★畠山記念館 サイト
秋季展『生誕150年 原山渓―茶と美術へのまなざし』 ※10月6日(土)~12月16日(日)
原三渓といえば、横浜・本牧にある三渓園、横浜銀行~と横浜の歴史においては欠くのできない人物。
横山大観ら近代の日本画家らをバックアップしたことでも知られる。
三渓園にはお茶室いっぱい、数寄者を招いてお茶事を愉しんでた~という話も聞いている。
(茶室見学も訪れたことあり→こちら)
以前からも、畠山記念館の展覧会では三渓ゆかりの茶道具がちょくちょく出ていたので、「親しかったんだろうなぁ」となんとなく思っていた。
印象に残っているものとして、光悦の赤楽茶碗「李白」がある。
中国は唐の時代の詩人・李白が大酒飲みだったことに因んで、その李白がお酒を飲んだ時の赤い顔のようだと
原三渓が銘名したのだと、作品解説で聴いた。
即翁と三渓、どのくらいの距離感だったのだろうか。
と、近代数寄者の生没年リストを頭に浮かべながら鑑賞。
第1世代
井上馨(世外) 1836-1915
安田善次郎 1838-1921
平瀬露香 1839-1908
藤田伝三郎 1841-1912
第2世代
馬越恭平 1844-1933
益田鈍翁 1848-1938
三井高保 1850-1922
村山香雪 1850-1933
第3世代
団琢磨 1858-1932
根津青山 1860-1940
高橋箒庵 1861-1937
住友春翠 1864-1926
原三渓 1868-1939
第4世代
小林逸翁 1873-1957
松永耳庵 1875-1971
野村得庵 1878-1945
正木孝之 1895-1985
畠山即翁 1881-1971
五島慶太 1882-1959
山口滴翠 1883-1951
森川如春庵 1887-1980
湯木貞一 1901-1997
※参考 2013年12月に訪問した逸翁美術館「逸翁と近代茶人たち」より
13歳、即翁の方が年下だったのね。
むしろ、三渓にとっては益田鈍翁が実業家コレクターとして意識する存在だったということが
三渓が19歳年下の森川如春庵に宛てた手紙の中からうかがえるところとか、当時の人間関係が垣間見えて興味深い。
先日、湯木美術館で不昧公の消息(←あ、まだ鑑賞記書いてなかった~)を見た時も思ったけれど、
手紙は人柄が滲み出ているのがわかるので、おもしろい。
そういう意味で、三渓が64歳の時に鈍翁にあてた書簡がとてもよかった。
腸の病気のため、茶会を出席できないことをおわびする内容で、
「鰻が好きで食べ過ぎたせいで、鰻の祟りがあった」と冗談を書いたあとで、鰻の霊に悩ませられる寝込んだ自画像も描かれている。
茶碗「李白」をはじめ、茶道具は過去にも見たことがあるものが多いなかで、「あ、これも三渓の旧蔵品だったのか」という感じだったかなぁ。
光琳筆の「小督局図」とか歌仙絵「清原元輔像」とか。
古瀬戸肩衝茶入「畠山」は前から狙っていた?
備前火襷水指も、青織部菊香合もそうだったのかぁ。
萩茶碗「瀬々(ぜぜ)」は灰色の釉薬が萩らしくない。指で3か所へこませて州浜形にところがユニーク。
一入の赤楽でできた中次も変わってる。
龍の絵がかなり立派に鋳込まれた雲龍釜は罹災した形跡が残っていた。
エピソードが知りたかった。
雪村周継が描いた国宝の竹林七賢人屏風は立派でダイナミック。
リスペクトするほどだったかどうかはわからないけれど、
解説で一つ一つの装具が三渓から即翁へと伝わった経緯がわかればもっと、面白かったかも。
訪れた昨日、11月17日は即翁さんの御命日だったそうで、無料で呈茶サービスがあった。
紅葉が美しい時期に逝ったのねぇ。。。と思いながら、粉引っぽい大振りのお茶碗で飲んだ抹茶は美味しかった。
記念館を後にして、坂を下って五反田駅へ。
並んで食べた立ち食いうどん店。
★畠山記念館バックナンバーリスト
2018年8月→『涼を愉しむ―畠山即翁の朝茶の会 併設:狩野派の絵画と江戸の工芸』
2018年6月→『没後200年 大名茶人 松平不昧と天下の名物 ――「雲州蔵帳」の世界』(後期)
2018年4月→『没後200年 大名茶人 松平不昧と天下の名物 ――「雲州蔵帳」の世界』(前期)
2018年2月→『茶懐石のうつわ』つた
2017年11月→『新収蔵記念 近代数寄者の交遊録―益田鈍翁・横井夜雨・畠山即翁』
2017年5月→『茶の湯の名品 破格の美・即翁の眼』
2016年8月→『茶の湯ことはじめ』
2015年12月→『桃山茶陶と「織部好み」』
2015年4月→『畠山即翁の大師会茶会-井戸茶碗 信長の取り合わせ』
2015年2月→『開館50周年記念 The琳派 -極めつきの畠山コレクション』
2014年11月→『大名茶人 松平不昧の数寄―「雲州蔵帳」の名茶器―』
