むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所 太平洋戦争概説㉔

2019-04-30 13:13:20 | 小説

 ナチスの話がだんだんと、くどい感じがしてくるけど、ネットが普及する以前は、ナチスの回遊を、することが人生の主体だった。

 

   硫黄島の戦い

 九日目朝。

南雲 戦争になったらどうしよう。

M 南雲さん。下で戦うナチス囚人兵はカウントがいくつくらいだ。

南雲 上が一八〇で下は三三。

M 市丸が殺したかずは二五〇ぐらいだからまだ勝てるだろう。

南雲 囚人トーチカをあと三人北側に送って。

M かずが多いやつだな。そっちで足りなくなった場合を考えると、頭がすうっとしてなにを考えていたか忘れる。これが戦争だ。

 午後三時。前線へ。

M ノズルは食事入りだけだったよな。

林 先頭に立って穴を燃やしている二人はRANK Bですね。

M どうしてこっちにいるんだ(集合場所は西海岸付近)。

 スプールアンスが片方を撃った。もうひとりも撃つ。

RANK BのSS 経営者が売り場に立つときは、つり銭が足りなくなるので、高額紙幣を使う客がこないようにひたすら念じる。

 前線で捕虜を連れてきてから摺鉢山に登る。

N マリアより。先着一名AA。

M かずは。

南雲 一〇九七人。

M なんでベルリンに集結しないんだ。

南雲 米軍グッツがもらえるから。

長野君 九人多いかと。人数のコールは省略しますか。

南雲 必要だから省略しないで。 

 九人片づいた。

M 林君。空を飛ばそう。

 一〇〇〇人を超えると無人の町で保安官になる(らしい)。ときどき別な町でカウントを増やさないと入植者がこない(ドイツ人の)。一〇〇〇を少し越えたかずがほとんど。AAになると、担当SSがそれぞれにつく。自動小銃を持ったやつと別な町で一〇軒まわる。戦闘員になる男以外を全員射殺。黒髪のドイツ人(ユダヤ人)が死体を始末。そういうのが二〇人ほど同時に活動しているようだ。子供が逃げる。撃つ。戦闘員用の捕虜がトラックで運ばれてからまた戻ってきた。運転手となにか言い争ってから男たちに、おりるように指示する。ひとりずつ全員射殺。

 終点だ。

AAのSS 食品店で売り場にくさった物を陳列していると客の出足が早くなる。あわてて新しい商品を仕入れると客が別の店に行く。あまった商品がまたくさる。

 一〇日目。

 今日からナチス囚人兵のかずを一〇〇〇人にするという。

 ナチス囚人兵の骨を、装兵の前に並べている。こいつの総合体がなにになるかだ。

 開始時間を一五分早くした。午後二時四五分。前線へ。

 ナチス囚人兵が機銃の射程に近づいてきた。スプールアンスが仕とめる。

M 戦争だ。忍びが殿様の護衛をする。

 囚人トーチカ神戸の死傷数が二〇〇〇を越えた(らしい)。少し安心だ。

南雲 マリアより。保安官はひとりずつ。

M 数は。

南雲 一〇九三人。

長野君 九人多いかと。

 九人片づいた。

M 空を飛ばそう。

 軍需工場ではスーツを着たSSが加わる。軍需品の生産ライン比率を計算してから、簡単な機械の操作方法をわざわざ聞く。「不具合品が出荷されてる」と言って一〇九三が全員射殺した。

 入植者の子供たちが新しい学校で「そんなことを言うと保安官に撃ち殺されるよ」と言う。

 終点。

「日本兵の小銃使いは走りながら弾を撃って相手に命中させる」

林 米軍の広報が正しくしゃべってます。

 

    つづく
 


超IQ研究所 太平洋戦争概説㉓

2019-04-29 13:10:56 | 小説

 前回までのあらすじ。アッツの陣地構築から、太平洋戦争に召集された主人公のM。文字が読めないと理解できない難解な太平洋戦争の核心に接近。それにしても本という物はどうしてうそが平然と書かれているのだろう。

 

     硫黄島の戦い。

 八日目朝。

南雲 マリアより。トータルで一〇〇〇人以上死傷させている摺鉢山の囚人トーチカ五人を北側に送って。

 栗林の方へ五人送る。

栗林 稼働率がいい中央の銃座でコンビネーション撃ちしてくれ。

  囚人トーチカが使っていた双眼鏡をもらう。

 午前八時。

 前線に自動小銃の弾を満載したトラックが進む。子供みたいなやつ(背が小さくて童顔)が負傷した味方を撃っている。

南雲 それ協力者だから。

RANK BのSS 売り場にない商品の在庫を、片手落ちな店員に聞いたら用心棒が出てきて「自ぶんで仕入れろ」と言う。

H.スミス ベルリンにRANK Aが集結してる。RANK Aは二〇一人~五〇〇人が多く一〇〇〇人を超えるとAA。一〇〇〇人以上殺したやつが数百人いるようだ。手口は戦車で町や村を制圧したあと、ピストルだけで射殺(なぜか同時通訳の声がある)

「日本兵の小銃使いは動きながら銃を撃つ」

林 米軍の広報がしゃべってます。

M 「動きながら」は、なにか変だ。

 午前一〇時すぎ。

 トラックに少し大きめの機銃を乗せて、ナチス囚人兵二人が摺鉢山のふもとにやってきた。

 投降したソ連兵を二万人撃ち殺したという。

 三〇代後半くらいで動作の機敏な方が射手だな。

 今日は投降する日本兵を撃つらしい。

 米軍の指揮官が穴を指さす。

 上の穴から小銃使いが二人を撃つ。

 指揮官のそばにいた書記官が時計を見ながら、なにかを書きとめる。

 NO RIGHTが火炎放射器でトラックの荷台を燃やす。

 荷台が燃えながら、トラックが戻っていく。

 午後三時。前線へ。ゆっくり進みながらナチス囚人兵を撃つ。おれたちと運転手を見比べて不思議そうに近づいてくる。スプールアンスが撃つ。

 捕虜を連れて摺鉢山に戻ってくる。

南雲 マリアより。先着一名RANK A。

M かずは。

南雲 二八九だけど。

M 市丸より多いな。

 穴の奥でH.スミスがカバーを書いている。赤いインクでAのスタンプ。シベリア経由。さすが司法書士。

長野君 一四人多いかと。

南雲 H.スミスの様子を省略して。知能が高い幽霊でシミュレーターを動かすから。

笠松 おれはまだ生きてるけど。

 一四人片づいた。

 死体が一四体。

 田舎町の名前を言う声が聞こえる。

 広場に集められる人々。兵士はいない。そのノズルだ。次々とピストルで頭を撃ち抜く。

M 林君、空を飛ばすか。ときどき殺さないやつにこだわらないで、SSが読み上げるカウントの経過に合わせるんだ。

林 米軍の広報がなにか言ってます。メモしないと。

M ヨーロッパ人幽霊を米国で使用するときに書類幽霊(中国人の幽霊を子供に変換した物。現地にそういう事務方がいる)が必要。シミュレーターを日米で共有。

 町役場。全員をひとりで撃ち殺す。自動小銃は使わせない。サイドカーに乗って農家をまわる。夜は死体だけの家で服を着たまま眠るようだ。酒を飲むとすぐ吐く。

RANK AのSS 発注ミスをしたときは、材料や生産工程が改良された商品を、問屋が多く納品してきたと客に説明していつもの倍売る。

 終点だ(すべり台に着いた)。下まですべり落ちていけ。
 

       つづく


超IQ研究所  太平洋戦争概説㉒

2019-04-28 12:42:45 | 小説

    硫黄島の戦い


 七日目。

 摺鉢山の電気設備を管理する技師が二名いて毎日朝からいそがしそうに動きまわっている。

 小銃使いは試合開始まで自分の持ち場付近にいて、フック弾を整備したり、外側の岩盤を並べ替えたりしていた。

 おれと林は集合時間まで特にやることがない。

 装兵がある燃料庫のほぼ真上に、大きい星条旗が突き刺さっている。距離にして一〇m弱。

 なにもしないで昼食を食べるのは気兼ねするから、林と二人で道具を借りて、装兵の真上を大きい星条旗まで掘ることにした。

 RANK(ランク) C(不明なドイツ人の声)

