蔵書目録

明治・大正・昭和:音楽、演劇、舞踊、軍事、医学、教習、中共、文化大革命、目録:蓄音器、風琴、煙火、音譜、絵葉書

正劇 「モンナワンナ」 中座 (1906.3)

2014年03月21日 | 演劇 貞奴、松井須磨子他
 正劇 モンナワンナ〔Monna Vanna 〕三幕五場 と 喜劇 玉手箱 二幕四場 の番付である。40センチ、片面刷り。
  正劇

    マアテルリンク 〔メーテルリンク  Maeterlinck〕原作
    山岸荷葉譯                       春陽堂発行
 モンナワンナ〔Monna Vanna 〕三幕五場 
         興行権所有 川上音二郎

 序幕『壹』ピサ國市街中央寺院前

  幽妙僧正           宮田八郎
  ピサ国会書記官笹井傳     大井新太郎
  鬼洞将軍副官東の妹英子    川上禎子
  同        蘭子    服部昌子
  市民名 橋大作        南條五郎
  同   六郷新助       長谷梅太郎
  同   羽根田仙蔵      成田練太郎
  同   二宮平八       和田巻二郎
  同六郷の妻おいち       片岡七五三太
  同   保津要蔵       小林甲二郎
  同   邊見金吾       草村権四郎
  同   冨岡九郎       手塚新一
  同   千岩銀二郎      山田弥太郎
  狂女おつた          門脇清澄
  伜 雪松           子役
  伯爵鬼洞将軍夫人春那     川上貞奴
    其他 市民。農民及び妻の娘。
    孤児。霧太郎。露子。霧子。等

 序幕『貳』鬼洞将軍館広間

  ピサ軍司令長官伯爵鬼洞将軍  藤川岩之助
  鬼洞将軍の父磨瑠公老人    川上音二郎
  副官 東禮二郎        谷齊一
  副官 堀惣一         伊東貫一
  副官 志摩三郎        原澤新三
  扈従             川村千臣
  鬼洞伯爵夫人春那       川上貞奴
  
 貳幕目『壹』東山エルツカ城壘前
 同  『貳』龍池将軍営舎

  フロレンス軍総指揮官龍池将軍 山本嘉一
  フロレンス国会議員鳥張寰   津坂幸一郎
  龍池将軍秘書官関秀雄     和田巻二郎
  鬼洞伯爵夫人春那       川上貞奴
    其他刺客傭兵等
  
 三幕目 鬼洞将軍館庭先

  伯爵鬼洞将軍         藤川岩之助
  副官 東禮二郎        谷齊一
  副官 堀惣一         伊東貫一
  副官 志摩三郎        原澤新三
  扈従             川村千臣
  東副官の妹英子        川上禎子
  同    蘭子        服部昌子
  孤児 雪松          子役
  幽妙僧正           宮田八郎
  龍池将軍           山本嘉一
  鬼洞伯爵夫人春那       川上貞奴
  磨瑠公老人          川上音二郎
    其他市民農民孤児等

 大阪 
  時事新報所載 
 太郎冠者作 一ヶ年間興行権所有

 喜劇 
  玉手箱 二幕四場

    文禄堂叢行

   飛鳥井家門前
   同百合子居宅
   同  家客間
   上野精養軒庭前

  飛鳥井巌          南條五郎
  令嬢  百合子       川上貞奴
  ドクトル杉山陽二郎     大井新太郎
  文学士 花野春助      山本嘉一
  文学士 本野粂雄      柴田善太郎
  飛鳥井召使おきぬ      門脇清澄
  飛鳥井召使おXX〔読めず〕 宮田栄之助
  飛鳥井書生永住弘      長谷梅太郎
  飛鳥井隠居         片桐七五三太
  春野令嬢 梅子       川上禎子
  夏島令嬢 鈴子       服部昌子
  秋山令嬢 菊子       竹内壽々子
  女学生 冬木雪子      本村清
  杉山の抱車夫        樋口角兵衛
  杉山の抱車夫        成田實

  〔明治三十九年:一九〇六年〕
  当三月卅一日より四月十五日まで
  毎日午後正六時三十分開幕  

  観劇料 
     一等 金一圓 
     二等 金八十錢 
     三等 金六十錢 
     四等 金四十錢 
     五等 金二十錢

 道頓堀 中劇場

 

 モンナワンナ(明治座二月狂言)

  春那(川上貞奴) 龍池将軍(山本嘉一)

 上の写真と説明は、明治三十九年三月五日発行の『美観画報』 第一巻 第三号 のものである。
  
 