2014年5月→『開館50周年記念 茶道美術の玉手箱―畠山記念館名品展―』
2014年1月→『千少庵没後400年記念 利休とその系譜』
2013年8月→『涼をもとめて―畠山即翁の朝茶事』
2013年5月→『麗しの漆―蒔絵と螺鈿』
2013年1月→『春を祝う -仁清・乾山・光琳-』
2012年11月→『利休と織部 -茶人たちの好みと見立て-』(後期)
2012年10月→『利休と織部 -茶人たちの好みと見立て-』(前期)
2012年8月→『ふしぎ発見! 茶道具と銘をめぐる物語』
2012年6月→『唐物と室町時代の美術』
2012年4月→『唐物と室町時代の美術』(前期)
2012年1月→『畠山即翁の茶会―光悦雪峯茶碗を中心に―』
2011年11月→『茶人 畠山即翁の美の世界』
2011年9月→『明代陶磁の魅力』
2011年6月→ 『国宝 離洛帖と蝶螺鈿蒔絵手箱』
2011年2月→ 『生誕250年 酒井抱一-琳派の華』
2010年11月→『織部が愛した茶碗 高麗・割高台』その2
2010年10月→『織部が愛した茶碗 高麗・割高台』その1
2010年8月→『涼を愉しむ-書画・茶器・懐石道具-』
2010年5月→『茶の湯の美-数寄のかたちと意匠-』
2010年2月→『懐石のうつわ -向付と鉢を中心に-』
2009年10月→『戦国武将と茶の湯 -信長・秀吉ゆかりの品々-』
2009年4月→『畠山記念館名品展 季節の書画と茶道具』
2009年2月→『冬季展 日本の春-華やぎと侘び』
2008年10月→『益田鈍翁 -心づくしの茶人-』
2008年8月→『夏季展 夏のやきもの -金襴手・万暦赤絵・古赤絵・南京赤絵』
2008年4月→『細川井戸と名物茶道具』
2008年3月→『花によせる日本の心 -梅・桜・椿を中心に』
2007年12月→『茶の湯の美 -利休から宗旦へ-』後期
2007年11月→『茶の湯の美 利休から宗旦へ』前期
秋季展『生誕150年 原山渓―茶と美術へのまなざし』 ※10月6日(土)~12月16日(日)
原三渓といえば、横浜・本牧にある三渓園、横浜銀行~と横浜の歴史においては欠くのできない人物。
横山大観ら近代の日本画家らをバックアップしたことでも知られる。
三渓園にはお茶室いっぱい、数寄者を招いてお茶事を愉しんでた~という話も聞いている。
(茶室見学も訪れたことあり→こちら)
以前からも、畠山記念館の展覧会では三渓ゆかりの茶道具がちょくちょく出ていたので、「親しかったんだろうなぁ」となんとなく思っていた。
印象に残っているものとして、光悦の赤楽茶碗「李白」がある。
中国は唐の時代の詩人・李白が大酒飲みだったことに因んで、その李白がお酒を飲んだ時の赤い顔のようだと
原三渓が銘名したのだと、作品解説で聴いた。
即翁と三渓、どのくらいの距離感だったのだろうか。
と、近代数寄者の生没年リストを頭に浮かべながら鑑賞。
第1世代
井上馨(世外) 1836-1915
安田善次郎 1838-1921
平瀬露香 1839-1908
藤田伝三郎 1841-1912
第2世代
馬越恭平 1844-1933
益田鈍翁 1848-1938
三井高保 1850-1922
村山香雪 1850-1933
第3世代
団琢磨 1858-1932
根津青山 1860-1940
高橋箒庵 1861-1937
住友春翠 1864-1926
原三渓 1868-1939
第4世代
小林逸翁 1873-1957
松永耳庵 1875-1971
野村得庵 1878-1945
正木孝之 1895-1985
畠山即翁 1881-1971
五島慶太 1882-1959
山口滴翠 1883-1951
森川如春庵 1887-1980
湯木貞一 1901-1997
※参考 2013年12月に訪問した逸翁美術館「逸翁と近代茶人たち」より
13歳、即翁の方が年下だったのね。
むしろ、三渓にとっては益田鈍翁が実業家コレクターとして意識する存在だったということが
三渓が19歳年下の森川如春庵に宛てた手紙の中からうかがえるところとか、当時の人間関係が垣間見えて興味深い。
先日、湯木美術館で不昧公の消息(←あ、まだ鑑賞記書いてなかった~)を見た時も思ったけれど、
手紙は人柄が滲み出ているのがわかるので、おもしろい。
そういう意味で、三渓が64歳の時に鈍翁にあてた書簡がとてもよかった。
腸の病気のため、茶会を出席できないことをおわびする内容で、
「鰻が好きで食べ過ぎたせいで、鰻の祟りがあった」と冗談を書いたあとで、鰻の霊に悩ませられる寝込んだ自画像も描かれている。
茶碗「李白」をはじめ、茶道具は過去にも見たことがあるものが多いなかで、「あ、これも三渓の旧蔵品だったのか」という感じだったかなぁ。
光琳筆の「小督局図」とか歌仙絵「清原元輔像」とか。
古瀬戸肩衝茶入「畠山」は前から狙っていた?
