C'est la vie.

人生ままならぬもの。成り行き任せか、C’est la vieか。電子のカオスの中で思いが遂げられたらと思う今日この頃。

どうしてこんな冷たい記事が 中村獅童の肺がんめぐる週刊新潮

2017-06-03 00:41:10 | Weblog

 人は他人の病気に関して、どうしてそこまでひどいことを言ってしまうのだろう。多くの患者は自分がどうなるのか常に不安にさいなまれている。それなのに、もっと悪性ではないか、治らないなどと平気で言い放ってしまう。相手が権力にしがみつく連中や独裁者ならまだいい。それが歌舞伎役者の中村獅童のことだったらどうだろう。肺腺がんのことを書いた新潮の記事は人とは思えないほど冷たいのだ。

▽もっと症状は重いと示唆 根拠もなく

 中村獅童は、5月半ば初期の肺腺がんであることが定期的に受けている人間ドックで判明。「奇跡的と言われるほどの早期発見」で手術のため入院。出演を予定していた博多座『六月博多座大歌舞伎』、歌舞伎座『七月大歌舞伎』は休演する。中村側はすぐ手術すれば完治する」と担当医師の言葉を報告している。

 これにかみついたのが新潮だ。見出しは「中村獅童 ステージⅠ肺腺がんに2カ月休養の謎」だったが、立ち読みしてみると、予想通り、そんなに初期の肺がんなら2カ月も休む必要はない。そんなに長くかかるのは、もっと症状が重いからではないか、そんなゲスの勘ぐり風の記事が綴られていた。

▽患者の不安をあおってどうするのだ

 自分の感想だが、がん患者は猛烈な不安の中で生きている。本当に「初期で手術で治る」と言われても、小さなことで不安となりくよくよしたり、調子が悪くなったりするものだ。それを新潮という巨大なマスコミがあーでもないこーでもないと病状を書き立てれば、よけいでも本人にはストレスになるはずだ。それでも書くという神経はどうなっているのだろう。

▽情報の取捨選択で人の質が分かる

 そんな人間とも思えない冷たい記事を平気で書く週刊誌がある中で、ふと思い出したのは1999年、雅子皇太子妃が流産した際、地方新聞に載った「出産の道が開かれたのでは、健康上問題ないと専門医」という見出しの記事だった。内容は「残念な結果だが、これで(出産への)道が開かれたと考えてはどうか。少し静養すれば、健康上の問題もない」。「一般に二回続けて流産する可能性は低く、次に妊娠できる可能性はこれまでより高くなった」と専門家の話を伝える内容だった。。2年後、皇太子妃は長女を産み、この記事通りの結果となる。
 病気をめぐって、悪いこと良いこと、双方の情報がある。どちらを取り上げるかは、その人間の質の問題だ。弱った市井の人間をたたくなどという、もっとも唾棄すべきスタンスに新潮は進んでしまったのか。あまりにも悲しい。

 

  

 

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