林 ドイツ人がしゃべってます。

M 南雲さん。RANK Cってなに。

南雲 殺したかずが一五人~五〇人のナチス。もちろん普通の人を。

RANK CのSS 紙幣をなん枚束ねてもパン一個の価値もない。農村で金貨を備蓄している。

M SSが遺品を整理していて、金貨がしゃべっている。

南雲 金貨をよくみて。

M しゃべっているのは昨日死んだやつがいじくっている方だ。

南雲 現在の持ち主にこだわらないで、SSがしゃべっているように表記して。

M 林君、カイトってわかるか。

林 きっと死体の検死係でしょう。

M 死体が殺した死体のだな。

南雲 そうだけど簡単にして。

M 装兵の後ろに、西洋風のドアを置いたぞ。殺したやつを装兵の穴に集めれば幽霊がそろう。

林 殺した方は死んだら悪魔になるんですよね。

M 紙に記録して一体ずつそろえる。

林 悪魔の外観は。

M 生前の姿だ。軍服のままでいい。人殺しは死なないんだ。

RANK CのSS 硫黄島の死闘、それは悪魔との対話だった。

悪魔(死んだナチスの総合体) おれたちが口をふさいだから、SSが持っている金貨はしゃべらないぜ。

四七四三の悪魔 しゃべる金貨はその、国の死に神。日本人は魚食いだから貴重な戦利品よ。生魚で幽体離脱してきたら金貨の声を聞かせてやって。

 

 午後三時。前線へ。

M サイパンからの捕虜ポイントをとり戻せたな。

林 もうかってないふりですね。

 スプールアンスは楽しそうだ。めんどうな資料整理はH.スミスがやる。運転手もNO RIGHTで安全だ。

 スプールアンスが機銃で地面を撃つ。

 いいえ。東京都です。

林 東京都の人がしゃべりました。

南雲 マリアより。東京都の人は電話局かなにかで働いている人みたい。

南雲 摺鉢山に着く場面を省略して。RANK Bが二名。

M RANK Bってなに。

南雲 殺したかずが五一人~二〇〇人。

 穴の奥でH.スミスが封筒を二通書いている。

長野君 一三人多いかと。

 片づいた。

 おれと林でノズルのひとりを飛ばす。

M ヨーロッパの風景がみえる。逃げているやつを追いかけながら、ピストルを撃っているようだ。

南雲 RANK B以上はひとりがカバー(殺したかずや地名をあて先に書いた封筒)を持って、五人で死体を運ぶ。シミュレーターの時計を合わせるから。

RANK BのSS 食品店で子供が買い物をすると、おつりの計算で、親の声が聞こえる。しめしめ。

 

    つづく

 


超IQ研究所 太平洋戦争概説㉑

2019-04-27 12:57:22 | 小説

 

 前回までのあらすじ。サイパン、テニアン、グアムの戦いが終了して、昭和二〇年二月から硫黄島において日米共同でナチスの人殺しを処刑する作戦が始まった。ヨーロッパ社会における記録として公開しない仮想通貨アカウントは興味深い。

 

      硫黄島の戦い

 

 六日目。

南雲 上陸場面を省略。

 戦闘中はひまなのでいつもラジオを聞きながら、本土から送ってもらった葉書にメッセージを書いている。さて。

M 林君のめがねは近眼か。

林 そうですけど。

 ナチス囚人兵が妊娠九か月の女を射殺する。絶滅戦争。亭主に子供を殺させて、ナチスの仲間にする。

ナチスの下級将校 人の命はぶどう酒と同じだ。一気に飲み干せ。

M ドイツ人が日本語をしゃべっているのだけど。みえるか。死体を引きずったときのだな。

南雲 それ異空間のシミュレーターだから。

 林 よくわかりません。

四七四三の悪魔 ナチスに殺されたヨーロッパ人幽霊で、硫黄島上空に巨大なスタジアムが構築されようとしているわ。二m四方ぐらいの観客席が人数ぶんあってスタジアムの外に住宅が並んでいる。

 開始時間を午後三時一五分にした。

 午後三時。トラック二台に七人で乗る。スプールアンスが機銃を持っていた。

 徐行しているトラックへ近づいてきたナチス囚人兵をスプールアンスが機銃で撃つ。命中しなかった。

 斬り込み四人が一斉に撃つ。ナチス囚人兵が踊るような仕草を見せてから地面にひれ伏す。

南雲 要約したデータだけにして。

 捕虜を二七人確保した。手を包帯で縛る。バランスをとりながら摺鉢山へ大股で進むんだ。

 摺鉢山に着く。

長野君 二六人多いです。

南雲 マリアより。作戦コード、カイト。幽霊をドアの前にそろえて。

M 殺したやつをドアの前に立たせるといいんだな。

 火口に西洋風のドアが立てかけてある。NO RIGHTが無視して展開した。ナチス囚人兵はドアのまわりをうろつく。

 三〇分ぐらいで二六人片づいた。

 ニミッツがやってきて火口のへりに座る。

 芋虫の袋頭巾をつくるたびに、指でピストルを撃つような、しぐさをしていた。

 H.スミスがニミッツのとなりへ座る。

 女、子供、老人、戦争に関係ない普通の人々。ナチスの親衛隊がピストルで次々撃つ。

 ナチスのSS(エスエス。秘密警察)が罪状を読み上げる。

「偶然」や「正常でありながら」とか言う。 

 殺したかずが五人を超える。

不明なSS 同じような店が近所にできると、それまで一〇倍だった売り上げを五倍にしなければならない。

M ナチスのSSが日本語でしゃべっている。

 サイパンで斜面から死体を下にほうり投げていた。体重が一〇〇㎏以上ある。下へ引きずるのは危険だ。そうだっ。空を飛べ。

米囚人パイロット わざわざ思い出すなよ。

M シミュレーターは観客席側にいないとみえないんだな。

 小銃使いに、四人で死体を持ち上げて運ぶように言う。

M 引きずったらだめだ。目をやられる。

 おれと林は二人で空を飛ばす。

M 水中で目を見開くような感覚でヨーロッパの風景がみえるやつだ。

      つづく


超IQ研究所 太平洋戦争概説⑳

2019-04-26 13:07:27 | 小説

   硫黄島の戦い

 

 四日目朝。

 今日は摺鉢山に大きな星条旗を立てるらしい。輸送船で装兵(ゴムでできた着ぐるみ装備)が届いていた。午前一二時に小さい星条旗が立てられて、装兵がそれをとる。大きい星条旗は午後二時ぐらい。

 午前八時。

 ラジオから学徒新兵の特別番組が流れる。

栗林 今日は休みだ。

 午前一二時。

 最初の星条旗が立てられる。装兵が日本刀のさやで米兵を斬りつけて、旗を奪う。

四七四三の悪魔 装兵は平安時代のロボット相撲をモデルにした特殊兵器。

 午前一二時三〇分。

 東京都から小銃使い二〇人が火口の目玉に配置されてフック弾発射装置一〇台を操作する。

長野君 装備違いが一一人います。

 米国女がみえる死体(米国囚人兵がまざっていた)の手をつかみながらひとつずつ共同墓地へ引きずっていく。

M いつもドアがあいている室内だ。

 こっちはひじの辺りだ。別な米国女がみえる。

 H.スミスが食い入るように見ていた。

M 捕虜一二七名。

米軍医 装兵を燃料庫に運んで。

 午後二時。

 米兵が四人がかりで大きい星条旗を立てた。

M あれを新聞の一面に掲載すればNO RIGHTが集まる。

 H.スミスが火口におりてきた。

 小銃使いが集まる。

 もうひとつの記念撮影。

 背景に芋虫の袋頭巾が一二七人もがいている。

 小銃を置き忘れた小銃使いがポケットに、帽子をねじこむ。

M 林君、目を大きく見開け。

 撮れたな。

南雲 記念撮影を省略して。

林 タラワの戦闘を思い出すんですが。

 捕虜一〇〇人と上陸艇に乗って二〇人。

M 上陸艇がだめだな。米国の大将、西海岸でLUNCH BOXをやろうよ。

スプールアンス アスカラ一五〇〇ニンノホカニニシカイガンデ一五〇ニンヲタイキサセル。

栗林 それならこっち(北側陣地)で対応できる。

南雲 集合時間は午後三時三〇分。


 五日目。

 午前八時。ナチス囚人兵が一五〇〇人上陸。

栗林 動物作戦中間発表。野良犬は片っぱしに撃った敵の注意力や闘争心が上昇。かまどうまは開放後三〇分ほどで穴に移動するため効果なし。トノサマバッタは効果ありで本土に注文している。むかでは不明。