備前火襷水指も、青織部菊香合もそうだったのかぁ。
萩茶碗「瀬々(ぜぜ)」は灰色の釉薬が萩らしくない。指で3か所へこませて州浜形にところがユニーク。
一入の赤楽でできた中次も変わってる。
龍の絵がかなり立派に鋳込まれた雲龍釜は罹災した形跡が残っていた。
エピソードが知りたかった。
雪村周継が描いた国宝の竹林七賢人屏風は立派でダイナミック。
リスペクトするほどだったかどうかはわからないけれど、
解説で一つ一つの装具が三渓から即翁へと伝わった経緯がわかればもっと、面白かったかも。
訪れた昨日、11月17日は即翁さんの御命日だったそうで、無料で呈茶サービスがあった。
紅葉が美しい時期に逝ったのねぇ。。。と思いながら、粉引っぽい大振りのお茶碗で飲んだ抹茶は美味しかった。
記念館を後にして、坂を下って五反田駅へ。
並んで食べた立ち食いうどん店。
★畠山記念館バックナンバーリスト
2018年8月→『涼を愉しむ―畠山即翁の朝茶の会 併設:狩野派の絵画と江戸の工芸』
2018年6月→『没後200年 大名茶人 松平不昧と天下の名物 ――「雲州蔵帳」の世界』(後期)
2018年4月→『没後200年 大名茶人 松平不昧と天下の名物 ――「雲州蔵帳」の世界』(前期)
2018年2月→『茶懐石のうつわ』つた
2017年11月→『新収蔵記念 近代数寄者の交遊録―益田鈍翁・横井夜雨・畠山即翁』
2017年5月→『茶の湯の名品 破格の美・即翁の眼』
2016年8月→『茶の湯ことはじめ』
2015年12月→『桃山茶陶と「織部好み」』
2015年4月→『畠山即翁の大師会茶会-井戸茶碗 信長の取り合わせ』
2015年2月→『開館50周年記念 The琳派 -極めつきの畠山コレクション』
2014年11月→『大名茶人 松平不昧の数寄―「雲州蔵帳」の名茶器―』
2014年5月→『開館50周年記念 茶道美術の玉手箱―畠山記念館名品展―』
2014年1月→『千少庵没後400年記念 利休とその系譜』
2013年8月→『涼をもとめて―畠山即翁の朝茶事』
2013年5月→『麗しの漆―蒔絵と螺鈿』
2013年1月→『春を祝う -仁清・乾山・光琳-』
2012年11月→『利休と織部 -茶人たちの好みと見立て-』(後期)
2012年10月→『利休と織部 -茶人たちの好みと見立て-』(前期)
2012年8月→『ふしぎ発見! 茶道具と銘をめぐる物語』
2012年6月→『唐物と室町時代の美術』
2012年4月→『唐物と室町時代の美術』(前期)
2012年1月→『畠山即翁の茶会―光悦雪峯茶碗を中心に―』
2011年11月→『茶人 畠山即翁の美の世界』
2011年9月→『明代陶磁の魅力』
2011年6月→ 『国宝 離洛帖と蝶螺鈿蒔絵手箱』
2011年2月→ 『生誕250年 酒井抱一-琳派の華』
2010年11月→『織部が愛した茶碗 高麗・割高台』その2
2010年10月→『織部が愛した茶碗 高麗・割高台』その1
2010年8月→『涼を愉しむ-書画・茶器・懐石道具-』
2010年5月→『茶の湯の美-数寄のかたちと意匠-』
2010年2月→『懐石のうつわ -向付と鉢を中心に-』
2009年10月→『戦国武将と茶の湯 -信長・秀吉ゆかりの品々-』
2009年4月→『畠山記念館名品展 季節の書画と茶道具』
2009年2月→『冬季展 日本の春-華やぎと侘び』
2008年10月→『益田鈍翁 -心づくしの茶人-』
2008年8月→『夏季展 夏のやきもの -金襴手・万暦赤絵・古赤絵・南京赤絵』
2008年4月→『細川井戸と名物茶道具』
2008年3月→『花によせる日本の心 -梅・桜・椿を中心に』
2007年12月→『茶の湯の美 -利休から宗旦へ-』後期
2007年11月→『茶の湯の美 利休から宗旦へ』前期
おにやんまのこと、全然知らなくて。
今後、青物横丁駅もちょいちょい利用することになりそうなので、そちらへも行ってみようかな。