぼチェックした。今季は次のアニメをみるつもり。

色づく世界の明日から
イングレス
青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない
風が強く吹いている
ゴールデンカムイ(第二期)
ゴブリンスレイヤー
ソードアート・オンライン アリシゼーション
ツルネ ―風舞高校弓道部―
転生したらスライムだった件
走り続けてよかったって。
やがて君になる

年末にまとめの感想をアップしよう。

是枝監督のすばらしい作品「三度目の殺人」広瀬すずが圧倒的な存在感

2018年10月28日 | 映画
三度目の殺人

監督 是枝裕和
主演 福山雅治, 役所広司, 広瀬すず

====内容紹介====
それは、ありふれた裁判のはずだった。殺人の前科がある三隅(役所広司)が、解雇された工場の社長を殺し、火をつけた容疑で起訴された。犯行も自供し死刑はほぼ確実。しかし、弁護を担当することになった重盛(福山雅治)は、なんとか無期懲役に持ちこむため調査を始める。何かが、おかしい。調査を進めるにつれ、重盛の中で違和感が生まれていく。三隅の供述が、会うたびに変わるのだ。金目当ての私欲な殺人のはずが、週刊誌の取材では被害者の妻・美津江(斉藤由貴)に頼まれたと答え、動機さえも二転三転していく。さらには、被害者の娘・咲江(広瀬すず)と三隅の接点が浮かび上がる。重盛がふたりの関係を探っていくうちに、ある秘密に辿り着く。
====

お勧め度 ★★★★★★★★☆☆


是枝監督、“女優”広瀬すずの進化と成長は「末恐ろしい」と高く評価したという。「海街」とは一転して、主役級の重要な役割を演じた広瀬すず、目力がすばらしい。圧倒的な迫力に驚いた。

作品そのものも、じわっと主人公の犯人の心の内側が見えてくるようになっていて、見終えたあとの時間が重い。すばらしい作品だと思う。原作があるのかと思ったが、逆にノベライズが刊行されているのにも一驚。


仮想現実の物語として期待させるイングレス

2018年10月27日 | アニメ
イングレス
原作:Niantic, Inc.
監督:櫻木優平
脚本:月島総記/月島トラ

====内容紹介====
2013年、スイスの原子核研究機構『CERN』──。ヒッグス粒子発見の影で、ある秘密プロジェクトが発足した。そのプロジェクトの名前は『ナイアンティック計画』。その目的は人間の精神に干渉する未知の物質を研究することにあった。 『エキゾチック・マター(XM)』と呼ばれる事になるその物質は、古来より人々の精神・能力に感応し、人類の歴史にさえ大きな影響を与えてきたのだった。世界各国の機関が、秘密裏にその研究に取り組んだ。XMは、人類の希望または脅威とされ、 大国や巨大企業による争奪戦が巻き起こってゆく。XMの力を受け入れ、人類の進化に利用しようとする『エンライテンド』。XMを脅威と見なし、コントロールしようとする『レジスタンス』。世界はふたつの陣営に別れ、今も争い続けている。この世界で起きている争いの背後には、XMの存在があったのだ。そして、2018年──。東京、そして世界を舞台に、XMをめぐる新たな戦いが幕をあける。アニメーション、オンライン位置情報ゲーム、そして現実がリンクする、かつて体験したことのない新たな「拡張現実エンターテインメント」が、始まる。
====

お勧め度 ★★★★★★☆☆☆☆

遅くスタートした今季の新作アニメの一つ。
少し構えが大げさすぎるような気がするが、構成はしっかりとしている。
主人公の青年も物質に宿る過去の記憶を読み取ることができるという「セシティブ」な人間の一人であり、CERNの実験施設から逃亡してきたサラとともに、世界の破滅を防ごうとする。

