ライフ、健康

元気で幸せで暮らすため いい生活習慣を身に付けまましょう

山田英:認知症を防ぐ生活習慣

2014-05-09 10:35:59 | 認知症
散歩も。趣味も。家事も。

認知症の予防法は、

生活の中に

たくさんあります。


認知症を防ぐ運動・生活習慣

 「いつまでも健康で自立した生活を送りたい」―。健康長寿は、すべての人の共通の願いです。そんな健康長寿の大敵となるのが認知症。今の段階では、まだ完全に治る病気ではありませんが、それでも栄養バランスのとれた食生活に加え、適度な運動をすれば、ある程度は予防できることがわかってきました。なぜ運動は認知症予防に有効なのか、どんな運動をどのくらいすればよいのか。老化と寿命研究の第一人者で、順天堂大学大学院教授の白澤卓二さん(54)と山田英生山田養蜂場代表(54)が認知症予防と運動との関係などについて語り合いました。

シミは脳にもできる

山田英生 最近、公園や街の中、川沿いの堤防などでウォーキングをする人をよく見かけるようになりました。特にご高齢の方が多いようです。やはり、健康を意識して歩いておられるのでしょう。今、日本人の平均寿命は、男性約79歳、女性約86歳と世界でもトップクラスの長寿を誇っていますが、健康で自立した生活ができる健康寿命は、男性73歳、女性78歳と平均寿命に比べ、6~8歳短くなっていると聞きました。やはり、要介護状態になって家族に迷惑はかけたくない、天寿を全うするまで元気に暮らしていたいと誰でも思いますよね。健康長寿の大敵となる認知症は、バランスのとれた食生活と適度な運動で、ある程度は予防できると言われていますが…。

白澤 私たちは、年をとると顔にシワやシミが増え、視力や筋力が衰え、身体機能が低下してきます。こうした機能の衰えは、脳も例外ではありません。特に女性が気にするシミは、何も顔や手足だけに出るものではなく、実は脳にもできるのです。このシミは、「老人斑」と言って、大脳の神経細胞の外側にでき、アルツハイマー病の特徴の一つになっています。認知症は、脳の中に「β-アミロイド」というタンパク質が蓄積して老人斑をつくり、神経細胞が障害されて脳が委縮する病気です。最近の研究によって、脳も使い続ければ活性化し、アルツハイマー病を予防できることがわかってきました。それには、認知症を防ぐ食材はもちろんですが、運動と生きがいが重要になってきます。

山田英生 日ごろからスポーツや運動をしている人を見かけると、「健康的だな」と思いますが、やはり、こうした人たちは、こまめに身体を動かしているせいか動作も機敏で、表情もはつらつとしています。人間も動物も、使わない臓器や器官は、退化しやすいとよく言われますが、脳も同じなのですね。運動は、なぜ認知症予防に効果的なのでしょうか。

神経細胞も再生する


白澤 年をとると、体の機能が低下するのと同様に脳の機能も衰え、一度失われた脳の神経細胞は、再生しないと言われてきました。ところが、近年になって、脳の神経細胞も再生機能を持っていることが明らかになってきたのです。脳の中で、記憶や学習をつかさどる「海馬」の神経細胞の中には、年をとってもまだ分裂を続けている「神経幹細胞」という細胞があり、運動を継続的に行うことによってこの細胞が増えることが判明しました。つまり、運動によって認知機能が改善され、脳の老化防止に効果があることがわかってきたのです。

山田英生 いくつになっても人間の脳細胞は、体を動かせば活性化するのですね。今から約10年前、107歳、108歳で大往生を遂げられた長寿の双子姉妹、「きんさん・ぎんさん(成田きんさん、蟹江ぎんさん)」は、100歳を過ぎてもかくしゃくとされ、「理想的な老後像」として、多くの人たちに慕われました。特に姉のきんさんは、テレビに登場する前は、体や脳も衰え、やや認知症の兆しもあったそうですが、テレビなどに出演するにつれ、その症状も改善していかれたと聞きました。その健康長寿の秘訣は、好き嫌いがなく何でも食べ、100歳を過ぎてからも毎日30分の散歩を欠かさなかったため、と当時の新聞には紹介されていました。

