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鹿嶋少将の航海日誌second

宇宙戦艦ヤマト新作情報・二次創作他、気になったものなどをお届け(^-^)

-希望の女神スターシア-宇宙戦艦ヤマトストーリー第二章・第三話

2021-10-31 18:09:00 | 宇宙戦艦ヤマト外伝
「……や、山本機、ヤマトの前方にキャッチ!」
驚くように雪が告げると、真田は右の口角を軽く上げた。
それはほんの僅かだが"タイムワープ"を成功させた事を物語たっていた。
艦長古代はディンギル戦闘艦に通信を試みた。

「ディンギル戦闘艦と映像通信回線、繋がります!」

「貴官に告ぐ。ヤマトの実力はお解り頂けたと思う。」
「貴官の艦は我々の狙撃機が完全に射程に収めている。」
「サーシアを解放せよ。」
「解放と貴官らの安全を交換………。」

「笑止!」

「はい。解りました。と我らが敗北を認めると思ったか?」
「我ら武人種族に、敵に頭を下げる意味をお解りか?」
「敗北を意味する。敗北は死あるのみ。」



「それに先ほどの兵器で我艦(ふね)を消滅させれば、イスカンダルの姫もまた消滅する。」
「勝機は我々にある!」

「前方の戦闘機よ。聞こえるか!」
「その兵器でヤマトを撃て。」
「イスカンダルの姫を殺すか、ヤマトを殺すか、好きな方を選べ!」
「地球時間で10秒やる。」そこまで告げるとニオは強制的に回線を切った。

「10。」

「9。」とカウントが削られてゆく。

「山本。ヤマトを撃て。」
古代が口を開く前に真田が無線を飛ばした。

「8。」

「7。」

「時間が無い!山本、躊躇うな!」
「ヤマトを撃て!!」


「……亜鶴希。スナイパーシステムを俺に切り替えろ。」

「3。」

「2。」

「1。」

「うぉぉぉぉぉーーーッ!!」山本はトリガーを引いた。

真一文字に閃光は走る。
着弾と同時にヤマトは消滅した。

「……。」
「ニオ戦隊長!ヤマト消滅!」

「アハッハッハッハッハッ!!」高笑いを見せ、残存した戦隊を前進、ヤマトがタイムワープした際に形成されたユークリッド空間ホール内へと消えた。



一分後、宇宙戦艦ヤマトは元の空間に、その姿を現した。
そう。ヤマトは再びゼロ空間ワープで山本機の撃ち放った反物質粒子レーザーを交わしていたのだ。

「山本機を収用、収用後、山本を艦長室へ上がらせろ。」
「最中実習生は自室にて待機させよ。」

「島。ヤマトもあのユークリッド空間ホールへ突入だ。」

「了解。」

無断で機を飛ばした山本は営倉へ別命あるまで入る事と成った。
古代は、その足で住ブロックまで降り、最中実習生の部屋を訪ね陳謝した。

「君や里都君には本当に済まないと思っている。」
「実習生である君たちを実戦、いや戦場にまで赴かせてしまった。」
「申し訳ない。」
「この空間から抜けたら地球から防衛艦を派遣させる。」
「君たち実習生はそこでヤマトを下艦、地球へ帰投して貰う。」
「今日は、このまま休んでよし。里都君も今、降ろす。二人でゆっくりしたまえ。」

「……あの。」
「あの。私は最後までヤマトが地球へ帰還するまで、ご一緒させて下さい。」
「艦内清掃でも救護の手伝いでも、何でもやります。」
「最後までヤマトが帰還するまで、ご一緒させて下さい。」

