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Krannert@Purdue Univ.でのMBA留学。 学んだこと、考えたこと、書き綴っていきます。

Manufacturing Strategy-PositioningとCapability

2005-02-25 | MBA-学び
 第6モジュールで履修した「Manufacutiring Strategy」というクラスで学んだことの備忘録&若干の考察。(英字だらけでゴメンなさい)

◇Strategy(戦略)= How to gain "Sustainable Competitive Adantage"(持続的な競争優位をいかに築くか)

◇戦略論には「Positioning focused View」と「Capability focused view」の二通りがある。前者は、「競合と比較して、どのような価値を提供できる存在として(=どのように差別化して)、顧客に認識してもらうか」が、競争優位を築くために重要と主張する考え方。 一方、後者は、「競合に真似できない価値を創り出す、提供する能力を組織が身につけること」が重要だと主張する考え方。

◇もちろん、両方とも重要であることは言うまでもないが、このクラスでは、「Capabilityの方がより重要である」というのが教授の主張。この点は強く共感した。そもそも、顧客に提供する「価値」を創り出す能力(Capability)がなくては、仮にマーケティングであの手この手を使って強力なポジションを得ても(Positioning)、長続きはしない。企業の競争力の源泉は、あくまで組織のCapabilityだと強く思う。

◇さて、ではCapabilityとは何か。競争優位を創り出すCapabilityであるからには、簡単に競合が真似できないものでなくてはならない。その特徴としては、次の3点が挙げられる。
(1)Complexity ビジネスプロセスを通じて生まれる複雑で外部からは理解しにくいもの。長年培われたOrganizational Learning(組織として学習し、身に着けたこと)などがこれにあたる。
(2)Organizational Diffuseness 組織の様々な部署が広く連携して行われるプロセス。たとえば、商品開発を、開発、マーケティング、製造部門など、多くの部門がうまく連携して行っているCross functionalなプロセスはなかなか真似できない。
(3)Well-Developed Interface 組織の中のコミュニケーションの方法、手段、道具。個々人の能力をいかにチームとして、組織としての能力に発展させていくかが重要。

 忘れてはいけないのは、こうしたCapabilityの優位さは常に変わりうる(過去の優位は未来の足枷になり得るという意味で)ので、常に進化させていかなければならないということ。それには、組織として学習する力(Learning Organization)、常に改善・進化に取り組み、妥協しないという人々のマインドと行動が不可欠。

◇製造業が目指す競争優位は、以下の5種類が考えられる。どれを目指すのか、そのためにはどのようなCapabilityを身につける必要があるのか、どのように身につけていくのかを考えるのが「戦略」である。
(1)Lowest price/cost(最低価格、コスト)
(2)Highest quality(最高の品質)
- Product/Service performance(製品の性能)、torelence(耐久性)、purity(純度)
- Customer Service
 などで、「最高」を提供する。
(3)Most dependable(最も頼りになること)
- Product/Service (製品そのものの信頼性)
- Delivery or availability(すぐにいつでも手に入る)
- Field service/Repair(どこでもいつでもアフターサービス)
(4)More flexibile(より柔軟)
- Broad product line(品揃えの豊富さ)
- Customized products(特注に対応)
- Fast response/Delively times(即答即納)
(5)Most innovative(革新的)
- New products(新商品開発において最も革新的)
- Latest technology(最先端の技術を誇る)

◇ 自社の置かれた環境(顧客、競合)と自社の現在のリソース、将来獲得するリソースをよく捉え、どの競争優位を獲得しにいくのか、そのためにどのようなCapabilityを身につける必要があるのか、そのためにはどのようなマインド・行動様式を組織の人々が持たねばならないのか、全てはここから始まる。

Class: Manufacturing Strategy (Prof. Tom Brush)

摩擦=チャンス

2005-02-13 | MBA-学び
 組織に摩擦はつきものである。営業vs製造、マーケティングvs開発、上司vs部下など、どんな会社でも日常的に何らかの摩擦が起きていることだろう。ただ、摩擦をどう扱うかによって、組織の力、強さの差は天と地ほどに大きくなる。 今週、Organizational Developmentで、ある会社の摩擦の解決方法に関するケースを取り扱った。このクラスのネタばかり書いているが、今後の役に立ちそうな話が本当に多いのである。

