さて、第1回目のお題は『カラビナ』とお伝えしていましたが、
『カラビナ』と一言で言っても、実はいろんな種類のタイプに分けることが出来ます♪
また、カラビナって(当たり前ですが)、単体で使うことはありません♪
何かと何かを接続させるための道具ですからね♪
ということで、カラビナシリーズ(全3回予定)ということで、
第1回目はクイックドロー(通称ヌンチャク)について語りたいと思います。
これは僕のヌンチャクの1部です。
まず簡単(ざっくりですが;笑)に、この道具<クイックドロー>の説明ですが、
クライマーが岩(壁)を登るときに使います。
クライマーは自分の安全を守るために、
壁に埋め込まれているボルトにこのヌンチャクをセットして、そこに自分のロープを通します。
それによって、もし落ちても最低限大丈夫な安全を手に入れる訳です。
お店に行けば、きっと何十種類ものクイックドローが売られていることでしょう!
そこで問題です。
どれが良いのか?
どれが使いやすいのか?
どれが自分の使い方に適しているのか?
はじめたばかりのクライマーは、きっと迷って途方に暮れてしまうでしょう(笑)!
今回しっかり勉強して、自分にとってBESTなクイックドローに出会いましょう!
これは今自分がメインで使用しているクイックドロー(ブラックダイアモンド社:ポジトロンクイックドロー)です。
クイックドローは、3つのパーツで構成されています。
上下にそれぞれカラビナがあって、それを真ん中のスリング(布の部分)というパーツが繋いでいます。
当然どの部分にも、それぞれしっかりとした役割があります。
※スリングについてはまた後日語りたいと思います(笑)。
写真をよく見ると、カラビナも上と下の違いがあるのですが、わかりますか?
はい、簡単ですよね♪
上の方のカラビナはゲートがまっすぐ(ストレートゲートタイプ)で、
下の方は緩くカーブ(ベントゲートタイプ)になっています。
では、どうしてそんなところが違うのかはおわかりでしょうか???
答えは、
ストレートゲートのカラビナは、ハンガーの方にクリップするカラビナになります。
ハンガーは金属なので、カラビナをゲートに押しつけて押せば簡単にクリップが出来るのです。
そして、ベントゲートのカラビナは、ロープをクリップするカラビナになります。
ベントがあることによって、ロープの居場所が出来て、クリップが非常にし易くなるのです。
こんなちょっとの違いですが、効果はまさに歴然です!
なので、ほとんどのカラビナが、ストレートゲートとベントゲートの2種類ある訳なのです!
御存じでしたか!?
そして、それ以外にもカラビナにはたくさんの種類があります。
今回はその中から、代表的な3つの形状のカラビナをあげて、
それぞれの特徴(性格)を書きたいと思います。
まずは1番オーソドックスなタイプのカラビナ!
1)ピンロックカラビナ
おそらくこのタイプのカラビナが、今まで一番売れたのではないでしょうか。
今現在では次に紹介するキーロックカラビナに主流を奪われてしまいましたが、
まだまだ、今現在でもたくさんのクライマーが使っていますね。
代表的なモデルで言えば、ブラックダイヤモンド社の『クイックシルバー』あたりではないでしょうか。
メリット:ある意味1番バランスのとれたカラビナと言えるかもしれません。今のいろいろなカラビナの原点的なカラビナと言えるでしょう。
デメリット:キーロックカラビナの出現により、ゲート部分のピンロック形状が問題視されるようになった。
(※このことについては、次のキーロックカラビナで説明します。)
これから新しく揃えるのであれば、次のキーロックのタイプをお勧めします。
次は今の主役と言ってもよいカラビナ!
2)キーロックカラビナ
最近、いろいろな機構の面白いカラビナ達が登場していますが、
その安全性や最終的な性能がわかるまでは、まだまだ現代の主流のカラビナと言っていいでしょう。
代表的なモデルで言えば、ぺツル社のスピリットでしょう!これは間違いありません!
メリット:まさにキーロック形状です。下の写真をご覧ください。
右がキーロック、左がピンロックカラビナです。違いは、この凹みがあるか無いかですが、
それがとても大きな意味を持っています。
山(岩場)に行けば、1日カラビナをつけたり外したりの作業を繰り返す訳ですが、この凹みにいろいろな物(ハンガー、スリング、ロープ、指など)が引っ掛かり、とてもストレスフルな時があります。そのイライラをキーロックが全て解消し、安全に使用出来るようになったのです。冬季クライミングでグローブを使用していても引っ掛かり難いです。
デメリット:今でこそ、だいぶ安くなってきましたが、
10年近く前では一般的なクイックドローの1.5~2倍近くの値段。つまり高値の花でした(笑)。
自分の周りには欲しくても買えないクライマーがたくさんいました(笑)。
登場して、少し時間は経ちましたが、革命児タイプ(笑)のカラビナ!
