「愛の手を差しのべたヤマト、地球に裏切られ、愛する我、娘まで奪われ悲しいのです。」
「このホログラムコピーから造り出した偽りのサーシャ。」
「あなたとわたくしの娘(こ)サーシャはヤマトに奪われたままです。」
「沈めてしまってはサーシャもまた、失ってしまう……。」
そう語る操りのスターシャは涙を流し、デスラーを見つめた。
紅く怪しげな光を放し、見つめた。
怒りに握り拳を震わせるデスラー。
「解ったよ。スターシャ。」
震えるほどの怒りを堪えデスラーは、そっとスターシャの肩を寄せ、抱きしめた。
「大佐。全艦隊に通達!」
「ヤマトは沈めるな!拿捕に切り替える!」
「我、愛娘サーシャを取り返す!」
「…了解であります。」
フラーケンは眉を潜めながらも承諾した。
「全艦隊に発令!」
「作戦変更により、これより宇宙戦艦ヤマトは拿捕する!」
「沈めてはならん!」
宇宙戦艦ヤマト復活編外伝
◇新太陽系誕生◇
前編④
竜座銀河入口付近に到達したヤマトは、先のデスラー戦でかなり無茶な戦法を取らざる得なかった。
その無茶が僅かだがヤマトを傷付けていた。
機関に損傷が認められたのだ。
古代は折原に地球型の大気が存在し、ヤマトを隠せる惑星を検索させた。


「折原より艦長へ。」
「ここから320キロ先=進路123ー69宙域に地球型の惑星を確認。」
「ただ、この距離でのデータですので、降りる前に微生物や酸素濃度等の調査が必要です。」
「うむ。」
「解った。引き続き、その惑星の調査を頼む。」
「了解。」
「艦長。」
折原の意見を聞いていた柴田が手を上げた。
「何だね?」
「320キロの距離なら偵察機を飛ばしてもすぐの距離です。」
「私を調査に向かわせて下さい。」
「君を!?」
「はい。私、こう見えてパイロットの訓練を受けていたんです。」
「そうだったのか。」
「経歴書をじっくりと読んでいなくてすまんな。」
「だが、強襲を受けた直後だからな。」
「大丈夫だと思います。」
古代と柴田の会話に割って入った折原。
「ワープアウト後、1時間が経過しましたが、新たな攻撃を受けていません。」
「上手く交わせたと判断出来ます。」
「データバックアップもより正解なデータが得られます。」
「そうだな。」
「よし。柴田、君に先発して惑星の調査を命じる。」
「はい。ありがとうございます。」
「中西。大格納庫に連絡、コスモレコーダーを出すと。」
「了解。」
ヤマト大格納庫に指示が飛び、新型偵察機コスモレコーダーの発艦準備に入った。
※【コスモレコーダー】
コスモパルサーの改良型で両翼上部に小型化したドームレーダー=レドームを備え、機首に備わる固定武装6門の機関砲以外を武装解除した機体。
レドーム内は、風、雨、雪、砂、氷、太陽光線などの自然環境の調査、観測に特化したレーダー、センサーが備わる。


航空機では上段のように巨大な"パラボラアンテナ"タイプが支流だが、ヤマトでは(真田)下段のような船舶タイプをチョイスした。
それは、二機備える事で一機が仮に故障しても、もう一機でカバー出来るというメリットからだ。
「おお。やっと俺の出番だな!」とはしゃぐ小林。
だが、パイロットは既に柴田が務める事を知らされ、肩をガックリと落とした。
こうして飛ぶ願いを叶えた柴田は浮かれ、義手でも此れくらいはと、つい悪い癖でアクロバット飛行をやってしまった。
艦橋を霞め、頼みもしない曲芸を披露した。
「……なっ何だ!?」
しかめる表情を浮かべる古代。
古代は自らインカムを取り、命じた。
「柴田、即刻、任務を中断し、帰投せよ。」
「艦載機はオモチャじゃない!」
「即刻、帰投せよ!」
「申し訳ございません!」と柴田は無線を入れるとオフにし、惑星目指して飛び抜けて行った。
「……。」
「柴田の奴。」
古代はそう思いながらもヤマトをゆっくりと惑星目掛け前進させた。
「各センサー、レーダーを厳とし、進路123ー69へ。」
「第三戦速。」
「第三戦速。ヨーソロ。」

「帰ったら懲罰かもなぁ。」と頭に浮かべる柴田だが、"やらかして"しまった以上、結果をいち早く報告するのが、最良とラダー(操縦悍)を押し倒し、加速させた。
キャノピー超しに見る限り、地球だと言っても過言ではないくらい瓜二つだった。
「まるで地球じゃないか!?」
南半球と北半球が入れ違いに見えるだけで、そっくりだった。

「観た限りでは地球そっくりだ。」
「大気はみためだと薄めかな。」
「ドームレーダー作動。各種センサー、レーダー異常なし。」
「観測、調査を開始します。」
柴田はボイスレコーダーに録音も同時に開始した。
中編①へ
つづく。
この物語りは【宇宙戦艦ヤマト復活編】の外伝です。(二次創作です。)
登場人物、メカ等は架空です。実在する人物とは関係ありません。
また、私的設定が混ざってます。
挿し絵的画像はイメージです。