ライフ、健康

元気で幸せで暮らすため いい生活習慣を身に付けまましょう

山田英生野菜や果物の持つ力、健康との関係

2014-05-15 11:05:08 | 健康な食生活
野菜中心の食卓には、何千種類もの

長寿を支える成分が含まれています。


病気を治す野菜の力 フィトケミカル


 私たちの食生活と切っても切れないのが、野菜と果物。このところ、ファストフードやコンビニ弁当を利用する人が急激に増える一方で、野菜や果物を摂る人が減ってきました。もともと、野菜や果物には私たちが健康を維持するために必要なビタミンやミネラル、食物繊維などが豊富に含まれています。近年、健康との関係から、にわかに注目されているのが野菜の持つ植物性化学物質「フィトケミカル」です。その多くは、色素や香り、苦みなどの成分ですが、今後アンチエイジングやがん予防などの面で大いに効果が期待されそうです。老化と寿命研究の第一人者で、順天堂大学大学院教授の白澤卓二さん(55)と山田英生山田養蜂場代表(55)が野菜や果物の持つ力、健康との関係などについて語り合いました。

目立つ野菜離れ

山田 最近、家庭菜園や市民農園で野菜や果物を作る人が増えてきました。野菜は、生活習慣病やがんの予防など健康によいといわれていますが、気になるのが日本人の野菜摂取量です。厚生労働省は、1日当たりの野菜摂取量の目安として350g以上を摂るよう勧めていますが、日本人の野菜摂取量は、増えるどころか逆に減っているようですね。私が聞いたところでは、1968年当時の摂取量は、1人あたり1日394g程度でしたが、2011年には277gと大幅に減っています。共働きの増加で、調理に時間のかかる野菜の煮物などが敬遠されたのも一因でしょう。もともと、日本食は、野菜を多く取り入れている点が特徴で、日本人は野菜をたくさん食べて世界トップクラスの長寿国家を築いてきたともいえます。野菜を食べなくなると、今後の日本人の健康が心配になってきますね。

白澤 日本人が野菜を食べなくなったのは、食生活の欧米化が進んできたことが大きいですね。元来、日本食はコメを主食に野菜をふんだんに使い、魚介類や海藻、豆類などを多く取り入れているのが特徴です。それが肉類中心の食生活に変わった頃から、野菜の摂取量が減ってきました。欧米と比べても、すでに10年以上前から日本人の野菜摂取量はアメリカ人のそれを下回っています(農林水産省「食料需給表」)。かつて心臓病やがんなどの急増に悩んだ米国は、「デザイナーフーズ・プログラム」や「1日に5皿以上の野菜と果物を食べよう」という『5 A DAY運動』を推進してきました。高カロリー、高脂肪の食生活を見直し、野菜、果物を中心とする食生活に切り換える運動に国をあげて取り組んだ結果、国民の野菜摂取量が飛躍的に増えたのです。

山田 日本人が野菜を食べなくなった背景には、食の欧米化に加え、ファストフードや加工食品・冷凍食品などが次々登場したこともあるでしょう。こうした食品は、確かに手間ひまかからず、早くて便利なのですが、なぜか野菜など伝統的な日本の食の原点を忘れているような気がしてなりません。野菜は、私たちの命を支える大切なビタミンやミネラルを豊富に含んでいますが、最近、健康との関係で話題になっているのがフィトケミカルです。私も注目している一人なのですが。

「第7の栄養素」

白澤 最近、そういう人が増えてきましたね。フィトケミカルは、ギリシャ語で「植物」を表す「フィト=Phyto」と英語の「ケミカル=Chemical(化学)」を組み合わせた造語で、野菜や果物の中に含まれている植物性化学物質のことをいいます。これは、タンパク質や炭水化物、脂肪などの栄養素以外の成分であり、薬のような働きが十分期待できます。3大栄養素やビタミン、ミネラル、食物繊維に続く「第7の栄養素」として注目されています。まだ、そのすべてが解明されているわけではありませんが、野菜や果物の中には、5000種類から1万種類のフィトケミカルがあるともいわれています。