3)ワイヤーゲートカラビナ
斬新なデザインのカラビナですね。違いは一目瞭然!ゲート部分がワイヤー形状になっているところです!
代表的なところで言えばブラックダイヤモンド社のホットワイヤー、ワイルドカントリー社のヘリウム(これはワイヤゲートでキーロックシステムのとても素晴らしいカラビナです。)あたりでしょうか。
メリット:ゲートをワイヤー形状にすることによって大胆な軽量化に成功しました。
一般的なカラビナに加え10~15グラムくらい軽量です。
つまり5個くらいで1個分の重さが違うと言うことはビックウォールや遠征(アルパインクライミング)、
または重たい荷物を好まない女性の使用など、様々なメリットがあります。
また構造上、雪に詰まり辛く、クリップの操作も非常にしやすいため、
冬季での(冬用グローブ)使用や、手の小さな女性や子どものクリップにもとても適していると思います。
また、ウィップラッシュ現象に強いのもとても大きなメリットと言えるでしょう。
(ウィップラッシュ現象とは、墜落時ロープの摩擦によりカラビナが微振動し、 ゲートが慣性のためにその振動に同調できず開いてしまうこと。最悪の場合はカラビナ破断により重大な事故につながる可能性が高いです。)。
デメリット:メリットを読むとまさに最高のカラビナとも思えます。
が、そのメリット故のデメリットも存在します。
ゲート部分のみをワイヤーにすることによってカラビナの重量バランスが非常に悪くなった。
たまに下のような写真の状態になってしまうことがあります。これで落ちたらどうなるでしょう?
また、クリップがしやすいと言うことは、逆に外れやすいと言うこと。
これは分かって使用していれば時にメリットにもなりますが、
自分の知らない所で起きた場合はとても危険なデメリットになります。
過去、カラビナが岩に引っ掛って自分のロープ(あるいはパートナーのロープ)が外れた経験が3~4回ありました(ノーマルゲートでは経験ありません)。
簡単に書くと、これが個々のカラビナの性格です。
通になれば、カラビナ、スリングを別々に買って、
自分だけのオリジナルクイックドローを作って使っている人もたくさんいます。
例えば、上の写真のクイックドロー
ハンガー側のカラビナをぺツル社のスピリット(または他社のキーロック形状のカラビナ)にして、操作性・安全性を高め、ロープ側のカラビナをワイヤーゲートにしてクリップの操作性を高める組み合わせです♪
このケースで使っているクライマーは、結構たくさんいますよね♪
少し長くなってしまいましたが(書こうと思えばいくらでも書けちゃいます;笑)、
とりあえず、第1回のカラビナ<クイックドロー>のお話はこれでおしまい♪
最後まで読んでくれてありがとうございました。
もしわからないこと・気になることがありましたら、
アラジンで気軽に聞いて下さいね♪
弘資
こういう記事って大事ですよね。
自分にとってのBEST、状況によって違うものだったりしますよね。自分は、ハンガー側はキーロック、ロープ側はキーロックのベントゲートとワイヤーゲートの両方を持つようにしています。
その人によってBESTって違いますよね♪
メリット・デメリットはある意味表裏一体!
しっかりとその道具の性格を理解して使いたいものですね♪
僕もひげたぬきさんのセットと同じのを使っています!
使いやすいですよね♪
コメントありがとう!
そう書いて貰えると、ホント嬉しいものですね!
このカテゴリーの切っ掛けを作ってくれたのは、
野外塾さんです!
ホントにありがとう!
次回も楽しみにしててね♪
初級者に貸したときに、どっちがハンガー側か判らないとのこと。
固定してある方がロープ側ってことになるんですが、確かに判りづらいかと。。。
ストレートゲートとベントゲート、ストレートゲートとワイヤーゲートだとそういうことにならないので、その1件以来、両方ワイヤーゲートのヌンチャクは、人に貸さないようにしています。
ありがとうございました!
スリングのハンガー側とロープ側の、意味を分かっていなくて、反対に使っている人って結構いますよね。
また、
初心者は、あまりカラビナの向き(登る方向に対してゲートを逆にする)を考えないでセットする場合が多いので、普通のゲートのカラビナの使うのが良いかなと自分は思ってます!