  川上と貞奴  KAWAKAMI AND MADAM SADAYAKKO

 川上音二郎は兎にも角にも一種の奇物と云ふべし、昨月久しぶりに明治座に「モンナワンナ」を演じて好評あり、貞奴の技また漸く熟し、将来天晴れの女優となるべき見込みありと云ふ。

 上の写真と説明は、明治三十九年〔一九〇六年〕三月八日発行の『写真画報』第壹巻第四編のものである。

「梅蘭芳 絵葉書」 (1919.5-)

2014年03月14日 | 梅蘭芳 来日公演、絵葉書他
  梅蘭芳 絵葉書 東京本郷 矢吹高尚堂

           

 ・梅蘭芳
 ・貴妃酔酒 貴妃  梅蘭芳
 ・嫦娥奔月 嫦娥  梅蘭芳
 ・黛玉葬花 林黛玉 梅蘭芳
 ・黛玉葬花 林黛玉 梅蘭芳
 ・千金一笑 晴雯  梅蘭芳
 ・千金一笑 晴雯  梅蘭芳
 ・虹霓関  了●  梅蘭芳 
 ・御碑亭  孟月華 梅蘭芳
 ・御碑亭  孟月華 梅蘭芳


           

 ・蘇三起解  蘇三 梅蘭芳
 ・游龍戯鳳 李鳳姐 梅蘭芳
 ・桂期   紅娘  梅蘭芳 
 ・遊園驚夢 杜麗娘 梅蘭芳
 ・琴桃   陳妙常 梅蘭芳
 ・奇雙会  李桂枝 梅蘭芳
 ・奇雙会  李桂枝 梅蘭芳 ・
 ・天女散花 天女  梅蘭芳
 ・天女散花 天女  梅蘭芳
 ・天女散花
 ・天女散花

 上の絵葉書は、大正八年 〔一九一九年〕 五月、東京・帝国劇場での公演と関係があるかもしれない。
 なお、この袋に何枚入っていたのかは、わからない。
 なお、同じ写真で、金縁ではなく、また説明もない矢吹高尚堂製の絵葉書もある。

 

  支那名優 帝劇出演 梅蘭芳絵葉書

     東京市、神田  支那風俗 出版元 古川赤心堂

    

 上の絵葉書も、この時期のものと思われる。  

    

 ・受大歓迎之天女散花(二) (春柳雑誌社製於東京)
 ・梅蘭芳與日本名優歌右衛門握手於歌舞伎座 (春柳雑誌社発行)
 ・梅蘭芳與日本名優雀右衛門握手於明治座  (春柳雑誌社発行)
 ・梅蘭芳與日本名優河合武雄握手於新富座  (春柳雑誌社発行)

 また、これらと同時に購入したと思われる別の絵葉書の裏には、次の記載がある。

 ◎梅蘭芳劇を見る ※●は、判読不能

 拝啓作廿五日梅蘭芳日本に於ける御名残の興行を神戸聚楽館にて観劇致候、御承知の如く支那劇の特色は歌曲を以て主とし、俳優は最も喉嚨(ノド)を重んずる点に有之、其他の所作や台詞など余り重きを置かざるやにて候、梅も亦●歌曲に長じ女形俳優として第一流の名優の由にて候
   神戸にて
        研堂生

  上の絵葉書は、同大正八年年六月二十五日、神戸・聚楽館での公演の際に販売されたものと思われる。

 

      梅蘭芳

  支那劇は能や歌劇と同様な仕組みで俳優が謡ふのが主となつて居ります。 俳優は本来は男子に限つたもので、男子が女形を演ずること日本の芝居の通りです。  
  梅蘭芳は女形で、支那第一位の名優です。梅は女形中でも妖艶な役柄ではなく堅気な感情的な女形が持役です。立廻りも頗る上手です。又舞踊的な演出も得意とする所です。
  支那の俳優は女形立役適役道化役など云ふ区別が厳格で女形立役兼務などはありません。時に他の役柄の上手なものなどは、こと更らに『反串』即ち変り役と銘を打つて、自分の役柄以外のものを演ずることがあります。梅は時に気まじめな、そうして勇壮な若い男役を演ずることがあります。
                                           東京 尚美堂発行

         

 ・劇名 黛玉葬花 役名 林黛玉  俳優 梅蘭芳
 ・劇名 虹霓関  役名 侍女   俳優 梅蘭芳
 ・劇名 思凡   役名 若き尼  俳優 梅蘭芳
 ・劇名 遊園驚夢 役名 杜麗娘  俳優 梅蘭芳
 ・劇名 穆柯塞  役名 穆桂英  俳優 梅蘭芳
 ・劇名 貴妃酔酒 役名 楊貴妃  俳優 梅蘭芳
 ・劇名 麻姑献壽 役名 仙女麻姑 俳優 梅蘭芳
 ・劇名 天女散花 役名 天女   俳優 梅蘭芳
 ・劇名 天女散花 役名 天女   俳優 梅蘭芳