 午後三時二〇分。

 トラック二台の荷台におれと林、斬り込み四人とスプールアンスが斬り込み装備で乗る。

 前線の手前で合図。

南雲 マリアより。東京ツアー先着一五〇名様。

 東京都の斬り込みが出てきた。集合場所にたむろしていた米兵を、二七人袋頭巾にする。

 試合開始まで時間がある。

 捕虜を摺鉢山まで歩かせた方がいいだろう。

 斬り込み装備のスプールアンスが先頭を歩く。おれと林は袋頭巾の横を歩いた。

M まっすぐ歩け。バッタを踏むな。

 スプールアンスが足をかかとから地面につけて、小石をよけながら歩けと言う。

 包帯で縛るのを忘れていた。

 手を横に振って、ダンスをしているみたいだ。

 摺鉢山のふもとに、スプールアンスの通訳が立っている。

M 林君、穴に入ったら包帯が必要だ。

 摺鉢山に登るとき、H.スミスが穴の奥にいた。

H.スミス 終わったら合図して。

長野君 二〇人違うかと。

M 全部でなん人。

長野君。一二〇人です。

M 昨日から一二七人だ。少しもうかった。

 林が上がってくる。

M 小銃使いは軽いやつを二人で引きずるように。力仕ごとはおれたちがやる。

 おれと林は二つずつ引きずった。

南雲 捕虜のカウントを省略して、最後に総数を表記。


        つづく


超IQ研究所 太平洋戦争概説⑲

2019-04-25 14:38:34 | 小説

 マスメディアなる物の一方通行的な情報伝達からネット化社会へと時代は移り変わっている。さらにネット化が進めばどんな未来があるだろうか。

 

     硫黄島の戦い

 

 昭和二〇年二月二一日。

 三日目朝。

 キスカのサル(血液型O型の将兵)に北側陣地から来てもらった。受けとり証を東京都で保管してもらう。

南雲 書類のやりとりを省略して。

 午前八時。

南雲 開始の合図を省略して。

 戦闘開始。

 摺鉢山のふもとに戦車を毎日二〇台並べて、被弾競争をする。

南雲 変化がないときは省略。

「それ、おれの」

 人斬り茶坊主だ。殺したかずが九〇人ぐらい。補佐官が四人。

M それをジグソー弾の、代用にするのか。

卑弥呼 邪馬台国に異国人の集落をつくるがよい。

 午後四時三〇分。

長野君 一〇人多いです。

M 捕虜一二〇名。

 今日はH.スミスがきてない。

米軍医 水をお忘れなく。

 ナチス囚人兵の死体を米軍が回収する前に、脳と内臓をとり出している。漁船でしょう油屋の番頭が来てフック弾を器用に回転させながら引き抜いて、バキュームで脳みそを吸い出す。長期間熟成させてしょう油にするそうだ。

四七四三の悪魔 「硫黄島のえさ場」ね。幽霊のえさは、人殺しの死体だけど知能が高い幽霊だけにしないと退屈して死ぬわよ。

長野君 文章が出てきました。

 しょう油屋の番頭と一緒に、笠松と堅田さんがやってきた。どちらも在郷軍人会(大陸帰りの、人殺しの組織)の統制補佐だ。笠松は四〇歳前後で、やや丸顔のざんぎり頭で身長一七五㎝ぐらい。なにかスポーツをやっていたらしくて体格がいい。堅田さんは五〇代後半くらいで満州の生体実験施設と、在郷軍人会の相手をかけ持ちでやっているようだ。堅田さんは漁船からおりると木の板を二枚おれに渡して、「こいつらに飯を食わせてやって」と言った。あとで調べておく。ナチスの解体を始めると、笠松が内臓を片っぱしに海の水で洗って、口に含んでから吐き出している。堅田さんはしばらく様子を見ていたが、おれが小腸を、切り離しているのを見て「そこはどうして切り離すの」と聞く。おれが「しょう油の質が下がるから」と言ったら、なたを手にして「それなら十二指腸で切り離した方がいい」と言いながら切りとった。堅田さんは切りとった十二指腸を水で洗ってからガムみたいに噛みしめていた。これが太平洋戦争だ。

四七四三の悪魔 知能の高い幽霊が、人殺しの内臓を食べている食感が、生魚にしょう油をつけて食べる食感とイコールよ。

 

      つづく


超IQ研究所 太平洋戦争概説⑱

2019-04-24 12:52:20 | 小説

 

   硫黄島の戦い

 

 昭和二〇年二月一六日。

 おれたち二五人とドイツ軍の格好をしたニミッツ、スプールアンスが白塗りのB29(米軍の長距離爆撃機)で硫黄島に着陸する。

栗林 ドイツと日本は同盟国だ。

 ドイツの将校は摺鉢山に住まいがある。おれと林は、ドイツの将校と摺鉢山に登った。

 すべり台(死体をふもとへ捨てる場所)を確認する。

 ふもとにおりて海岸を歩いていると、ドイツの将校二人を見た市丸が
「貴様あー、日本人かあ」と叫ぶ。どう見ても日本人じゃない。

栗林 市丸少将の覇気が充満しておる。

 とりまきみたいな補佐官が五人いて苦笑いしていた。

 

 二月一九日。

 上陸地点は南東海岸。H.スミスの合図で始まる。始まった。

M 二〇〇〇人ほどだ。斬り込みや囚人トーチカ(機銃撃ち)が一五〇人ぐらい配置されているから余裕で片づけられる。

「大日本帝国の恐ろしさを見せてやれ」乃木のまごが叫んでいる。

 南雲 ナチス囚人兵は全員ワルサーP38を携行しているから、うかつに姿を見せると撃たれるよ。

 長野君と宮川が戦車を被弾させる。通訳が書き板を更新。竹田は近くにきた戦車を撃つ。宮川の通訳が命中するごとにガッツポーズをしている。

栗林 日本軍は米軍の猛烈な艦砲射撃にびくともしない地下陣地を構築していた。

M 宇宙人の声はどうする。

南雲 それは未来の地球人が過去をかいま見てしゃべっている声だよ。

栗林 訓練はしているが急所をはずす作戦とやらを多少実行しておる。

M 小道具がいろいろあるんだろ。

栗林 母島(近くにある)に野良犬千匹がスタンバイしている。他にかまどうま(昆虫)千匹のかごが一〇〇個と、トノサマバッタ千匹のかごが五〇個。むかでのバケツが一〇〇個ある。目がいいやつには、昆虫作戦がいい。

M 子供が一七七人いるやつは。

一七七 おれの女に手え出したらぶっ殺すぞ。

M 歯はじょうぶそうだな。

 午後四時三〇分。戦闘が終了した。

 東京都(北側陣地)の斬り込みが西海岸に並ぶ。

 一七七が出てきて話しかける。全員で一七七を撃つ。数分後に輸送機がやってきて一七七の死体を収容して戻っていく。

長野君 靖国神社に奉納するそうです。

 NO RIGHT一〇〇人が摺鉢山に登ってきた。

 火炎放射器のタンクにコーヒーや食事が入っている。林の持ち場に斬り込み二人、上に八人と斬り込み装備のニミッツ、スプールアンス。

 米軍の無線係が、摺鉢山のへりで座標を指示。全員火口におりてくる。

 囚人トーチカ神戸がまざっていたナチス囚人兵三人(装備が違う)にフック弾(かぎ型のもりを電動圧縮空気で発射。へルメットと頭蓋を貫通する威力がある)を撃つ。

死に神 ひみこさまのあいであでして。

 残りの九七人を、芋虫の袋頭巾にする。

 ニミッツとスプールアンスが待っている。記念撮影だ。

 三人で死体を引きずりながら共同墓地(すべり台)へ歩く。

米囚人パイロット その写真おれが買うぜ。

林 これどうやって立たせるんですか。

M それは教えられない。

 袋頭巾立つんだ。

市丸 毛唐ども。みな殺しだあ。

M 捕虜一二〇名。

米軍医 北側のテント(夜襲)は省略しましょう。

 