わたしたちがみている現実の世界が、ほんとうにそのようなものなのか。現実の実在性に疑問符をつきつける仮想現実の物語として、今後が楽しみである。

読者サービスをしすぎたか、海街diary

2018年10月25日 | 映画
海街diary
監督 是枝裕和
主演 綾瀬はるか, 長澤まさみ, 夏帆, 広瀬すず
原作  吉田秋生

====内容紹介====
まぶしい光に包まれた夏の朝、三姉妹に届いた父の訃報。 十五年前、父は女と出て行き、その後、母も再婚して家を去った。 三姉妹を育てた祖母もとうに亡くなり、広くて古い鎌倉の家には、彼女たちだけが残った。 両親へのわだかまりを抱えた、しっかり者の長女の幸と、そんな姉と何かとぶつかる次女の佳乃、マイぺースな三女の千佳。 三人は父の葬儀で、腹違いの妹すずと出会う。 頼るべき母も既に亡くし、それでも気丈に振る舞う、まだ中学生のすず。 そんな彼女の涙を見て、幸は、別れ際に「いっしょに暮さない?」と誘う。 そして、秋風とともに、すずが鎌倉へやって来る。 四人で始める新しい生活。 それぞれの複雑な想いが浮かび上がる――。
====


この映画も、原作のコミックの映画化である。是枝監督の手腕はたしかで、原作の雰囲気を巧みに生かしている。評判の高い原作であるために、なかなか難しいことだったのではないだろうか。

ただ原作の読者へのリップサービスのようなところが散見される。たとえば次女が信金にかつてのボーイフレンドが定期預金を下ろしにくる場面がちりっと出てくるが、ここは原作ではさまざまな物語がすれ違う大切な場面である。

その複雑な筋を再現する時間的な余裕がないために、それを挨拶のように出したのだろうが、映画だけを見ている人には、何の印象も残らない無駄な場面にしか見えない。読者サービスよりももっと本筋で時間をかける場面は多かったのではないか。原作が作者が訴えようと力を入れていたところも、どこかニュートラルな語りに変えられているところが多かったようだ。

それでも「ひとりしずか」で美人女優ぶりを発揮していた夏帆の変貌には驚かされた。単なる美人女優ではないという新しい境地を開いたのであれば、すばらしいことだ。広瀬すずは存在感を出していて、ほかの男優を食ってしまう力がある。今後が楽しみだ。

マッドマックス/サンダードームの想像力

2018年10月24日 | 映画
マッドマックス/サンダードーム
監督 ジョージ・ミラー
主演 メル・ギブソン, ティナ・ターナー, フランク・スリング

IMDb 6.3
====内容紹介====
核戦争により世界が灰と化して15年。女帝アウンティ・エンティティの支配する街ではサンダードームで開かれる一対一の死闘に熱狂していた。戦士を求めていたアウンティの罠に落ちたマックス。彼を待ち受けていたのは、最強の怪人マスター・ブラスターとの命を賭けた闘いだった!
====

マッドマックスの三作目は、このシリーズでも一番評判が悪いようだ。しかし未来社会の構想という意味では、この作品は傑出している。まず核戦争による社会の崩壊という情況が明確に示されている。水も放射能に汚染され、マックスがガイガー・カウンターを携帯している状態だ。そんな中で、二つの対極的な社会の残滓が示される。

ひとつはバーター経済で存続し、豚の糞をエネルギー源として成立している社会であり、そのボスは無法な女主人である。そこでマックスは女主人にとって邪魔となる社会のキーパーソンを殺害するための道具として利用される。暴力と抑圧と詐欺と決闘の社会である。

もう一つは墜落した飛行機の思い出だけで生き延びて入り原始的な部族社会であり、そこでマックスは飛行機のパイロットの甦りとして歓迎される。原始的な愛と信頼と思いやりの社会である。

最後には部族社会から脱出した人々とともにマックスがバーター社会に潜り込み、それを破壊するという物語になる。このような奇妙な二つの社会を構想し、それを描いた人々の想像力に圧倒された。たしかに部族社会でのマックスはまるで子供たちのお父さんのような善人になってしまうが、バイオレンスなど、適当でいいじゃないか。

マッドマックス2の描く世界

2018年10月24日 | 映画
マッドマックス2
監督 ジョージ・ミラー
主演 メル・ギブソン, ブルース・スペンス, パーノン・ウェルズ

IMDb 7.6/10
====内容紹介====
家族を失ったマックスは、最強マシン(インターセプター)とともにガソリンを求めて彷徨っていた。中東戦争の勃発で石油が貴重品となり、各地で壮絶な奪い合いが続発している。やがてマックスは製油基地を守る人々と暴走族の抗争に遭遇。
====

