桃とかなへび

いらっしゃいませ。

原三渓の美術

2019年07月24日 | 美術館など
前回訪問した時にポスターを見て、必ず行こうと思っていた。
横浜美術館「原三渓の美術 伝説の大コレクション
 
原三渓が生前に収集したコレクションは5000点を超え、没後分散し国内の美術館や博物館に収蔵されたり個人所有となっている。それらの中から150点を一堂に会した。
展示は「コレクター」「茶人」「アーティスト」「パトロン」の四つの切り口で、文化人 原三渓を紹介している。
 
三渓園を訪れたことはある。今ちょうどハスの花が見頃だろう。お茶会も二回ほど、それぞれ茶席めぐりを楽しんだ。しかし美術コレクションがどのようなものかはほとんど知らなかった。
行ってみてびっくり、あれもこれも国宝に重文⁈
なんだか、とんでもないんですけど。
金曜の夕方は空いていて、じっくり眺めることができた。
 
 最初にお目にかかった国宝は「孔雀明王像」今回の展覧会ポスターにもなっています。美しくて、ほぅ〜
平安時代と対面できる奇跡。井上馨 元大蔵大臣から当時の1万円で購入したそう。素晴らしい思い切り。今は東京国立博物館所蔵。
 
 
重文は平安時代の観音菩薩や藤原俊成の消息、菱田春草に鎌倉時代の地獄草紙断簡などなど。
一番驚いたのが、古今和歌集の高野切、まさか本物を見れるとは思ってなかったので、こんなにきれいに残っていたのかとため息をつく。全部は読めないかな文字は、すらりすらりとおかまいなしに美しい筆跡で、ただ見惚れる。
下山観山の屏風「白狐」秋の風情、ずっと眺めていられる。
宮本武蔵の布袋の書画、こんなものまで・・・全く恐れ入ります。
 
楽しみにしていた茶道関係の展示、最初に見たのが、まだ40代のご長男を亡くされた時の追善茶会にかけた源実朝「日課観音」薄茶席に使用された茶碗とともに。
観音様はちいさく優しく、逆縁の悲しみに胸が詰まる。
お茶会には会記という記録があって、それを読めば道具の取り合わせなど知ることができる。
展示されたお釜に白雲洞の席でかけられたとあり、雨の箱根、男性らしい田舎家の席を訪れたことが蘇り、縁なしの畳に囲炉裏などの記憶と繋がった。
こんな感動があると、年をとるのもまんざら悪くないと思える。
桃山の茶碗など、叶わぬとはいえ掌に乗せて愛でてみたし。茶杓でお茶をすくってみたいなあ。今はガラスに囲まれていても、実際に使われていた道具だというところが実にいい。根来の茶箱の仕組みも面白い。一番好きだったのはやはり桃山時代、記三の小棗。濃茶席でも好んで棗を使ったという。心のなかで盛大に共感します。
 
 圧倒された原三渓の世界、しかし自身の描いた画はハスの花など縁線がなく淡い色で優しかった。家で展示替えリストを眺めて、今回お目にかかれなかったものを、やはり今見ておくべきではないかと思っている。
 
 
 
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