 二日目朝。

 スプールアンスの通訳に、捕虜の書類を渡す。受けとり証と作戦解説書をくれた。

 摺鉢山攻略と玉名山攻略の二方向作戦。日本軍側へは塹壕づくりの作業を静観して、戦車は一日四〇台まで。

栗林 午前八時開始。

 市丸がラジオに聞き入っている。午前八時まで彼の好きな曲や番組を放送していた。

M 軍神がなにか言ってるぞ。

市丸 貴様あー、日本人か。

 開始だ。

 午後四時三〇分。

 フック弾発射装置を五台にした。

長野君 八人多いかと。

南雲 撃つ場面と芋虫の袋頭巾を省略して。

 スプールアンスとニミッツが死体を引きずる。おれが二つずつ引きずった。これで終わりだ。

南雲 終了の気合いを省略して。

M 捕虜一二〇名。

米軍医 特攻作戦は省略ですね。

 

   つづく
 


超IQ研究所 太平洋戦争概説⑰

2019-04-23 14:57:04 | 小説

   テニアン島の戦い。


麻生 ドイツはイギリス兵やソ連兵を大量に捕虜としている。

M 捕虜が足りないと鋼鉄魔神も米軍の物になるな。

小沢 おれが話をつけるから、そっちでLUNCH BOX(ランチボックス)(協同作戦のコードか物)を米軍に提案しろ。

 誰かの子供が、家の窓から外を見ている。父か母の帰りを待っているようだ。生まれてからそれまでを回想している。

 小沢大将最大出力で米軍に提案した。

 協同作戦の開催地が硫黄島(小笠原諸島の小島)に決まる。次の日から硫黄島にLUNCH BOX(食糧や陣地の図面など)が届けられ始めた。

南雲 高射砲や機銃の配置も細かく指示してある。

林 なぜだか筋肉痛になりますね。

M 米軍の大将は斬り込みに入りたいんだろ。スポンサーだ。

栗林(硫黄島の司令官) そのようだな。

M キスカのサルがきているだろう。

栗林 それよりも大陸からVIPがきている。

M 名前は。

栗林 市丸だから一番のやつだ。

南雲 ナチス囚人兵の資料が約四万人ぶんあるけど。

栗林 それをあれで片づけろと。

南雲 そうみたい。米軍と契約するよ。こっちから囚人トーチカ二〇人、竹田、宮川、長野君、M、林の二五人を生き返らせる。サイパンの一二日目、捕虜のレセプト七五〇人ぶんで二五人を三〇日間。

ニミッツ(米海軍元帥) あと一二七人ぶんでオーケーだ。

南雲 作戦コード。不死鳥。

M 他に大陸からは。

栗林 一番が三種類だ。人斬りのかず。子供のかずっ。人斬り茶坊主。

M 子供のかずが多いやつは。

栗林 一七七人。

M 人斬り茶坊主は。

栗林 どっちも多いやつだ。

M 要人警護はそっちでやるのか。

栗林 そのようだ。

南雲 グアムとペリリューから鋼鉄魔神の軍刀が届いてる。それと作戦コード、マリア。僕がマリアだよ。明日そっちで米軍のメンバーと顔合わせをやるから。

M あんたはこないのか。

南雲 ここで指示しているだけ。

M じゃあな。


 昭和二〇年二月未明。テニアンの司令室におれと林。長野君。竹田。宮川。H.スミス。スプールアンス。米囚人パイロット二人。通訳四人が集まる。

 囚人トーチカ二〇人が建物の外で待機していると、ニミッツが出てきて「おれの娘が『パーティーに着ていく服がない』と言う。海兵隊の制服を貸してやった。今度は『ダンスで踊る相手がいない』と言う。ドイツ製のピストルを貸してやった」と言いながらピストルをとり出す。

 スプールアンスの通訳が、摺鉢山(硫黄島の米軍上陸海岸地点そばにあって、中央がくぼみになっている小山)にある目玉の展開図を示す。

 対戦車砲の特別目玉がある。そこから砲撃コンテストをやるらしい。

 通訳三人が書き板を持っていて、宮川が三一四台、竹田が二九二台、長野君が五三九台。

 新兵一〇〇人を毎日摺鉢山の火口に連れてくるという。

 午後四時三〇分に試合(捕虜のレセプト)開始。スプールアンスとニミッツが斬り込み装備。H.スミスが記念写真を撮る。

 摺鉢山の火口に一か所下まで続いているすべり台があって、そこが共同墓地。

 林が下で上陸艇の米兵と死体を交換。

 毎日一二〇人捕虜のレセプトができるように連絡する。

 おれたちが出たあと、囚人トーチカ二〇人が司令室に入った。囚人トーチカは交替制で、昼間は一〇人稼働。

 

  つづく


超IQ研究所 太平洋戦争概説⑯

2019-04-22 14:28:04 | 小説

 三〇〇億円以上持っている大富豪の女性は、やっぱり某出版社の退職社員だった。他人のIQを下げる活動に思い入れがあるようだけど、規律のある新会社になる必要がある。重要な部分でアクセス数が減るからそういうことはやめてもらいたい。

 

         テニアン島の戦い


 六日目朝。

 麻生が捕虜を連れて米軍司令部のテントへ行ってきた。南雲が来ている。特製ジグソー弾千五百発を渡した。

麻生 和歌山は幽霊だろ。

死に神 ひみこさまからじきじきに。

卑弥呼 その島に呪いをかけて、奪えないようにするがよい。

麻生 病死幽霊をこの島に移送できないだろうか。

M 魂の鋼鉄魔神(三番トーチカ)に始末させる。

麻生 本土からなにか物を移送させることだな。

M ラソー神社(島にある)はどうしてほこらだけなんだ。

麻生 鳥居を作ろう。

M 病死幽霊はラソー神社の鳥居で始末する。

麻生 公共の一回線で処理できるようにだな。

M 移送するのは軍人が望ましい。陸戦で戦死した軍人が、水陸両用戦車でテニアンに移送する。死亡一〇九名。捕虜一三一名っ。

米軍医三 こっちのもそこで処理することになるかも。

 夜九時頃。死に神の音頭が響いていた。

「なにもかもてっぱんがわるいのでございましょう、ひとがうまれるんはてっぱんのせい、ひとがしぬんはてっぱんのせい」

南雲 おれたちは不死身だ。鋼鉄のからだで突撃せよ。

 機銃の音が響いている。米軍からもらったモルヒネを「捕虜になって、拷問されたときに使え」と言って渡していた。鋼鉄魔神(胸に弾丸が一〇発めり込んだ痕跡がある)はラソー神社のほこらだ。

 機銃の音がやんで、海水蒸留装置の、ポンプの音だけが静かに響いている。

 

 七日目朝。

 おれたちの戦争は終わった。おれたち六三人と捕虜一三一名。牛丸を先頭にして司令室へ向かう。

 テントの切れ端と鉄板をほこらに置いた。

北条政子 大釜にほうり込んで「鉄のもと」を入れるがよい。

 本土から送られてきた材木とコンクリートでラソー神社の鳥居(人の背丈ほど)を造った。

 サイパンから南雲ともうひとりやってきた。タラワから来た特殊衛生兵の林君。おれと林で毎日五人だけ捕虜のレセプトをしている。包帯で縛るだけだが望みなら袋頭巾にした。名刺が五枚ずつたまる。

M 三途の川で病死幽霊を鋼鉄魔神がぶった斬る場面が、米軍の志願兵になるわけだ。

 グアムの戦いが終わった。米兵の死者数は予想どおり。

M ペリリュー(パラオ諸島の戦場)の戦果は。

南雲 IN RIGHT(米軍囚人兵)が一〇〇〇人行ってる。

麻生 他はNO RIGHTだな。

M 捕虜は誰のポイントになるんだ。

小沢 おれにもしものことがあったら。

M 拘束されてる邦人用だな。ジグソー弾を使ってるか。

小沢 ×が米国用だな。

長野君 文章が出てきました。

 