「マッドマックス」の一作目はまだ現実の領域のなかのことだった。二作目になると、現実から遊離して、ここはどこの世界かと疑わせるようなシチュエーションが設定される。ここしばらく未来世界ものの映画をまとめてみているが、この作品はその一つに分類することができる。それは第三作でさらに顕著なものとなる。

この映画では、なぜマックスがガソリンを求めて荒地をさまよっているのかはまったく説明されないし、問題にもならない。あり状況において、マックスがどう反応し、どう行動するかだけが映画の物語を動かす原動力である。そのようなものとしてみれば、分かりやすい筋立てであり、楽しく鑑賞させてくれる。素朴なヘリコプターを操縦するブルース・スペンスがいい味を出している。

仮想現実の劇として優れたダイバージェントNEO

2018年10月22日 | 映画
ダイバージェントNEO
監督 ロベルト・シュヴェンケ
主演 シャイリーン・ウッドリー, テオ・ジェームズ, マイルズ・テラー


====内容紹介====
全人類を性格で振り分け、【勇敢】【博学】【平和】【高潔】【無欲】という5つの派閥で管理する世界。適性検査により《異端者(ダイバージェント)》であると判明したトリスは、どの派閥にも管理できない危険分子として扱われ、世界を支配しようと企む【博学】の指導者ジェニーンに命を狙われる。トリスは恋人のフォーと兄のケイレブ、【勇敢】のピーターらと共にジョアンナ率いる【平和】の村へ逃れる。しかしジェニーンの追手が迫り、村を追われて派閥から孤立したトリスとフォーは、反乱を目指す〈無派閥〉と合流する。彼らを率いるリーダーは幼少の頃死んだと思っていたフォーの母親イブリンだった。一方ジェニーンは世界の鍵を握る「箱」の封印を解くために、その能力を持つ《異端者》を次々に捕えていた。「箱」の中にはどんな秘密が隠されているのか?トリスはジェニーンを倒し、世界を支配する体制を変えることができるのだろうか?
====
物語は第一作にそのまま接続する。この作品のユニークさは、仮想現実によって主人公の心のうちがすべてさらけ出されることだろう。誰もが自分の置かれた状況のうちで反応し、行動することで、その本心を露呈するのであり、その状況がもしも人為的に作られたものであるならば、それによってその人の本心が誰の目にも明らかになってしまう。
この作品は、五つの派閥分けの意味やその是非などよりも、この心的な試練の構想において傑出している。VRの問題を考えるためには、「トータルリコール」のような活劇の要素はあまりないものの、ぜひ見ておきたい作品の一つである。

風が強く吹いている

2018年10月18日 | 映画
風が強く吹いている
出演: 小出恵介, 林遣都, 中村優一, 五十嵐隼士
監督: 大森寿美男

【内容】
天に与えられた“走る”才能をもった2人の若者が出会った。
致命的な故障でエリート・ランナーへの道を諦めたハイジと、ある事件から走る場を追われたカケルだ。
ハイジはカケルこそが秘かに温めていた計画の切り札だと確信、壮大な夢への第一歩を踏み出す。
それは、同じ寮で共同生活を送る8人のメンバーと学生長距離界最大の華といわれる<箱根駅伝>出場を目指すこと。
ところが彼らは陸上から縁遠い上、漫画オタクや25歳のヘビースモーカー、アフリカから来た留学生……。
しかし、ハイジの緻密なトレーニング法と走ることへの信念、仲間への揺るぎない信頼が、皆を変えていく。
やがて明かされる、ハイジの故障の理由とカケルが起した事件の真相、そして8人それぞれが抱えてきた本当の想い。
果たして、心を一つにした10人は、箱根の頂点に立つことができるのか ―――?
=====

アニメが始まったばかりで、同じ作品を映画化したものをみてしまっては、
「アニメを見る楽しみがなくなるじゃないか」とは思いつつも
アニメとの違いを知りたくて、ついみてしまった。

テニスのような球技の楽しみならよく分かるのだが、
純粋に走ることそのものの快感というものは、どのようなものなのだろうか。
どうも実感できない。それでもオートバイに乗っているときのような
ある種のハイになる快感のようなものが生まれるのだろう。

