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Krannert@Purdue Univ.でのMBA留学。 学んだこと、考えたこと、書き綴っていきます。

Manufacturing Strategy-PositioningとCapability

2005-02-25 | MBA-学び
 第6モジュールで履修した「Manufacutiring Strategy」というクラスで学んだことの備忘録&若干の考察。(英字だらけでゴメンなさい)

◇Strategy(戦略)= How to gain "Sustainable Competitive Adantage"(持続的な競争優位をいかに築くか)

◇戦略論には「Positioning focused View」と「Capability focused view」の二通りがある。前者は、「競合と比較して、どのような価値を提供できる存在として(=どのように差別化して)、顧客に認識してもらうか」が、競争優位を築くために重要と主張する考え方。 一方、後者は、「競合に真似できない価値を創り出す、提供する能力を組織が身につけること」が重要だと主張する考え方。

◇もちろん、両方とも重要であることは言うまでもないが、このクラスでは、「Capabilityの方がより重要である」というのが教授の主張。この点は強く共感した。そもそも、顧客に提供する「価値」を創り出す能力(Capability)がなくては、仮にマーケティングであの手この手を使って強力なポジションを得ても(Positioning)、長続きはしない。企業の競争力の源泉は、あくまで組織のCapabilityだと強く思う。

◇さて、ではCapabilityとは何か。競争優位を創り出すCapabilityであるからには、簡単に競合が真似できないものでなくてはならない。その特徴としては、次の3点が挙げられる。
(1)Complexity ビジネスプロセスを通じて生まれる複雑で外部からは理解しにくいもの。長年培われたOrganizational Learning(組織として学習し、身に着けたこと)などがこれにあたる。
(2)Organizational Diffuseness 組織の様々な部署が広く連携して行われるプロセス。たとえば、商品開発を、開発、マーケティング、製造部門など、多くの部門がうまく連携して行っているCross functionalなプロセスはなかなか真似できない。
(3)Well-Developed Interface 組織の中のコミュニケーションの方法、手段、道具。個々人の能力をいかにチームとして、組織としての能力に発展させていくかが重要。

 忘れてはいけないのは、こうしたCapabilityの優位さは常に変わりうる(過去の優位は未来の足枷になり得るという意味で)ので、常に進化させていかなければならないということ。それには、組織として学習する力(Learning Organization)、常に改善・進化に取り組み、妥協しないという人々のマインドと行動が不可欠。

◇製造業が目指す競争優位は、以下の5種類が考えられる。どれを目指すのか、そのためにはどのようなCapabilityを身につける必要があるのか、どのように身につけていくのかを考えるのが「戦略」である。
(1)Lowest price/cost(最低価格、コスト)
(2)Highest quality(最高の品質)
- Product/Service performance(製品の性能)、torelence(耐久性)、purity(純度)
- Customer Service
 などで、「最高」を提供する。
(3)Most dependable(最も頼りになること)
- Product/Service (製品そのものの信頼性)
- Delivery or availability(すぐにいつでも手に入る)
- Field service/Repair(どこでもいつでもアフターサービス)
(4)More flexibile(より柔軟)
- Broad product line(品揃えの豊富さ)
- Customized products(特注に対応)
- Fast response/Delively times(即答即納)
(5)Most innovative(革新的)
- New products(新商品開発において最も革新的)
- Latest technology(最先端の技術を誇る)

◇ 自社の置かれた環境(顧客、競合)と自社の現在のリソース、将来獲得するリソースをよく捉え、どの競争優位を獲得しにいくのか、そのためにどのようなCapabilityを身につける必要があるのか、そのためにはどのようなマインド・行動様式を組織の人々が持たねばならないのか、全てはここから始まる。

Class: Manufacturing Strategy (Prof. Tom Brush)

NBA: Pacers vs. Heat観戦

2005-02-25 | Sports
 昨日はNBAのIndiana Pacers対Miami Heatを観戦。今シーズンはこれが初のコンセコ・フィールドハウス(Pacersの本拠地)行きだ。残念ながら、お目当てのひとり、Heatのシャキール・オニールは前日の試合で故障して欠場、、、残念。が、期待通りの能力の高さを見せたウェイド(Heat)のプレーを堪能し、何より我らがPecersが延長の末、ジャーメイン・オニールの決勝ゴールで勝利! ご満悦の観戦だった。普段はとても勝負強いとは言えないジャーメイン、たまにはやるじゃないか。さてさて、試合の方は一緒に観戦した超玄人の解説 にお任せするとして、インディアナ州のバスケ事情についてご紹介。