「駄目だ。」
「ヤマトが無事に帰還出来る保証は無い。」
「将来有る君たちを無事に地球へ帰投させるのも、自分の責務でもある。」



「……私、好きな人を、人の手助けをしたいです。」

古代は一瞬、返す言葉に詰まった。




「……………。」

「ヤマトはキツイぞ。」

「……はい。」

第一艦橋へ戻った進は再び艦長席に腰を下ろし、指揮を取った。

「総員。第二戦闘警戒。」
「機関、始動。」
「ユークリッド空間ホールへ突入せよ。」




第四話へ
つづく。


この物語りは、プレイステーションシリーズ【宇宙戦艦ヤマト-二重銀河の崩壊-】の外伝的オリジナル二次創作外伝です。
挿し絵的画像はイメージです。

-希望の女神スターシア-宇宙戦艦ヤマトストーリー第二章・第二話

2021-10-27 17:11:00 | 宇宙戦艦ヤマト外伝



「実習生最中を乗せ、山本機発艦!!」
「ヤマト後方から迫るディンギル戦闘艦へ、いきなり発砲!!」

「なっ!?何ッ!!」

「新開発の反物質粒子レーザーです!」
「補足された先頭艦……消滅。」森雪のサポートを第二艦橋で担う里都が告げた。
はじめての実戦、敵ではあるが、被弾ではなく消滅したショックから里都の声は最後はか細く成っていた。

「島。重力アンカー値を最大レベルで発動させるんだ!」

「ワープ中に急制動を!」
「無茶苦茶だ!そんな事をしたらヤマトはどんな空間に飛び出すか解らない!下手をすればヤマト粉微塵に吹き飛ぶかも知れない!」
「真田技術長の言葉とは思えない!受諾出来ません!」
島は具申した。

「島。今は詳しく説明している時間が無い。」
「簡単には言えば、四次元空間を経由して、僅かに時間を遡る。」

「……そんな事が可能ですか?」

「俺を信じて欲しい。島。」

「島。ここは真田技術長の意見を実行してくれ。」

「……どうなっても知りませんからね。」渋々だが、島は重力アンカー値を最大レベルに上げ、発動させた。
凄まじい程のGが容赦なくクルーたちの身体にのし掛かる。
苦痛にみんなの顔の眉間にシワがよった。

「……島ッ!重力アンカーを解除し、ゼロ空間ワープだ!」
真っ暗な闇がヤマトを包み込んだかと思えば、直ぐに輝かしい光に包まれた。
どうやら真田の言う空間、ユークリッド空間(四次元空間)へとヤマトは飛び込んようだっだ。

ユークリッド空間(英: Euclidean space)幾何学(ユークリッド幾何学)の場となる平面や空間、およびその高次元への一般化である。平面や空間はそれぞれ、2次元ユークリッド空間、3次元ユークリッド空間に当たり、これらは通常、ユークリッド平面、ユークリッド空間などとも呼ばれている。

三次元ユークリッド空間の各点は三つの成分の座標で決定される。 古典的なギリシャ数学では、ユークリッド平面や(三次元)ユークリッド空間は所定の公準によって定義され、そこからほかの性質が定理として演繹されるものであった。 現代数学では、デカルト座標と解析幾何学の考え方にしたがってユークリッド空間を定義するほうが普通である。 現代的な観点では、ユークリッド空間は各次元に本質的に一つだけ存在すると考えられる。たとえば一次元なら実数直線、二次元ならデカルト平面、より高次の場合は実数の組を座標にもつ実座標空間である。つまり、ユークリッド空間の「点」は実数からなる組であり、二点間の距離は二点間の距離の公式に従うものとして定まる。n-次元ユークリッド空間は、(標準的なモデルを与えるものという意味で)しばしば Rn とかかれるが、(余分な構造を想起させない)ユークリッド空間固有の性質を備えたものということを強調する意味で En と書かれることもある。ふつう、ユークリッド空間といえば有限次元であるものをいう。