物語そのものはところどころに「ほんまですか」というような不信感を掻き立てる展開ではあるが
やはり落ち着くところに落ち着く感じ。
もっと女性陣が登場したほうが楽しかったのではないかと思うが、
何しろ男十人で成立する種目らしい。
それでも駅伝という競技のおもしろさと深さは伝わってくる。


ゴブリンスレイヤー

2018年10月17日 | アニメ
ゴブリンスレイヤー

原作:蝸牛くも(GA文庫/SBクリエイティブ刊)
キャラクター原案:神無月昇
監督:尾崎隆晴

====内容紹介====
「俺は世界を救わない。ゴブリンを殺すだけだ。」その辺境のギルドには、ゴブリン討伐だけで銀等級(序列三位)にまで上り詰めた稀有な存在がいるという......。冒険者になって、はじめて組んだパーティがピンチとなった女神官。それを助けた者こそ、ゴブリンスレイヤーと呼ばれる男だった...。彼は手段を選ばず、手間を惜しまずゴブリンだけを退治していく。そんな彼に振り回される女神官、感謝する受付嬢、彼を待つ幼馴染の牛飼い娘。そんな中、彼のうわさを聞き、森人(エルフ)の少女が依頼に現れた―。
====

今年の秋のクールの新作の一つ。よくある冒険者ものだが、
低級と呼ばれて軽蔑されているゴブリン退治だけを専門として、情け容赦のない騎士姿のスレイヤーと
きまじめで情け深い新米の冒険者の女神官の凸凹コンビの組み合わせがユニーク。

原作のコミックは読んでいないが、アニメとしてもなかなか味のある作品になりつつあるようだ。
まだ初回でこれからの展開が待たれる。


阪急電車 片道15分の奇跡

2018年10月17日 | 映画
阪急電車 片道15分の奇跡
出演: 中谷美紀, 戸田恵梨香, 南果歩, 谷村美月, 有村架純
監督: 三宅喜重
原作 有川浩『阪急電車』

====内容紹介====
宝塚から西宮北口間を走る、えんじ色の車体にレトロな内装の阪急今津線。その電車に様々な愛に悩み、やりきれない気持ちを抱えながら、偶然乗り合わせただけの乗客たちがいた―。片道わずか15分のローカル線で起こる、世代を超えた温かい奇跡の物語。
====

「繕い裁つ人」の中谷美紀がよかったので、彼女の主演作をみてみた。オムニバス風で物語を綴る手法は原作のものだろうが、電車の中で起きる物語をつなぎ合わせるには適している。

中谷美紀も好演だが、南果歩と谷村美月もそれぞれに役割をはたしている。「ビリギャル」の有村架純はいかにもそれらしいJKのちょい役。なかでもおばあちゃん役の宮本信子がさすがの貫禄でいい味を出していて、すばらしい。彼女なしではこの作品は成立しなかっだたろう。

万人向けの娯楽映画で、しかも後味がほんのりとした珍しい作品として、お勧めだ。

繕い裁つ人

2018年10月15日 | 映画
繕い裁つ人
出演: 中谷美紀, 三浦貴大, 片桐はいり, 黒木華
監督: 三島有紀子
原作:池辺葵『繕い裁つ人』(講談社 Kiss KCDX)


[内容解説]
あなただけの〈特別な〉一着、仕立てます。
神戸の街を見下ろす坂の上に、その店はあった。「南洋裁店」という小さな看板が掛けられた、古びた洋風の一軒家。
店主の南市江が仕立てる服は、いつも人気。すべて昔ながらの職人スタイルを貫く手作りの一点ものだ。
神戸のデパートに勤める藤井は、市江にブランド化の話を持ち掛けるが、まるで“頑固じじい”のような彼女は、全く興味を示さない。
市江の手がけるのは、祖母で一代目が作った服の仕立直しとサイズ直し、あとは先代のデザインを流用した新作を少しだけ。
「世界で1着だけの、一生もの」--それが市江の繕い裁つ服が愛される、潔くも清い理由だった。
だが、南洋裁店に通い詰めた藤井だけは、市江の秘めた想いに気付いていた。
やがて、彼の言葉に、市江の心は初めて揺れ動く--。
====


