南西諸島貝殻学入門

分子細胞生物学と博物学の分野に跨る「貝類学」を、初歩から学んでみましょう。美術学や数学的な見地からも興味をそそられます。

南西諸島貝殻学入門-015

2013年09月07日 | 生命科学

 

西南諸島貝殻学入門 

  
               -015

 

お知らせ 

 

 加計呂麻島貝殻図鑑」は現在随時作成次第公開して行きます。

 

 

加計呂麻島生間(いけんま)の埠頭から・・対岸は奄美大島・古仁屋

 

 漸く、台風も過ぎ去り南西諸島・奄美群島にも静かな日が訪れて居ります。 鹿児島本土地方は大雨・土砂災害危険があって大変ですが、此方は反対に水瓶が50%程度旱魃レベルかな。

台風一過で早速大島海峡に貝採りに行って来ました。成果は下記の通り。

 

採取-A

 

採取-B

 

何時ものプライベート・ビーチでは何時ものメンバーがごろごろ落ちていました。・・・<クモガイ>、<イボソデ>、<オニノツノガイ>は何時もの常連でした。比較的完品に近いのがここの浜辺の特徴。山越えて隣の浜でも似たような感じ。

 

 クモガイ

クモガイは棘が折れたり、磨耗したりしていない貝はなかなか手に入りづらいですね。これだけクモガイが採れるのに<ラクダガイ>は皆無のようです。生息していないのかも。太平洋岸は可能性が有ります。見かけは同じですが、棘が短くどちらかというとズングリしています。

 

 イボソデ

イボソデは欠けも磨耗もなく完品揃いです。

 

 オニノツノガイ

オニノツノガイはこれも欠けや磨耗もなく完品に近いです。 次回紹介しますが、この貝の生体を始めて採取できました。今、水槽の中に入れております。元気で今のところ動き回っております。

 でも、悲しいことにこれらの貝達は自然死して、浜に流れ着いているのではないんですね。つまり、人間が海中で採取し、肉だけ取った後すてられた貝殻のです。ですから欠けもなく磨耗もないのですね。筆者はそれを分かっていますので、何か悲しい思いがしてなりません。それでも拾い集めているのは、チャンスが有ったら山の中の小学校の生徒達にプレゼントする時に、せめて役に立ったらとの思いからなのです。

浜の所々に木々の焼け跡が有り、その中に貝が真っ黒にこげて棄てられております。無残な感じですね。娯楽の為に魚介を採取するのは反対ですね。 これらの魚介類がここまで成長するには、大変な苦難と時間とチャンスが必要なのです。貝殻を採取している内にそれが実感として分かります。

                        クモガイ

貝殻も良い品質のものを求めると、ついには生貝に手を出すことになります。先日も、実久という島の先端の浜で、台風の大波に打ち上げられた貝を数個見つけました。急いで容器に砂を入れて海水を入れて持ち帰り、水槽に入れましたが、今は活動しております。

そのまま、海中に戻せばそれで良いのですが、それでは貝の生態は分りません。実際に飼って見て始めて分る事もあります。専門書にもそこまでは掲載されておりません。貝殻の高価な専門書は数々有りますが。水槽では長い間は飼えませんが、何を食べ、どのように活動するかを知っただけでも、その後に役立つと思います。

                          イボソデ

 

 

下の、<法螺貝>と<スイジガイ>を見てください。ほら貝は270mm程度の中程度の大きさです。大きく丸まった殻の部分が壊れています。 近くに破片が有りましたので、台風の大波で打ち上げられ、珊瑚の石で壊れた可能性もあります。 でも、人為的に採取されて肉を取る為に割られ、海に投げ捨てられたのかもしれません。

スイジガイもこれは幼貝ですね。大きくなると24~280mm位に成長できます。貝の先端の部分の磨耗が有りませんから、人為的に採取され肉を取られて棄てられたのでしょう。採取場所は何れも漁港の傍の石浜でした。

 

 

 