山田 代表的なものには、どんなものがありますか。

白澤 たとえば、最近、話題になっているポリフェノールやカロテノイドのほか、フラボノイド、セサミン、カプサイシン、β-グルカンなどもフィトケミカルの一種です。

山田 ポリフェノールといえば、赤ワインやブルーベリーに含まれるアントシアニンやお茶のカテキン、大豆のイソフラボンなどがよく知られています。カロテノイドはニンジンやカボチャのβ-カロテン、トマトのリコピンなどですよね。フィトケミカルは、私たちの健康にとって重要な働きをしている、とよく聞きますが、実際、どんな働きがあるのですか。

■第7の栄養素  「フィトケミカル」
1糖質  2脂質  3タンパク質  4ミネラル  5ビタミン  6食物繊維 7フィトケミカル


抗酸化作用に注目

白澤 一つひとつの野菜や果物に含まれているフィトケミカルの成分は微量ですが、私たちが健康を維持していくうえで、とても大切な役割を果たしています。その中でも、代表的なのが、抗酸化作用でしょう。たとえば、鉄は時間が経つとサビ(酸化)ますが、私たちの体も鉄と同じように細胞にサビが生じ、老化が進みます。その原因が活性酸素で、時々細胞の機能を低下させたり、DNAを傷つけるといった悪さをします。これが積み重なると、さまざまな臓器が動かなくなったり、動脈硬化やがんが発生するきっかけにもなります。この活性酸素を避けるには、できるだけ添加物の多い加工食品を避けると同時に、抗酸化作用の強いフィトケミカルを多く含んだ野菜や果物を積極的に摂ることです。中でも抗酸化作用が強いのは、ポリフェノールですね。

山田 抗酸化作用の強い野菜と果物をたくさん摂ることが、アンチエイジングにつながるのですね。

白澤 そうです。そのほか、フィトケミカルにはがんの発生やがん細胞の増殖を抑える作用もあります。

山田 大豆に含まれるフィトケミカルのイソフラボンが大腸がんや乳がん、前立腺がんの予防にもよい、と聞きました。

白澤 その通りです。それと、フィトケミカルのもう一つの働きは、炎症を抑える抗炎症作用ですね。以上の3点がフィトケミカルの主な作用ですが、こうした働きをすべて持っているのがポリフェノールの一種、レスベラトロールです。赤ワインやインドネシア原産の樹木「メリンジョ」の実に含まれています。

山田 メリンジョのレスベラトロールといえば、当社でも早くから注目し、商品化しており、好評をいただいています。

白澤 それと、フィトケミカルを語る時、忘れてはならないのがブロッコリーですね。約200種類以上のフィトケミカルを含み、この中には抗がん作用が期待できるスルフォラファンやその前駆体(生成する前の段階の物質)である「グルコシノレート」や抗酸化作用のあるカロテンなども含まれています。

山田 さすが「野菜の王様」といわれるだけあって、ブロッコリーには有効成分がたくさん含まれているのですね。

白澤 ブロッコリーは、フィトケミカル以外にも活性酸素を除去してくれるビタミンCやE、貧血を防いでくれる鉄、インスリンの働きを助けるクロムなどのミネラル類も豊富に含んでいます。ブロッコリーは、老化を防ぐ食材として食卓には欠かせない野菜の代表といってもよいでしょう。それと、私がお勧めしたいのが、香辛料のショウガとトウガラシですね。ショウガは、冷え症によいとして漢方薬にも使われていますが、このショウガの持つ栄養成分の代表的なものが辛み成分の「ジンゲロール」です。体を温め、血行をよくするほか、味覚を刺激して自律神経を活性化させ、脂肪を燃焼させる働きもあります。発汗や利尿、排便作用のほか、体内に蓄積された有害物質を分解するデトックス(解毒)効果があるともいわれています。

山田 当社でも国産のショウガを使って「しょうがはちみつ漬」や「はちみつしょうが湯」などを扱っていますが、健康に対する意識の高まりのせいか、お客様の人気が高く、生産が追いつかないくらいです。

白澤 一方、トウガラシに含まれているのが「カプサイシン」という辛み成分。体の中に入ると、血液を通して脳に運ばれ、自律神経の中の交感神経を刺激します。そのため、交感神経からアドレナリンが分泌され、体が熱くなって汗が出てきます。

