(CNN) 40年前の4月3日、米モトローラの副社長だったマーティン・クーパー氏はニューヨーク市内の歩道に立ち、携帯電話から電話をかけた。公の場で史上初めて携帯電話が使われた瞬間だった。
後に「DynaTAC」という製品名で発売されたこの携帯電話は、レンガのようにずんぐりした格好だった。その後40年を経て薄型化と小型化が進み、あらゆる技術が搭載されて、今やタブレットコンピューターの機能まで果たす携帯が登場している。
クーパー氏は昨年のインタビューで、「いつか誰もが(携帯)電話を持つようになるとは思っていたが、自分が生きているうちにそうなるとは想像できなかった」と振り返った。
同氏のチームは当時、携帯電話の開発でAT&Tのベル研究所としのぎを削っていた。1973年4月3日にクーパー氏が使ってみせたのは、約3カ月かけて開発したモデルだった。
そして最初の通話の相手に選んだのは、ベル研究所を率いていたAT&Tのジョエル・エンゲル氏。「ジョエル、私は今、携帯電話からかけているんだ。本物の携帯電話だよ、手に持って移動できる本物の携帯電話だ」と話しかけたという。
クーパー氏はこの時のエンゲル氏の反応について、「彼が言ったことは正確には覚えていないけれど、しばらくの間沈黙が続いた」「きっと歯ぎしりしていたんだろう。彼は丁寧に電話を切った。その時のことを尋ねられると、覚えていないと言うんだ」と話す。
DynaTACが発売されるまでにはそれから10年かかった。当時の値段は3900ドル(現在のレートで約36万円)、重さは1キロを超え、長さは約30センチもあった。
今は84歳になったクーパー氏は、自分たちが作り上げた製品の進化にすべて満足しているわけではなさそうだ。「これほど何もかもが1台に詰め込まれるとは想像もしなかった。それが素晴らしいことなのかどうかは確信が持てない」「電話はあまりに複雑で使いにくくなり、本当に人々のものなのか、それとも技術者のものなのか、分からなくなった」
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます