【ドクタロイド:アノン】
私は移住区医療室へ赴いた。
「こんにちは。」と入り口で声を掛け、一歩踏み出した。
「ニコり。」と笑みを浮かべるドクタロイドに私は、驚きを隠せなかった。
それは確かにドクターであり、ナースであるのだが・・・
「予想を超えている……わ。」と思わず呟いた。
金髪のロングヘアに赤いフレームの下渕眼鏡。
年齢は20代半ばくらい。お姉さんタイプね。
プロポーションは身長170センチメートル88/57/90といったところね。
背中には武器にも喚装可能な術式用具器が備わっている。
皇帝の主治医にそっくり。
おそらくエリスにインプットされたドクターとナースを合理的に融合させ、造ったのだと思えた。
お色気タップリの容姿は正に皇帝の好みね。
「パラディアさん。そんなに驚かなくても大丈夫よ。」
「奇抜に見えても腕をと知識は超一級と自負してるわ。」
私は思わず笑顔を溢した。
「そう。それで良いは。リラックスしてね。」
「それでパラディアさん。どうなされました?」
「船酔い?」
「アノン先生……。」
「冗談ですわ。」
「これから精神的にも肉体的にも、キツイ闘いが待っているわね。」
「ビタミン剤よ。これを飲んでおくと良いわ。」とアノン先生からわたされた。
私はそれもそうねと、その場で飲んだ。
簡単な挨拶を済ませ、ブリッジに戻ろうとしたのだが、身体が痺れて動かない。
「……なっ、何を飲まし………た……。」私は言葉を発する事なく、そのまま膝から崩れるように床に倒れた。
「……また、暗闇の世界か!?」何も見えない。
私の周りに波紋が拡がる。
壁に跳ね返り、私を包み込む。
それが数回、繰り返された。
再び周りは真っ暗闇に包まれたかと思うと、360度、上下を含め鏡に包まれた。
「………まさかアノン先生が……?」
「だとしたら、それを造ったエリスが………まさかね。」と心に浮かべた時だった私は気味の悪い生き物に囲まれた。
いや、鏡に映っているのは一匹だ。
冷静にその一匹を探した。
前か?後ろか?右か?左か?はたまた上?いや、下か?
何枚もの鏡が余計に神経を尖らせ、精神的に追い込まれつつあった。
右足な触れられた。
みぎを振り向けば、今度は左手に触れられた。
触れるだけで、噛みつくとかの攻撃は一切無い。
イライラが募る。
今度は後ろから尻に触れられた。
「くっ。おちょくられている……。」
私は冷静さを取り戻す為、大きく深呼吸し、左目の瞼(まぶた)を閉じた。
「……見えた!」前かから来る。
だが、意表をつかれ、真上から攻め込まれた。
気味の悪い生き物はスライム状に変体、私は頭からすっぽりと、被われて行った。
「……なっ、ああああああああああっ。」
ところ構わず触られている感覚だ。
【守護神:朱雀】
「クククッ。」
「なかなか良い表情を見せてくれるわね。」
悶える私を嘲笑う一人の人影。
「なっ、何者?」
「アハハ。」
「これは失礼。」
「わたくし、朱雀。守護神の一人よ。」
「紅く染まったお顔が可哀想わ。」
身動きが取れない私の身体を弄ぶスライム。
むずむずと全身がむず痒いような変な気分が、全身だけではなく脳までも犯しはじめてゆく。
やがて快楽へと私は身体も心も堕ちてゆく。
朱雀の操る通りにスライムは私の身体を操り、辱しめてゆく・・・
「……このまま堕ちて行くのか……。」
快楽は絶頂を迎えるが操りは終わらない。
辱しめは更にエスカレートしてゆく。
何度も何度も快楽は絶頂を迎えては、収まる事もなく、私の気力も体力も失われてゆく。
気が狂うまで続くであろう辱しめと快楽の波。
その様子は私を取り囲む鏡を通し、嫌でも私の視覚に飛び込んでくる。
凌辱されてるのに終わりの無い快楽が私の脳を麻痺させてゆく。
「諦めが心に芽生え始めた……。」
「そろそろ頃合いかな。」
「仕上げにお前の身体に此を入れてやろう。」
「まだ、抵抗する気力が多少、残っているようだね。」
「でも、あと少しで入るわよ。」
「ほ~ら。」
「クククッ。」
「……ううう。」
「あっ………あぁぁぁぁぁぁ。」
朱雀は笑みを浮かべ、私を見下ろした。
「入ったわ。」
「あとは着床させるだけよ。」
ゆっくり私の身体の奥へ奥へと伸び縮みしながらまるで、ミミズが這うようにスライムの一部が入って来る。
身体は受け入れていた。
女性の指なら5~6本分くらいの太さのスライムを受け入れている。
拒む事もせず、寧ろ何時しか私自身がスライム両手でスライムをサポートしていた。
奥へ奥へと。
「パラディア!」
着床寸前でまたも、あの彼女が現れた。
「チッ。」
「邪魔が入ったよ。」
「淫らで恥ずかしい格好で死を迎えるはずだったのに。」
「わたくしの邪魔をするお前、許さないわ。」
「千羽乱舞ッ!!」長さ30センチメートルはあるかと思われる紅い孔雀の無数の羽が空中に乱舞する。
ハリケーンのような渦を巻きながら乱舞する。
第十二話へ
つづく。
この物語りは架空です。
登場人物、メカ等は架空です。実在する人物とは関係ありません。
使用している挿し絵的画像はイメージです。