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気ままに生活してるシニアの残日録

映画「紙の月」を観る

2023年08月25日 | 映画

テレビで放送していた映画「紙の月」(2014、𠮷田大八監督)を観た。何かの賞をいっぱい受賞した、という説明に惹かれて録画しておいたもの。

この映画は角田光代の同名小説を映画化したもの。映画化の前にはNHKでドラマにもなったらしい。角田光代の小説は読んだことがないが、彼女の書いた小説を映画化した「八日目の蝉」はむかし観た記憶がある。

ストーリーは、1994年、バブルが崩壊しつつあるころ、夫とふたり暮らしの主婦梅澤梨花(宮澤りえ)は銀行の支店で定期預金の営業をしていた。顧客から預かった金を銀行に入金するまで自分で保有しているが、ふとしたきっかけで流用できることを知ってしまう。一度目は小さい金額だったのですぐに補填したが、あるとき、高齢な顧客から預かった200万円を着服して、その顧客の孫の大学生と遊んで派手に使ってしまう。やがて火遊びと銀行の金の横領はエスカレートしていき、最後は・・・

ありがちな話であろうが、金がほしくなる動機が今ひとつピンとこなかった。金に困っていたわけでもない、何かほしいものがあったわけでもない、何も動機がない主婦がこんなことをするだろうか。顧客の孫の大学生と遊びたかったというのが直接の動機で、そう考えたのは亭主に満足していなかったから、というのが本当の動機かもしれない。そして最後には支店で取調中の会議室の大きなガラス窓を椅子でぶち破って逃走し、アジアのどこかの街でさまよう、普通の人にはあまりにも縁のない話ではある。

宮澤りえは良い演技をしていたと思うが、それ以外で素晴らしいと思ったのは、営業先の年寄り役の石橋蓮司、支店の事務責任者役の近藤芳正、そして支店のオールドミスの小林聡美だ。いかにもいそうなタイプの人間をうまく演じている。近藤芳正はテレビの「おやじ京都呑み」で角野卓造と二人で京都の飲み屋などを訪問する番組に出演しているので注目していたが、どういう俳優かは知らなかった。一方、小林聡美は「かもめ食堂」シリーズのあの雰囲気が好きだった。このベテランたちの演技力はたいしたものだ。

役者の演技力もあってまあまあ楽しめた映画だったが、普通の人にはあまり現実味がない。主役の美人行員の宮澤りえとオールドミスの小林聡美とが役割を交替して、支店の実務を知り尽くしているオールドミスが大金を横領して若い顧客の孫に貢ぎ、美人行員の指摘で発覚する、というのがまだ現実的だが、これではドラマにならないか。

 



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