クラシック音楽徒然草

ほぼ40年一貫してフルトヴェングラーとグレン・グールドが好き、だが楽譜もろくに読めない音楽素人が思ったことを綴る

興奮の≪幻想交響曲≫狂乱のフィナーレ@2023.3.21

2023-03-23 13:19:32 | 演奏会感想
今年の読響川越公演は独奏にHIMARIちゃん、指揮に下野竜也氏を迎え、パガニーニと「幻想」でした。

赤いドレスを着て登場したHIMARIちゃんはとにかくカワイイ。
キラキラした髪飾りもカワイイし、オケが鳴っているあいだ首でリズムをとっているしぐさもカワイイ。
で、肝心のパガニーニ「ヴァイオリン協奏曲第1番」ですが、じつは人生初聴。
案の上、独奏ヴァイオリンがヴィルトゥオーゾぶりを発揮する曲ですが、どうもわたくしはこの手の曲に不感症らしい。
HIMARIちゃんは一生懸命かつ見事に弾いているが、こっちが聴き手として全然ダメ。
まだ小さいのにこんな曲を弾くと手が腱鞘炎になっちゃうかも、と心配になったりして気もそぞろ。
第2,3楽章はカデンツァもなくてあっさり終わったので、ああ、良かった、と思う始末。
しかし、本日のクライマックスはこの後やってきた。
アンコールにHIMARIちゃんが弾きだしたのは、なんと
 バッハ 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第1番
この曲はつい先日佐藤俊介氏で聴いているが、その時はこちらも聴く気構えができている。
しかし、今回はまったくの不意打ちで、それもパガニーニの後だったから
 ああ、なんとバッハは素晴らしいんだ!!
と心が震え、この曲を持ってきたHIMARIちゃんの心意気にも大感激してしまった。
この先いろいろな良い経験をして、いつの日かバッハ無伴奏全曲演奏会が実現しますように。

さて、メインの「幻想」は、藤原ならぬ下野竜也君のパワフルな指揮で大いに盛り上がった。
先月木管五重奏団としてお出でになった方々の顔も見えて、オーボエの北村貴子さんは終演後舞台裏から登場。
野球も選手の持ち味がわかると面白いのと同じで、各プレーヤーを知るとオーケストラを聴くのもより面白かったりします。

ベートーヴェンが没したのは1827年。「幻想」の作曲は1830年。
何十年か前に初めて「幻想」を聴いたとき(たぶん今でも持っているモントゥー盤)
 たったの3年でこれほど世界が変わるのか!
と大いに驚いた。
しかし、ラモーの死(1764年)から「幻想」の1830年までフランスの音楽界が何をやっていたのか全然知らないことに気がついた。
唯一知っているのは、この間にモーツァルトがパリに来て「パリ交響曲」や「フルートとハープ」を作曲したことくらい。
派手派手しい管弦楽など「幻想」の語法はベートーヴェンからの流れでは唐突に見える。
しかし、フランスではオペラなどでふつうに使われていて、それをベルリオーズが強引に交響曲という器に盛ったのかも。