 昭和一九年九月。アメリカ軍のオスカー・ゴンザレス少尉二四歳はペリリュー島で戦っていた。オスカーは病気の母親を絞殺したとされ、死刑判決を受けたのちに招集されている。オスカーはこの島をクリアすればフィリピンまで行くことができて、国王の恩赦が期待できると考えていた。上陸時の砲撃で相手が命中しないように撃っていたことから、日本兵も自ぶんたちと同じ囚人兵のようだ。オスカーは「相手を殺さなければ生き残れる」と確信した。オスカーは日本軍の陣地を透視することができる。志願兵の連中は射程距離に近づくことがない。オスカーは水陸両用戦車に燃料のドラム缶を積んで、日本軍の陣地に三回放棄する。三回目で「日本軍の陣地にいる方が安全だ」という安堵感から、谷間で立ち小便をしていて、足をすべらせて谷底へ転落して、頭を打って死亡した。

 

M それにしてもまだ米軍のIN RIGHT(囚人兵)が五〇〇〇人ほどいる。

南雲 ナチス囚人兵のぶん類をしてるんだけど。そっちでデータがあるかな。

M 難しい話だな。無線で満州の広報に聞くか。

 無線機を借りる。

M 呂の複製はいくつできた。

満州広報 七四四五。七七七七で終わりにしようと、前向きに思ってるよーん。

M なにかの免疫力に役立つんだろ。

満州広報 あれは全部うっそー。

麻生 民主政治をできなくするための焦土作戦だろ。

満州広報 それは少しありありーん。

M ナチスと関係があるか。

満州広報 じぇんじぇんありませんえん。

麻生 なんの役に立つんだ。

満州広報 満州帝国の秘密げろげろぼよよよーん。

麻生 データは、ないだな。

 

      つづく
 


超IQ研究所 太平洋戦争概説⑮

2019-04-21 14:50:41 | 小説

 いま半仮想通貨で三〇〇億円以上持っているという女性が本当かどうか確認する作業を進めている。会社四季報の大株主欄を見れば、そのくらいな金持ちは珍しくないけどあちらから出現した場合だからていねいな応接が必要だ。大戦後の復興に、印刷しただけのお金を使ったために、日本国内はインフレになる。印刷しただけのお金は、仮想通貨と同じで死者の預金とも同じだ。お金持ちがお金持ちであり続けるには、新しいお金でたくさん持っていなければならない。仮想通貨の特徴は「IQが平均以下になると幽霊の声を少し聞いただけで金縛り状態になる」だ。だから新しいお金をたくさん集めながら、自分のIQを平均以上にしなければならい。そこで有効とされたのが「出版などで歴史をねじ曲げる活動に投資して、他人のIQを下げる」だ。では続きをどうぞ。

 

 テ二アン島の戦い。

 

 三日目朝。麻生が捕虜を連れて米軍司令部のテントへ行く。

米軍医三 タバコはどうする。

麻生 CアンドI。RIGHT(ライト)(刑期が長い。処刑手数料の意味)。

米軍医三 戦車は昨日と同じ。

 牛丸のタバコをもらう。

 麻生と試験栽培のコーヒーを飲む。

M 大将あんた。トラック島でどんな仕ごとをしていたんだ。

麻生 捕虜にうそ発見機をとりつけて、空から航空母艦を捜す。

M 戦果は。

麻生 二隻発見した。

M 撃沈できるパイロットは。

麻生 訓練生じゃなかった。

M ベテランになると、爆撃する前にからだがあちこち痛む。

米囚人パイロット おい。命中しないように爆撃すると楽しいぜ。

麻生 爆撃機四機が一機ずつだと二~三分間隔で爆撃できる。もう少し。一〇機だと約一分間隔。

スプールアンス(米海軍大将。テニアンにきている) ソレヲヤロウ。

麻生 NO(ノー) RIGHT(ライト)(刑期がない志願兵。まだらな爆撃のなかで囚人兵を撃って、捕虜を確保する見せ物を実行するという意味)。

東京大空襲の幽霊 エキシビジョンとりひきが成立しました。以後の戦いは価値がありません。

M 戦闘シーンを省略すればいいんだろ。

東京大空襲の幽霊 運気は別な場面で使いましょう。

M あんた出版社の人間だな。わざわざ旧漢字を使って読者の目が悪くなったらどうする。

東京大空襲の幽霊 それは筆者の個性ですから。

M 死亡一二九名。捕虜一七三名っ。

米軍医三 撮影用のグライダーが二機をお忘れなく。

米囚人パイロット グアムをみてみろ。

 グアムで小銃使いが拷問されている。

長野君 前線が突破されて一名逃げ遅れました。

 CC(刑期が長い)とIC(刑期がやや長い)のやつが小銃使いを縛って、爪をはがしている。海水蒸留装置の場所を聞こうとしているようだ。

M 大将。よく見ていて。

 戦車から確保した袋頭巾の頭巾をとる。一五人選ぶ。あごの関節を外す。小銃使い一五人に地図や時計を持たせて「ワッツタイム(なん時だ)」「ワッツポイント(どこだ)」と聞く。小銃使いが戦車の装備や射程距離を聞き始めた。

スプールアンス ゴウモンハヨクナイコトダトオモウ。

M 思うじゃな。

 左から三番目の小銃使いが英語でしゃべりながら「ブルースカイ」を連発し始める。

麻生 口は禍(わざわい)のもとだな。

 米国で口がとんがって、毛先が赤茶色で、金髪の米国女が、戦車の部品を検査している。小銃使いが全員でみた。叫ぶ。「ワッツタイム」スプールアンスがグアムのCC、ICを役に立たないやつらだと英語でののしった。

南雲 明日戦車に乗せて。

 通訳が日本語で説明する。

 あごをもとに戻す。

 

 四日目朝。

 おれが捕虜を連れて米軍司令部のテントへ行く。

 スプールアンスが昨日の一五人はどうしたと聞いてくる。

「歯の噛み合わせが悪くなってたから治療した」と言う。グアムの二人を聞くと、

「彼らも戦車の射程距離を知りたがってる」と通訳が答えた。

 スプールアンスが帽子のすそを下へ引っ張って見せる。(戦車を撃てるのが牛丸だけだろうとうながしている)

「戦争が終わったら指圧のやり方を教えてやるからな」とおれが言う。

 スプールアンスが「ヤクソクダヨ」と言った。

 スプールアンスから一m四方ぐらいのざらざらな鉄板と米国産粉ミルクをもらう。

 麻生とコーヒーを飲む。大型のコーヒー焙煎器を穴に運び入れた。製糖工場に飾ってあった物だ。

長野君 あだ討ちが完了しました。

M あっちは片づいたな。

麻生 粉ミルクは米国産の方がべたつくな。戦艦に入れ墨の一団がいて、脱出ボートがそいつらのかずしかない。

M それが西側にいるやつらだな。

麻生 船大工に見えたんだろ。

M 相手は足並みがそろってると思ってあわてる。

麻生 戦闘状態になると、邪魔になるのは確かだ。

M 海戦もエキシビジョンとりひきならいいのだがな。死亡二九名。捕虜二一四名っ。

米軍医三 西側のスコアは不明。

 

 五日目朝。

 和歌山が捕虜を連れていく。

麻生 西側の一五〇人ほどをどうしたらいい。

M それで三番トーチカを完成させる。公共の一回線はリーダーだ。

麻生 黄銅貨を発行すれば誰でも使えるな。

M トラック島に捕虜がなん人いる。

麻生 かずはかなりいるがパンツ一枚で泳ぎ着いていた。民間人と同じになる恐れがある。

M あらかじめそういう指示があって、撤収するときに米国から保健局の連中がぞろぞろやってきてカウントされない。

麻生 カウントされないとどうなる。

M 捕虜が足りないと、リーダーが捕虜にされる。

南雲 囚人兵の資料が増えてないよ。世界的に犯罪がへってる。

麻生 グアムは。

南雲 野戦向きのやつを選んだから、残りの半ぶん以上いくよ。

M いそがしくないのか。

南雲 あとで行くから書類を用意しておいて。

M 捕虜三一名。

米軍医三 ゴム印があるよ。

 