白澤 きんさんは、「人間、歩けんようになったら、おしまいだ」が口癖で、家族や医師の勧めもあって90代後半から下半身の筋力トレーニングを毎日欠かさず続け、その甲斐があってか、衰えた筋肉も回復し、自力で歩けるようになったそうです。妹のぎんさんも晩年までお元気で、「体は、実年齢よりも20歳若かった」との医師の談話が当時の新聞に載っていました。お二人の生き方は、まさに健康長寿を全うされた生き方と言ってもよいでしょう。日々の食事や心の持ち方に加え、運動することが認知症の予防に有効であることが実証された典型的な例ではないでしょうか。

山田英生 お二人にあやかって、いくつになっても健康で生き生きと暮らしたいものです。そのためには、日ごろから体を動かす習慣をつけることが大切ですね。


無視できない散歩の力

白澤 その通りです。人間が生きていくうえで、大事なのは自分で食べること、自分の力で歩くことと言ってもよいでしょう。ウォーキングなどの運動をすれば、脳の血流がよくなるだけでなく、外へ出ることによって行動範囲が広がるので、さまざまな刺激を受けてストレスも解消され、脳も活性化します。年をとって、家に閉じこもっていると認知症が進むことも最近の研究でわかってきました。散歩程度の軽いウォーキングでも、外に出れば新しい発見や出会いがあり、老化を十分に防ぐ効果もあります。

山田英生 私も時々、散歩しますが、季節の移ろいを感じながら自然に触れるのは実に爽快で、ストレス解消にはもってこいです。

白澤 運動すると、爽快感や幸福感をもたらす「β-エンドルフィン」というホルモン物質が脳内に放出されるため、快い心地になるのです。
山田英生 だから、散歩をすると、気持ちがいいのですね。

白澤 それと、高齢になれば一般的に骨折や転倒、認知機能の低下につながる「ビタミンD」が不足しがちになります。天気の良い日は、ウォーキングでもしながら太陽の光を浴びれば、紫外線の力でビタミンDが補給されますので、大いに外に出ましょう。

山田英生 運動は、間違いなく健康増進につながりますね。

白澤 アルツハイマー病の予防に運動が有効であることは、いろんな調査や研究でもわかってきました。たとえば、アルツハイマー病を必然的に引き起こす『アルツハイマー病モデルマウス』にランニング運動をさせると、「脳の神経細胞を死滅させる老人斑が52%減少した」「老齢のマウスに同じような運動をさせたら記憶力が向上し、短期記憶をつかさどる海馬に新しい神経細胞が増えた」などの報告もあります。また、カナダで65歳以上の健康な住民6434人を対象に平均5年間追跡した調査によると、30分以上のウォーキングを週3回以上している人は、まったく運動していない人に比べ、アルツハイマー病の発症リスクが半分になることもわかっています。

山田英生 エビデンス(科学的根拠)もあるのですね。

1日5000歩を目標に

白澤 それと、肥満の人はアルツハイマー病になりやすいことがよく知られています。肥満を防ぐには、食べ過ぎないことと並んで、運動することが重要であることは言うまでもありません。また、脳血管性の認知症を防ぐには、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を予防することが大切ですが、そのためにも、日ごろから歩くことなどによって運動不足を解消することが重要になってきます。

山田英生 メタボリック症候群や動脈硬化が認知症の発症リスクを高めることは、私も聞いたことがあります。こうした生活習慣病を食事や運動で予防し、同時に認知症の発症も防げるのであれば、一石二鳥ですね。認知症を防ぐにはどんな運動を、どのくらいしたらよいのですか。

