裏山赤太郎~ゲイでエイズで、でも生きてくよ!~

ゲイとして生きて、50代でエイズを発症したけど、自分らしく生きていくことには変わりないないんだよってブログ。

入院初日に感じたこと

2015-07-16 12:00:13 | 日記
いよいよ入院当日、手続きを済ませて病棟へ行く。
看護士さんに部屋へ案内されたベッドは、
ナースステーションのすぐ横で、
トイレもすぐ目の前にある6人部屋の窓側のベッドだった。
窓際のベッドだったのは、
正直かなり嬉しかった。

その病棟は内科病棟で、
特に集中治療室というのはないようだった。
ただ、ナースステーションのすぐ横ということは、
たぶん自分も重症と判断されていたのだろう。
激しい下痢症状があったため、
便意があったら待ったなしで行く必要があったので、
そうした場所のベッドを用意してくれたのかも知れない。
後でわかったのだが、
同室の他の患者さん達もけっこう重症な様子だった。
隣のベッドの60代の男性は成人病のオンパレードで、
一日中点滴を欠かせず、
常に熱があって、昼間でもいびきをかいて寝ていた。

入口脇の老人は胃癌だったので、
胃のほとんどを摘出していた。
胃がないせいか、
食事に時間がかかる上に、
常に空腹感があり、夜中でも何か食べていた。
体のあちこちが痛いらしく、
痛みで頻繁に看護士さんを呼びつけていた。

そんな他の患者さんに比べれば、
自分は実に呑気な患者に診えたかも知れない。

私の腸全体を炎症させているサイトメガロウイルスをやっつけるため、
2時間ほどかかる点滴を1日2回受けた。
それに加えて肺炎予防のための薬を服用し始めた。
その薬は薬疹が出ることがあり、
薬疹が出た場合はかなり酷いことになるらしい。

サイトメガロウイルスの点滴が効いて、
症状が改善するまでに、
また肺炎予防の薬による薬疹の経過観察についても含めて、
約3週間の入院だった。

朝食後、点滴を受けて、
午後は日によって胃カメラやMRI、
眼科受診などの検査が組まれていた。

入院に際してのカンファレンスが一通り済むと、
ベッドに横になって、
私はぼんやりしていた。

入院中、どんなふうに治療が進むのか、
概ね理解できていた。

窓の外にひろがる空を眺めて、
体だけでなく心も、
緩やかに横たえることができた気がした。

ああ、もう頑張らなくていい。

他人の評価も、気にする必要はない。

これからは、自分の体と心を、
大切にしながら生きよう。

思えば当たり前のことなのだが、
気付かないうちにそれが自分の中で、
それがズレていたことに気付いた。

まだまだ不安はあったが、
不思議と孤独ではなかった。
もう寂しさを感じるほどの気力も、
無かったのかも知れない。
ただただ、病室のベッドで自分を癒すことが、
自分の全てだった。

ただ、親だけには心配を掛けたくなかった。

知り合いには、この病気のことは知られたくなかった。

それだけは、気を付けようと思っていた。


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