ユークリッド平面を考える一つの方法は、(距離や角度といったような言葉で表される)ある種の関係を満足する点集合[注釈 2]と見なすことである。例えば、平面上には二種類の基本操作が存在する。一つは平行移動で、これは平面上の各点が同じ方向へ同じ距離だけ動くという平面のずらし操作である。いま一つは平面上の決まった点に関する回転で、これは平面上の各点が決められた点のまわりに一貫して同じ角度だけ曲がるという操作である。ユークリッド幾何学の基本的教義の一つとして、二つの図形(つまり点集合の部分集合)が等価なもの(合同)であるとは、平行移動と回転および鏡映の有限個の組合せ(ユークリッドの運動群)で一方を他方に写すことができることをいう。 これらのことを数学的にきちんと述べるには、距離や角度、平行移動や回転といった概念をきちんと定義せねばならない。標準的な方法は、ユークリッド平面を内積を備えた二次元実ベクトル空間として定義することである。そうしてユークリッド平面の点は、二次元の座標ベクトルに対応する。平面上の平行移動は、ベクトルの加法に対応する。回転を定義する角度や距離は、内積から導かれる。

次元が上がっても大部分の語彙や公式は難しくなったりはしない(ただし、高次元の回転についてはやや注意が必要である。また高次元空間の可視化は、熟達した数学者でさえ難しい。)とされている。

「ニ、ニオ戦隊長……ヤ、ヤマトが!後方にッ!!」

「何を馬鹿な……あり得ん。」



【最中 亜鶴希=さなか あずき】
防衛隊高等工科学校生。16歳。
体験実習でヤマトに乗艦、サーシア護衛の航海と体験航海を兼ねた今回の航海で、まさかの実戦に巻き込まれた。
16歳の下士官候補生であるが、射撃が得意で高等工科祭での射撃コンクールでパーフェクトを叩き出した天才的腕の持ち主。
今回、同期で幹部士官を目指す里都クリスとヤマトに乗艦。
ニックネームは「最中(もなか)」「小豆」「小豆最中」など。
髪は金髪のロングヘアを後ろで束ねポニーテールにしている。
身長は160cmでバスト86ウエスト56ヒップ86のプロポーション。
やや小柄だが、空手は黒帯の段持ちである。
テキパキと動きポジティブ思考で将来的はパイロットを目指している。


【里都 クリス=りとう クリス】
防衛隊高等工科学校生。
最中とは同期。16歳。
高等工科学校を卒業後、防衛大へ進学、その後、中央司令部の勤務を目指している。
最中同様に体験実習航海でヤマトに乗艦。
髪は金髪のセミロングヘア。
身長は168cmバスト88ウエスト56ヒップ86のプロポーション。
物静かでのんびり屋さん。
動体視力と聴力が平均値より、ずば抜けている。
数学と物理学が得意だが、運動は苦手。そんな彼女も合気道は初段の持ち主。
ヤマトでは実習として、森雪のサポートをしている。


【コスモタイガーⅡ改・スティンガー】

全長17.4m 全幅8.2m 全高3.2m 総重量18.5 t

武装 30mm八連装陽電子パルスレーザー機関砲(機首)12.7mm実体弾機関砲×10丁(主翼)

20mm連装陽電子パルスレーザー機銃座

※対艦46mm反物質粒子レーザー1門(基)機体後部下方安定翼を兼ねており、先端がレーザー砲と成っている。エネルギーをチャージするのではなく薬莢=カートリッジ式で速射が可能だが、最大12発分しか機体には搭載スペースがない。その為、対艦ミサイルのオプションは不可である。※テレサの反物質エネルギーをヒントに造られた。

オプション兵器 対艦ミサイル/対空ミサイル/他、作戦用途に対応。 単座/復座/三座対応。 (山本機および予備機は三座タイプだが、スナイパー=46mm反物質粒子レーザー砲手を搭乗させる為、後部機銃座はA.I対応) ◆ 反物質粒子レーザー=反物質荷電粒子砲は、高速の荷電粒子を撃ち出す兵器。

砲弾として反粒子(陽電子、反陽子など)を用いる。 単なる荷電粒子による破壊効果のみならず、目標の消滅。ただし、現段階では、大気中を進行する反粒子ビームは対消滅による粒子の減衰が激しく、射程が極端に落ちる。 (真田による開発が進んでいる。)

