震災1年 ぶり返す悲しみ 被災者へのケア 専門家呼び掛け
2012年3月6日 13時56分
東日本大震災から一年を前に、被災者や遺族らの傷ついた心を支える「グリーフ(悲嘆)ケア」があらためて問われている。
立ち直ったとみられても、節目の日の前後は気持ちが不安定になりがちで、専門家は「被災者にも周囲の人にも気持ちの変化を正しく知ってほしい」と呼び掛ける。
(赤川肇)
自宅が全壊し、多くの知人が亡くなった宮城県東松島市の安倍志摩子さん(50)は十一日を迎えるのが心配だ。
「震災さえなければみんな生きていたのにと考えると、十一日の同じ時間に自分がどんな気持ちになるのか。精神的に不安定になる被災者がたくさん出るのでは」と懸念する。
「仮設住宅に入って酒に依存するようになってしまった」「これからの生活が不安」。
宮城県内最多の三千二百人が死亡した石巻市。
精神的ケアの拠点として市が昨年十月、JR石巻駅前に設置した「からころステーション」には一日平均十人が相談に訪れる。
体と心を意味する「からころ」。
ステーションでは臨床心理士が相談を受け、精神科医や看護師らが仮設住宅に足を運ぶ。
命日が近づき、悲しみがぶり返したり、不安になったりする「記念日反応」と呼ばれる現象に気をもむ。
テレビで震災の映像を繰り返し見ることなどでも増幅するという。
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所(東京都小平市)の犯罪被害者等支援研究室長、中島聡美さんは震災後、岩手県で精神的ケアの支援を続けてきた。
「つらくて追悼行事に向き合えない人もいる。記念日反応を自然なものととらえ、それぞれの一周忌の過ごし方を
話し合ってほしい」と話す。
対処の方法として、安心できる人と一緒にいたり、生活の場所から一時離れて気をまぎらすといったことも必要という。
中島さんらは「災害グリーフサポートプロジェクト(JDGS)」を発足させ、インターネットで対処法や相談先などの
情報を提供している。
(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012030690135617.html
2012年3月6日 13時56分
東日本大震災から一年を前に、被災者や遺族らの傷ついた心を支える「グリーフ(悲嘆)ケア」があらためて問われている。
立ち直ったとみられても、節目の日の前後は気持ちが不安定になりがちで、専門家は「被災者にも周囲の人にも気持ちの変化を正しく知ってほしい」と呼び掛ける。
(赤川肇)
自宅が全壊し、多くの知人が亡くなった宮城県東松島市の安倍志摩子さん(50)は十一日を迎えるのが心配だ。
「震災さえなければみんな生きていたのにと考えると、十一日の同じ時間に自分がどんな気持ちになるのか。精神的に不安定になる被災者がたくさん出るのでは」と懸念する。
「仮設住宅に入って酒に依存するようになってしまった」「これからの生活が不安」。
宮城県内最多の三千二百人が死亡した石巻市。
精神的ケアの拠点として市が昨年十月、JR石巻駅前に設置した「からころステーション」には一日平均十人が相談に訪れる。
体と心を意味する「からころ」。
ステーションでは臨床心理士が相談を受け、精神科医や看護師らが仮設住宅に足を運ぶ。
命日が近づき、悲しみがぶり返したり、不安になったりする「記念日反応」と呼ばれる現象に気をもむ。
テレビで震災の映像を繰り返し見ることなどでも増幅するという。
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所(東京都小平市)の犯罪被害者等支援研究室長、中島聡美さんは震災後、岩手県で精神的ケアの支援を続けてきた。
「つらくて追悼行事に向き合えない人もいる。記念日反応を自然なものととらえ、それぞれの一周忌の過ごし方を
話し合ってほしい」と話す。
対処の方法として、安心できる人と一緒にいたり、生活の場所から一時離れて気をまぎらすといったことも必要という。
中島さんらは「災害グリーフサポートプロジェクト(JDGS)」を発足させ、インターネットで対処法や相談先などの
情報を提供している。
(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012030690135617.html