   つづく
 


超IQ研究所 太平洋戦争概説⑭

2019-04-20 14:18:24 | 小説


 テニアン島は細長い形で縦の中央線に小高い山がある。地図のコピーを持っていたけどおかしな広告タグがついていて、置き場所がないからもうない。

 

 テニアン島の戦い

 

四七四三の悪魔 文章はMの描写。 

 

M あんたがトラック島から来た司令官か。

麻生 話は聞いているよ。AB型で柔道七段の衛生兵だろ。

M 特殊衛生兵だ。よろしくな、大将。

麻生 米国はどうして海水蒸留装置の場所を知っている。

M 昨日囚人パイロット二人で取水口の岩盤を爆撃していた。

麻生 エキシビジョンとりひきをするしか活路がない。

M どうやる。

麻生 どうしてクワゼリンで戦死した二人の将校が陣頭指揮しているんだ。

M あれは幽霊だ。「エキシビジョンとりひきのはずが突撃されて死んだ」と言っている。

小沢(海軍総大将) それ、おれの同級生だ。気にしなくていいぞ。

M 西側の守備隊は全員曲射砲部隊で軍神だ。生きている兵はサイパンからきた六〇人と和歌山少将(和歌山県出身以外は不明)。おれ。あんたと牛丸航空兵だけが戦車を撃てる。

麻生 パイロットのふりをして軍神にまざっていたんだな。基本的には戦力放棄地帯だ。四人ぶん四回と拘束されている邦人の交換要員に二回捕虜のレセプトができればいい。

M 西側は和歌山が軍神を幽霊で指揮して、応戦しながら七日間かけて後退する。

麻生 小銃使い四〇人をこっちの東側に配置しよう。交替制だから昼間は二〇人だ。

M 大将。P、T、I、Cの順に二つ。CPは成績優秀。銃を向けると投降する。

麻生 伝えておくよ。

 米軍のグアム上陸から三日後。

米囚人パイロット VIP(要人)ってどっち側だ。

M 西側だ。いつ上陸してくるんだ。

米囚人パイロット 今日だ。

南雲 グアムは対空砲があるから、そっちの方がいいよ。

 米軍が上陸してきた。

米囚人パイロット二 おれはグアムの担当だ。

M そうじゃない。東側にCP(刑期が軽い)だ。

米囚人パイロット二 伝えておくよ。 

 戦車一〇〇台が上陸してくる。東側に六〇台、西側に四〇台。

 牛丸が「それだと二時間かかる」と言う。

麻生 二〇〇人ぐらいしかいない。

M 捕虜は六〇人以上必要だ。

麻生 方角を時間で表すためだな。

 午前一〇時。東側の戦車が三〇台被弾。西側は障害物を破壊するのに一日かかる。米兵が戦車よりも前へ出てきた。小銃使いが忍びの手口で撃つ。米兵の、顔に近い岩や足もとの岩を撃っている。小銃使いがカウンターバーで棚の物を順番に、なんなのか女給に聞く。最後に女給が「へルメットが違うわ」と言う。

 午前一一時。戦車が全部被弾。グライダーがきて空から撮影している。牛丸が帽子を深くかぶった。小銃使いが戦車の装甲(車輪の鉄板)を撃つ。そばの米兵が投降。芋虫の袋頭巾にする。牛丸が手榴弾を戦車にほうり込む。

M 死亡一八四名。捕虜一三四名っ。

米軍医三 水をお忘れなく。

 曲射砲部隊を和歌山が見張る。曲射砲部隊のリーダーは目をぎらぎらさせて、撤退計画書を見ながら、そろばんで弾薬の計算をしたり、配置に石を置いたりしていた。

 

 二日目朝。

 牛丸が捕虜を連れて司令室のテントにいく。米軍医三がメモ紙を牛丸に渡す。

M 午前九時開始。午後から戦車がCP(刑期が軽い)だとさ。

 戦車の装甲を外して重機で引っ張っていく。被弾した戦車が一〇台残っている。

 牛丸が「今日は二〇台」と言う。

M 大将、聞いたかい。

麻生 ああ。

 牛丸が「戦車二〇台を被弾させたら西側の手伝いに行く」と言う。牛丸がタバコに火をつける。タバコの残りが少ない。

M 明日は大将が行ってタバコくらいもらってきたらどうだ。

 戦車二〇台が海岸に並ぶ。昨日の被弾した戦車に向かって米兵が進む。

 一一時前に片づいた。

南雲 西側の軍神はカウントが五〇平均だね。サイパンよりも普通っぽいよ。

 午後一時。

米囚人パイロット わざと外すから真上にいるとき動くなよ。

 戦車が山の斜面に近づいてくる。砲を斜めに向けて装甲が浮く場所で停止した。

 飛行機がやってきて離れた場所を爆撃する。被弾部ぶんから五〇mは必要だ。斬り込みなら二〇mぐらい。

米囚人パイロット よく見ろよ。

米囚人パイロット二 おれにもやらせろ。

 袋頭巾を盾にして、戦車に上がる。戦車から捕虜を確保。

M 死亡一二四名。捕虜一一三名っ。

米軍医三 日本人捕虜収容所の購買チケットを手配したよ。

M 牛丸はどこだ。

和歌山 戦車を被弾させて、風呂に入って飯を食っている。

麻生 風呂なんてあったのか。

M 牛丸の護衛が先だ。

 曲射砲部隊のリーダーと粉ミルクを飲む。

 リーダーは、人間を斬るときは創傷が死亡原因じゃなくて「軍刀から発する電気ショックで死ぬ」と言った。

「刃先に黄銅を塗布すると電気ショックが増す」と言う。

      つづく 


超IQ研究所 太平洋戦争概説⑬

2019-04-19 14:23:55 | 小説

 前回までのあらすじ。米軍の物量作戦によって日本軍陣地は崩壊。もはや投降するしかない。

 

 二〇日目朝。

 僕、西村、竹田、宮川の四人で投降した。

 司令室にH.スミスと孫タイテンがいる。

 僕がH.スミスに「突撃隊員の出身国はどこが多いんだ」と聞く。

 H.スミスは突撃隊員資料をめくりながら「中米から南米の長期服役囚」と言って、

「戦死すると小切手を祖国へ送るが負傷したら米国人になる」と言う。

「ハワイ作戦の死者が幽霊になったあとは、なにをやるんだ」と聞いたら、

「企業のトップはオールマイティーで病気にならない人物が望ましい」と言った。さらに

「それには準備と協力者が必要である」と言ってから、

「囚人兵が乗ってる船を、沈めないことが国際ルールだ」と言う。

四七四三の悪魔 軍人が死んだあとは企業のトップになるという意味よ。

 僕が「ハワイと米国本土にいる日本人の安全を保障してもらいたい」と、言ったらH.スミスがピストルと弾箱を僕によこして、

「麻薬がらみで階級の高い囚人兵がまだいるから身辺警護を頼む」と言った。 

 テニアン島へ囚人トーチカ二〇人と小銃使い四〇人に装備一式。それとM。グアム島へ囚人トーチカ二〇人と小銃使い四〇人に装備一式。それと長野君。

長野君 潜水艦が発進します。

 高年の陸軍将校二人と百合子を本土へ送るように手配した。

 

 二一日目未明。

 H.スミスに誰もいない兵員テントをM五付近まで、設営するように提案する。H.スミスが同意した。

 一時間でテントができた。ジグソー弾をスタンバイする。

「総員(約三〇〇人)海岸の敵陣へ突撃」軍刀をさやごと振り上げてゆっくり走るんだ。
極楽浄土で米兵に突撃指令書を渡せ。

「なにもかもびょうきがわるいのでございましょう。ひとがうまれるんはびょうきのせい。ひとがしぬんはびょうきのせいっ」

M 三番トーチカに収容するぞ。

 

