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ぶぶのいる生活

なんか、変
どこか、変
ちょこっと、変
いつも、変
変人上等 唯我独尊 人生万事塞翁が馬

『レ・ミゼラブル』 (映画レビュー)

2013年02月24日 20時54分02秒 | レビュー φ(.. )
【レ・ミゼラブル】


2012年 イギリス
2時間40分

監督:トム・フーパー
原作:ヴィクトル・ユゴー
出演:ヒュー・ジャックマン
ラッセル・クロウ
アン・ハサウェイ
ヘレナ・ボナム=カーター
アマンダ・サイフリッド



・・・・・・・・・圧巻。 (゜。゜) 


感動で身震いした。
もし私が外人さんだったら、エンディングできっと、
「ブラボー!」と、
スタンディングオベーションしてたと思う。

いい映画には、
ひたひたと心に染み込むような静かな“名作”もあるけれど、
これは血肉が沸き立つ“大作”。




本作品、
劇中のセリフの99%は歌で構成されている。
当方、ミュージカルにはあまり馴染みが無いものだから、
このシステムに、最初は軽い違和感を覚えたものの、
すぐに気にならなくなった。
それ位、この世界観にはのめり込める。

映画館だと、
いつも途中でトイレが心配になっちゃうんだけど、(^◇^;)>
(しかも今回は2時間40分の長丁場!)
今回は何故か全く気にならず、最後まで存分に堪能出来た。
むしろ、あっという間の印象。
それだけ集中して観ていられたってことかな。

・・・・でも、
これには別の要因があったのかも? (;¬_¬)

この映画、
前評判で「何度も泣く!」とか聞いてたけど、
私なんか、始まっていきなり5分で最初の落涙発生。
以後、(家人曰く)壊れた蛇口状態で、ずーっと大泣き。 
体の水分の4割程度は、涙で体外に排出されたんじゃないかと・・・・? 

もっともこの現象、
私だけじゃなく、
四六時中あっちこっちで、ガサゴソと、
バックの中のティッシュを探る音がしてた。(笑)

あれって、
絶対に音楽効果だわ~。

あの重厚な音楽に、
情感が揺らされまくる。

涙腺がおかしなことになりよる。( iдi ) ジョォォ~ッ!





長い長いあの原作を3時間弱に収めようとしたら、
どうしても話は割愛しなきゃならないので、
原作を知らない人は、
いきなりの展開に、時折、ついていけなかったかもしれない。
(私は読んでたので全然OKだったけど・・・・・・)

それでも、
原作物にしては、かなり上手に作ってた方じゃないかな。

歌と音楽で話が進むので、
ある意味【ミュージックビデオ】でも見ているような感覚になって、
少々の話の飛び具合は許せるのかも。
「なるほど、ミュージカルにする利点はこんなところにもあるのか」
とか、妙な処に感心しながら鑑賞。





いやぁ、
実にいい作品を観ました。

久しぶりに大作を観たなぁ~と、心から思う。
おかげで今日一日が、とても有意義に感じられた。

明日、アカデミー賞の発表があるけれど、
もしもこれで『レ・ミゼラブル』が作品賞を取れなかったら、
   「アカデミー賞なんて、
    この世から消えてしまえっっ!!」 凸(゜Д゜#)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・とさえ思う。
(あ、でも『アルゴ』と『リンカーン』があるから、やばいかな・・・・?)



この作品、
衣装も、メイクも、舞台も、CGも、
小道具も、大道具も、子役までも、
なにもかもが、重厚かつ細部にまで神経が行き届いていて、
一分の隙もありゃしない。
完璧。
すごいねぇ~。やっぱりすごいねぇ~。
お金のかけ方が違うねぇ~。
技術力が違うねぇ~。
俳優の力がホンモノだねぇ~。
プロの仕事って、本当はこんなものだよねぇ~。

・・・・・・が、
実は。
肝心の歌は、各人、そんなに完成度は高くなかったりする。(^^;
時々、なんか変で気持ち悪い。 

でも、
今回の撮影は、すべて現場での歌唱という珍しい手法が取られたそうなので、
多少のバックミュージックとのズレや、音程の揺らぎは致し方なく。
そこは演技力で充分にお釣りがくると思われる。
むしろ、
演技と歌にホンモノの繋がりが生まれて、いいかもね。