この程度のほら貝は研磨して商品にして、ショーウインドウに飾ると、¥20~25.000円の値が付きます。ですから貝殻としての商品価値はあるのです。 でもここまで大きくなるにはどれくらいの時間が掛かるでしょう。でも、自然界においては、ほら貝はオニヒトデを食料としますので珊瑚を守る大事な貝なのです。海の自然は微妙なバランスの上になりったて居りますから、娯楽のためだけの、肉を取るためだけの採取は止めてほしいですね。

今の日本人は食料難でも有りません。貝を食料としなくても大丈夫栄養を補給できます。 精々、アサリ、ハマグリ位で我慢したらと思いますが。いかがでしょうか。 

法螺貝側面 

 

実際の完品に近い法螺貝 

 

 

 笊の中には様々な貝が入っております。<ベニタケ>、<トンボガイ>、<キセルガイ>、<タケノコガイの仲間(名称不明)>、タカラガイ、ナデシコガイ・・・・貝の蓋などいろいろ。

 

      

         ちょっと一服

話の喫茶店 

 

思いがけない拾い物 

 

ジャノメダカラ>・(蛇の目宝)

生きている海の宝石)より掲載(以下同じ)

殻の径が80mm程度の大きなタカラガイ。

インド・熱帯太平洋・奄美海域にも生息するが、珍しい部類のタカラガイ

 

  先に紹介しました<法螺貝>を拾った傍の大きな岩の隅っこで、初めて殻の模様が薄っすらと確認できる、ジャノメダカラを拾いました。残念なことに欠けていますが、間違いなく蛇の目の模様が入っている。上の写真の右側の種類かも?

                 ジャノメダカラ

 

     各所に蛇の目の丸い跡が見えます。

                         

                                            ↑ 蛇の目の模様が見えます。

 

 

  殻の裏は間違いなく<ジャノメダカラ>のものです。下の写真通りの模様があります。完品は採取された海中に生息しているのは間違いないでしょう。それ程深いところではないようですが・・・殻径は60~88mmですから、可なり大き目の貝でした。残念! 欠けていなかったらね。 大波で壊れたと思います。

                    完品のジャノメダカラ

 

 実は欠けていない蛇の目宝を以前拾っておりました。同じ太平洋岸の砂浜で。 

 

 

すっかり殻の表面が磨耗していて、何がなにやら分らない状態。でも欠けていなかったので持っておりました。今回殻口の模様で判明。 これも残念! 模様が磨耗してなかったら 

 

同定が出来なくても、不明な貝は棄ててはいけない・・・・磨耗しても珍品の可能性あり 

ですから、大量の分けの分らない欠けた貝が、2箱ほど段ボールに入っておりますので、中には磨耗していますが超珍品の貝が有るかも。 日本宝のどれかが。 可能性は有りますよ! その内に念入りに調べてみましょう。

もしかして・・・<アケボノダカラ>だったら、大変だ!  

 次回は本日の続きと、<実久>の採取結果をご覧ください。

嵐で生貝が浜辺にごろごろ!

 

 

 

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2 コメント

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Unknown (はらはち)
2013-09-07 21:43:58
こんばんは(^_^)

採集、お疲れ様です。大物ばかり、持ち帰るのも一苦労ですね。
イボソデ!ゴロゴロですね。うらやましい~。
私も以前1つだけ拾いましたが、口がちゃんと出来ていなかったので、口の厚いちゃんとした標本がほしいところです。

採集された不明タケノコガイ科ですが、肌色地に白いまだら模様のやつは「カニモリタケ」だと思います。私も、同じような口の欠けたやつを拾ったことがあります。

次回も楽しみです(^_^)/
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何時もの顔ぶれで (サワラちゃん)
2013-09-09 03:23:39
<イボソデ>は漁師さんの傍の海岸で、なんとか完品が手に入ります。最近分ったのですが、見掛けは同じでも殻口の形状が違うのが数個見つかりました。2種類あるようですが?
<標本用>にでしたら送ってあげます。他にも別の貝がブログで見かければ、一緒に送りましょう。私のアドレスは分りますか?・・・送り先を連絡してください。
私の過去ブログを検索して、他の貝の名前も特定してください。沖縄の状況は余り分らないので・・・
<カニモリタケ>ですか。ありがとうございます。
この手は同定に苦労します。

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