 インディアナ州は、「Hearts of Basketball」と名乗るほどバスケットボールの盛んな土地である。昨シーズンまでは、試合前の選手紹介のとき、場内が暗くなり、中央のスクリーンにこんな台詞が流れていた。
"In 49 states, it is just a basketball... But here is Indiana!!!"
初めてこれを見たときはかなり感動した。インディアナのバスケットへの愛着と誇りが滲み出ている台詞である。

 観客席をみても、老若男女それぞれが本当にバスケットを楽しんでいる。コンセコフィールドハウスで(僕の)目に付くのは、「農場経営風の初老の白人夫婦(注:「農場」はあくまでイメージ」)。たいがい、奥様の方がノリがよく、”Come'n Guys!”とか"Get that ball!"などと呟いたり叫んだり、タイムアウトで音楽がかかると踊ったりと、本当に楽しそうである。納得のいかない審判の判定に「ねぇ、今のはファウルじゃないわよね、どうかしてるわ、あの審判」(注:あくまで想像による和訳)と隣の旦那に食って掛かり、穏やかにたしなめられている様子など、いと微笑ましき。 今回も、隣はバスケットボールのピアスをしたおば様。叫ぶタイプではなく、しきりと呟くタイプだったが、プレイに関してなかなか的を得た呟きにインディアナのバスケットボールの奥深さを感じた。

 明日金曜日もこんどはレブロン・ジェームズ率いるCleveland戦を観戦予定。来週の期末試験や〆切の迫った各種レポートのことは忘れ、、、もとい、レポートに取り組む鋭気を養うため、楽しんでこよう。

ヴァレンタイン at チャイルドケア

2005-02-17 | Community/Family
 米国ではヴァレンタイン=女性→男性にチョコではない。恋愛(←すっかり縁遠い言葉だ。。)とは無関係にギフトを贈り合う日のようである。 ただ、わがビジネススクールでは特に盛り上げるイベントもなく、いつも通りの慌しい一日であった。

 が、息子(3歳)の通うチャイルドケアでは異なる。同じクラスの子供全員に、ちょっとしたお菓子などのギフトを贈り合うのが恒例である。当然、宛名を書いたカードをつけるため、ヴァレンタインが近くなると、チャイルドケアの先生が、クラスの子供の名前一覧を書いた紙まで用意してくれる手回しの良さである。昨年のヴァレンタインではそんな習慣があるとは露知らず、わが息子だけが何も贈らずに山のようなお菓子を持ち帰ってきた。

 で、今年はしっかり(妻が)準備。少し毛色の違ったものを、ということで日本製のグミを用意し、カードにFrom (息子の名前)to (友達の名前)を書き込んで簡単に包装。息子は訳は分かっていないだろうが、ギフトが詰まった袋を得意げに抱えて登園したのであった。さて、教え込んだ「This is for you!」の台詞をうまく使えたかどうかは定かではない。。。

摩擦=チャンス

2005-02-13 | MBA-学び
 組織に摩擦はつきものである。営業vs製造、マーケティングvs開発、上司vs部下など、どんな会社でも日常的に何らかの摩擦が起きていることだろう。ただ、摩擦をどう扱うかによって、組織の力、強さの差は天と地ほどに大きくなる。 今週、Organizational Developmentで、ある会社の摩擦の解決方法に関するケースを取り扱った。このクラスのネタばかり書いているが、今後の役に立ちそうな話が本当に多いのである。

 以下、このケースのポイント。
◆ 摩擦への対処の前に、最も大切なのは「摩擦=改善へのチャンス」と捉える意識を人々が共有していること。
◆ こういう意識があると、摩擦が生じた場合に、問題を表面化させること(Bring problems on the table)ができる。
◆ 実際に摩擦に対処する際に大切なこと
(1)Stragith Speaking:問題について率直に話す。もちろん頻繁にコミュニケーションをとること、コミュニケーションの労を厭わないことが大切。
(2)Generous Listening:人の話をちゃんと聞く。先入観、予断を持たずに、虚心に聞く。
(3)Honoring Agreement:相手の話をよく聞き、率直に話し合って合意を作る。ここで大切なのは合意を尊重すること。合意したことをやり切ること。それぞれが合意したことをやり切ることで、信頼が生まれる。
(4)Making Request:仮に合意通りに事が進みそうにない事態に陥ったら、躊躇せずに再び見直しを求める。黙っていることが一番いけない。