薬莢=カートリッジ内の陽電子粒子や反陽子粒子を高熱や高電界により空間に放出させ、これを電界により加速すると共に、電子レンズにより陽電子/反陽子線をビーム状に収束させて照射する。

※スティンガー(毒針)=スズメバチの針

旧メカコレ コスモタイガーⅡ+2199版コスモゼロ(山本機)のパーツを流用。他、アルカディア号 1/100コスモタイガーⅡEXの水転写デカール流用。


第三話へ
つづく。


この物語りは、プレイステーションシリーズ【宇宙戦艦ヤマト-二重銀河の崩壊-】の外伝的オリジナル二次創作外伝です。
挿し絵的画像はイメージです。

-希望の女神スターシア-宇宙戦艦ヤマトストーリー第二章

2021-10-24 19:38:00 | 宇宙戦艦ヤマト外伝
-希望の女神スターシア-
宇宙戦艦ヤマトストーリー第二章・第一話


【いて座A】イメージ。

最初の目的地である天の川銀河中心部まで、あと10分の距離に到達したヤマト。
艦内は慌ただしく動いていた。

「全艦に通達。」
「艦長の古代だ。総員、着座しセーフティーベルト着用せよ。」
「繰り返す。」
「総員、着座しセーフティーベルト着用せよ。」
「10分後にヤマトはスイングバイ航法を行う。」
「以上だ。」

真田技術長の提案で、中心部に存在するいて座A・ブラックホールを利用して、加速力を増加させようというものだ。
地球の宇宙艦船の中では超弩級クラスのヤマトではあるが、超重力波を有するブラックホールの直上で最高速を維持したままワープが出来る程のエンジン出力は有していない。
本来ならブラックホールの最外縁部の渦の流れを利用して、スイングバイを行いたいところなのだが、次元レーダーが拾える痕跡が消えかかっている事から、直接ブラックホール中心部直上で、スイングバイ・ロングワープを行うとしていた。
ヤマトが出せる最大出力でフル加速し、ブラックホール中心部で、上昇角90度へ転舵、引き込もうとする重力波を利用、ヤマトの推進力と磁気リコネクションの反動を使い、ロングワープするというものだ。

「磁石のN極とN極やS極とS極みたいな関係とイメージすると分かりやすいだろう。」
「ただし、やり直しは出来ない。」
「したがって一発勝負だ。」
「島は俺の合図でフル加速力のエンジンをカットするんだ。」
「そのまま操舵悍をワープ位置まで押し倒せ。」
「ワープスイッチは急遽、俺の席までシステムコントロールをバイパスで繋いだから、俺がワープスイッチを押す。」
真田の説明で納得した島だが、額と悍を握る手は汗でびっしょりだった。
見かねた雪はベルトを外し、島の席へ赴くと「そっと」ハンカチーフをさしだし、「リラックスよ。島さん。」と声を掛け、自席へ戻った。

◆ いて座Aは、天の川銀河の中心にある明るくコンパクトな天文電波源。 より大規模な構造の電波源領域であるいて座Aの一部である。 いて座A*の位置には超大質量ブラックホールが存在する。 ◆ 磁気リコネクション(英: Magnetic reconnection)(磁気再結合)は高い伝導性を持つプラズマ中で磁場のトポロジーが再配置され、磁場のエネルギーが運動エネルギーや熱エネルギーに変換される物理過程である。 磁気リコネクションが起こる時間スケールは磁気拡散の時間とアルヴェーン波の伝搬時間の間である。 ◆

「山﨑機関長。エネルギー増幅。」
「第二戦速から最大へ。」

「了解。」

「機関区、徳川へ。」
「波動エネルギー増幅!」
「機関、第二戦速から最大へ!

