風の色 6
ハミルトンに夕焼けが差し込んできた。
「何作るかな。」 包丁片手にオレ。
帰りに寄ったスーパーで手当たりしだい食材を買ってきた。
どうも買いすぎてまとまらない。
男の買い物というか、計画性がないというか・・・。
「ごった煮するかあ~?、ヤミ鍋、シークレット鍋、何でも良いぞ。」
少々やけくそだ。
「じゃ シークレット鍋で。」 と牧野。
「オレはヤミ鍋が良いな。」 庭にテーブルをセットする佐藤。
「何言ってんだか、どれも同じでしょ。」サリーが鶏肉をさばきながら笑ってる。
タンクトップに、デニムのミニ。指1本でとどきそう。
白くて細い指先で裁かれる鶏肉が羨ましかったりする。
シャンパンを開ける。鍋には苦しいがまあいいか。
BGMにForeignerの「That Was Yesterday 」「 I Want To Know What Love Is 」流れのいいロックが
テンションを一層上げにかかる。
最初に切り出したのは、サリー。
「今までなしてたの。」
「親ってのはいくつになっても心配してるんだよ。」
「生きてるか死んでるか連絡くらいしなきゃ。」
「私に子供ができたら、そんな子にはしたくないなあ。」とたたみ込む。
初対面のはずだったが・・・。
以前からオレ等の話を聞いている。
堪忍袋が満タンで、はち切れたようだ。
「さすがに3年も音沙汰なしじゃな。」
「何かあったのか。」ヤシガニと格闘しながらオレ。
「まあ、実はチョッとなあ・・・。」
何やらありそうな切り出しの佐藤。
「スカッと、言ってしまえ。」イラチの牧野。
「オレが初めてここにきて仕事を見つけた時、クリスっておばあちゃんがやたらと世話してくれたんだ・・・」
「まさかお前・・・そのばあちゃんと・・・。」
テキーラ3杯目 チョッときてる。
牧野がハイライト片手に、にやけながらむせ返す。
「あり得るわね。」なんと冷静にサリー。
セーラムライトを燻らせ、佐藤が続ける。
「クリスばあちゃあんの昔の彼氏との想い出の手助けってとこかな。」
「最終的には、思い出のネックレスを・・・それはペアらしいんだけど、一緒にして約束のハートリーフに沈めたいらしいんだ。」
「だけど 元彼はとうに亡くなってて、家族からネックレスを入手するのが難しいよな。」
「なるほど純愛を押し通したクリスばあちゃんが、想いだけでも成就させたいんだな。」
「今の世の中そんな 殊勝な女いないよな。」牧野がまくしたてた。
間髪入れず、
「ここにいるわよ。少なくても一人はね。間違いなく。」
サリーのなんとなく嬉しそうな横顔は、いつもと違う穏やかな横顔。
夜風にロングストレートの髪が揺れて、月の光が映る。
あまりの切り返しに黙り込む牧野。
依然感じたサリーに対する違和感ってのは、ヒョッとしたら日本人気質の凛としたところだったのかもしれない。
「でもよ クリスばあちゃんのこと心配する前に親に連絡くらいしたらどうだ。」オレが切り出す。
「お前の連絡だけ待ってる。」牧野は窓口だし、とにかく任務の遂行。
「なかなかし難くてな、日本からただ逃げて来ただけだからな。」
「わかってる。連絡するよ。」
佐藤はテレフォン。コレクトコール。
久しぶりの家族の会話。ひとまず一件落着。
「クリスばあちゃんの想いは、オレ等が成就させてやろう。
takamineを弾きながら、スローバラード調のメロディに乗せるオレ。
かぶせる牧野。学生時代の透明感がそのままよみがえる。
右手にBUD、左手にマイクのつもりらしい。
みんな気分上々だ。
Hotel Beach Clubの照明がちりばめられた海面に、月の光に照らされたウィッツサンデーの島々が波間に揺れている。