 以下、このケースのポイント。
◆ 摩擦への対処の前に、最も大切なのは「摩擦=改善へのチャンス」と捉える意識を人々が共有していること。
◆ こういう意識があると、摩擦が生じた場合に、問題を表面化させること(Bring problems on the table)ができる。
◆ 実際に摩擦に対処する際に大切なこと
(1)Stragith Speaking:問題について率直に話す。もちろん頻繁にコミュニケーションをとること、コミュニケーションの労を厭わないことが大切。
(2)Generous Listening:人の話をちゃんと聞く。先入観、予断を持たずに、虚心に聞く。
(3)Honoring Agreement:相手の話をよく聞き、率直に話し合って合意を作る。ここで大切なのは合意を尊重すること。合意したことをやり切ること。それぞれが合意したことをやり切ることで、信頼が生まれる。
(4)Making Request:仮に合意通りに事が進みそうにない事態に陥ったら、躊躇せずに再び見直しを求める。黙っていることが一番いけない。

 次いで、トヨタの例が挙げられた。(余談だが、ビジネススクールで語られるトピックの多くにトヨタは登場する。70-80年代以降、いかに米国がトヨタに学び、かつトヨタが今なお学ばれるに値する組織であるかを物語っているように思う) トヨタではどんな些細な問題も必ず表面化させ、決して放置しない。有名な組立ラインの「アンドン」がいい例である。 だが、あくまで問題そのものにこだわり、それを「誰の責任か」という人の問題にすることは許されない、という。 

 常に進化し続ける組織であるためには、この「摩擦=チャンス」マインドと、「率直に話し、聞き、決めたことをやり切る」という行動パターンが、組織文化として根付いていなければならない。 そして、この組織文化を根付かせるのは、トップから現場のマネージャーまでの色々なレベルのリーダーの行動に他ならない。 実際、こうした組織文化を持つ企業の人に話を聞くと、様々なレベルのリーダーが、組織のメンバーに対して、繰り返し問題を表面化させることを促し続け、やり切ることを求め続けることによって、日常に組み込まれているようだ。

 僕が働く会社は従業員70名程度の小さな組織だが、それでもなお、摩擦を避けようとする傾向が時折あるように思う(今は違っていたらスミマセン。→社内の皆様)。 「ポジティブに摩擦を捉え、率直に話し、聞き、決めたことをやり切る」、全員がこのマインドと行動パターンを身につけたとき、強く、かつ心地よい会社になれるのだろう。 というわけで、会社復帰後はあちこちで摩擦を起こして回ろうと考えている。社内の皆様、ご容赦(ご覚悟?)ください。

Class:Organizatinal Development (Prof. Mike Campion)

会議での意思決定の方法

2005-02-11 | MBA-学び
 またOrganizational Developmentというクラスで学んだことを書き残しておきたい。このクラス、そもそも名前が日本語に訳しにくい(組織発展論?ピンと来ないなぁ)が、取り扱っているのは、組織のEffectivenessを向上させるために、どんな手立てを講ずるべきか。ここでいうEffectivenss(実効性?これも訳しにくい)とは、たとえば生産性とか収益性といったパフォーマンスや従業員満足度を指す。要は「よい結果を出し、かつそこで働く人々がHappyな組織にしていくために、どんな手段をとるとよいのか」を学んでいる。
 前学期に、「Management of Change in Organization」というクラス(組織変革論とでもいうか)を履修した。これがまた素晴らしいクラスで、主にリーダーの立場から組織の変革をどうプランし、どう人の心に働きかけ、どのように実行していくのがよいのか、いくつかの方法論を学んだ。こちらが、どのようなステージを経て変革を進めていくべきかという大枠の戦略と、リーダーとして肝に銘じておくべきこと、を主に取り扱ったのに対し、今学期のOrganizational Developmentでは、その各ステージでの具体的な戦術として、どのようなテクニックが有効なのか、を学んでいるイメージ。