  

 上の写真は、「福地信世スケッチ 支那劇 第一集」とある絵葉書の袋で、右の絵には「水滸伝の捲毛虎倪榮」、左の絵には「三国志の馬謖」とある。袋の裏には、下の説明文がある。

      支那劇

 舞台  支那劇の舞台は、日本の能と同様で、四柱の方形舞台です、橋掛はありません。背景は全然用ゐないのが正式であります。劇の仕組は能や歌劇と同様に俳優が謡子ので、従て劇は聴くのが主です。 されば古式の舞台では、客席は舞台に対して横向きに、即ち耳を向ける様に設けてあります。然し普通の多くの舞台では客席は見物し易き様舞台に向て腰をかける様に作られて居ります。
 俳優  今では女優もありますが本来は男子に限つたもので、男子が女形を演ずること日本の旧劇の通りです。この絵葉書集の俳優は皆男子です。
 扮装  衣裳は日本の旧劇の如く極めて誇張した装飾花した服装です。役によりては顔に隈取りをします、甚だしいのは絵の様に美しく塗ります。假面は普通用いません。
                                          東京 尚美堂発行
 下は、この第一集の一部と第二集〔?〕などのものと思われる。

 ・劇名 貴妃酔酒 役名 楊貴妃       役柄 花旦  俳優 梅蘭芳
 ・劇名 虹霓関  役名 虹霓関の守将の家臣 役柄 文丑  俳優 李敬山
 ・劇名 金雀記  役名 潘安仁       役柄 小生  俳優 姜妙香
 ・劇名 打鼓罵曹 役名 曹操        役柄 正浄  俳優 郝壽臣
 ・劇名 X妙×  役名 韓員外       役柄 ×生  俳優 王鳳卿
 ・劇名 獅吼記  役名 琴X        役柄 貼旦  俳優 姚玉芙
 ・北京の劇場三慶園の舞台

 ・劇名 思凡   役名 若き尼趙色空    役柄 貼旦  俳優 梅蘭芳
 ・劇名 穆柯塞  役名 女賊穆桂英     役柄 刀馬旦 俳優 梅蘭芳
 ・劇名 奇雙会  役名 李桂枝       役柄 正旦  俳優 梅蘭芳
 ・劇名 回荊州  役名 張飛        役柄 武浄  俳優 錢金福
 ・劇名 昭君出塞 役名 王昭君       役柄 正旦  俳優 尚小雲
 ・劇名 連環套  役名 侠客黄天覇     役柄 武生  俳優 楊小楼
 ・北京の劇場広和楼の舞台

『ヴイルヘルム・ケンプ ピアノ独奏会』 札幌・名古屋 (1936.4)

2014年03月07日 | ピアニスト 3 ルービンシュタイン、ケンプ他

 

 ヴイルヘルム・ケンプ ピアノ独奏会

  曲目と解説 

  昭和11年 〔一九三六年〕 4月20日(月)午後7時 於 〔札幌〕寶榮座
  主催 北海道タイムス社 市教育会 札幌音楽協会
  
  日本ポリドール蓄音機株式会社

 

  曲目

  1.a)カンタータ前奏曲 … バッハ
       ー神に謝す
    b)コーラル前奏曲  … バッハ曲・ケンプ編
       ー醒めよ、と呼ぶ聲あり

  2.ピアノ奏鳴曲 嬰ハ短調 作品27ノ2 … ベートーヴェン曲
      (月光奏鳴曲)
         アダジオ ソステヌート
           アレグレット
             プレスト アジタート

  3.a)アラベスク 作品18 … シューマン曲
    b)翺翔 作品12 … シューマン曲

  4.ピアノ奏鳴曲 ヘ短調 作品57 … ベートーヴェン曲
      (熱情奏鳴曲)
         アレグロ アツサイ
           アンダンテ コン モト
             アレグロ マ ノン トロツポープレスト

 

 ヴイルヘルム・ケンプ 
   ピアノ独奏会
 
  管絃楽 東京 新交響楽団 指揮 アウグスト・ユンケル 〔Augusut Junker〕 
  曲目と解説 

  昭和11年 〔一九三六年〕 4月26日(日)午後7時 
  於 〔名古屋〕市公会堂 

  主催 中部日本児童愛護聯盟 
  後援 名古屋新聞社 

  日本ポリドール蓄音機株式会社 22.2センチ、16頁。

  
  
  曲目 

1.a) ピアノ奏鳴曲 嬰ハ短調 作品27ノ2 ‥‥ ベートーヴェン
     (月光奏鳴曲)
      アダジオ ソステヌート
        アレグレツト
            プレスト アジタート
  
  b) トルコ行進曲 K.331 ‥‥ モーツアルト曲
     (イ長調奏鳴曲より)