ロングワープのカウントダウンが開始された。
ヤマトはフル加速力でブラックホール中心部直上へ。
直上到達と同時に艦首を90度、持ち上げ、引きずり込まれまいと、エンジンノズルから目一杯の噴射をみせた。
ゴトゴトと小刻みにヤマトは上下に揺れた。

「・・・5.4.3.2.1.ワーーープ!」
素早くエンジンをカットオフにし、そのままワープ位置まで悍を押し倒した。
目視していた真田は間髪入れずにワープスイッチを押した。
ヤマト艦内の重力はコントロールされていたが、それでも人間が耐えられる6Gを超え8.5Gを示していた。
艦内服に対G機能が備わっていなければ、良くて失神、悪ければショック死だ。


ワープアウト30秒前のカウントダウンが、はじまった時であった、ヤマトは激しく揺れた。

「きゃぁぁぁぁぁーーー!」と雪の叫ぶ声にカウントはかき消された。
同時に右舷後部で爆発が起きるも、誰一人として、即座に動ける状態ではなかった。
それもそのはずだセーフティーベルトで身体は固定されたままで、まさかのワープ中の事故だ。
だが、それは事故ではなかった。

先日、ヤマトと遭遇したディンギル帝国軍の強攻隊による攻撃だった。
時空間での戦闘はヤマトクルーにとっては初であった。
古代は状況が状況だけにセーフティーベルトの解除を指示、艦内外の状況確認を急がせた。
そんな中、艦内通話が飛び込んだのだ。

「此方、航空隊隊長の山本だ!」
「奴らの足を止める!」
航空隊隊長の山本はヤマト後部に設けてある隊長機専用カタパルトから、無許可で愛機コスモタイガーⅡ改・スティンガーを発艦させた。
発艦だけならまだしも、まだ正規クルーではない防衛隊高等工科学校生の最中(さなか)亜鶴希(あずき)を乗せ、発艦したのだ。

「小豆最中……最中(さなか)を連れてゆく!」



「ま、待て!山本!」


第二話へ
つづく。


この物語りは、プレイステーションシリーズ【宇宙戦艦ヤマト-二重銀河の崩壊-】の外伝的オリジナル二次創作外伝です。
挿し絵的画像はイメージです。

-希望の女神スターシア-宇宙戦艦ヤマトストーリー第一章第三話

2021-10-23 18:59:51 | 宇宙戦艦ヤマト外伝




全宇宙の生命の源とされる女神アクエリアス。
そのアクエリアスの誕生と同時にビッグバンを発生させた。
全宇宙のはじまりとされるビッグバン。
女神アクエリアスは、このビッグバンによって生まれたカオスに原神の力を与え、主神ゼウスをはじめとする、全ての神々や英雄たちの祖とした。
このカオスは有限なる存在全てを超越する無限を象徴しているという。 カオスの名は「大口を開けた」「空(から)の空間」の意味を持つ。 そしてカオスは奈落のタルタロス、大地のガイア、愛と欲望のエロース、暗黒のエレボス、夜のニュクスを生み出した。
そして、この神々とは別にテレザートのテレサ、イスカンダルのスターシア、シャルバートのルダ=シャルバート等(ら)を産み、それぞれ秘宝とされてる不老不死=エリクサーを与えた。
同時に試練としてカルマも与えた。
※エリクサー(elixir, [ɪˈlɪksər], エリクシャー、エリクシール、エリクシア、イリクサ、エリクシル剤、エリキシル剤)とは、錬金術で飲めば不老不死になれると伝えられる霊薬・万能薬である。
※カルマとは所作、意志による身心の活動、意志による身心の生活を意味する語。原義においては単なる行為(action)という意味であり、「良い」「悪い」といった色はなく、暗いニュアンスもない。だが、一方で「悪」として独り歩きしたのも事実である。
善または悪の業(ごう)を作ると、因果の道理によってそれ相応の楽または苦の報い(果報)が生じるとされる。業は果報と対になる語だが、業の果報そのものを業という場合もある。
すべての結果について「偶然による事物の発生」「(原因なく)事物が突然、生じること」「神による創造」などを否定し、その原因を説くものである。

