むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所クラスター㉟

2019-07-31 12:39:56 | 小説
 昭和五年八月未明。瀋陽の製糖工場で、工場長がかごにひもで縛られて頭を斬り落とされて、死んでいる事件が起きた。死体の首は、鎌のような物で斬られている。工場は男性従業員が二〇人と、女性従業員が一一人いて午前九時から午後一〇時まで操業していた。公安が死体を発見した男性従業員のリーダーに、事情を聞いたら「昨日工場長は清掃作業を終えてから、設備を点検してましたけど」と言う。公安が死体を回収して、設備を調べてから、工場はいつもどおりに操業を始める。女性従業員の数人が公安を見て、目くばせしていて「あやしい」と思ったが公安は手順どおりに捜査を開始した。公安が休憩所を調べると、「戦時の心得」というパンフレットがある。ロシアと戦争になった場合を想定した内容で、「生産力が勝利を導く」と書いてあった。発行人は「宇宙改造集団」で、公安はその住所へ行く。思想団体の関与は重要事項だ。平屋建ての、家の入り口に、宇宙改造集団の看板が貼られている。ドアを開けると奥に机があって、男が入り口に向かって座っていた。男は「われわれ宇宙改造集団は、中国四千年の歴史はもとより古代ギリシャから現代に、継承される身体障害者固有の機能エラーをぶん析して、物品販売に役立てる研究をしてる団体だ」と言う。公安が手帳に「・・継承され・・」と書いて、「生産力は関係ないのか」と聞いたら、「生産力は平常心の源であり、人間は七色の覚醒をもとめる習性かがある」と答えた。公安が「物品販売となにが関係あるんだ」と聞いたら、男は「買い手は商品の効能と別に衝撃をもとめてる」と言う。公安は手帳に「機能エラーとは衝撃のような物らしい」と書いて、「宇宙思想の手引き二」というパンフレットをもらって、そこを出る。周囲は空き地だ。公安は工場のトイレを、調べてなかったことを思い出してまた工場に戻った。トイレの、くみとり口のせまい空間をはいつくばってなかに入ると、血のついた作業服と鎌がある。女性の物だ。公安が女性従業員の資料を調べると、工場長の子供を育てている女性が二人いた。産休をとっている従業員がいてその父親も工場長みたいだ。公安がその女性従業員に事情を聞くと、「間違いなく工場長の子供です」とみかんを食べながら言う。その女性は出歩ける状態じゃなかったから、公安が他の二人から事情を聞くと、二人は「工場長が約束を破って、また子供をつくったから二人で殺した」と白状する。公安は二人を逮捕した。