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Krannert@Purdue Univ.でのMBA留学。 学んだこと、考えたこと、書き綴っていきます。

「質」へのこだわりとリーダーシップ

2005-04-05 | MBA- 日記・雑感
 シンポジウムの準備と運営と通じて考えさせられたことのひとつは、人にはそれぞれ、許容できる「質」のレベルに差があるということ。そして、様々な「質」の側面に関する重視の程度(こだわり)が人によって異なる、ということである。

 まずは「質」の様々な側面に関するこだわりの違い。たとえば、シンポジウムの受付デスクに、いつまで人を配置しておくべきか、という点で、「来場者へのもてなし、来場者の印象」と「スムーズな運営」いう質を重視する僕は、3時間半のシンポジウムのうち、開始後少なくとも2時間程度は少なくとも一人をデスクにおいておくべきと考えて、スタッフィングの計画を立てたが、運営メンバーのうちのひとりは、「遅れてくる人が悪いので必要ない」という。
 
 また、シンポジウム2日前に持ち上がった「シンポジウムの模様を録画しよう」というアイデアに関して、プレジデントのAnoopは「録画して残せば、クラブのWebsiteに載せて、後進の役に立つ」という質へのこだわりが強く、ぜひやろうというスタンス。一方、人繰りの厳しさに悩み、「スムーズな運営」という質を重視する僕は、「もちろん録画するに越したことはないが、そのために運営に必要な人を削ってカメラマンに回すのは避けたい」というのが第一印象(結局、日本人同級生Nrさん、Tkさん、Hsさんのご協力で録画・録音、ありがとうございました)。

 なんらかのプロジェクトを進める場合、リーダーが筋の通った「質」へのこだわりを持っていることが重要である。リーダーは頑なになりすぎてもいけない。まずは「あるべき姿」としての「質」を示し、それを実現するにはどれだけのリソースが必要なのかを考える。必要なリソースを獲得するためのコストを勘案し、妥協するべきところは妥協する。リーダーが望む「質」を実現するように人に働いてもらうためには、なぜこの「質」が重要なのか、説得的に示さねばならない。納得できない「質」のために、人に前向きに働いてもらうことは難しい。

 一方、「許容できる質のレベル」に関して。いい仕事をできる人、できない人を分けるのは、自分のアウトプットの質に関して、いかに高いハードルを自分の中に設定できるかによるということを改めて実感した。これは、今回のシンポジウムのような大き目のプロジェクトに限らず、普段のクラスでのレポートなどでも感じていたことだ。たとえば、Anoopを組んだチーム(彼とは色々なクラスでも一緒にチームを組んでいる)では、彼も僕もどうせ書くなら質の高いレポートを目指すという点でのこだわりが近く、二人で深夜・早朝までレポートをブラッシュアップすることがよくある。一方、他のメンバーは、というと、驚くほど稚拙なもので済ませようとする人もいる。チームでいい仕事をするには、こうした「質のレベルへの拘り」の違いを、いかに高い領域で揃えていくか、が重要だ。だが、この違いが、何に起因するものなのか、まだ掴みきれないでいる。功利的な動機(たとえば、レポートの成績)を超えて、何か深く人生観に根ざすものが働いている気がするのだが。。。

 今回のシンポジウムの準備・運営で、Anoopと僕が失敗したのは、この、「どんな側面で、どのレベルの質を目指すべきか」を他のメンバーに伝える努力を怠り、彼らにシンポジウムの準備によりエネルギーを割いてもらうことができなかったために、結局多くの仕事を二人で抱え込んでしまったことだ。二人だけでできることはやはり限界がある。より高い「質」を実現するには、どうしても多くの人をやる気にさせなければならない。これがこれからの俺たちの共通の課題だなぁと、ふたりで反省したある日の夕暮れであった。

 もうひとつ反省。自分の「質へのこだわり」の傾向を省みると、「プロセスのスムーズさ」と「関わる人々の気持ち・印象」をつい重視して、「アウトプットの質そのもの」に関して妥協してしまうことが間々ある。これではいかん。

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