2.交響曲 第八番 ヘ長調 作品93 ‥‥ ベートーヴェン曲
     アレグロ ヴイヴアーチェ エ コン ブリオ
       アレグレツト スケルツアンド
         テムポ デイ メヌエツト
           アレグロ ヴイヴアーチェ

3.ピアノ協奏曲 第五番 「皇帝」 変ホ長調 作品73 ‥‥ ベートーヴェン曲
     アレグロ
       アダジオ ウン ポコ モツソ
         ロンド アレグロ

    (日本楽器会社提供ピアノ使用)

 新交響楽団メンバー表

 

 「ヴィルヘルム・ケンプ〔Wilhelm Kempff〕」推薦の辞           伯林国立「宗教音楽」音楽院長
                 哲学博士 カール・ティール教授に依る

 ヴィルヘルム・ケンプは、現代に於ける最も特質あるピアニスト中の一人である。彼は一個の音詩人であり、その演奏によつて我々の生活にもたらすものには真に感銘深いものがあり、バッハ、ベートーヴェン、ブラームスの解釈に於いて特にその著しいものがある。最も強力な独創的才能をもつ者のみが真に即興の再現芸術を生かし得るのであり、さうした者のみが真に原作家の芸術的意図を伝へ得るのである。此の意味に於いてケンプは、現代少壮ピアニスト中の最も優なる者である。と言ひ得よう。
 ケンプ自身の発展は特に彼が尊敬された名指揮者の子弟として、且つまた技術的要素以外、特にその基礎教育を施してくれた名教師の子弟として受けた音楽教育そのものからの感化、それは勿論であつたであらう、だが彼自身のもつ即興演奏的才斡の開発に基く音楽的智力の産物であつたこともまた歪めない。それはまさに驚くべき一つの事実であつた。といふのは、彼ケンプ九歳にして、音楽学校への入学試験に際し演奏したといふのがバッハの名曲『平均率ピアノ』用曲の『前奏曲と遁走曲』であつたことであり、而も彼はそれを技術的にも音楽的にも完全に弾きこなしたといふ。更にその曲を幾たびか移調して弾くことを即席に命ぜられたのであつたが、それをしも尚よく易々としてやつてのけたといふ。まだその上、與へられた主題による即興の演奏を命ぜられたが、それもまた堂々大人並みに演奏し終つたといふ。かくて彼は校内最高のクラス編入を許されたのであつた。そして着々その行程を「速歩行進曲」風に築いていつた。
 彼の公開演奏家としての経歴は、提琴家アドルフ・ブッシュとの共演に始まり、以後急速に内外到る処の大都市に於ける演奏会に出場することになつた。年を逐ふて此の少壮芸術家は特に各方面の音楽学校からの演奏会出演を懇望されるようになつた。勿論それは彼の卓抜な奏法とさうして完璧に近い理想的な演技とが汎く認められたかれでありそしてそれによつて独逸古典音楽の真価を充分に発揚することを得たからであつた。彼は演奏会への出場度数が余りに多いため、重要問題の協議に関して、独逸の演奏会管理者が直接彼を捕へる位のの他、殆ど家庭に在つての活動が意の如くならぬといふのは気の毒である。
 併しながら真に我々が理想的な方法として望む処のものつまり此の親愛なる芸術家に対して望む処の心からなる独逸人としての気持、それは彼以外の人間を以てしては置換へることの出来ないといふ音楽の教訓に関して、どんな抱負を彼が来たるべき時代のために用意してゐるであらうかといふことに就て、如何なる期待を我々がもつてよいのであるか、既に幾たびか彼にむかつて呼び求めた独逸アカデミーの一人からの声に対して必ずや彼がよき応答を與へてくれるであらう、といふことである。
 若しも真にケンプの演奏に就ての完全な印象を望むならば、常に彼が聴衆といふものに対して無関心であり、恰も自分自身のためにのみ演奏を続けてゐるかの如くに見え、そしてそれによって示される芸術そのものに対しての心からなる没頭、さうしてそれらのものを通じて示し出されるそれゞの曲目に対しての極めて独創的で自由な解釈法、並に原作者のもつ理想への喚起など、それらすべてのものが彼のもつ異常なる能力の現はれえあるといふことを無視されることがあってはならない。かくて此の古典物の演奏者が而も尚最も現代風な解釈者であるといふことになり、二つの時代に関する文化過程の最よき媒介者であるといふことになる譯なのである。  

 曲目解説 
       モーツアルトの作品   牛山充 
       ベートーヴエンの作品  鹽入亀輔