動物園日和

日々の徒然なる思いを綴ります。

哺乳類展

2010-05-31 23:25:08 | 日々のつぶやき
ご無沙汰してました。

上野でやっている大哺乳類展に行ってきました。


剥製だけならウィーンの自然史博物館で壮大なコレクションを見たことがあったのですが、今回の企画展はただ単に剥製と骨格の展示というわけではなくて、きちんとしたコンセプトがあって、系統立てた展示だったのがすごく良かったです。

数十万年単位の進化の過程の中で、人間が滅ぼしたとかそういう単位じゃなく淘汰されていく類があったりして、ありがちな感想なんですが人の一生なんて本当に一瞬なんだなと。あとグリズリーとヒグマが同種であることを今回初めて知りました。


個々の生涯が一瞬であっても、その個々の存在がなければ種としての持続性は保ちえないわけで、その大きな流れに組み込まれていることを普段はあんまり意識しないで人は恋愛して子どもを産んで育て死んでいく。

種としての継続性をアンチテーゼの形で象徴しているのが、画展冒頭に登場する、ライオンとヒョウを人為的に交配させて生まれたレオポンという存在だ。レオポンは繁殖能力を持たなかったそうだ。水が、すべてが川、やがて海へといくのではなく、中には人知れずどこかで行き止まりになってそのまま蒸発していくものもあるのだと思う。そんな風に、進化の行き止まりで静かに消えていく生き物もそれこそ星の数ほどいたことだろう。山崎まさよしの「ぼくらは静かに消えていく」という曲のタイトルを思い出した。


レオポンはライオンの体つきで、ヒョウの模様をほのかに浮かべ、静かにこちらを見ていた。以前、サーカスで見たライオンとトラの交配種、ライガーもきっと同じように、静かに、進化の袋小路の中で消えていく存在なんだと思った。レオポンは美しくて、哀しい。

見ていると色んな事を考える。生き物はやっぱり面白いなと思った。