 二二日目朝。

 早朝から死体を撮影している。茶髪イギリス人カメラマンが米軍広報にべらべらとなにかをしゃべっていた。軍刀を全部集めて、トーチカの煉瓦で炉を作って溶かす。

北条政子 奉公の途中であろう。大釜三〇〇個へ「くの字」にしてほうり込むがよい。

 数日後。

 サイパン島に新しく飛行場を造っている。

米囚人パイロット グアムは上陸しないとわからない。テニアンは海水蒸留装置の写真が撮れた。

Mさん(少し年上)、なんとかがんばってください。

M よろしくな。

H.スミス 聞こえるよ。

 今日は突撃隊員の資料整理。アルファベットが二つ並んでいる。PはPERSON(パーソン)、TはTREE(ツリー)、IはIRON(アイアン)、CはCONCRETE(コンクリート)。左が国境ランクで、右が刑期の記号。C、I、T、Pの順に刑期が長い。CCは刑期がへるだけ。PCとかは英雄になれるかも。なにも知らない人が国境を警備しているだけの国だ。

H.スミス 赤ペンでアンダーラインを入れて。

 殺人事件の概要が書いてあって記号に赤ペンを入れる。

「刑期が一〇〇より少ないやつはどうするの」

H.スミス 年齢を丸で囲って。

「こいつらの魂は、使えるの」

H.スミス 知能が高いやつだけ使える。

 千枚チェクしたらH.スミスがよく磨いた床へ置いた。

 一万四千人で全部。報告してもいいのか。

H.スミス どうぞ。

 無線機を借りて本土に連絡する。

「米軍最終データを入手。経過報告が可能」

M 女がなんだ。

 なにをおっしゃるんですか。

M 茶坊主(北条家の子孫)じゃないやつだ。

 ああそうだ。タラワから特殊衛生兵の林君が来ている。

林 子供たちが心配です。

 高年の陸軍将校二人にまかせて。

林 グアムが先ですね。

 三日後だ。

林 三番トーチカは。

 テニアンで完成させる。

 

    つづく
 


超IQ研究所 太平洋戦争概説⑫

2019-04-18 14:30:01 | 小説

 出版社というところは会社でありながら銀行からお金を借りるのに四苦八苦している。本という物は古代から間違ったことが書かれていて、「それは間違ってる」などの声が「おもしろい」や「役立つ」という理由で現代まで継承されていて実に騒々しい。現代において未来はあるのだろうか。

 

   サイパンの戦い

 一八日目朝。

M 昨日無理して五〇人腰痛になった。少なくだ。

 竹田に行かせる。死体回収は午前一一時まで。

米囚人パイロット 今日はおれの出番だ。前線の目玉を全部焼いてやる。

「対空砲がマッピ山の他にあるけど」

米囚人パイロット 指示があったらだ。

米軍将校八 兵員があまっている。生きて帰ってこられるからな。

「分断面をM三からM五まで後退させよう。M二までを宿営地にできる」

米軍将校八 戦車二〇台。新兵六〇〇人。

 今日の空爆はあいつが担当だ。

米囚人パイロット 他のパイロットはマッピ山でいいぜ。

「なん機」

米囚人パイロット 今日三〇機に明日二〇機。

「どうして」

米囚人パイロット 囚人兵の合図を使っている。

米軍将校八 爆撃コンテスト三〇機だ。

 今日はゆっくりでいい。

M 死亡一八三名。捕虜四五七名っ。

米軍医 明日未明にDデイ。

M 累計死者九六五〇人。


 一九日目朝。

 宮川に行かせた。死体回収が午前九時まで。もらい物が缶ビール五〇ダース。

「今日は最終日」

米軍将校九 午前九時より航空爆撃。午後五時まで。

「一日じゅうか」

米軍将校九 戦車三〇台。新兵五〇〇人。

「午後からもう一回だな。機銃は」

米軍将校九 戦車のかずだけだ。

「長野君、対空砲を使えるか」

長野君 一機ずつなら撃ち落とせますが二機ですと後ろのやつに爆撃されます。

「合図はラスト。前線側の対空砲二台を使って」

長野君 どうやって誘導しますか。

「発煙筒をたけば味方だと思って一機だけ残る」

 午前九時。上板を戦車三〇台と新兵五〇〇人が進む。戦車後方に機銃と弾薬箱を積んだ荷車がある。前線に一〇、山側に二〇。前線は竹田、山側は僕と宮川で壊す。

「曲射砲部隊全員で山頂に集合。試合観戦」敵軍から奪った缶ビールだ。

「煙が見えたらわめけ」

 米軍将校九人が下板を馬で走りまわっている。空爆が始まった。全部で一〇機。

「長野君、最後の一機になったらだ」

長野君 赤い煙が出るやつですね。

「ラスト」

長野君 はい。命中。

 対戦車砲の操作は撃ち出し軸を直線でとらえることだ。曲射砲の使い方も同じだが曲がりを予想しなければならない。機銃が下の目玉を撃ち始めた。曲射砲を機銃に向ける。弾をからだで受けとめろ。最初の機銃が壊れる。あと一九。

「曲射砲で機銃を壊すときは、弾を磨け」

三三二三の悪魔 途中を省略します。
 
 (不明な声)ワタシは墓地の近くに住んでます。

 なんの声だ。髪がくり色でショートカットの女。顔はよくわからないけど米国人。機銃の会社だな。不具合品だ。

三三二三の悪魔 ストレートヘアーが出現。

北条政子 十字架のかずが一万になった。

 機銃は先着一名。はい。命中。あと一。

 次は戦車。車体じゃなく砲を斜めにするんだ。被弾したときのダメージを軽減できる。はい。命中。

「他に嫌な位置は。あれか」はい。命中。

長野君 捕虜の確保がやりづらくなる位置にある戦車ほど命中率が高いです。

 正面の戦車。側面を向けている。後続部隊から見えるだろ。はい。命中。

 最後の機銃が前にきている。髪がくり色の米国女。頭に指を当てている。カウボーイ側を狙ってだな。

 ワンストライクから変化球をゾーンに呼び込んでフルスイング。男の声だ。はい。命中。最初のストライクは、なにを狙うんだ。

「ライトパープル」さっきよりも緩慢だな。もう少しで味方に命中する。

「長野君、ラスト」

長野君 はい。命中。

米軍将校一〇 午後六時からDデイ。戦車二〇〇台。機銃二〇〇丁。兵員一万人と海水蒸留装置の破壊工作員五〇〇人。

「長野君、対空砲中止」盾(人質)を確保して米軍将校九まで歩いて三〇〇m。

長野君 サインボードを渡しておいてください。

 米軍将校九が飛行機に手を振る。飛行機が帰っていく。

M 死亡六九九名。捕虜四二一名っ。

米軍医 神社から書類がきてるよ。

 明日午前七時四〇分にマッピ岬。トラック島(サイパンにわりと近い日本軍の航空基地)から輸送用の潜水艦がくる。

 Dデイ(物量作戦)が始まる。

 曲射砲部隊に突撃指令書を手渡す。紙に米軍のマークがプリントされていて、浪人名と神社から命名された戒名が書かれている。

 小銃使いに三番トーチカの貴重品を運ばせた。

M 阿片を多めに配ったぞ。特製ジグソー弾三千発をタッポーチョ山の頂上に置いてある。

 

    つづく
 


超IQ研究所 太平洋戦争概説⑪

2019-04-17 14:34:07 | 小説

    サイパンの戦い

 

 一六日目朝。

 宮川に行かせた。

「米囚人パイロット二を見るんだ」

 鉄条網で囲まれた別な司令室に案内される。米軍医三がいた。

米囚人パイロット二 模型銃座を爆撃しろだって。

「模型銃座は、ないよ」

米囚人パイロット いちどに弾薬が、三つのときがあるからな。

 分断面をM二からM三に後退させると海岸までの距離が短い。

米軍将校六 サングラスはちびと同じだ。

 宮川が帰ってきた。

「この協定書は時間が書いてない」

米軍将校六 戦車一〇〇台。新兵一五〇〇人と精鋭部隊五〇〇人。

 曲射砲部隊が小麦粉の袋を大鍋にぶちまいてから、わしづかみにして空中へほうり始めた。五ぶ刈りに十字のそり込みを入れたやつが、両手で小麦粉をすくって外へ走り出す。赤く染めた長髪の男が小麦粉を口に含んで、水を飲んでからげろげろ吐き出している。ひげと髪を胸もとまでのばした男が餅みたいに丸めて、地面に並べた。他の大鍋でも同じようなことをやり始める。

