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靖国を分祀をせよという維新の会。自民の見解とは違っています

2019-07-18 17:21:13 | 政治(国政)

毎度の「自称自民支持、けど維新に投票」の皆さまへ今回の記事はお届けしたい。

 

維新の会の橋下元代表や、浅田均・参議院議員など維新が最近靖国神社の分祀をすべきであると声高に訴えています。

 

浅田均・参議院議員

「憲法改正は靖国分祀が前提だ」

 


これは自民党、および安倍総理の見解とは違う考え方です。
自民党は明確に、別の追悼施設を新たに作る考え方には否定的です。

 

 

この浅田参議院の維新マニフェストへの考え方に対し反対の声があがりますが

これを擁護する形で橋下元代表が自身のTwitterで連投します。

 

 

 

 

極めて靖国神社について、戦没者追悼の現状について、不勉強と言わざるを得ません。
詳しく今回指摘していきたく思います。

 

 

●靖国神社は戦後、一民間の宗教法人である

靖国神社はあくまで一民間の宗教法人であり、その信仰に国家が介入するような類のことではありません。

 

小泉政権時代に、民主党の野田議員からの質問があり、このあたりの政府答弁があり大変この問題の参考になるため紹介したく思います。

平成十七年十月十七日提出
「戦犯」に対する認識と内閣総理大臣の靖国神社参拝に関する質問主意書 野田佳彦
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a163021.htm

上記質問に対する政府答弁 内閣総理大臣 小泉純一郎
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b163021.htm

 

靖国神社の行う合祀は、宗教法人である靖国神社の宗教上の事項であるから、政府としては、合祀についていかなる問題があるのかお答えする立場にない
靖国神社に内閣総理大臣が参拝することにいかなる問題があるかとのお尋ねについては、法的な観点から申し上げれば、かねて述べているとおり、
内閣総理大臣の地位にある者であっても、私人の立場で靖国神社に参拝することは憲法との関係で問題を生じることはないと考える。
また、内閣総理大臣の靖国神社への公式参拝(内閣総理大臣が公的な資格で行う靖国神社への参拝をいう。)についても、
国民や遺族の多くが、靖国神社を我が国における戦没者追悼の中心的施設であるとし、靖国神社において国を代表する立場にある者が追悼を行うことを望んでいるという事情を踏まえて、
専ら戦没者の追悼という宗教とは関係のない目的で行うものであり、かつ、その際、追悼を目的とする参拝であることを公にするとともに、
神道儀式によることなく追悼行為としてふさわしい方式によって追悼の意を表することによって、
宗教上の目的によるものでないことが外観上も明らかである場合には、憲法第二十条第三項の禁じる国の宗教的活動に当たることはないと考える。

 

 

 

●靖国神社には位牌があるわけでも遺骨を祀っているのでもない


神道の思想では「御霊」(みたま)を祀るのであり、遺骨を祀るのではなく、分祀もなにも切り分けるような具体的な「物」があるわけではないのです。
このあたりが分かってないかたが多く、具体的な何かがあって、それを切り分けるようなことを言われることが多いです。

そこにあるのは宗教上の信仰のみであり、そこを民間宗教法人である靖国神社にも、信奉しお参りする個々人にも国家は強要しえない話ではないでしょうか。
つまり「分祀」といっても、そこにあるのは思想のみであり、それを奉じる人々が祀ればそのままで、分祀など思想の強要はできようもない話なのです。
靖国神社側や、参拝者は合祀を良しとしているのでしょうから、そこを心の自由に介入し、思想統制しないかぎり合祀はされ続けます。

 

 

●別の祭祀施設を作るのは自由です


靖国神社が嫌ならば、別に別途祭祀することはそれぞれに自由な信仰であるはずです。
橋下氏や維新の会が靖国神社が気に入らないのであれば、彼らは別の祭祀施設を作ることは自由な話のはずです。既に述べたように靖国神社は一民間の宗教法人なのですから。

そこで靖国神社の信仰にああしろこうしろと介入するのは信教の自由の侵害にもなり、おかしなことであります。
それならばなぜ作らないのですか?

靖国の信仰の好き嫌いは当然みなさんあるでしょう。でしたら何も具体的なモノを祀ってる話ではないのですから別途作ればよいはなしで、この問題を理解できていないのではないでしょうか。

 

 

●東京・国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑の存在を無視


戦没者追悼を考える人々は全国の軍墓地を知らないなどということは無いですし何を根拠に言っているのか分かりません。
皇居のすぐ隣に、東京・国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑という国立の戦没者を祭祀する施設はあり、例年国家として戦没者追悼の式典が行われています。
無視しているのか知らないのか、まず、この大前提が抜け落ちています。
むしろ戦没者祭祀の現実を知らないのは維新のみなさんでは?

千鳥ヶ淵戦没者墓苑
http://www.boen.or.jp/




●A級とかB級とかC級は罪の重さの差ではない


連合国により裁かれた位置づけであるA級戦犯という位置づけですが、よく誤解されがちなのですが、
これは罪の重さの大小でA>B>Cということではないのです。
これはその罪状の種類の差を区分したものです。
極東軍事裁判における区分としては、A項「平和に対する罪」、B項「通例の戦争犯罪」、C項「人道に対する罪」と区分がなされています。
A級だけを区別する理由はなんなのでしょうか?
分かっておっしゃってるならばいいのですが、ここをミスリードしかねない物言いにも見えます。

なお、日本の主権回復後、国内法上は、拘束、受刑期間に亡くなった人々は「公務死」として、逮捕者は「抑留又は逮捕された者」として定義されることになっていることも付け加えておきます。


 

以上のように、戦没者供養の現実問題を理解浅いままに勇み足を今回維新はしているように思えます。
不勉強なまま、いたずらにこの問題を紛糾させることは国益にかないません。
国際問題にもなりかねず、まともに説明できるだけの現状認識の知識もなく、政争の具にするようなものではありません。
遺族にも大変失礼なことであると思えます。