そしてイスカンダルやテレザートでは、宦官制度が敷かれた。
不老不死の実を民に与える代わりに性交を絶ったのだ。
民たちは若く、そして死ぬ事の無い身体と引き換えにこの制度を受け入れた。
だか、イスカンダルにおいては文明の衰退が見え隠れしはじめ、それに気が付いた時のスターシアは、宦官制度を廃止した。
それは1.200年前の事である。
当時、全宇宙の中でも文明の頂点を極めていたイスカンダルは長い間、この制度を守って来た代償として、民たちの向上心は薄れ、極めたはずの文明は衰退をはじめた。
このころ、隣星ガミラスではイスカンダルの文明に追い付こうしていた時期である。
イスカンダルの文明や科学力はガミラス(ガミラスに限らず星間国家)にとっては脅威で、抑止力と成っていた。
宦官制度を廃止したイスカンダルではあったものの、時既に遅しであった。
民たちの向上心を復活させ、辛うじて築き上げてきた文明や科学力は維持したものの、種族繁栄は衰退をたどり、今となる。
現スターシアが地球を地球人類を救った理由の一つは、健全な種族繁栄である。
だが、ヤマトが来星した時、全てを打ち明ける事はしなかった。

それは・・・





地球人 古代守という"アダム"を手に入れたからだ。
やがてそれはスターシアの願いが第一歩ではあるが、叶う事と成った。
娘サーシアの誕生である。


地球との交流を深め、種族繁栄に繋がればとの思いもつかの間、あの悲劇が起こってしまったのだ。
暗黒星団帝国による侵攻、ガミラス星の崩壊。

そして、今、新たな脅威に包まれようとしていた・・・


-希望の女神スターシア-
宇宙戦艦ヤマトストーリー第一章・完。


第二章
第一話へ
つづく。


この物語りは、プレイステーションシリーズ【宇宙戦艦ヤマト-二重銀河の崩壊-】の外伝的オリジナル二次創作外伝です。
挿し絵的画像はイメージです。

-希望の女神スターシア-宇宙戦艦ヤマトストーリー第一章第二話

2021-10-22 23:05:00 | 宇宙戦艦ヤマト外伝
27時間後、ダメージを修復したヤマトはアナライザーのデータを元に次元レーダーを逆探知、オリオン座宙域とは別の宙域へ舵を取っていた。

「古代。このままだと銀河の中心部方向だぞ。」
「アナライザーの逆探知解析データは本当に合っているのか?」
「ボラー残党が仕掛けて来ないとは限らない。」
「それにデスラー率いるガルマンだって再建の途中との噂も、耳にしているだろ!?」
「それと、地球防御軍に援軍の要請も打診しておいた方が……。」

「シマサン。ワタシノ、ケイサンハ サナダサンモ ミトメテイマス。」
「シンヨウドハタカイ。」
そんな会話中、自身のデータの否定された事にアナライザーが、割って入った。

「……済まんな。アナライザー。」
「少し不安に成っただけだ。でも安心したよ。真田さんの御墨付きなら。」

「……。」
「コダイサン。キヲツケテクダサイ。」
「イマハ、カスカデスガ、トテツモナクオオキナベクトルヲ カンジマス。」

「大きなベクトル?」

「ハイ。ソレガナニカハ ワカリマセンガ。」

「惑星クラスか?」

「……イイエ。ソンナモンデハアリマセン。」
「フカクテイデスガ、オヨソ100.000コウネンイジョウハ、スイテイサレマス。」

10万光年以上………だと?
銀河に匹敵する超大型の物体……。
そんなものがワープして来るなんあり得るのか?
艦長席に腰を下ろ古代は胸の前で腕組みをしながら、口を真一文字に結び、瞳を閉じた。
時間にして五分ぐらいが過ぎた。
沈黙するの第一艦橋内に古代の指示が飛んだ。