 次いで、トヨタの例が挙げられた。(余談だが、ビジネススクールで語られるトピックの多くにトヨタは登場する。70-80年代以降、いかに米国がトヨタに学び、かつトヨタが今なお学ばれるに値する組織であるかを物語っているように思う) トヨタではどんな些細な問題も必ず表面化させ、決して放置しない。有名な組立ラインの「アンドン」がいい例である。 だが、あくまで問題そのものにこだわり、それを「誰の責任か」という人の問題にすることは許されない、という。 

 常に進化し続ける組織であるためには、この「摩擦=チャンス」マインドと、「率直に話し、聞き、決めたことをやり切る」という行動パターンが、組織文化として根付いていなければならない。 そして、この組織文化を根付かせるのは、トップから現場のマネージャーまでの色々なレベルのリーダーの行動に他ならない。 実際、こうした組織文化を持つ企業の人に話を聞くと、様々なレベルのリーダーが、組織のメンバーに対して、繰り返し問題を表面化させることを促し続け、やり切ることを求め続けることによって、日常に組み込まれているようだ。

 僕が働く会社は従業員70名程度の小さな組織だが、それでもなお、摩擦を避けようとする傾向が時折あるように思う(今は違っていたらスミマセン。→社内の皆様)。 「ポジティブに摩擦を捉え、率直に話し、聞き、決めたことをやり切る」、全員がこのマインドと行動パターンを身につけたとき、強く、かつ心地よい会社になれるのだろう。 というわけで、会社復帰後はあちこちで摩擦を起こして回ろうと考えている。社内の皆様、ご容赦(ご覚悟?)ください。

Class:Organizatinal Development (Prof. Mike Campion)

会議での意思決定の方法

2005-02-11 | MBA-学び
 またOrganizational Developmentというクラスで学んだことを書き残しておきたい。このクラス、そもそも名前が日本語に訳しにくい(組織発展論?ピンと来ないなぁ)が、取り扱っているのは、組織のEffectivenessを向上させるために、どんな手立てを講ずるべきか。ここでいうEffectivenss(実効性?これも訳しにくい)とは、たとえば生産性とか収益性といったパフォーマンスや従業員満足度を指す。要は「よい結果を出し、かつそこで働く人々がHappyな組織にしていくために、どんな手段をとるとよいのか」を学んでいる。
 前学期に、「Management of Change in Organization」というクラス(組織変革論とでもいうか)を履修した。これがまた素晴らしいクラスで、主にリーダーの立場から組織の変革をどうプランし、どう人の心に働きかけ、どのように実行していくのがよいのか、いくつかの方法論を学んだ。こちらが、どのようなステージを経て変革を進めていくべきかという大枠の戦略と、リーダーとして肝に銘じておくべきこと、を主に取り扱ったのに対し、今学期のOrganizational Developmentでは、その各ステージでの具体的な戦術として、どのようなテクニックが有効なのか、を学んでいるイメージ。

 今週、学んだことのひとつがグループによる意思決定の方法。たとえば会議をやってなんらかの意思決定を行う場合、いろいろな方法がある。普通よくあるのは、(1)リーダーを中心に、とにかく意見交換をして、コンセンサスを得ていく方法(Interactive Group)。ただし、この場合、有力なメンバーの意見に引き摺られて、最適な決断に至らなかったり、決断の質よりもグループのコンセンサスを得ることが重視されてしまったり(Group Thinkという)、極端に楽観的ないし悲観的な結論に至ってしまう(Choice Shift)といった弊害があり得る。
 このほか、(2)ブレインストーム的にとにかくアイデアを出していく会議。ただ、これは意思決定のためというより、その前段階であって、別途アイデアを評価して意思決定を下す必要があるだろう。 (3)Nominal Group(これも訳せん)。参加者が予め個別に問題についてアイデアを書いて持参し、リーダーがホワイトボードにそれらを書き出し、それぞれのアイデアについてグループで議論する。最後に参加者が個別にアイデアを好ましい順に評価して投票し、もっとも好まれたアイデアが採用されるというもの。ともにいろいろな弊害がある。
 そこで紹介されたのが、(4)Delhpi Groupという手法(DelphiとはGMからスピンアウトした自動車部品メーカー、この会社で開発されたそうな)。まず、議題が予め明確なことが前提。たとえば、競合の製品のコストを推測するのが議題だとしよう。会議の前に、この議題と参考データを参加者に渡しておく。参加者はそれぞれ推測を立てて提出する。全員の推測値を参加者にフィードバックする。通常、この当初推測はバラバラで、広く分散していることが多い。会議の場で、それぞれがどのような考え方でこの推測を立てたかを説明し、議論する。議論の後で、参加者全員に、それぞれ再び推測値を作ってもらい、集計する。すると、当初推測よりもバラツキが小さくなっていることが多く、これにより得られたコンセンサスを採用すると、推測が当たる可能性が高い(少なくとも大外れしにくい)そうな。 もちろん、議題によっては使いにくい手法だが(例えば顧客との価格交渉をどのようなスタンスで臨むべきかなど)、「理屈として正解が存在する問題」には有効だという。

