桃とかなへび

いらっしゃいませ。

週末熱海その三

2017年01月31日 | 美術館など
ホテルの周りに散策して眺めるようなものは何もなかった。
温泉に入る、ごろごろする、食事する、このどれかをするだけ。

家にいても家事がつきまとうので、
ひとりでいるか、こうして出かけるかしなければ、
いわゆる仕事から逃れることはできない。
泊まりで温泉、やっぱいいわ。

食事も美味しくいただいて、ぬるめの温泉には長く入っていられた。

次の朝宿を出て、少し離れた池田満寿夫記念館を訪れた。
ほかにお客さんはいなかった。

まず、1980年代に放送されたテレビ東京の「私の履歴書」のビデオを見せていただく。
この頃の池田満寿夫さんは54才、若々しくてテレビに出演されていた頃を思い出した。
晩年は熱海在住でアトリエを構え、創作に勤しんでいたそうだ。

「エーゲ海に捧ぐ」で芥川賞。多分私読んでない。
実は作品もほとんど知らなかった。
実家にあった読売新聞頒布の富士山のシリーズを見て、
いいなと思ったのが池田満寿夫「二重富士」だった。
そんな版画作品があるかもと訪れたのだが、意外に陶芸作品が多かった。

近くで見てもよくわからなかった大ぶりの陶芸作品、
二階からふと見下ろしたら、配置や割れの見え方が変わって、面白いなと思った。
阪神大震災後に作成した般若心経は、石膏を彫って印を作り、それを一文字ずつ押して焼いた陶板を何百か並べた作品。
これは一番印象的だった。
書も独特な池田満寿夫さん、文字もいい。、二次元ではなく三次元で表したかったという気持ちや手間と、淡々とした作品に心動かされた。

ご説明いただいたお話。
般若心経の蜜の字を池田さんは密と間違えてしまった。
しかし良寛さんも同じ間違いをしたと知り、池田さんの般若心経の蜜は全部密のままなのです。
だそうです。

館内の画集をめくると、有名なエロチシズム溢れる作品もある。
実に多才で多作な方だったのですね、今頃ですが。
長野にある美術館にもいつか、行ってみたくなった。

記念館を出るときに、係員の方が橙をくださった。
熱海の山の賜物。
みかんの色は冬の太陽。暦の春はもう近い。




























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