ちなみに、従来のミュージカル映画では、
歌は事前に録音、現場では口パクが普通なんだそうな。

(個人的には、
成人したコゼット役のアマンダ・サイフリッドの声が、
鈴を振るったみたいな綺麗な高音で、印象的)




今回、「映画館に行って本当に良かった」と思った。
特に派手なアクションがある訳じゃないけれど、
この作品だけは、絶対に劇場で観た方がいい。
あの圧巻の音楽は大音量で味わうべき。

全身で感じた方がいい。

もしも今、
『観ようか、どうしようか・・・・?』と迷ってる人がいたら、
私は、胸をはってお勧めする。

レ・ミゼラブル、
劇場公開しているうちに、行きましょう。
ぜひ。










      ~  Who am I? ~


人間の尊厳とは何か・・・・・・という問いかけの答えが、
きっと、これ。

      ~   私は誰?  ~






2013年2月24日(本日、鑑賞したてのホヤホヤ)
★★★★★

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『マルタのやさしい刺繍』 (映画レビュー)

2013年01月06日 19時37分53秒 | レビュー φ(.. )
【マルタのやさしい刺繍】
公式HPはコチラ


2006年 スイス

監督:ベティナ・オベルリ
出演:シュテファニー・グラーザ
   ハイジ・マリア・グレスナー
   アンネマリー・デューリンガー
   モニカ・グブザー
   ヴァルター・ヨースト






           「遠い過去の夢を今さら追うの?」


           「いい年して笑われるわ」


           「もう一度、かつての夢に命を吹き込むのよ」





御年80歳のマルタの “ささやか だけど 壮大” な夢に、
乾杯~!!




うむ。
新春になかなか良い映画を観た。
(´-ω-`) ))





2013.1.5
★★★★☆

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竹下文子 『野のピアノ』 (本レビュー)

2012年12月27日 20時01分30秒 | レビュー φ(.. )
本日のネットニュースより。


~ 米ニューヨーク・マンハッタンの街中に、誰かが置き去った古いピアノ。
そのピアノと通りすがりの人々を撮影したスチール写真をまとめたドキュメント映像が、先日、ニューヨークタイムスのオンライン版で紹介されました。意外な場所でピアノを見付けた人々の反応を静かに描いているこの作品は、その悲しい結末と共に話題を呼んでいます。~





******************************************************************
竹下文子 作『野のピアノ』は、
こんな出だしで始まる。


 ~ ひなぎくのさく野原のまん中に、ふるいピアノがありました。
   なぜ、いつから、そこにピアノがあるのか、だれも知りません。
             (中略)

     
     「やあ、おかしいな、原っぱのまん中に、ピアノがあるなんて。」
     
   そこを通りかかった人は、ゆめをみているような気がして、
   目をこすってみます。
     
     「いったいだれがひくんだろう。音がでるのかしら。」

   けれども、
   ピアノのふたは、かぎがかかっているのか、こわれているのか、
   どんなに力いっぱいひっぱっても持ち上がりません。
              (中略)
              

     「いけない、いけない。ひなたを歩きすぎたせいで、
      みょうなまぼろしを見たらしい。
      野原にピアノがあるわけはないんだ。」

   旅人は、なんだかぞっとして、あとはもう地面ばかりを見ながら
   足をはやめていきます。そして、町にたどりつくころには、
   野原でふしぎなピアノを見たことを、
   ひるねのゆめのようにぼんやりとしか思いだせないのでした。 ~





主人公は、
交通事故で指を失ったピアニスト。

傷心の彼は音楽もなにもかもを捨て、
世界的ピアニストだった自分なんて誰も知らない新しい土地で、
ひっそりと暮らす決意する。
 
   (小指といっしょに、ぼくの人生も、なくなってしまったのだ。)

その旅の途中、
彼は“野のピアノ”と出逢うのである。


蓋は鍵がかかってもなく壊れてるでもなく、
ピアニストの手で難なく持ち上がる。
思わず鍵盤に手をすべらせてから、彼はハッとする。

「だめだ、だめだ、だめだ!」

ピアノから飛び退いた彼に、“聞こえない声”は囁く。

 ・・・・・・・なぜピアノをひかないの?