ハミルトンに夕焼けが差し込んできた。
「何作るかな。」 包丁片手にオレ。
帰りに寄ったスーパーで手当たりしだい食材を買ってきた。
どうも買いすぎてまとまらない。
男の買い物というか、計画性がないというか・・・。
「ごった煮するかあ~?、ヤミ鍋、シークレット鍋、何でも良いぞ。」
少々やけくそだ。
「じゃ シークレット鍋で。」 と牧野。
「オレはヤミ鍋が良いな。」 庭にテーブルをセットする佐藤。
「何言ってんだか、どれも同じでしょ。」サリーが鶏肉をさばきながら笑ってる。
タンクトップに、デニムのミニ。指1本でとどきそう。
白くて細い指先で裁かれる鶏肉が羨ましかったりする。
シャンパンを開ける。鍋には苦しいがまあいいか。
BGMにForeignerの「That Was Yesterday 」「 I Want To Know What Love Is 」流れのいいロックが
テンションを一層上げにかかる。
最初に切り出したのは、サリー。
「今までなしてたの。」
「親ってのはいくつになっても心配してるんだよ。」
「生きてるか死んでるか連絡くらいしなきゃ。」
「私に子供ができたら、そんな子にはしたくないなあ。」とたたみ込む。
初対面のはずだったが・・・。
以前からオレ等の話を聞いている。
堪忍袋が満タンで、はち切れたようだ。
「さすがに3年も音沙汰なしじゃな。」
「何かあったのか。」ヤシガニと格闘しながらオレ。
「まあ、実はチョッとなあ・・・。」
何やらありそうな切り出しの佐藤。
「スカッと、言ってしまえ。」イラチの牧野。
「オレが初めてここにきて仕事を見つけた時、クリスっておばあちゃんがやたらと世話してくれたんだ・・・」
「まさかお前・・・そのばあちゃんと・・・。」
テキーラ3杯目 チョッときてる。
牧野がハイライト片手に、にやけながらむせ返す。
「あり得るわね。」なんと冷静にサリー。
セーラムライトを燻らせ、佐藤が続ける。
「クリスばあちゃあんの昔の彼氏との想い出の手助けってとこかな。」
「最終的には、思い出のネックレスを・・・それはペアらしいんだけど、一緒にして約束のハートリーフに沈めたいらしいんだ。」
「だけど 元彼はとうに亡くなってて、家族からネックレスを入手するのが難しいよな。」
「なるほど純愛を押し通したクリスばあちゃんが、想いだけでも成就させたいんだな。」
「今の世の中そんな 殊勝な女いないよな。」牧野がまくしたてた。
間髪入れず、
「ここにいるわよ。少なくても一人はね。間違いなく。」
サリーのなんとなく嬉しそうな横顔は、いつもと違う穏やかな横顔。
夜風にロングストレートの髪が揺れて、月の光が映る。
あまりの切り返しに黙り込む牧野。
依然感じたサリーに対する違和感ってのは、ヒョッとしたら日本人気質の凛としたところだったのかもしれない。
「でもよ クリスばあちゃんのこと心配する前に親に連絡くらいしたらどうだ。」オレが切り出す。
「お前の連絡だけ待ってる。」牧野は窓口だし、とにかく任務の遂行。
「なかなかし難くてな、日本からただ逃げて来ただけだからな。」
「わかってる。連絡するよ。」
佐藤はテレフォン。コレクトコール。
久しぶりの家族の会話。ひとまず一件落着。
「クリスばあちゃんの想いは、オレ等が成就させてやろう。
takamineを弾きながら、スローバラード調のメロディに乗せるオレ。
かぶせる牧野。学生時代の透明感がそのままよみがえる。
右手にBUD、左手にマイクのつもりらしい。
みんな気分上々だ。
Hotel Beach Clubの照明がちりばめられた海面に、月の光に照らされたウィッツサンデーの島々が波間に揺れている。