Class:Organizatinal Development (Prof. Mike Campion)

早期外国語教育と論理的思考能力

2005-02-08 | Community/Family
 ウチの息子(3歳2ヶ月)は1歳6ヶ月で渡米し、現時点で既に人生(笑)の半分以上を米国で過ごしたことになる。 日中は現地のチャイルドケア(保育園みたいなもの)に通っているため、彼は起きている時間の半分強を英語だけの環境で過ごしている。 考えてみれば言葉を話し始めた1歳半から、家では日本語、外では英語の環境にいるのだから、両方の言語をを同程度のスピードで習得しているようだ。 当然、30代になって初めて米国で暮らし始めた父より、発音は比べ物にならないくらいよい。 友達の名前など固有名詞になると、父は何を言っているのか見当がつかないこともままある。 さらに悔しいことに、父の発音を訂正しやがることさえある(rとかthとか)。

 最近、印象深いのは、彼が英語を習得する順序というか、彼の英語の発展のルートが、われわれの学校教育で習得したルートと(当然といえば当然だが)全く異なることである。例えば付加疑問文。It is fun, isn't it?ってやつである。日本の英語教育では、基本的な文法ををマスターした後で登場する代物だが、息子は実に自然にこいつを使う。日頃から友達が遊んでいるときによく使うのだろうが、文法の理屈からこいつを覚えていった父としては、思わず感心してしまう。 あと、助動詞の使い方。あるとき、家の中で僕がドアを音を立てて閉めて、リビングに向かって歩いてくるとき、妻が息子に「あっ誰か来るよ」と話しかけたら、息子曰く「It could be dad!」。could beだって。僕、こんなに自然にcouldを使えません。。。

 さて、ここからが本題。最近、日本でも幼児向けの早期英語教育に関する話題がよく取り上げられているようだ。 なかばブームのようになっている反面、冷ややかな論調も見受けられる。そのなかで、「まずは母国語の習得が大事。母国語が未熟では深い論理的思考を身につけられない」といった批判も目に付く。しかし、である。本当に早期に複数の言語を身につけることは論理的思考能力の育成を阻害するのだろうか?

 そもそも、論理的に物事を考えているとき、日本語で考えるとか、英語で考えるという言い方は当てはまらないように思える。言語化する以前に、抽象的な概念をチャートのように整理しているのではないだろうか。その際、あくまで抽象的な概念に若干の具体性を持たせるために言語を補助的に使っているだけで、英語だろうと日本語だろうとどちらでも使えるように思う。 例えば、僕の場合、ある思考過程を無理やり言葉にしてみると(以下、AとかBとかは英語の名詞句、アとかイは日本語の名詞句)、「AはBという結果を生み出す。ここでA can be classified into ア and イ。ちょっと待て、ア can create result of B without イ。そっか、実はア→Bや」てな具合である。実際は、「という結果を生み出す」なんて言葉にしないで、単に「A→B」という矢印みたいなものを思い浮かべて考えている。

 もちろん、ひとつの言語に習熟することは、1)ボキャブラリーを充実させて、より多くの概念を理解、記憶するため、2)時と場合と相手に応じて、効果的な言い回しを選ぶときの選択肢を広げるため、にとても重要であると思う。 しかし、それと論理的な思考能力とは、あまり関係がないように思える。 極端な例を出せば、5ヶ国語(もっと?)を操るカルロス・ゴーン氏の論理的思考能力の深さを疑う人はいなかろう。