「これのせいだ!」
と、ピアニストは両手を空にかざす。

たった一本の指がないだけで、
もうベートーベンもショパンも弾けない自分。

追いかける“聞こえない声”を振り切るように、
その場を立ち去ろうとする。

しかし“声”は、
辛抱強く語り続ける。

 ・・・・・・あなたが音楽を忘れても、音楽はあなたを忘れはしないのよ、と。


ついにピアニストは立ち止まり、誰に聞かせるともなく語る。

これまで自分は、
有名作曲家の作った曲を上手に演奏してきたけれど、
あれは本当じゃなかった・・・・。

そして、ピアノの前に座る。

「そうだね。
 ぼくは、ぼくにしかつくれない曲をつくろう。
 ぼくには、まだ九本の指がある。この指で、やさしいやさしい曲をひこう。
 十本の指先に心を集めるのはむずかしかった。
 だけど、九本なら、すこしやさしいかもしれない。
 一本ぶんだけ、やさしいかもしれない。」




しばらくの空白の後、
水晶のように澄み切った一音だけが、夜の野に響いた・・・・。


******************************************************************

この「野のピアノ」は、
私が敬愛する童話作家竹下文子さんのデビュー短編集【星とトランペット】
ラストを飾る作品。
(*復刊版は順が変わっています)

ややシュールな内容は子供にはまだピンと来なくて、
当時の私が好んだのは、
短編集の中でも、
動物がたくさん出てくる楽しい話や、軽妙なタッチの話の方だった。


この物語の本当の意味が分かったのは、
それなりに成長してからだ。

“失った指の1本ぶんだけ、やさしいかもしれない”
という物の見方は目からウロコだった。
出来ないことの数を数えるのではなく、
残された力で、可能性を広げる努力をすること。
それこそが人を幸せにするのだと、この物語が教えてくれた。


それから、
この物語から得たのは『静寂』という感覚だ。

一音だけが夜の野に響き渡るというラストシーンで、
静かな湖面を波紋のように広がっていくその硬質の音を、
私は本当に聞いたように思う。

心の中に『静寂』の感覚を作り出せるようになったのは、
この物語のおかげである。



なにより。

なにより、
この語りの部分が好きだ。


 ~ 魔法にかけられたふしぎな場所というのは、ほんとうは、
   どこにでもあるものなのです。
   山にも、森にも、海岸にも・・・
   いいえ、大通りの交差点の真ん中や、デパートの食料品売り場にさえ、
   用心ぶかくかくされているのです。
 
   ふつうの人たちは、そこがふしぎな場所だということに、
   すこしも気づかないで通りすぎてしまいます。
   ちいさな子どもたちは、
   ときどき、ふしぎな場所のまん中にはいりこんで、 
   ふしぎなものを見ることがありますが、だんだん大きくなって、
   もっとほかのことにいそがしくなるにつれて、
   そうしたことをわすれてしまいます・・・。
 
   ひなぎくのさく野原も、そんなふしぎな場所の一つでした。
   見えない魔法の輪をまわりにめぐらして、ひっそりと、
   ピアノは待っていました。
 
   その輪の中に、
   ピアニストは、すっぽりとはいりこんでしまったのです。 ~




冒頭の「街角のピアノ」の動画を見て、
居ても立ってもいられず。

あの動画の中でピアノを粉々にした人々に、
“聞こえない声”は届かなかったのか?

・・・・否。
もう彼らの耳は、聞けない耳だったのかもしれない。


私は、この物語に出会ってから大人になった今まで、
この“魔法にかけられた場所”の存在を信じて生きてきたし、
探し続けてきた。
ある時は、目をこらして。
ある時は、無心の心で。


それはきっと、
これからも、
ずっとずっと、続いていく。



目は閉じず。
耳も、開いていこう。

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『ブタがいた教室』 (映画レビュー)

2012年12月02日 18時53分48秒 | レビュー φ(.. )
(*ラストに少し触れています)


【ブタがいた教室】

2008年

監督:前田哲

出演:妻夫木聡
大杉漣
原田美枝子



実際に、
大阪の小学校で行われた“いのちの授業”を、映画化。

当初は、
【ご飯を食べる時の“いただきます”とは、
 生き物の命を頂くということ】
を子供達に伝える為の試みであったが、
それは、そのまま、
大人への痛烈な問いかけでもあった。

果たして、
人は、可愛がって育てた生き物を、食べられるのか?