山田 確かに、カプサイシンを摂取すると、アドレナリンの分泌が促されるせいか、新陳代謝が活発になり、ダイエットや肥満予防にも好影響を与えるそうですね。

不足気味の食物繊維

白澤 与えますね。それと、日本人に不足しているのが食物繊維です。厚生労働省は成人で男性は1日19g以上、女性は17g以上の食物繊維を摂るよう勧めていますが、日本人の摂取量は14g程度に過ぎません。食物繊維は腸の活動を刺激して便通を整える一方で、腸内の有害物質を排泄し、糖質やコレステロール、塩分の吸収を緩やかにします。このため、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病や大腸がんの予防などにもよいといわれていますから、食物繊維を多く含む玄米、ゴボウ、ニンジン、山芋、ダイコンなどの野菜を積極的に摂るよう心掛けていただきたいですね。

山田 日本人に足りないものといえば、果物もそうですよね。厚生労働省は、1日当たり200gの果物を摂るよう勧めていますが、実際の摂取量は約110g程度。先進国の中では最低レベルと聞きました。果物は、ビタミンをはじめミネラル、食物繊維などを多く含み、肥満、糖尿病などの生活習慣病予防や美容にもよいそうですね。

白澤 はい。果物は糖度が高く、肥満の原因になるとの誤解もあってか日本では食べる人が少ないようです。ところが、健康・体力づくり事業財団が100歳以上を対象に行った「百寿者のくらし調査」では、果物が「刺身」や「甘いもの」を引き離してダントツにトップでした。しかも、男女とも約6割が「ほとんど毎日」果物を食べている、と答えていました。果物に含まれているビタミンCや食物繊維などの健康効果を百寿者たちは本能的にわかっていたのかも知れません。

百寿者の「一番好きな食べ物」
1位果物 18.5%
2位魚 12.3%
3位甘いもの 10.7%
4位刺身 9.5%
5位寿司 6.4%
※健康・体力づくり事業財団調べ


リンゴを食べよう

山田 では、先生のお勧めの果物は何ですか。

白澤 何といってもリンゴですね。「1日1個のリンゴは医者を遠ざける」という言葉もあるように、リンゴには健康によい成分がたくさん含まれています。その代表がポリフェノールですね。リンゴにはプロシアニジン、カテキン、ケルセチンなど何種類ものポリフェノールが含まれ、これらを総称して「リンゴポリフェノール」と呼んでいるほどです。こうしたポリフェノールには、脂肪の蓄積を抑え、中性脂肪を減らす働きがあります。特にプロシアニジンにはがん細胞を自死させる働きのあることがわかっています。

山田 いろんな栄養素や抗酸化作用を持つリンゴは、「果物の王様」ですね。1日1個は食べて健康を維持したいものです。

山田英生:カロリー制限と健康長寿の関係

2014-05-14 10:29:52 | 健康な食生活
食べすぎは、明らかな老化の原因。

腹七分の食事を習慣に。


1日3食 バランスよく食べる


 90歳、100歳になっても健康で自立した生活を送れる健康長寿こそ、誰もが思い描く理想の老後像かも知れません。そんな健康長寿を実現するためには、肥満を防ぐことも重要な要素の一つ。そのためには、食事量などの摂取カロリーを減らし、日々体を動かすことによって消費カロリーを増やすことが前提になってきます。特に食事面でのカロリー制限は、何よりも大切で、食べすぎは寿命や健康、老化にも悪影響を及ぼす原因になる恐れもあります。いつまでも若々しく元気に過ごすには、1日3食をバランスよく摂り、腹七分目で、おいしく食べながら上手に痩せることが欠かせません。老化と寿命研究の第一人者で、順天堂大学大学院教授の白澤卓二さん(54)と山田英生山田養蜂場代表(55)がカロリー制限と健康長寿の関係や確実に痩せるための方法などについて語り合いました。

過食は万病のもと

山田 肥満を解消するには摂取カロリーを減らし、消費カロリーを増やすことが重要ですね。でも言うのは簡単ですが、これを実行するとなると、なかなか大変です。無理なく痩せるよい方法はありませんか。