 今週、学んだことのひとつがグループによる意思決定の方法。たとえば会議をやってなんらかの意思決定を行う場合、いろいろな方法がある。普通よくあるのは、(1)リーダーを中心に、とにかく意見交換をして、コンセンサスを得ていく方法(Interactive Group)。ただし、この場合、有力なメンバーの意見に引き摺られて、最適な決断に至らなかったり、決断の質よりもグループのコンセンサスを得ることが重視されてしまったり(Group Thinkという)、極端に楽観的ないし悲観的な結論に至ってしまう(Choice Shift)といった弊害があり得る。
 このほか、(2)ブレインストーム的にとにかくアイデアを出していく会議。ただ、これは意思決定のためというより、その前段階であって、別途アイデアを評価して意思決定を下す必要があるだろう。 (3)Nominal Group(これも訳せん)。参加者が予め個別に問題についてアイデアを書いて持参し、リーダーがホワイトボードにそれらを書き出し、それぞれのアイデアについてグループで議論する。最後に参加者が個別にアイデアを好ましい順に評価して投票し、もっとも好まれたアイデアが採用されるというもの。ともにいろいろな弊害がある。
 そこで紹介されたのが、(4)Delhpi Groupという手法(DelphiとはGMからスピンアウトした自動車部品メーカー、この会社で開発されたそうな)。まず、議題が予め明確なことが前提。たとえば、競合の製品のコストを推測するのが議題だとしよう。会議の前に、この議題と参考データを参加者に渡しておく。参加者はそれぞれ推測を立てて提出する。全員の推測値を参加者にフィードバックする。通常、この当初推測はバラバラで、広く分散していることが多い。会議の場で、それぞれがどのような考え方でこの推測を立てたかを説明し、議論する。議論の後で、参加者全員に、それぞれ再び推測値を作ってもらい、集計する。すると、当初推測よりもバラツキが小さくなっていることが多く、これにより得られたコンセンサスを採用すると、推測が当たる可能性が高い(少なくとも大外れしにくい)そうな。 もちろん、議題によっては使いにくい手法だが(例えば顧客との価格交渉をどのようなスタンスで臨むべきかなど)、「理屈として正解が存在する問題」には有効だという。

Class:Organizatinal Development (Prof. Mike Campion)

効果的なブレインストーミングのやり方

2005-01-25 | MBA-学び
 少人数のグループによるブレインストーミングをどうやって行っているだろうか? ありがちなパターンは、司会役の1人がホワイトボードの前に立って参加者に発言を促し、出てくるアイデアを暫定的にグルーピングしながら書き留めていくというものだろう。

 先日、このOrganizational Developmentというクラスで学んだのが、もっと効果的なブレインストーミングの進め方。具体的には、

1.参加者それぞれが、白紙の紙を用意する。

2.時間を決めて(例えば5分)、それぞれがアイデアを自分の紙に箇条書きにしていく。あくまで無言で、個別に書き出していく。アイデアの質については気にしない。なお、必ず紙の表面だけを使うこと。紙面が足りなくなったら2枚目を足し、裏面には書かない。

3.時間がきたら全員の紙をいったん集め、それぞれが、2.で他人が書いた紙を抜き出す。再び制限時間を決めて、他人のアイデアを読む→他人のアイデアに刺激されて思いついたアイデアを書き足す。他人のアイデアをさらに改善する、広げるタイプのアイデアでもよし。もちろん、ここでもアイデアの質は問わない。できるだけ多くのアイデアを書き足すことが大切。これを、全員が全員の紙を読んで書き足すまで続ける。

4.参加者全員でそれぞれの紙のアイデアについて手短に議論し、グループ全体で新しいアイデアを出してみる。グループ全体での新しいアイデアは別の紙に書き出しておく。ただし、ここでも時間はかけない。せいぜい5-10分と予め決めておく。

5.ハサミでそれぞれのシートのアイデアを切り抜く。グループで議論しながら全てのアイデアを分類し、カテゴリーに名前をつける。 分類が終わったら、大きな紙に、全てのアイデア紙片を貼っていくのもよい。

 実際、授業中に6人程度のグループに分かれてやってみたが、ちょっと目からウロコの体験だった。「司会者・ホワイトボード」タイプのブレインストーミングに比べて、出るアイデアの数、多様性は段違いに拡大する。この方法のメリットは、①司会者の能力、恣意性に左右されない、②他人が話しているのを聞いている時間が節約できる。③他人が話している間に思いついたアイデアを忘れてしまうリスクが小さい(アイデアの歩留まりが良い?) ④個別思索を十分に行い、全員が準備万端になったところで全員で議論する(Step4&5)ので、議論に無駄がない。 ⑤アイデアを再度分類して書き直す手間がない。といったところ。 ちなみに、分類してそれぞれのカテゴリーのアイデアの数を数えることで、グループの思考の傾向をつかんだり、ありがちなアイデアはどれかといった分析をすることもできる。 おそらく、メンバーが慣れてくると、どのようなレイアウトでアイデア書いていくと、後で切って分類するときに見やすいか、といったノウハウも蓄積されてくるに違いない。ぜひ試してみてください。

Class:Organizatinal Development (Prof. Mike Campion)