これに関しては、
人それぞれで考え様があると思うので、
私の意見や、
作品の中での結論が何だったかに触れるのは、
ここでは差し控えようと思う。








劇中、
子供達は徹底的に話し合う。
みんなで育てたブタのPちゃんを、
「食べるか」
「食べないか」

子役達には白紙の台本が渡され、
彼らの本音でディスカッションさせたそうだ。
その様子はあまりにもリアルで、
こちら側も深く感情移入してしまう。
その意味では“リアリティー”のある映画である。

ところが、
暴風雨シーンの雑な雨の降らせ方や、無意味なCG使いなどで、
せっかくの情感が一瞬にして醒めてしまう。
ここが邦画の一番弱い点だと思う。
大抵の日本の作品は、
“ただ普通”であることが上手に表現出来ない。
まだまだ技術が追いていないとでも言おうか。

1つ1つは小さな棘ではあるけれど、
サラリと見過ごすにはやや難しい、不快な痛みだ。
せっかくの子供達の嘘の無い演技に、
水を差す結果となった。


(モヤッとしたラストには釈然としないものの、
 鑑賞対象者には恐らく小さな子供達も含まれていたのだろう、
 と想像すると、
 この件に関しては致し方ない処置だったかな、とも理解は出来る)



2012.11.14
★★★☆☆


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『ココ・シャネル』 (映画レビュー)

2012年08月21日 12時00分00秒 | レビュー φ(.. )
『ココ・シャネル』


2008年 アメリカ・フランス・イタリア

監督:クリスチャン・デュゲイ
出演:シャーリー・マクレーン
  バルボラ・ボブローヴァ
  マルコム・マクダウェル
  


さいしょっから、妙な違和感を抱きながら観ていた。

(-ω-;)う~む・・・?


そして、
ふと、気付く。  ハッ

「フランス人の話なのに、
   みんな英語喋って んじゃーん!」 



“アメリカ製作”だし、こーゆーケースは他にも沢山あるし、
まぁ、仕方が無いのかなという気はする。
役者さんも、いきなりフラン語は喋れんでしょうしな。


でもっ、でもっ、でもっ。
画面の中に、ちっとも“エスプリ”が無いんだよ~!
これ、致命的。 (´-ω-`) ))



おフランスの空気、
これっぽっちのカケラも見つけられず。

どこで撮影しました、これ?
フランス行きましたか?
もしや、
アメリカ国土から、一歩も出てないんじゃないンすか?



若き日のシャネルを演じた女優さんはかなり魅力的だったのに、
ああっ、勿体ない。

ちなみに、
晩年のシャネルを演ずるは、
大女優シャーリー・マクレーン!!・・・・なんだけど、
ただの老いたひねくれバアチャンにしか見えなくて、
これまたガッカリ。
こう言ってなんだけど、このマクレーンはあまり美しくない。
表情に険があって、怖ひ。
ついでに、腹出てる。 (;¬_¬)

シャーリー・マクレーン好きなんだけどなぁ~。  エーン。(ノд-。)
あんなに可愛い人だったのになぁ・・・・・。   エーン。(ノд-。)
 (あ、でも、
 咥えタバコでバシバシ服を引き裂くシーンは、
 ちょっとだけカッコ良かったけどね) 



とにかく、
フランスものにはエスプリが必要です。

なんたって、
世界に名だたる美の都なんですから。
芸術とファッションの街・・・・・。
美学がすべての街・・・・・。
それが“おフランス”様。

この映画じゃ、
アメリカ大陸しか浮かんでこない。

パリじゃなくて、ニューヨークが舞台みたいに見えるから、
ついうっかり、
『・・・・・シャネルって、アメリカに渡ったデザイナーだったっけ?』と、
錯覚しちゃったじゃないの。
しかも、途中に出てくる官能的なタンゴシーンに至っては、
完璧ア~ルゼンッッチーーーーンッッ!!
いきなし南米かよっ!?(゜∀゜;)  
嗚呼、欧羅巴からどんどん離れていく・・・・・。
(あれはあれで、かなり美しかったから、
 いいんですけどね。
 ただ、なんでタンゴなのかと・・・・・・?)




結論。

もっと、
うっとりするような、
夢を売りやがれ~。




これ、
フランス映画において肝要ね。 (゜Д゜)」 




*余談ですが、

 フランス人役者によるフランス語映画
『ココ・アヴァン・シャネル』(←未鑑賞)の方が、
 主人公の自己紹介の後で流れる予告編を見る限りは、
 エスプリ~な空気がバンバン出てる~。
 まさに、おフランスです、お・ふ・ら・ん・す!
 まあ、あくまでも予告編での話しですがね。
 映画の出来や内容は、知らな~い。(^^;
  






2012年 7月頃
★★★☆☆


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