「島。コースこのまま。」
「データに従え。」

「雪。全レーダーの監視を強化する。」
「サポート員を艦橋へ上がらせろ。」

「北野。各戦闘班に即対応出来るように整備をさせておけ。」

「真田技術長。アナライザーの云った超大型ベクトルの解析をお願いします。」

「相原。地球連邦政府と防御軍中央司令部に連絡を取れ。」

「了解!」

「進路修正。銀河中心部直上。ヨーソロ。」

そう。アナライザーはこの時、微量ながら異次元断層の歪みを感知していたのだ。
この数十日後、天の川銀河に異変が生じる事と成るだが・・・

-高次元空間銀河・中心部-



「艦長!」

「何事か?騒々しぞ。」

「ハッ。申し訳ございません。」
「これを見て下さい。」
技術士官が慌てながら一枚のデータ図を見せた。
食い入るように、そのデータ図を見つめる艦長は一瞬、言葉を失った。
それは現在、彼らが居る空間、高次元銀河中心部内部の異常現象が、想像を遥かに越えていたからだ。

「……大尉。これは間違いないのか?」
「磁気波などによる誤数値によるデータではないのか?」

「艦長。お言葉ですが、この艦(ふね)の宇宙放射線遮断防御システムは正常に作動、何よりも通常の量産型よりも、二年の時間を掛けて開発、整備された最新式システム機を搭載した特殊艦。」
「その効果は艦長も確認済みのはず。」

「……。確かにな。」
「ブラックホール内での実験も成功させたシステム。」
「大尉。このデータは他言無用だ。」
「我々は、このままあの惑星の通過阻止に全力を尽くす。」
「以上だ。下がってよし。」

「ハッ。」
技術士官モデム大尉は一礼して、艦長室から立ち去った。

このディンギル帝国の特務艦は、高次元空間の銀河を空間転移させようとしていた。
それは、通常空間宇宙の生命の源である惑星アクエリアスを現軌道上から反らすという目的からだ。
現在、惑星アクエリアスの軌道はディンギル帝国本星の最側を軌道としている。
生命の源である惑星ではあるが、試練を与える惑星でもある。
近傍空間を通過するだけでも、異常気象に見回れ、大量の雨を降らす。
惑星アクセスがどれだけ近傍を通過するかまた、通過する時間にも差はあるものの、最低でも大型台風やハリケーン並みの嵐を一週間は覚悟しなければならない。
降り注ぐ雨量は、その惑星の年間平均雨量の約五倍の雨量が僅か一週間で降り注ぐ。
当然ながら超が付くほどの文明を屈しても、水没は真逃れない。
そして、その溢れた水が完全に人間の生活出来るレベルまで引くには、早くて約六ヶ月長い場合には一年以上も掛かると云われている。
六ヶ月も水に浸った草木は枯れ、山岳地帯は処理しきれない程の地下水により、崩落や土石流による地形の変化、氾濫した河川も元の河川には戻らない。
餌を失った動物や家畜は死滅、田や畑も流され、食料も生産出来ない。
たった一週間、降り注いだだけで、十年は復興に時間を割かなくてはならない。
時間を割くだけなら可能だろう。
だが、資材はエネルギーはどうする?
その元と成る経済も無い。
ならば移住をと当然、考えるがそれほど容易くはない。
無人のしかも大気が似た環境の惑星を探すか、またはそれと同等な既に文明を築き上げた星間国家、惑星ごと手に入れるかの二択くらいだろう。
そこでディンギルの王ルガールは、今持てる帝国の力を持って、新たな選択として、惑星アクエリアスの軌道修正を目論んだのだ。


それと同時に保険を掛けていたのだ。
ルガールにとって、またディンギルにとって幸いな事に、種族としては既に絶えたと云えるイスカンダルが、天の川銀河に留まった事を知り、手中に治めようというものだ。



「イスカンダル。」
「代々、伝わるイスカンダルの秘宝。」
「長年、我らディンギルと敵対した星間国家・暗黒星団帝国に感謝する日が来るとはな。」


第三話へ
つづく。


この物語りは、プレイステーションシリーズ【宇宙戦艦ヤマト-二重銀河の崩壊-】の外伝的オリジナル二次創作外伝です。
挿し絵的画像はイメージです。