白澤 まず、最も手軽なウォーキングから始めてみては、いかがでしょうか。どこでも誰でもできますし、お金もかかりません。よく健康雑誌などに「1日1万歩を歩きましょう」などと書いてありますが、1万歩を歩くには、歩幅やスピードにもよりますが、1時間半はかかってしまいます。これだけの時間を普通の生活で確保するのは難しいでしょう。最初から1万歩という高い目標を掲げると、結構ハードルが高くなりますので、少しずつ距離や歩数を増やしていくのがよいでしょう。できれば、今、歩いている歩数に500歩、距離にして約350mを加え、できれば1日5000歩を目標に歩いてみてください。時間にして1日30分程度のウォーキングを週3回以上すれば、間違いなく健康増進につながると思いますね。

自分に合った運動を

山田英生 でも、仕事を持っている多忙な現代人は、なかなか時間がとれません。

白澤 工夫次第ですね。早起きして1つ先の駅まで歩くとか、駅や会社内でもエスカレーターやエレベーターを使わず、階段を歩く。買い物に行くにも少し遠回りするとか、いろんな方法があるでしょう。

山田英生 時間がなくても工夫すれば、何とかなるものですね

白澤 それと、日ごろの家事も立派な運動になります。たとえば、掃除、洗濯、孫の世話、介護、庭木の手入れ、家庭菜園などもかなりの運動量になりますね。お菓子をつまみながらテレビばかり見ていたり、買い物も車で済ませていたら運動不足になってしまいます。運動は何もウォーキングだけではなく、水泳でも、ダンスでも日本舞踊でもよいのです。大切なのは、コツコツ続けること。そのためには自分の好きな、自分に合った運動をすることでしょう。長く続けられるようになれば、習慣になります。

山田英生 運動は、薬にまさる予防医学と言ってもよいのですね。


山田英生:良い生活習慣、認知症を防ぐ食生活

2014-05-08 15:29:07 | 認知症
良い生活習慣、認知症を防ぐ食生活

認知症に、まだ特効薬はありません。
でも、予防に良い生活習慣はあります。

認知症を防ぐ食生活


 高齢社会の進展に伴って、今後ますます増加が予想される認知症。症状が進めば、物忘れが極度に激しくなり、身の回りのこともできずに、寝たきりになったり、介護が必要になることもあります。「健康で長生きしたい」という高齢者を襲う認知症ですが、その根本的な治療法は、残念ながらまだ確立していません。それならば、認知症を治す特効薬が現れるのを待つよりも、認知症にならないよう予防することが健康長寿には何よりも大切です。最近の研究では、食事や運動などである程度、認知症を予防できることがわかってきました。どのような食材をどのように食べればよいか。長寿と老化研究の第一人者で、順天堂大学大学院教授の白澤卓二さん(54)と山田英生山田養蜂場代表(54)が語り合いました。

誰にもある発症リスク

山田英生 年をとると、増えるのが認知症ですね。認知機能が低下し、末期になれば、自分や家族が誰だか分からなくなり、寝たきりになることも多いと言われています。せっかく、長生きしたのに認知症になっては、QOL(生活の質)が損なわれ、とてもお気の毒に思いますね。

白澤 アルツハイマー病は徐々に記憶が失われ、自分や家族が誰だか分からなくなる心配があるうえに、原因も分からず、治療も不可能とされてきたため、誰もが避けたい病気の一つと思ってきたのでしょう。

山田英生 人口の高齢化に伴って認知症の人は急増し、現在、208万人と推定されています。2035年には推計で450万人を超えるとも聞きました。認知症は、若年性アルツハイマー病を別にすれば、加齢に伴って発症する病気とも言えます。年をとれば誰でも認知症になりうる可能性があり、とても心配になりますね。

白澤 アメリカのレーガン元大統領が自筆の手紙でアルツハイマー病を全国民に公表した時、テレビニュースは「あのレーガン元大統領でさえアルツハイマー病になったのだから、スーパーマンだっていつ発症してもおかしくない」というようなコメントを流したように記憶しています。つまり、アルツハイマー病は、年齢を重ねれば誰がなっても不思議ではありません。

山田英生 あれは、大変印象的な言葉でした。告白の中で「私は今、人生の黄昏へ向けた旅に出発します」という米国民に向けたメッセージにも感動しましたが、それ以上に、人一倍エネルギッシュに世界を動かしていた彼でさえもアルツハイマー病になる、ということに大変ショックを受けたものです。でも、レーガンさんの勇気ある告白は、アルツハイマー病の深刻さを世界に伝えると同時に、アルツハイマー病がもはや隠す病気ではないことを堂々と宣言したものとして高く評価されていますね。

