「……や、山本機、ヤマトの前方にキャッチ!」
「それに先ほどの兵器で我艦(ふね)を消滅させれば、イスカンダルの姫もまた消滅する。」
一分後、宇宙戦艦ヤマトは元の空間に、その姿を現した。
「……私、好きな人を、人の手助けをしたいです。」
「……………。」
驚くように雪が告げると、真田は右の口角を軽く上げた。
それはほんの僅かだが"タイムワープ"を成功させた事を物語たっていた。
艦長古代はディンギル戦闘艦に通信を試みた。
「ディンギル戦闘艦と映像通信回線、繋がります!」
「貴官に告ぐ。ヤマトの実力はお解り頂けたと思う。」
「貴官の艦は我々の狙撃機が完全に射程に収めている。」
「サーシアを解放せよ。」
「解放と貴官らの安全を交換………。」
「笑止!」
「はい。解りました。と我らが敗北を認めると思ったか?」
「我ら武人種族に、敵に頭を下げる意味をお解りか?」
「敗北を意味する。敗北は死あるのみ。」
「それに先ほどの兵器で我艦(ふね)を消滅させれば、イスカンダルの姫もまた消滅する。」
「勝機は我々にある!」
「前方の戦闘機よ。聞こえるか!」
「その兵器でヤマトを撃て。」
「イスカンダルの姫を殺すか、ヤマトを殺すか、好きな方を選べ!」
「地球時間で10秒やる。」そこまで告げるとニオは強制的に回線を切った。
「10。」
「9。」とカウントが削られてゆく。
「山本。ヤマトを撃て。」
古代が口を開く前に真田が無線を飛ばした。
「8。」
「7。」
「時間が無い!山本、躊躇うな!」
「ヤマトを撃て!!」
「……亜鶴希。スナイパーシステムを俺に切り替えろ。」
「3。」
「2。」
「1。」
「うぉぉぉぉぉーーーッ!!」山本はトリガーを引いた。
真一文字に閃光は走る。
着弾と同時にヤマトは消滅した。
「……。」
「ニオ戦隊長!ヤマト消滅!」
「アハッハッハッハッハッ!!」高笑いを見せ、残存した戦隊を前進、ヤマトがタイムワープした際に形成されたユークリッド空間ホール内へと消えた。
一分後、宇宙戦艦ヤマトは元の空間に、その姿を現した。
そう。ヤマトは再びゼロ空間ワープで山本機の撃ち放った反物質粒子レーザーを交わしていたのだ。
「山本機を収用、収用後、山本を艦長室へ上がらせろ。」
「最中実習生は自室にて待機させよ。」
「島。ヤマトもあのユークリッド空間ホールへ突入だ。」
「了解。」
無断で機を飛ばした山本は営倉へ別命あるまで入る事と成った。
古代は、その足で住ブロックまで降り、最中実習生の部屋を訪ね陳謝した。
「君や里都君には本当に済まないと思っている。」
「実習生である君たちを実戦、いや戦場にまで赴かせてしまった。」
「申し訳ない。」
「この空間から抜けたら地球から防衛艦を派遣させる。」
「君たち実習生はそこでヤマトを下艦、地球へ帰投して貰う。」
「今日は、このまま休んでよし。里都君も今、降ろす。二人でゆっくりしたまえ。」
「……あの。」
「あの。私は最後までヤマトが地球へ帰還するまで、ご一緒させて下さい。」
「艦内清掃でも救護の手伝いでも、何でもやります。」
「最後までヤマトが帰還するまで、ご一緒させて下さい。」
「駄目だ。」
「ヤマトが無事に帰還出来る保証は無い。」
「将来有る君たちを無事に地球へ帰投させるのも、自分の責務でもある。」
「……私、好きな人を、人の手助けをしたいです。」
古代は一瞬、返す言葉に詰まった。
「……………。」
「ヤマトはキツイぞ。」
「……はい。」
第一艦橋へ戻った進は再び艦長席に腰を下ろし、指揮を取った。
「総員。第二戦闘警戒。」
「機関、始動。」
「ユークリッド空間ホールへ突入せよ。」
第四話へ
つづく。
この物語りは、プレイステーションシリーズ【宇宙戦艦ヤマト-二重銀河の崩壊-】の外伝的オリジナル二次創作外伝です。
挿し絵的画像はイメージです。