原作の六冊の『繕い裁つ人』に以前はまっていたが、実写とあって、おそるおそる拝見した。コミックの実写化は失敗することが多いので。

それでも中谷美紀がすっきりとした寡黙な立ち姿で、主人公を演じきっていので安心した。原作からしてそれほどストーリーのあるものではないので、二時間弱という時間で、原作から引き出せるものを十分に引き出していると感じた。

冒頭の坂道から登場人物が最初は頭だけ、次第に全身像が現れるシーンが、全作のうちに何度も繰り替えされて、そのたびに場面が展開するところが、お、監督、巧みじゃんと思わせた。

実写では実際にドレスを作ってみせなければならないので大変だっただろう。うまくいったところと、少し物足りなく感じたところがあったが、全体的によくできた作品だと思う。何よりも原作の空気感を再現できているのが、すばらしい。


ソードアート・オンライン アリシゼーション

2018年10月15日 | アニメ
ソードアート・オンライン アリシゼーション
原作:川原礫(「電撃文庫」刊)
原作イラスト・キャラクターデザイン原案:abec
監督:小野学

====内容紹介====
「ここは......どこだ......?」気づけばキリトは、なぜか壮大なファンタジーテイストの仮想世界にフルダイブしていた。ログイン直前の記憶があやふやなまま、手がかりを求めて辺りを彷徨う。そして、漆黒の巨木《ギガスシダー》のもとにたどり着いた彼は、一人の少年と出会う。「僕の名前はユージオ。よろしく、キリト君」少年は、仮想世界の住人――《NPC》にもかかわらず、人間と同じ《感情の豊かさ》を持ち合わせていた。ユージオと親交を深めながら、この世界からのログアウトを模索するキリト。そんな彼の脳裏に、ある記憶がよみがえる。それは、幼少期のキリトとユージオが野山を駆け回る想い出――本来、あるはずのない記憶。更にその想い出には、ユージオともう一人、金色の髪を持つ少女の姿があった。名前は、アリス。絶対に忘れてはいけないはずの、大切な名前――。
====

ソードアート・オンラインのシリーズ三作目。
今季の新しいシリーズの一作。
ソードアート・オンラインは、最初にラノベで読んだときはそれほど感心しなかったが、アニメになってみると、よくできた作品だと思った。 今回は三作目ということで、また新たな展開が期待できる。

雰囲気がかなり変わって主人公も幼くなるようだ。設定に少し無理があるような感じがしたのだが、前のシリーズとの雰囲気の違いのためかもしれない。ともかく4クールの長丁場になるらしいので、早まった結論を出さずにゆっくりと拝見したい。

魂がどこにあるのかというお決まりの疑問はは、どう展開されるのか。

ダイバージェント

2018年10月15日 | 映画
ダイバージェント
出演: シャイリーン・ウッドリー, テオ・ジェームズ, アシュレイ・ジャッド, レイ・スティーヴンソン, マギー・Q
監督: ニール・バーガー

====内容紹介====
ベロニカ・ロスの世界的大ベストセラー小説『ダイバージェント』が映画化!最終戦争から150年。人類はたった一度の適性検査で5つの属性=「勇敢」「博学」「平和」「高潔」「無欲」に振り分けられ、生涯を過ごすことを義務付けられていた。属性にも該当しない者は政府の抹殺対象であり、そのいずれにも属さない少女・トリスは、命を狙われる。判定を偽り、戦士へと変貌を遂げたトリスは敵に、そして世界に立ち向かう…。
====

IMDb★★★★★★★6.7
未来の社会において、人々がどのように組織化されて生きるかというモデルの一つをうまく提示している。「家族よりも派閥」というモットーが示すように、家族を解体して、人々の生きたい生き方を貫くというもっとも社会のようにみえるが、派閥の争いはそれだけ激しくなる。結局は頼れるものは家族と愛だけだということになるのだが。
この作品が傑出しているのは、こうした派閥の分類のために厳しい検査が行われ、その検査において仮想現実においてその人がどのように行動するかというチェックが行われることにある。仮想現実と生の現実が次第に区別しにくくなり、観客もどちらの現実にいるのかが、分からなくなる。その現実の重層性と仮想性が物語を引っ張る。海外の専門家の評価は高くないが、よくできた作品だと思う。