白澤 その通りです。彼の告白は、全世界の人たちへの警告であり、大変インパクトがありました。前々回の対談で、東京都老人総合研究所(現・東京都健康長寿医療センター)の研究で「亡くなられた約7000人を病理解剖したら、51%の人にがんが見つかった」という話をしましたが、アルツハイマー病も、80~85歳の人に限れば、35~40%の人が抱えていたことがわかっています。この割合を考えると、誰でもアルツハイマー病になるリスクがある、と言えますね。

山田英生 認知症というと、一般的には物忘れを連想しますね。たとえば、年をとると、「人の名前が出てこない」「漢字を忘れる」「物をどこにしまったか覚えていない」というような経験をよくします。こんな物忘れがあまりにも多いと「認知症の始まりではないか」と心配する人も結構多いようです。

家族に深刻な周辺症状

白澤 脳の衰えは、年をとるごとに進んでいきますので、ある程度の物忘れは、自然な老化現象といってもよいでしょう。でも、物忘れがひどくなると、加齢に伴う物忘れなのか、認知症によるものなのか初期の段階では、なかなか区別がつきません。認知症の初期の段階を、「軽度認知機能障害」(MCI)と言い、同じ話を何度も繰り返すような兆候がよく見られるようになります。もっと症状が進めば、「その日が何日で、何曜日なのか」わからなくなる「見当識障害」が出てきたり、さらに「身の回りのことができない」、「文字が読めない」などの「認知機能障害」が現れてきます。こうした障害は中核症状と呼ばれますが、介護する家族にとって最も大変なのは、徘徊や失禁、幻覚、妄想、暴力などが出てくる周辺症状と言ってもよいでしょう。

山田英生 認知症には、いくつか種類があると聞きました。

白澤 大きく分けて脳梗塞や脳出血などの脳疾患に伴って、脳の記憶や言語をつかさどる部位が障害を受けて起こる脳血管性認知症と、脳の中に「βアミロイド」と呼ばれるたんぱく質が蓄積され、神経細胞を壊して脳が委縮するアルツハイマー型認知症があります。75歳までの人には、脳血管性が多く、75歳を過ぎるとアルツハイマー型が増え、全体の約6割を占めるとも言われています。

広がる治療の選択肢

山田英生 よく「親が認知症だったから自分も危ない」と思っている人が多いようですが、アルツハイマー病は遺伝するのでしょうか。

白澤 まだ原因は解明されていませんが、「家族性アルツハイマー病」のように遺伝するタイプを除き、ほとんど関係ないと言ってもよいでしょう。アメリカではアルツハイマー病の患者さんの5%、日本では3%が遺伝要因と言われ、残りの人は遺伝とは関係なく、環境要因、つまり生活習慣が関係しているとも言われています。たとえば、太っている人、肉など高脂肪食を摂り続けている人、タバコを吸う人、血圧が高い人などもリスクが高いことが最近の研究でわかってきました。

山田英生 現在、アルツハイマー病の治療は、どの様な状況なのでしょうか。治療薬などはあるのでしょうか。

白澤 アルツハイマー病の治療薬は、これまで一種類だけでしたが、昨年、貼り薬(パッチ剤)など3種類の新しい治療薬が登場したほか、2種類の薬の併用も可能になりました。

山田英生 認知症の患者さんやご家族にとっては治療の選択肢が広がり、特にパッチ剤の登場は介護する家族の負担軽減にもつながりますね。

白澤 確かに治療の選択肢が増えたことはよいことですが、いずれも進行を遅らせる薬で、アルツハイマー病を根本から治す特効薬ではありません。今のところ、βアミロイドの量を減らしたり、脳内への蓄積を阻害する方法はまだ開発途上にあります。免疫力を活発にしてβアミロイドを取り除くワクチンが実用化されるまで多分、10年、20年はかかるでしょう。それを待つよりも今の時点では、アルツハイマー病にならないための予防法を確立するほうが大切ではないでしょうか。アルツハイマー病は、いったん発症すれば、死滅した神経細胞を元に戻すことはできません。それよりも、まだ神経細胞が残っているときに、症状を進行させないように予防するほうが重要だと私は思います。ネズミを使った実験などから、アルツハイマー病は食事や運動などで予防できることがわかってきました。

