月の子供が云いました。
水は澄んでいます 魚もいます。
歌も有ります 愛も有ります。
でも たったひとつだけ何か足りないのです。
水の子供がききました。
そんなにも美しく しあわせそうなあなたに
一体 何が足りないというです?
もういいじゃありませんか。
風の子供も云いました。
あなたが足りないというものを知りたいわ。
月の子供は答えました。
足りないもの・・・・
私にはずっとわからなかったのです それが何なのか。
でも 今ならわかります。
心を見つめていて さっき見つけたのです。
水の子供と 風の子供が 耳をすます中
月の子供は目を閉じて 静かに云いました。
・・・・・・・それは 私だったのです・・・・・・・・・
1988年6月18日