全く予想していなかった展開に連邦は驚きを隠せなかった。




「キシリア閣下!」
「中佐。着任早々、済まんが出撃を。」
そんな中、通信網ドミネーションにより、再び正装したマルシェ・キシリア・ザビがあらゆるモニタに映し出された。


大きなジオン十字旗をバックに映し出されたマルシェはこう語りはじめた。
「これはこれは、多忙の中、お集まり頂いた地球連邦の方々、感謝致します。」
「ご覧の通り、皆様の目の前には新たなコロニーが存在します。」
「現在、このコロニー内には、ヘリウム3ガスが充満しつつあります。」
「これは何を意味するか。頭の良い連邦の皆様ならお分かりかと思います。」
「そうです。此こそ究極の機動兵器と云っても過言ではありません。」
「自走可能なコロニー爆弾。コロニーボムであります。」
「コロニーレーザーのように多大なミラーを必要とせず、宇宙の戦場なら何処へでも移動させ、即座に使用が可能。」
「ここにお集まり頂いた地球連邦艦隊くらいは瞬時に消滅させる事でしょう。」
「そこで、提案が一つ。御座います。」
「地球連邦軍並びに連邦政府は敗北を認め、ジオン公国の復活と自治権復活を認める事を提案致します。」
「その回答の期限は24時間後とします。」その言葉を最後に通信網ドミネーションは解除された。
連邦軍本部では「してやったり」と云んばかりに、唖然とした高級士官の顔が暫く並んでいた。
そんな中、作戦参謀長は「24時間も議論する必要無し。」と口を開く。
「24時間で準備が整うとも解釈出来る。」「儂には、そう受け取れた。」
24時間後にはコロニー内のガスは臨海に達し、会戦と同時にコロニーを艦隊の近くまで移動、砲撃にて大爆発を引き起こし、連邦艦隊は消滅。
グリプス戦役、残念な事に連邦軍全体で、縮小、再編成が行われて来た。
それは、内部分裂を可能にするまでに膨れ上がった事が、原因だからだ。
現に、ティターズやエゥーゴといった連邦から分裂した組織が生まれた。
二度と内部から、このような組織が生まれないようにと。
「ここ、ズム・シティ会戦と名付けたが、この宙域に集めた艦隊は約半数の数である。」
「各エリアには現在、警務隊しか残って居らず。仮に忌まわしきキシリアの亡霊に賛同する輩が、火星圏なり木星圏から押し寄せれば、間違いなく連邦は壊滅します。」
「この会戦は彼女らが仕掛けて来た戦争で、我々はその戦争を回避しよう火の粉を払ったに過ぎません。」
「先手必勝!と言葉があるようにガスが臨海に達する前に破壊し、ズム・シティを制圧する。」
「さすれば被害は少なく済みます。」
「24時間を待たず、打って出るべきです!と進言します。」
ざわめきが起こるが、もっとな意見かも知れないと、多数決により可決、集結した連邦艦隊に戦闘開始命令が、告げられた。
「通信オペレーター。艦隊へ通達!」
「連邦本部が決断を下した。」
「各個に砲撃を開始せよ!」
「モビルスーツは発艦!各隊長は指揮を取れ!」


「キシリア閣下!」
「連邦は攻撃を開始ッ!」
慌ただしく告げられたオペレーターの報告に、マルシェは驚く様子を見せる事なく、応戦を下した。
「うふふ。」
「そうですか。徹底交戦を選択ですか。」
「中佐。着任早々、済まんが出撃を。」
「御意。」
第十四話へ
つづく。
この物語りは「機動戦士ガンダム」の外伝です。
登場する人物、企業等は全て架空です。
実在する人物、企業等は関係ありません。
使用している挿し絵的画像はイメージです。