白澤 肥満を招く原因は、何といっても食べすぎです。今、日本は、食べたいものがいつでも食べられる飽食の時代です。でも、欲望にまかせて好きなだけ食べていたら、肥満だけにとどまらず高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病やがんを招いても不思議ではありません。最近の研究では食べすぎが老化を早め、認知症になりやすいこともしだいに明らかになってきました。

山田 肥満を防ぐためには、まず食べすぎないことですね。

白澤 そうです。一言でいえば、カロリー制限、ダイエットをすることです。食べすぎがよくないことは、サルやネズミ、ミジンコなどを使った動物実験で科学的にも証明されています。たとえば、2009年にアメリカのウィスコンシン大学の研究者が発表した「アカゲザルの研究」がよく知られています。人間に近い霊長類、アカゲザルを長期間、観察し続けた研究データです。

山田 どのような研究ですか。

白澤 アカゲザルのグループを「通常のエサを与えたグループ(38匹)」と、「エサの量を3割減らし、7割に制限したグループ(38匹)」の2つに分け、20年近く観察しました。その結果、通常のエサを与えたグループの生存率は、約63%だったのに対し、エサを7割に制限したグループは、約87%でした。さらに、驚いたのが病気の発生率です。通常のエサグループでは、がんを発症したサルは38匹中8匹、糖尿病は5匹、心臓病は4匹だったのに対し、エサを制限したグループでがんを発症したのは4匹、心臓病2匹で、糖尿病にいたっては0。その差は歴然としていました。

山田 エサの量を減らしただけで、こんなにも死亡率が低く、病気にもなりにくいとは、驚きですね。


肥満者いない100歳

白澤 もっとショックだったのは、両グループの見た目の違いです。通常のエサを与えたサルは、毛並みはボロボロ、動作も緩慢、見るからに老化していた=右のサル=のに対し、エサを制限したサルのほうは、毛並みも艶々し、目つきも鋭く、動きも敏捷で、全体的に見ても実に若々しいのです=左のサル(いずれもイメージ図)。また、脳の老化も、通常のエサを与えたサルのほうが進んでいました。このように、カロリー制限をするだけで寿命や病気の発症、見た目に大きな違いが出るのです。人間だって同じで、健康で長生きしたければ、痩せていることが重要な要素になりますね。元気で自立している100歳の方に共通しているのは、皆さん太っていないことです。

山田 昔から「腹八分に病なし」とか「腹八分に医者いらず」とよく言います。「食べすぎや飲みすぎは体によくない」という意味ですが、自分では食べすぎが健康に悪い、とわかっていても目の前においしそうな料理が並ぶと思わず手が伸び、食べすぎてしまいます。健康のためには実際どのくらいの量を食べたらよいのでしょうか。


腹八分でも多すぎる 

白澤 昔から食べる量の目安として「腹八分がよい」と言われていますが、本当に健康長寿を目指すのなら、八分でもちょっと多すぎる、と私は思いますね。カロリー制限をする場合、本来は適正なカロリー計算をして行うべきですが、一応食べる量の目安としては「腹七分」くらいにするのがよいと思いますね。年をとると、体の代謝能力も落ちて、エネルギー効率が悪くなります。それなのに、若いころと同じように食べていたら、消費しきれないエネルギーが体に蓄積され、太ってしまいます。

山田 でも、摂取カロリーを減らそうとするあまり、栄養バランスを崩してしまっては、せっかくの減量も意味がありません。カロリーの減らしすぎは、免疫力や骨密度の低下を招き、健康面にマイナスの影響を及ぼすともいわれています。カロリー制限をする場合、適正なカロリー量は、どのようにして算出しますか。

白澤 適正なカロリー量は、人によって違います。例えば、デスクワークが中心の人と肉体労働の人では、1日に使うエネルギー量もまったく異なり、必要とするカロリー量も自ずから変わってきます。適正なカロリー量がどのくらいかを算出するには、「1日のエネルギー所要量=1日の基礎代謝量×生活活動強度」の計算式に当てはめればすぐ出てきます。