 以上はあくまで言語学に関して全くの素人の考えである。いずれにせよ、息子はあと4ヶ月、英語の読み書きを習得する前に日本に帰ることになるため、何らかの環境を整備しない限り、今覚えている英語など、すぐに忘れてしまうだろう。 日本に帰った後にどんな環境を用意してあげられるか、難しいところである。

株式公開と価値観

2005-02-06 | MBA- 日記・雑感
 Krannert Entrepreneurship Club(KEC、以下「アントレクラブ」)というMBA学生のクラブのバイスプレジデントをやっている。 Entrepreneurship とは起業・創業のこと。クラブには自分でビジネスを始めること、あるいはベンチャーキャピタリストとしてその支援にまわること、などに関心がある学生が集まっている。

 昨日は、僕が企画・運営しているイベント「Meet an Entrepreneur」を開いた。Purdueにお招きした起業家を少人数(5~15名)で囲み、経験談や教訓などを語り合う催しである。 今回のゲストはMs. Elaine Hodgson。Incredible Technologies, Inc.というゲームソフト会社の創業者兼President/CEOである。 このIncredible Technologiesという会社、85年に創業し、96年に.Golden Teeという3-Dのゴルフゲームのヒットで成長してきた従業員100人強の会社だが、いわゆるIT系のベンチャー企業でありながら株式公開をしていないプライベートカンパニーである。

 ミーティングで早速、「どうして株式公開をしないのか?将来もするつもりはないのか?」と質問してみた。すると、「It's my preference of way of life (それが私の生き方の好みなの)」という答え。自分はいかにユーザーに楽しんでもらえるゲームを作るか、それをいかに多くの人に楽しんでもらうか、に集中したい。 株式を公開すると金銭的なリターンにしか関心がない外部投資家に説明して回らなければならない。そこに時間を割くのは自分の好みに反する、というわけだそうだ。だから将来も、仮に素晴らしいビジネスアイデアを見つけて、それが巨額の資金を要するという事態にならない限り、株式公開するつもりはないという。

 まさに「我が意を得たり」であった。僕が中小企業に転職した後、「目標は株式公開かい?」と尋ねられることがよくある。しかし、かつてのネットベンチャー企業の一部にみられたような株式公開を最大の目標とすることに、僕は大きな疑問を持っている。 これは、「何のためにビジネスをやるのか」「どんなことに満足を覚えるのか」という価値観の違いによるものだろう。 僕もお金は欲しい。そりゃたくさんあればあるほどいい。 けど、お金以上に、僕はビジネスそのものを楽しみたい。また、ビジネスを核として、そこに関わる人々が各々のHappinessを追及できる「場」もしくは「コミュニティ」を創りたい。(これを以前今考えている夢として書いたが、ここでは「Happyってお金だけじゃないよね価値観」と呼ぼう)。 しかし、「株式公開を目標」にすると、社会的認知度の向上といった副次的なメリットはあるにせよ、「創業者グループの富を増やすのが目標」という意味合いが強まってしまう。 そもそも株式公開は、あくまでビジネスの成長に必要な資金を調達するための手段のうちのひとつに過ぎず、創業者たちの富を増やすのは副次的な結果である。 僕の場合は、ビジネスを成長させて、ビジネスそのものの楽しみを大きくしたい、より多くの人々とHappiness追求の場を創っていきたい、そのために必要な資金を調達するひとつの手段として株式公開を位置づけている。

 この考え方は、僕が現勤務先の創業者と意気投合し、惚れ込んでしまった理由のひとつである。彼もこんなことを言っていた。「株式公開して、自分の夢も志にも関心を持たずに、端末の向こう側に座ってリターンだけ見ている外部株主のために必死に働けるかい? そんな生き方は空しいよ。 自分は自分と価値観を同じくする人々のためだからこそ、全てを賭けて働けるんだ」。

 米国のビジネススクールで、こんなことを考えている人間はもちろん少数派である。まさか米国で、しかもIT系の成長起業の創業者が同じようなことを考えているとは思いもせず、この出会いをとても嬉しく、心強く思った。