山田英生 今の段階では、アルツハイマー病は完全に治せないものの、予防することはできるということですね。では、どんな食べ物を、どのように食べればよいのですか。

白澤 「ブレインフーズ」という言葉を聞いたことがあるかと思います。脳を活性化させる食べ物のことですが、アルツハイマー病予防との関係で、比較的エビデンス(科学的根拠)があると言われています。たとえば、カレー粉に含まれているウコン(ターメリック)の化学成分クルクミンは、ポリフェノールの一種ですが、このクルクミンをβアミロイドの溶液に加えると神経細胞が死滅しないことがわかっています。カレーをたくさん食べるインド人は、アメリカ人に比べアルツハイマー病患者が少ないとの報告もあります。

酸化を抑える野菜の力

山田英生 野菜や果物も認知症の予防によいと聞きました。

白澤 認知症予防のカギとなるのが、体をサビつかせる活性酸素をどう抑えるかでしょう。野菜や果物には、植物の化学成分であるファイトケミカルが十分含まれ、とても抗酸化力に優れています。また、果物には活性酸素を抑えるビタミンCが豊富に含まれています。旬の野菜や果物をたっぷり摂ることは認知症を予防するうえでとても大切ですが、朝、忙しい人はその代わりに野菜ジュースを摂っても構いません。1836人の日系米国人を対象にした大規模疫学調査では、野菜か果物ジュースを1週間に3回以上飲む人は、1回以下しか飲まない人に比べアルツハイマー病になるリスクが76%も低いことがわかっています。ジュースに含まれているポリフェノールがアルツハイマーの予防によいのでしょう。

山田英生 地中海料理を食べている人は、アルツハイマー病に罹りにくいとも聞きました。地中海料理といえば、野菜や果物、魚介類、穀物、豆類などを食材としてふんだんに用いる一方、肉は少なめ、油はオリーブオイルを使うのが特徴ですね。日本食とよく似ていると言われていますが、地中海料理のどんな点がアルツハイマー病の予防に良いのですか。

白澤 ニューヨークに住む1984人を対象に、健康と食事の関係を聞いた調査があります。その結果によると、「最も地中海料理に近い食事を摂っている人」は、「最も地中海料理とかけ離れた食事を摂っている人」に比べ、アルツハイマー病の発症リスクが68%も低かった、との報告があります。野菜・果物など抗酸化作用を持つ食品と不飽和脂肪酸のオリーブオイルを中心としたバランスのとれた食事がアルツハイマー病の予防に良いのでしょう。確かに地中海料理で使われている食品群は、オリーブオイルを除けば、日本食とよく似ています。であれば、日本食中心の食事を続ければ、認知症を予防できる可能性があるかもしれません。

魚を食べて認知症予防

山田英生 地中海料理には魚介類がよく使われますが、魚が認知症によいとも聞きました。

白澤 確かに魚をたくさん食べている高齢者に認知症の人が少ない、とも言われています。おそらくマグロ、ブリ、イワシ、サンマなど背の青い魚が持っている脂のDHA(ドコサヘキサエン酸)にその秘密がありそうです。アルツハイマー病が進んだ18カ月のマウスに0.6%のDHAを含んだエサを与え、3か月間飼育したところ、老人斑(βアミロイドが脳に蓄積してできたシミ)の面積が40%減少したとの研究結果があります。このほか、地中海料理の定番である赤ワインや、脳血管性認知症の原因の一つでもある脳梗塞を防ぐ働きがあるとされる納豆などが認知症によいとされています。こうした食品を積極的に摂り、バランスのとれた食生活を心がけることは、健康長寿にとって欠かせないでしょうね。