山田 エネルギー所要量とは、1日にどれだけの栄養素やエネルギーを摂取したらよいかという指標のことですね。では、基礎代謝量、生活活動強度とは何ですか。

白澤 基礎代謝量とは、安静の状態で人が必要とするカロリーのこと。性別・年齢別によってカロリーが異なり、50~69歳の男性なら1日当たりの基礎代謝量は1350kcal、女性なら1110kcalとなります。一方、生活活動強度とは、エネルギー消費量からみた日常生活の活動の強さのことで、その度合いによって「低い」「やや低い」「適度」「高い」の4段階に分かれます。たとえば、60歳の女性で、あまり動かない人なら生活活動強度は、「低い」の1.3になります(下記表を参照)。60歳の女性の基礎代謝量は1110kcalですから、これを数式に当てはめれば、「1110(kcal)×1.3=1443(kcal)」。つまり、この女性の1日当たりのエネルギー所要量は、1443 kcalになりますね。

山田 なるほど。意外とわかりやすいですね。

白澤 昨年、101歳を迎えられた聖路加国際病院の理事長で、医師の日野原重明先生に伺った話では、先生はご自身の基礎代謝量に加え、医師としての日常業務、講演、執筆などの活動状況などを考慮し、1日の摂取カロリーを1300kcalと決められているそうです。70歳以上のふつうの男性が必要とするカロリーの摂取量が、1850kcalですから、先生の場合は、7割強の摂取量になりますね。まさに「腹七分」といってもよいでしょう。しかも、体重は今65kgで、20代の時(60kg)とあまり変わっていないそうです。先生は、今も多忙な毎日を送っておられますが、どうやら元気の秘訣の一つに、腹七分目の食事があると私は思っています。ぜひ、皆さんにも「20歳の時の体重+5kg以内」を目指していただきたいですね。

山田 私も「腹七分目」をぜひ心がけたいと思います。


毎日、体重チェック


白澤 それと、20歳の時の体重を目指すには、当時の写真を引っ張り出してきて、そのころのスタイルに戻ることを目標にしたらどうでしょうか。そのためには、毎日、体重計に乗る習慣をつけ、体重を量ったらそれを手帳などに書き込むことから始めてみるのも一つの方法です。また、その日に何を食べたかを記録しておくのも、効果的だと思いますね。

山田 食べすぎはよくない、とわかっていても食事管理は毎日のことでもあり、よほど強い意志がなければ根気よく続けるのは、結構難しいものです。その点、最近の血圧計や体重計、体組成計、歩数計などはメモリー機能や通信機能を持つ製品が増えてきました。日々の食事の記録をパソコンや携帯電話を使ってメールで送ってもらい、その結果をもとに管理栄養士がアドバイスして従業員の健康を管理する企業まであると聞きました。こうした支援サービスを利用すれば、食事の自己管理もしやすくなるでしょう。でも、せっかく減量に成功したとしても、それを維持するのは並大抵のことではありません。肥満の人で減量に成功しても、1年後には約60%の人が元に戻ってしまうとの報告もあるそうです。このようにリバウンドしないためにはどうすればよいですか。

白澤 確かに極端な食事制限や短期間で急激に体重を減らしたりすると、リバウンドしてしまうケースが多いですね。リバウンドしないためには、急激に体重を落とさないで1カ月に1kgとか、じっくり時間をかけて少しずつ痩せること。それと、食事と運動をバランスよく組み合わせ、生活のリズムを安定させることも大事でしょう。食事はおいしく食べて楽しみながら痩せたいものですね。

低栄養にも注意を

山田 カロリー制限をするうえで、気をつけなければならないのが、低栄養の問題でしょう。ダイエットに励むあまり、栄養不足に陥り、健康を害しては何のための減量なのかわかりません。特に年をとると、「粗食は低カロリーで健康によい」と思い込み、あっさりしたものばかりを好む傾向があるようです。そのため、肉類などのタンパク質や乳製品、油脂類などが不足がちになり、健康上いろいろな弊害が出てくる恐れもあるみたいですね。

白澤 その通りです。確かに高齢になると活動量が落ち、その分必要なエネルギー量も減りますが、その一方で、咀嚼力などが落ち、必要なだけの栄養が摂れない「低栄養」に陥る危険性も出てきます。だから、「やみくもに、ただ粗食にさえすればよい」というのは間違いで、高齢者が栄養不足に陥らないためには、食事は1日3食をバランスよく摂り、肉などの動物性タンパク質や油脂類なども摂取する必要があります。