 しかし、悩みはある。 株式公開せずに内部留保と借入金だけに頼ると、どうしても成長のスピードは遅くならざるを得ない。 今回出会ったMs.Hodgsonの会社も、100人規模になるまで20年かかっている。 企業は成長しなければならない、と思う。ファイナンスで教えるところの株主価値を最大化するためではなく、有能な人材を集め、より面白いビジネスをやっていくために、成長が不可欠だからである。 有能な人材を集めるに足る成長スピードをファイナンスし、かつそれが株主資本ならば株主に「お金だけじゃないっしょ」価値観を共有してもらって資金を集めるスキーム、なんかないもんかなぁ。。。

Flat! -Lafayetteという町(1)

2005-02-04 | Community/Family
 今、僕が住んでいるのはIndiana州 West Lafayetteという町。場所はシカゴから南東へ車で2時間半ほど走ったところ。途中、コーン畑の地平線以外に見えるものはない。おそらく半径300キロ圏内に山らしい山はないだろう(たしか東京ー大阪間って600キロ弱?)。まったくもって平坦な土地である。
 以前、マーケティングの授業で3次元のデータを処理するソフトを使って消費者のパーセプションマップを作成したとき、教授が「インディアナの人間には3次元を理解するのは難しい(平坦な2次元の世界に住んでいるから)」という冴えないジョークを使っていた。このじいちゃん教授、おそらく過去10年以上は毎年同じジョークを使っているのだろうが、笑えずとも頷かざるを得ないほどフラットな土地である。
 さて、なぜこんな平坦ネタを書いているかというと、僕がスキー狂だからである。今は厳寒の冬。ここLafayetteでも最高気温が氷点下という日が続いている。1週間前に降った雪が溶けずにそのまま残っており、毎日雪景色を眺めて学校に通っている。が、山がない。当然、スキー場がない。雪を見るだけでワクワクしていた自分が、今や雪といえば家の前の雪掻き(市の条例で義務付けられている)しか連想しない。本当に住み心地のよい町なんだが、スキーができないことだけが玉にキズなんだよね、Lafayette。

プロフィール(2005年1月)

2005-02-03 | My Profile
唐突ですが、僕のプロフィールを載せておきます。

▼名前 高橋 朗 (たかはし あきら)
▼年齢 33歳
▼家族 妻、息子(3歳)、娘(5ヶ月)
▼経歴など
 2003-現在 Purdue University, Krannert School of Management (MBA2005)
 2002-2003 ㈱ KTS
 1994-2002 日本銀行
 
 大学卒業後、日本銀行へ。新潟支店、大阪支店、調査統計局などで景気のリサーチ・予測の仕事を中心に8年間働く。いろいろな企業にお邪魔して、業界動向、見通しなどをヒアリングして回り、ミクロ情報の積み上げから景気の予測を作っていた。日銀の看板のお陰で、町工場のおっちゃんから世界的大企業の社長まで1,000社近くの様々な方々に会えたのはありがたい経験だった。リサーチを通じて、「経営次第ではまだまだイケるはずMade in Japan」と信ずるに至り、後の転職の伏線となる。
 日銀では面白い仕事をさせてもらったが、世の中のプレーヤーとして自分の人生を使いたい、という思いが募り、(飛躍するが)ビジネススクール留学を決意。が、ひょんなことからとある中小企業の創業社長と出会い、惚れ込む。ありがたいことにその社長から彼の会社に入社して留学のスポンサーになってもらうというお話を頂戴し、飛びつく。
 ということで日銀を退職し、㈱KTS(空圧動工具というものを作っている)に転職。1年間の仕事+留学準備を経て、米国インディアナ州にあるパデュー大学のMBAコースに留学、現在に至る。

▼夢
-転職時のキャッチフレーズ
 「中小メーカーのアライアンスでMade in Japanの復権を!」
 「人生のうちに100人の雇用機会を創り出せたら喜べると思う」
-今考えていること
 ものつくりを軸足に置いて、顧客・従業員・取引先・株主の全てが、それぞれのHappinessを追及できるカンパニー兼コミュニティーを創る。自分のHappinessを自分で定義し、成長できる独立した個の集まりたるコミュニティーを。

▼スポーツ
 Play:野球、バスケ、スキー。(正しくは”かつてPlayしていた”)
 Fun:中日ドラゴンズ、Indiana Pacers(NBA)

▼読書
 浅田次郎、栗本薫、塩野七生、司馬遼太郎、宮本輝、ジェフリー・アーチャーなどなどなど。乱読・濫読派。