桃とかなへび

いらっしゃいませ。

アートと人と、美術館

2019年04月23日 | 美術館など

横浜美術館開館30周年記念Meet the collection 「アートと人と美術館」

始まったばかりの展示会に行ってきた。

 

LIFE:生命のいとなみ」

 

最初の展示室は束芋さんが選んだ物語のある人物画のコレクション。

明治期の浮世絵、歌川芳年の2作。

逆さ釣りにされた妊婦の下で包丁を研ぐ老人、どひゃー、帰宅後たまらず調べてしまった。

鬼婆伝説ですと? 当時風紀上の問題で発禁になったらしいす。

延命院のほうは、なんとなくわかりますねえ。

しょっぱなからインパクトありますな。

 

次は束芋さんの映像インスタレーション。5~6分の映像をソファに座って眺めた。

美術館の20周年記念の束芋さんの展示会を思い出した。

今回の作品も挿絵を手掛けられた吉田修一「悪人」の世界をまだ持っていらして、

それだけ影響の深い作品だったのだなと、不思議と嬉しかった。私だって涙ぐみながら読んでいたのだ。ブログに「悪人」のことを書いた時に、MMさんという方から近松の道行のようだと、素敵なコメントをいただいていました。まさしく今回の作品は、「悪人」と近松の登場人物から想起されたもので、感慨にふけったのでした。

 

背景に物語があると意識して見ると、画がきれいだなだけでなくあれこれ想像してしまうので、

なんだかいつもより時間がかかる。でも急いでないから好きなだけ眺めよう。

鏑木清方の明治期の雑誌の挿絵を見ると、雑誌読ませて~、ってちょっと欲求不満になる。

そして私が年を取ったからなのか、展示の目録をもとに、後で気になった作品の作者や背景を調べるのがとても面白かった。

 

次の展示室は浅井裕介さんが丸い部屋の壁にペインティングした「いのちの木」

そこに自然や生物が題材の作品が配置されている。

この部屋、楽しいなあ。

赤い壁に描かれた画は線が太く全体が力強く、ひとつひとつを見るとかわいくてユーモラスであり、これまた堪能するには時間がかかる部屋。

しかも配置された横浜美術館コレクションには説明プレートがなく、入り口で貸与される図の位置と番号のついた目録を見ながら作者と作品名を確かめながら、探し物みたいでもあった。

うん、楽しい。好きな長谷川潔さんの作品もあるし、動物や子どもが多くて。

浅井裕介さんの画を見て、なんか似た感じのものを知ってるぞと思ったら、せっちゃんこと斉藤和義画伯(?)のへんてこイラストと同じテイストを感じたのでした。

誰も読んでないと思うけど、何それ?って思った斉藤ファンの方、ぜひ面白がって見に行って。

あの落書き的なイラストが本気出して芸術的になったらこんな感じかも、って感じがすると思います。

 

続いては「まなざしの交差」

目そのもの、こちらを見る目、自画像など。

マン・レイのメトロノームに目がくっついたのとか、キャパが撮ったピカソの写真。

自画像って、好きだ。その人の「わたくし」そのもの。

奈良美智「春少女」よい♡

 

 

「あのとき、ここで」は、関東大震災後の絵やキャパや木村伊兵衛や沢田教一の報道写真、阪神大震災後の米田知子の写真など。

 

また、展示室でないロビーでは陶芸家の宮本香山の作品特集。

美術品としてつくり込んだ花瓶、これはすごい。

香合や茶碗の茶道具もあって、思わずじっと眺めた。

 

 

この先は「WORLD:世界のかたち」

「イメージをつなぐ」「モノからはじめる」「ひろがる世界」の3つの展示からなる。

書き疲れちゃったので端折ります、すみません。

イサム・ノグチの彫刻に長谷川潔、ロックンロールな「眠りの国(地獄のベッド)」、

髪の毛で作った岩崎貴宏の「アウト・オブ・ディスオーダー(コスモワールド)」などなど、

既知のお気に入りの作品や、こんなものもあったのかみたいな面白い作品が、過剰なくらい展示されている。

 

結局私は3時間ほどうろうろ歩き回っていたことになる。

こんなに多くの作品を見ることはあまりないかもしれない、さすが30周年。

図々しい期待を込めて、おめでとうございます。これからもよろしくおねがいします。

お腹減った。


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