M なにかの儀式だな。

 寝つきがよくなるので、小麦粉をせんべいみたいに焼いて食べるが全部使ったようだ。

長野君 小銃使いの保険が切れました。以後省略します。

M 味方じゃなく敵のパイロットに痛みを連鎖させるんだ。空気は関係ないんだな。

 午前一〇時。タッポーチョの斜面から精鋭部隊が五〇〇人。戦車一〇〇台と新兵一五〇〇人は海岸を進む。

 飛行機がやってきた。

 米囚人パイロット二がM一の目玉を二か所爆撃する。使える目玉はあと二つ。

 残りの目玉から二〇人撃て。

長野君 保険が切れてます。

 また飛行機がきた。

「ライトパープル」退避しろ。三機やってきた。三つ積んである方だ。

「長野君、竹田が改造した木組み台座の、対戦車砲があるだろ」

長野君 三台あります。

「前線側で前に来た戦車を、それで片づけて」

長野君 命中率がよくないですけど。

「米囚人パイロット二の注意がそっちにある。四七㎜機関砲の新型だ」

 芋虫のような袋頭巾が海側に点在している。

M 死亡一八八三名。捕虜三一七名っ。

米軍医 陣地が乱れているようだね。ヒーローが誕生したら囚人兵を次の戦場に送るよ。

 

 一七日目朝。

 西村に行かせた。

「米囚人パイロット二が他にいないか確かめろ」

西村 意味がわからないわ。死体回収が午後一時まで。

「今日はカウボーイだ」

米囚人パイロット おれもそう思う。

米軍将校七 午前一〇時から航空爆撃三時間。そのあと戦車五〇台。新兵一〇〇〇人。

「長野君、木組み台座戦車砲の命中率は」

長野君 通常の命中率に対して大納言が五〇%、和泉式部が三〇%、清少納言が四〇%です。

 木組み台座戦車砲は、外れるときは手前に落ちる。

米囚人パイロット そんなことよりも審判を撃つなよ。

 午後一時。戦車五〇台と新兵一〇〇〇人が中央の岩場に散開している。海岸にトラックがあって、機銃が二〇丁積まれていた。

「機銃なんてどうやって使うんだ」

 米軍将校七が機銃の担当に話しかけている。

西村 あなたは家族のことを考えながら戦ってるわ。幼なじみの女を思い出そうとしている。

 もうすぐ二時だが山側に近づいてこない。

米軍医 設置係一名。

 機銃を四人で、運んでいる。

 山側に一五丁、前線側に五丁。

 米囚人パイロット二が上空で旋回している。

西村 あなたが戦っている姿はすてきだわ。友達も恋人もあなたが死ねばいいと思っている。

 曲射砲部隊が全員で軍刀を研ぎ始めた。金属音が響く。百合子が無表情になってきた。

 竹田が使っていた前線の目玉を二か所爆撃される。次の爆撃まで一八分。

 百合子に白粉(おしろい)と口紅をつけさせた。M三の中央に空爆を回避できる穴がある。パラシュートを地面に広げろ。

 百合子出動。

M 一銭アルミ貨をどうするんだって。

百合子 昭和一八年の方に傷をつけて、飛行機をアルミ製に見立てて。

「米囚人パイロット二の顔を見るんだ」車輪の軸にひっかき傷をつけているやつがみえるか。

西村 あなたの奥さん、ピザの配達人を家に入れてたわ。二人が楽しんでる間に、あなたは戦場でのたれ死ぬ。

「ライトパープル」

「M三に女だ」落とせ。

 M三にひとつ。黒人が本物だな。

紫式部 アたしがたべましたア。

 米囚人パイロット二が爆撃しないで戻っていく。

 あとは問題なしだ。

 機銃を宮川が曲射砲で破壊。

 米軍将校七が両手を上げてこっちへ歩いてくる。

M 死亡八二三名。捕虜二七七名っ。

米軍医 Dデイ(物量作戦)が近い。
 

    つづく


超IQ研究所 太平洋戦争概説⑩

2019-04-16 13:36:36 | 小説

 サイパンの戦い。


 一四日目朝。

 竹田に行かせた。死体回収の協定書にサイン。

 昨日はマッピ山の対空砲で一〇機撃墜した。故障した対空砲を仕切り岩に設置。表面をつやつやに磨いてある。

米囚人パイロット それ午後からおれがやる。テニアン(サイパンに近い戦場の島)で目玉が焼かれている。あれじゃ目立つ。

米軍将校四 午後一時に戦車一〇〇台。YYY師団一三〇〇人。

 ポイントMの分断面は海岸まで距離がある。今日は分断面をM二に後退させよう。

米軍将校四 商談成立だ。

「同じことをやっててどうして気づかないんだ」

米軍将校四 特級酒の効能だろう。対戦車砲を、撃ってる写真をあとで送ってくれ。戦車のそばが審判だ。

百合子 戦闘シーンの変化がない部ぶんを省略して。

M 死亡一一一七名。捕虜三八三名っ。

 


 一五日目朝。

 百合子に行かせた。死体回収が午前一二時五五分まで。

「飛び石作戦で今日はカウボーイ」

米軍将校五 戦車一〇〇台。わが最強部隊一〇〇〇人。
「昨日よりも少ないな」

米囚人パイロット 前線を突破されたらどうする。

M スポーツと間違えられたらありうるな。西側にある海水蒸留装置の方が、出力が大きいぶんすぐ視野に入る。あれを使うしかないだろう。

「装兵(ゴムの着ぐるみ装備。歩けるが武器は持てない)三体とカウボーイの対戦だ」

米囚人パイロット 陸軍の特殊兵器なんだろ。

「今日のマッピ山は、一〇機撃墜の予定だ」

米囚人パイロット 関係ないな。

 うそだな。マッピ山の対空砲を木でできた模型にした。

 曲射砲部隊が調理場で土俵を作って、相撲をしている。

長野君 斬り込みの保険が切れました。以後小銃使いだけ記述します。

M 四〇人腰痛になった。少なくしてくれ。

米軍将校五 戦車五〇台。うちの部隊五〇〇人だ。

 午後一時。マッピ山の対空砲陣地がナパーム弾で焼かれた。

 今日は百合子が主催だ。

M 百合子は敵の砲手やパイロットに、痛みを連鎖させる研究の第一人者。

長野君 おもに急所を外す戦法の専門でしたが省略してます。

 米軍将校五が馬に乗っている。

米囚人パイロット二 山の尾根に狙撃手がみえた。おれなら爆撃できる。

「ライトパープル(空爆)。囚人パイロットが他にいた」

米囚人パイロット 指揮官が違うやつだぜ。

「ライトパープル。五分で真上だ」

「退避しろ」弾はいくつだ。

米囚人パイロット ひとつが二発だ。それ以上は味方に当たる。

 飛行機がやってくる。偽装じゃない目玉に一発と、上空で旋回して別な本物の目玉に一発。対戦車砲の目玉をひとつやられた。

「目玉の、上の岩盤をやられるとまる見えだ」

 午後三時。中央付近に爆撃から退避できる穴がある。小銃使いと僕が行く。Mに合図する。Mは動作がすばやい。袋頭巾を縛って、腰を抜かせて地面に転がして、空爆よけにする。袋頭巾の腰をどこか指圧すると立てなくなってもがく。山すそから装兵三体を登場させた。砲弾の直撃でも倒れて起き上がる。戦車が装兵を砲撃。倒れてまた立ち上がった。米軍将校五が馬に乗りながら目を細めて見ている。

米囚人パイロット二 おれもそれをやる。

 米囚人パイロット二が装兵を爆撃。命中したが起き上がった。

米囚人パイロット二 今日はこれでおしまい。

 装兵が米軍将校五の五〇m前まで進んだ。米軍将校五が馬からおりてタバコに火をつける。

M 死亡三四九名。捕虜二五一名っ。腰痛がなおったぞ。

 

   つづく