大阪市の特別区導入の住民投票、いわゆる都構想の住民投票では、開票し否決された直後から
維新シンパのマスコミを中心に、出口調査の数字を根拠に、
「若者は賛成し、選挙にみんないく老人が反対しために否決になった」というアジテーションがなされた。
この数字には当初から疑問をていするひとがちらほらいた。
…というのは、70代以上の老人のみが反対多数であったという出口調査なんだけど、冷静に考えると老人人口って若い人より少ないわけで、
老人ですらこんな賛成が4割も居る状況で、否決になるわけないやんと。
この出口調査が本当ならば、都構想は賛成多数になっていなければおかしいのである。
井上伸氏がYahooで書いた記事などが有名かな(Yahoo公式Blog終了に伴い記事消えてるのでWebArchiveで)
大阪都構想を葬ったのは「シルバーデモクラシー」ではない=若い世代の人口は70歳以上の2倍以上多い
http://web.archive.org/web/20150525185225/http://bylines.news.yahoo.co.jp/inoueshin/20150518-00045839/
こちらの総合情報マガジンえるえいちの記事も出口調査のこのグラフのおかしさを指摘
【謎】大阪都構想の住民投票の世代別の賛成・反対投票率がどうも妙な件。
http://life-hacking.net/tokoso-touhyou-nazo/
この時点ではまだ大阪市選管からの投票結果の詳細な内訳数字出てないのであるが
人口比率から出口調査のこのグラフおかしいのではないか?という声が、ちらほら出ていたのであるが
大手マスコミにすぐ流される手合いがには知らない人多そう。
その後7月になって、平成27年5月17日執行特別区設置住民投票における年齢別投票行動調査の結果というのが大阪市選管より発表されます。
http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/gyouseiiinkai/0000318119.html
あわててこんな記事を出す朝日新聞w
大阪の住民投票、実は30~40代多数 シルバー上回る
http://www.asahi.com/articles/ASH7K6FXFH7KPTIL03F.html
「報道各社の出口調査では、都構想反対の割合が高齢者層で高く、若い世代にツケを回しがちな「シルバーデモクラシー(高齢者の民主主義)」との見方も出たが、そう単純ではなさそうだ。」
そう単純も何も、完全にデマだったと正直に書け!と。記者絶対分かってんだぜw
数字でハッキリデマが分かったけど、あいまい表現で責任回避してんですよ。言い訳にこんな記事出したんだろうけど、きちんと間違いでしたと訂正しないと、デマがそのまま広がってあかんやん。
投票数を世代別に分割するとこうなる。
20代 123973人
30代 215629人
40代 269950人
50代 217171人
60代 260028人
(20代~60代 1086751人)
70代 221694
80代 97639
(70代~ 319333人)
で、70代以上でだけ反対派多い、70代の6割が反対でシルバーデモクラシーだ!というのが出口調査からマスコミがやったアジ。
70歳以上人口の6割というと 191600人。
つまり70歳以上人口のうち191600人が反対、127733人が賛成
住民投票の全世代合わせた総投票数結果は賛成694844票、反対705585票で否決である。
ここからさっき出した70代以上の数を引きましょう。
すると
賛成:567111票 反対513985票。
あれれ?結構な差が付いて賛成多数で可決だよ?
現実の結果と大きく違うじゃん。
つまりシルバーデモクラシーなんて大嘘で、それ以外の世代でも反対票がたくさんあったという結論になる。
完全に数字がおかしい。えるえいちのかたが書いてた疑念がはっきりと証明された形。
若者の投票率あがったら可決されてたはずだ!ってのもどうなのかと。むしろ投票率上がったらもっと開いてたかもしれないくらいのはなしである。
根本的に数字が間違ってるもので、あの出口調査の世代別グラフは、語るに値しないヨタデータというのが結論です。
しかし出口調査って、普通こんな大きく外れるもんですかね?
意図的な操作が無いことを願うよ。
[追記]
証明になってない!とシルバーデモクラシーだ!と出口調査の数字が実態と乖離してる証明は選管の出した統計用いしたはずなのに強弁するかたから言われたので
もっと数字をきちんと計算していくことにします。
上記の番組で流された出口調査のグラフをGimpで切り抜き、横幅を1000ピクセルに拡大し、世代別比率を出して見ました。
この画像を長さきちんと図って比率を数値化しましょう。すると
20代 53:47
30代 66:34
40代 58:42
50代 47:53
60代 52:48
70代~ 37:63
というのが、番組が出口調査の結果でシルバーデモクラシーだ!とした根拠のグラフ比率。
これを選管の各世代別の投票数の数字を当てはめると、(出口調査を信じると)票数はこうなります
20代 賛成65706票 : 反対58267票
30代 賛成142315 : 反対73314票
40代 賛成156571 : 反対113379票
50代 賛成102070 : 反対115101票
60代 賛成135215 : 反対124813票
70代~ 賛成118153票 : 反対201180票
総計すると、
賛成720030票 : 反対686054票
(実際は賛成694844票、反対705585票)
あれれ?賛成多数で可決。
実際の住民投票で反対票が10741票差で上回ったのですが、
この出口調査信じると、逆に賛成票が33976票も差をつけて可決してしまう。
実際の結果との差は44717票もあり全く実態に即していないことが明らかであり
こんな数字をもってシルバーデモクラシーなどとアジるのはデマでしかないです。
さらに計算を深めてみよう。
70歳~の総票数は319333人である。ありえない話だがこの全てが反対票だったとしよう。
すると、実際の反対票705585から引いて、残りは386252票が20~60代において反対票でなけえれば成り立たない。
20代~60代の総票数は1086751人であるから、ここから386252票を引くと、700499票となる。
70代以上が全員反対というこんなありえない数字で出したとしても20~60代の賛否率は64%:36%です。
若者にも反対派が多く居るものでしかないということが分かりますね。
70歳~の7割が反対だったという仮定で次は算出してみよう。この想定では223533票が70歳~の反対票。
この場合だと20~60代において反対票は482052票。賛成票は604699票となる。
この場合20~60代の賛否率は56%:44%となります。
これシルバーデモクラシーか???
では、最後にこの出口調査の言う通り、70歳~でのみ反対多数で6割反対という数字でいよいよ出してみましょう。
この想定では70歳~での反対票は191600票で、20代~60代の反対票は513985票となる。賛成票は572766票。
比率を出すと、20~60代における賛成反対の比率は53%:47%です。
ほとんど二分してるというべきであって、こんなのをシルバーデモクラシーなんて言うのはおかしいです。
さらに言えばこの住民投票、無党派で圧倒的に反対が多いことが分かっている
https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/local/osaka/16878/skh49484.html
つまり政治関心薄い層が投票に行けば必ずしも賛成票が増えるといった状況に無い。
高齢者ほど支持政党決まってるわけで、若者が選挙により行けば、逆に反対が増えてさらに差が開く可能性もおおいにあるのである。
シルバーデモクラシーのレッテルを貼るような根拠ある状況ではないことをみなさん知りましょう。
おかしなレッテルを貼って、バイアスある見方していると、状況まともに理解することに障害となるだけです。
もっと若い世代にも反対の声が多くあったし、住民みなを二分した住民投票であったというのが実際のところではないでしょうか?
ご自分で書いた記事でシルバーデモクラシーだと証明してますやん
「若者が選挙にもっといけば可決してた!」なんて状況にありません。